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長尾 郁弥; 新里 忠史; 佐々木 祥人; 伊藤 聡美; 渡辺 貴善; 土肥 輝美; 中西 貴宏; 佐久間 一幸; 萩原 大樹; 舟木 泰智; et al.
JAEA-Research 2020-007, 249 Pages, 2020/10
2011年3月11日に発生した太平洋三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震とそれに伴って発生した津波により、東京電力(現東京電力ホールディングス)福島第一原子力発電所の事故が発生し、その結果、環境中へ大量の放射性物質が放出された。この事故により放出された放射性核種は、その大部分が森林に沈着している。これに対し、面積が広大であり大量の除去土壌などが生じる、多面的な森林の機能が損なわれる可能性があるなどの問題があり、生活圏近傍を除き、汚染された森林の具体的な除染計画はない。そのため、未除染の森林から放射性セシウムが流出し、既に除染された生活圏に流入することで空間線量率が上がってしまうのではないか(外部被ばくに関する懸念)、森林から河川に流出した放射性セシウムが農林水産物に取り込まれることで被ばくするのではないか、規制基準値を超えて出荷できないのではないか(内部被ばくに関する懸念)などの懸念があり、避難住民の帰還や産業再開の妨げとなる可能性があった。日本原子力研究開発機構では、環境中に放出された放射性物質、特に放射性セシウムの移動挙動に関する「長期環境動態研究」を2012年11月より実施している。この目的は、自治体の施策立案を科学的側面から補助する、住民の環境安全に関する不安を低減し、帰還や産業再開を促進するといった点にある。本報告書は、原子力機構が福島県で実施した環境動態研究におけるこれまでの研究成果について取りまとめたものである。
長尾 郁弥; 新里 忠史; 佐々木 祥人; 伊藤 聡美; 渡辺 貴善; 土肥 輝美; 中西 貴宏; 佐久間 一幸; 萩原 大樹; 舟木 泰智; et al.
JAEA-Research 2019-002, 235 Pages, 2019/08
2011年3月11日に発生した太平洋三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震とそれに伴って発生した津波により、東京電力福島第一原子力発電所の事故が発生し、その結果、環境中へ大量の放射性物質が放出され、その大部分が森林に沈着している。これに対し、面積が広大であり大量の除去土壌等が生じる、多面的な森林の機能が損なわれる可能性があるなどの問題があり、生活圏近傍を除き、汚染された森林の具体的な除染計画はない。そのため、未除染の森林から放射性セシウムが流出し、既に除染された生活圏に流入することに対する懸念があり、避難住民の帰還や産業再開の妨げとなる可能性があった。原子力機構では、環境中に放出された放射性物質、特に放射性セシウムの移動挙動に関する「長期環境動態研究」を2012年11月より実施している。この目的は、自治体の施策立案を科学的側面から補助する、住民の環境安全に関する不安を低減し、帰還や産業再開を促進するといった点にある。本報告書は、原子力機構が福島県で実施した環境動態研究におけるこれまでの研究成果について取りまとめたものである。
川太 徳夫; 若林 修二; 花井 祐; 山口 康雄; 野中 信之; Scharmer, C.*
Proceedings of International Conference on Nuclear Security; Enhancing Global Efforts (CD-ROM), 10 Pages, 2014/03
原子力機構のISCNは、2010年4月にワシントン核セキュリティサミットで示された日本の声明を実現するべく、アジアの新興原子力発電国での核セキュリティを強化するために、効果的なトレーニングを提供している。これらの活動の一環として、ISCNは体験型、インタラクティブなレッスンを実施するトレーニングツールであるPP実習フィールドとVRシステムを開発してきた。これらの二つの施設は相互に補完し、教室での授業に加えて、実際の体験を通じてより深い理解に貢献している。ISCNは2012JFYから、本格的なトレーニングを開始し、これら二つの施設は、国内及び海外の国から450名以上の研修者・見学者を受けいれた。本論文では、これらの2つの施設や核セキュリティを教えるためにそれらを使用する研修プログラムの基本的な概念とアウトラインを示す。
花井 祐; 山口 康雄
Proceedings of INMM 54th Annual Meeting (CD-ROM), 10 Pages, 2013/07
核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)は、発足以降、核不拡散及び核セキュリティの強化に貢献するために各種の活動を行っている。ISCNは、人材育成にかかわる訓練の一環として、核セキュリティ訓練用のバーチャルリアリティ(VR)システムの開発を進めている。ISCNは、VR訓練システムの開発を2011年に開始し、2012年4月からは通常の訓練としてVR訓練システムの利用を始めている。VRシステムは、核セキュリティにかかわる知識・経験を十分に持たない訓練生を対象としている。この訓練を通して、訓練生はVRシステムが創る仮想の原子力発電所内の核セキュリティシステムとその働きを確認することが可能である。ISCNは追加機能として、原子力発電所の中央監視所を模擬した環境をVRシステムで構築し、その環境を使った訓練についても準備中である。この訓練を通して、訓練生は原子力発電所の中央監視所で働くためのスキルの向上を行うことが可能となる。
山口 五十夫; 森田 泰治; 近藤 康雄; 山岸 功; 藤原 武; 渡邉 雅之; 溝口 研一*; 瀧ヶ江 良三*; 青山 三郎; 久保田 益充
JAERI-Tech 96-009, 51 Pages, 1996/03
群分離法の開発研究を行うため、年間1.8510Bqの高レベル廃液を取り扱うことのできる試験装置を燃料サイクル安全工学研究施設に1994年完成した。本報は、この群分離試験装置を用いて、脱硝沈澱法、シュウ酸塩沈澱法、溶媒抽出法及び無機イオン交換体分離法を組み合わせた群分離法について、水による液移送試験及び硝酸を用いての全工程の装置性能試験を実施した結果についてまとめたものである。これらの試験中に発生した不具合は、その都度、手直しを行い、群分離試験装置の運転に反映した。本報にはその経緯と改良点等も併記した。
山口 五十夫; 龍ヶ江 良三*; 森田 泰治; 近藤 康雄; 白橋 浩一; 山岸 功; 藤原 武; 藤本 啓一*; 谷津 修; 藤田 民義*; et al.
JAERI-Tech 94-030, 53 Pages, 1994/11
群分離処理法の開発研究を行うため、年間1.8510Bqの高レベル廃液を取り扱うことのできる研究施設を燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)に完成した。本研究施設は放射体を含む放射性溶液の化学処理に適した気密構造の-型セルである。セル内には脱硝・濃縮装置、シュウ酸塩沈殿ろ過装置、ろ過機器、抽出器、イオン交換カラム、乾燥器、貯留タンク(10基)及びポンプ等で構成する群分離試験装置を設置した。主要機器は遠隔着脱コネクタを用いて交換可能であり、また、配管ルートを選定することにより多目的に使用できる。本群分離試験施設により、高レベル廃液中に含まれる元素を超ウラン元素群、Tc-白金族元素群、Sr-Cs群及びその他の元素群の4群に分離するプロセスについて試験する。
松村 昌明*; 近藤 康雄; 山口 五十夫; 久保田 益充
JAERI-M 93-010, 38 Pages, 1993/02
群分離プロセス評価予備試験装置を用いて、模擬廃液の還流および脱硝により生成するスラリーの工学的規模でのろ過試験を実施した。ろ過試験は2種類の模擬廃液を用いて実施した。沈殿を含まない模擬廃液を用いた試験では、脱硝前に5.710[J/L]以上の熱を与えて還流をおこなうことにより、易ろ過性のスラリーを得ることができ、実験室規模での実験結果が再現された。一方、室温放置により生成した沈殿を含む模擬廃液を用いた実験では、沈殿を含まない模擬廃液と同様の条件により還流・脱硝をおこなってもスラリーは難ろ過性となり、助材ろ過をおこなう必要があった。これは電温放置により生成した粒径が0.5m前後の微小粒子がスラリー中に多く含まれていたことに因るものであった。
久保田 益充; 山口 五十夫; 森田 泰治; 近藤 康雄; 白橋 浩一; 山岸 功; 藤原 武
Proc. of the Future Nuclear Systems: Emerging Fuel Cycles and Waste Disposal Options; GLOBAL 93, p.588 - 594, 1993/00
高レベル廃棄物中には長寿命の超ウラン元素、発熱性のSr-90,Cs-137、貴金属の白金族元素等が含まれている。これらの元素を放射能毒性や化学的性質に応じて分離し、有効に利用すると共に、超ウラン元素については消滅をはかることが廃棄物管理の上で有用である。本講演では、1985年以来実施してきた4群群分離プロセス開発の最近の成果について報告する。
稲垣 嘉之; 國富 一彦; 井岡 郁夫; 近藤 康雄; 林 晴義; 宮本 喜晟; 鳥谷 尚志*; 山口 茂
日本原子力学会誌, 30(5), p.427 - 433, 1988/05
被引用回数:1 パーセンタイル:19.68(Nuclear Science & Technology)HENDEL炉内構造物実証試験部(T試験部)は、原研で開発を進めている高温工学試験研究炉の炉床部を模擬している。高温工学試験研究炉と同じ条件下でT試験部の試験を行うために、内部隔壁、流量調節装置、領域別ヒータ、流量測定ブロック等の試験装置を製作した。試験装置の設計上の問題点は、その制作中に行った各要素の開発試験により解決した。最終的に総合機能試験により、4.0MPa、1000Cのヘリウムガス雰囲気中で、試験装置が所定の性能を有することを確認した。
國富 一彦; 稲垣 嘉之; 井岡 郁夫; 近藤 康雄; 根小屋 真一; 宮本 喜晟; 秋定 俊裕*; 山口 茂
日本原子力学会誌, 30(4), p.333 - 342, 1988/04
被引用回数:1 パーセンタイル:29.57(Nuclear Science & Technology)炉内構造物実証試験部(T試験部)は日本原子力研究所が開発を進めている高温工学試験研究炉の炉床部を模擬した実寸大のモデルである。本試験部は炉床部の伝熱特性および炉床部の構造健全性を確認することを試験目的としており、昭和58年3月に設計、製作を開始し、昭和61年6月完成した。本報ではT試験部の概要について述べると共に、炉床部の建設および予備試験より得られた結果を示す。
山口 康雄; 花井 祐
no journal, ,
核セキュリティ訓練用VRシステムは、仮想空間内に構築した原子力施設を使って核セキュリティの訓練を行うシステムである。原子力機構の核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)は、2011年度に開発を始め、2013年度までに2種類の訓練機能を整備した。訓練機能の一つは受講生が講師とともに、仮想空間内の原子力発電所に設置された物理的防護システムを視察しながら、その機能や働きを学ぶものである。もう一つは原子力発電所への不審者侵入を想定し、コンピュータが展開する仮想空間内での侵入シナリオに対して、受講生が中央警備所(Central Alarm Station: CAS)業務を役割演技することで、緊急時対応に必要となる技量を学ぶものである。発表では、2種類の訓練機能の概説を行うとともに、核セキュリティの訓練現場においてVR技術を使う長所と短所、受講生の反応、また今後の展開について報告する。
新里 忠史; 阿部 寛信; 石井 康雄; 佐々木 祥人; 三田地 勝昭; 北村 哲浩; 山口 正秋
no journal, ,
福島県の阿武隈山地の山地森林に分布する森林土壌を対象として、事故後約2年後及び3年半における放射性セシウム137の深度分布に係るデータを取得した結果、斜面域を除き、尾根部や谷底低地では地表面付近の放射性セシウム蓄積量が減少し、事故後約3年半における深度0-1cmまでの放射性セシウム137蓄積量は、事故後約2年における約50-60%まで減少していた。これとともに深度方向へ放射性セシウム137が浸透する傾向が認められるものの、深度0-5cmまでの蓄積量は全沈着量の84-92%であり、いまだに地表面付近に放射性セシウム137の大部分が存在していた。現地調査で得られた深度分布のデータに基づいて放射性セシウム137の流出率を算出した結果、放射性セシウム137が深度方向へ浸透するという経年変化に伴い、森林域からの放射性セシウム流出率は低下する傾向が示唆された。
平井 敬三*; 小松 雅史*; 赤間 亮夫*; 野口 享太郎*; 長倉 淳子*; 大橋 伸太*; 齋藤 哲*; 川崎 達郎*; 矢崎 健一*; 池田 重人*; et al.
no journal, ,
土壌から樹木への放射性セシウムの移行吸収とカリウム施肥による移行抑制効果の検討のため、福島県川内村のヒノキ新植地で長期モニタリング試験を開始した。福島第一原子力発電所事故当時はアカマツ・落葉広葉樹混交林で、第4次航空機モニタリング(2011年11月)による推定放射性物質沈着量は685k Bq m(Cs+Cs)である。2014年5月に8つの5050mプロットを設け、ヒノキ植栽後の8月にKとして100kg haのKClを施肥し、11月に苗木を採取した。8月の平均空間線量率(Sv h)は10cm高で1.18、1m高で0.94であった。土壌の平均Cs濃度(kBq kg)はリターで50.0、10-20cm深で0.1と下層へと低下した。またリターから20cm深までの存在量のうち58%がリター中に存在していた。11月に採取したヒノキ針葉の移行係数(土壌0-5cmに対する針葉のCs濃度[Bq Bq])は処理間に有意差はなかったが、土壌のCs濃度が8kBq kg以下では施肥区で小さい傾向にあった。
新里 忠史; 阿部 寛信; 三田地 勝昭; 石井 康雄; 佐々木 祥人; 渡辺 貴善; 北村 哲浩; 山口 正秋
no journal, ,
福島県の阿武隈山地北部と中部の山地森林における放射性セシウム流出特性の観測結果とともに、森林土壌の放射性セシウム深度分布と放射性セシウム流出量の経年変化について報告する。放射性セシウム137の流出特性は、2013年4月2014年12月の約2年間において、リターフォールや林内雨に伴う林床への放射性セシウム137沈着量は10 Bq m、土砂流亡等に伴う流出量は10 Bq mとなり、林床への放射性セシウム137沈着量が流出量を上回る結果となった。また、事故後約2年後及び3年半における放射性セシウム137の深度分布を調査した結果、尾根や谷底では地表面付近の放射性セシウム量が減少し、事故後約3年半における深度1cmまでの放射性セシウム量は、事故後約2年における約50-60%まで減少していた。異なる深度分布ケースについて放射性セシウム137の流出率を解析した結果、放射性セシウム137の深度方向への浸透する経年変化により、流出率が低下する可能性が示された。これら流出特性と深度分布の経年変化から、森林域は放射性セシウムのシンクとして振る舞う傾向にあると考えられる。