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論文

J-PARC RCSにおける大強度1バンチ加速の検討

田村 文彦; 沖田 英史; 發知 英明*; Saha, P. K.; 明午 伸一郎; 吉井 正人*; 大森 千広*; 山本 昌亘; 清矢 紀世美*; 杉山 泰之*; et al.

Proceedings of 20th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.64 - 68, 2023/11

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は物質・生命科学実験施設(MLF)およびメインリング(MR)に大強度陽子ビーム供給を行っている。RCSのハーモニック数hは2で、通常は2つのバンチを加速している。MLFのいくつかの実験では1バンチでのビーム供給が好ましいが、この場合1つのRFバケツを空きバケツとして加速を行うため、ビーム強度は半分となってしまう。RCSのハーモニック数を1として加速できれば、1バンチあたりの強度は2倍となり、最大強度での1バンチビーム供が可能となる。一方MRは、バンチあたりの粒子数を設計より上げることができるならば、1バンチずつ8回の入射を行うことで現在の設計ビームパワー1.3MWを超える運転ができる可能性がある。本発表では、主にRCSでの縦方向シミュレーションによるh=1加速の検討について報告する。

論文

Achievement of low beam loss at high-intensity operation of J-PARC 3 GeV RCS

Saha, P. K.; 岡部 晃大; 仲野谷 孝充; 吉本 政弘; 菖蒲田 義博; 原田 寛之; 田村 文彦; 沖田 英史; 畠山 衆一郎; 守屋 克洋; et al.

Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.1 - 5, 2023/01

The RCS beam power for operation to the MLF has been increased to 800 kW recently. The total beam loss even at the designed 1 MW beam power has been well controlled, but the uncontrolled beam losses, especially those caused by the foil scattering of the circulating beam during multi-turn injection are still high and causes extremely high residual radiation at the injection area. To further minimizing such a beam loss, we have implemented a new approach by minimizing the injection beam size and using a smaller size stripper foil. A smaller foil reduces foil hitting of the circulating beam and the corresponding foil scattering uncontrolled beam losses. In addition, an optimized transverse painting area matching with a smaller injection beam also gives a smaller circulating beam emittance to reduce beam loss at the collimator section and its downstream. The corresponding residual radiation for operation at 700 kW beam power was measured to be significantly reduced at the injection area, collimator section and it's downstream. A smaller injection beam size was also tested at 1MW beam power and the residual beam loss is minimized to 0.01%, which is nearly 1/4 reduction from the previous 1 MW test operation in 2020.

論文

Design and actual performance of J-PARC 3 GeV rapid cycling synchrotron for high-intensity operation

山本 風海; 金正 倫計; 林 直樹; Saha, P. K.; 田村 文彦; 山本 昌亘; 谷 教夫; 高柳 智弘; 神谷 潤一郎; 菖蒲田 義博; et al.

Journal of Nuclear Science and Technology, 59(9), p.1174 - 1205, 2022/09

 被引用回数:3 パーセンタイル:80.29(Nuclear Science & Technology)

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、最大1MWの大強度ビームを25Hzという早い繰り返しで中性子実験及び下流の主リングシンクロトロンに供給することを目的に設計された。2007年の加速器調整運転開始以降、RCSではビーム試験を通じて加速器の設計性能が満たされているかの確認を進め、必要に応じてより安定に運転するための改善を行ってきた。その結果として、近年RCSは1MWのビーム出力で連続運転を行うことが可能となり、共用運転に向けた最後の課題の抽出と対策の検討が進められている。本論文ではRCSの設計方針と実際の性能、および改善点について議論する。

論文

1.2-MW-equivalent high-intensity beam tests in J-PARC RCS

發知 英明; 原田 寛之; 林 直樹; 金正 倫計; 岡部 晃大; Saha, P. K.; 菖蒲田 義博; 田村 文彦; 山本 風海; 山本 昌亘; et al.

JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011018_1 - 011018_6, 2021/03

J-PARC RCSは、2019年7月に、1MWの連続(10.5時間)運転に成功したところである。高出力かつ安定な利用運転を実現するためには、1.2$$sim$$1.5MW相当の更に高いビーム強度でのビームの振る舞いを精査することが必要になるため、RCSでは、2018年の10月と12月に1.2MW相当の大強度試験を実施した。当初は、1$$%$$程度の有意なビーム損失が出現したが、チューンや横方向ペイント範囲を最適化することで、そのビーム損失を10$$^{-3}$$レベルにまで低減することに成功した。また、数値シミュレーションでその実験結果を精度良く再現することにも成功している。本発表では、実験結果と計算結果の詳細比較からビーム損失の発生や低減のメカニズムを議論する。また、近い将来実施予定の1.5MW相当の大強度ビーム加速の実現に向けた取り組みも紹介する。

論文

Flexible chopper gate pulse generation for the J-PARC RCS

田村 文彦; 山本 昌亘; 吉井 正人*; 杉山 泰之*; 發知 英明; Saha, P. K.; 吉本 政弘; 原田 寛之

JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011021_1 - 011021_6, 2021/03

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)ではビームのエネルギー広がりに由来するビームロスを避けるために、リニアック上流のビームチョッパーでビームの時間構造をRCSでの加速に適した幅に成形して入射している。チョッパーの動作のためのゲートパルスはRCSの加速高周波(RF)制御システムにより生成される。ディレイと幅を制御することで、RCSのRF電圧の適切な位相でビームを入射することができる。またJ-PARC独自の機能として、ビームの間引きがある。RCSではリニアックのビームをおよそ300周回連続で入射するが、連続ではなく間引いて入射することで、ビーム入射期間を変更することなく、強度を変更することができる。この機能を応用すると、1パルスだけ入射するようにパラメータを設定することで、非常に低いビーム強度で運転することもできる。この発表では、チョッパーゲートパルス生成の概要を示すとともに、自由度の高いゲートパルス生成を生かしたビーム調整結果について報告する。また、今後の機能向上についても議論する。

論文

J-PARC 3GeVシンクロトロン1MW運転状況

山本 風海; 山本 昌亘; 山崎 良雄; 野村 昌弘; 菅沼 和明; 藤来 洸裕; 神谷 潤一郎; 畠山 衆一郎; 發知 英明; 吉本 政弘; et al.

Proceedings of 17th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.209 - 213, 2020/09

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は物質生命科学実験施設および主リングに最大1MW相当のビームを供給する目的で建設された。J-PARCでは運転開始よりビーム調整と機器の改良を進めており、供用運転として段階的にビーム出力を増加しながら、設計最大出力である1MWの連続運転試験を断続的に行ってきた。これまで実施してきた1MW連続運転試験の結果から、RCSはビームを精度よくコントロールしており、ビーム損失は連続運転の妨げとならないことが確認できた。しかし一方で、ビームを加速する高周波空胴に余裕が無いため、引き続き増強を進める必要があることが判明した。また、2020年6月以降の気温と湿度が高い条件下では、冷却水の供給温度が上がり、機器の冷却が十分にできず運転できないことも判明した。今後は、これらの問題点の改善を進める。

論文

First measurement and online monitoring of the stripper foil thinning and pinhole formation to achieve a longer foil lifetime in high-intensity accelerators

Saha, P. K.; 吉本 政弘; 畠山 衆一郎; 發知 英明; 原田 寛之; 田村 文彦; 山本 風海; 山崎 良雄; 金正 倫計; 入江 吉郎*

Physical Review Accelerators and Beams (Internet), 23(8), p.082801_1 - 082801_13, 2020/08

AA2020-0279.pdf:1.92MB

 被引用回数:4 パーセンタイル:46.04(Physics, Nuclear)

We have established and implemented a nondestructive online monitoring system for the first time for measuring stripper foil thinning and pinhole formation, which are believed to the foil breaking signals caused by high-intensity beam irradiation. A longer foil lifetime is desired, while a foil failure during operation not only reduces the accelerator availability but also has serious issues for regular accelerator maintenances. The present research has been carried out at the RCS of J-PARC, where we aimed to ensure proper uses of foil and to achieve a longer foil lifetime without any failure. We have precisely measured a foil thinning and pinhole outbreak information to obtain a detail of foil degradation to determine a realistic foil lifetime by achieving a record of nearly 2 years of operation with a single foil and without any failures.

論文

J-PARC 3-GeV RCS; 1-MW beam operation and beyond

發知 英明; 原田 寛之; 林 直樹; 金正 倫計; 岡部 晃大; Saha, P. K.; 菖蒲田 義博; 田村 文彦; 山本 風海; 山本 昌亘; et al.

Journal of Instrumentation (Internet), 15(7), p.P07022_1 - P07022_16, 2020/07

 被引用回数:3 パーセンタイル:21.87(Instruments & Instrumentation)

RCSのような大強度陽子加速器では、ビーム損失により生じる機器の放射化がビーム出力を制限する最大の要因となる。RCSでは、高精度の計算モデルを構築し、数値シミュレーションと実験を組み合わせたアプローチでビーム損失の低減に取り組んできた。数値シミュレーションと実験の一致は良好で、計算機上で再現したビーム損失を詳細に解析することで実際の加速器で起こっている現象を十分な確度で理解することが可能になっただけでなく、それを低減するためのビーム補正手法を確立するのに数値シミュレーションが重要な役割を果たした。ハードウェアの改良と共に、こうした一連のビーム力学的研究により、1MW設計運転時のビーム損失を10$$^{-3}$$レベルにまで低減することに成功している。本発表では、1MW調整時に直面したビーム損失について、発生メカニズムや解決手法をレビューすると共に、最近行った1.2MW試験の実験結果を報告する。また、最後に、数値シミュレーションを用いてRCSの限界ビーム強度を議論する。

論文

The $$f$$-electron state of the heavy fermion superconductor NpPd$$_5$$Al$$_2$$ and the isostructural family

目時 直人; Aczel, A. A.*; 青木 大*; Chi, S.*; Fernandez-Baca, J. A.*; Griveau, J.-C.*; 萩原 雅人*; Hong, T.*; 芳賀 芳範; 池内 和彦*; et al.

JPS Conference Proceedings (Internet), 30, p.011123_1 - 011123_6, 2020/03

希土類(4$$f$$)やアクチノイド(5$$f$$)は、電子数の増加とともに複雑さを増し、様々な相互作用が競合して多様な状態が出現する。多体$$f$$電子系の結晶場分裂はバンド幅より狭いため、(1)高分解能の実験が必要で、(2)遍歴的なCeやU化合物は本質的に明瞭なスペクトルを示さない。また、(3)国際規制物質NpやPuなど超アクチノイド元素の取り扱いは厳しく規制されている。そこで比較的局在性の強い物質や希土類関連物質の、中性子散乱実験による磁気励起の研究が有益である。本稿では重い電子系化合物NpPd$$_5$$Al$$_2$$と関連物質の$$f$$電子状態について述べる。

論文

Summary of temporal changes in air dose rates and radionuclide deposition densities in the 80 km zone over five years after the Fukushima Nuclear Power Plant accident

斎藤 公明; 三上 智; 安藤 真樹; 松田 規宏; 木名瀬 栄; 津田 修一; 吉田 忠義; 佐藤 哲朗*; 関 暁之; 山本 英明*; et al.

Journal of Environmental Radioactivity, 210, p.105878_1 - 105878_12, 2019/12

 被引用回数:30 パーセンタイル:81.17(Environmental Sciences)

We summarized temporal changes in air dose rates and radionuclide deposition densities over five years in the 80 km zone based on large-scale environmental monitoring data obtained continuously after the Fukushima Nuclear Power Plant (NPP) accident. The air dose rates in environments associated with human lives decreased at a considerably faster rate than expected for radioactive decay. The average air dose rate originating from the radiocesium deposited in the 80 km zone was lower than that predicted from radioactive decay by a factor of 2-3 at five years after the accident. The causes of this rapid reduction were discussed quantitatively considering the characteristics of radiocesium migration in the environment.

論文

J-PARC RCSビームコミッショニングの進捗報告; 1MW以上のビーム出力の実現に向けた取り組み

發知 英明; 原田 寛之; 林 直樹; 金正 倫計; 岡部 晃大; Saha, P. K.; 菖蒲田 義博; 田村 文彦; 山本 風海; 山本 昌亘; et al.

Proceedings of 16th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.574 - 578, 2019/07

J-PARC RCSは、2018年の7月に、設計出力1MWの試験運転に成功したところである。高出力かつ安定な利用運転を実現するためには、さらに高いビーム強度でのビームの振る舞いを調査することが必要となるため、RCSでは、2018年10月と12月に、1.2MW相当の大強度試験を実施した。当初、1$$%$$程度の有意なビーム損失が出現したが、ベアチューンや横方向ペイント範囲を最適化することで、そのビーム損失を10$$^{-3}$$レベルにまで低減することに成功した。本発表では、上述の大強度試験結果、特に、その際に出現したビーム損失の発生メカニズムやその低減のために行った一連の取り組みに焦点を当てて報告する。

論文

Measurement of ambient dose equivalent rates by walk survey around Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant using KURAMA-II until 2016

安藤 真樹; 山本 英明*; 菅野 隆*; 斎藤 公明

Journal of Environmental Radioactivity, 190-191, p.111 - 121, 2018/10

 被引用回数:14 パーセンタイル:53.45(Environmental Sciences)

福島第一原子力発電所から80km圏内での2013年から2016年までのKURAMA-IIを用いた歩行サーベイにより、生活環境での空間線量率が測定された。歩行サーベイ測定地点では42ヶ月間に38%にまで線量率が低下した。放射性セシウムの物理半減期による線量率の減少は55%に比べて明らかに早い減少となった。避難指示区域の区分ごとに空間線量率減少を調べた結果、人間生活の活発な地域において減少速度がより早いことが分かった。歩行サーベイにより測定した空間線量率は走行サーベイによる測定結果とよい相関を示しており、道路上の走行サーベイ結果は歩行サーベイによる道路周辺での空間線量率を反映したものとなっている。また、走行サーベイでの100m四方において、歩行サーベイによる空間線量率は大きく変化していることが分かった。歩行サーベイによる測定結果は、走行サーベイと攪乱のない平坦地上での測定結果の中間に位置した。歩行サーベイによる空間線量率は平坦地上での測定結果に比べて減少が早いことが分かった。

論文

Simulation, measurement, and mitigation of beam instability caused by the kicker impedance in the 3-GeV rapid cycling synchrotron at the Japan Proton Accelerator Research Complex

Saha, P. K.; 菖蒲田 義博; 發知 英明; 原田 寛之; 林 直樹; 金正 倫計; 田村 文彦; 谷 教夫; 山本 昌亘; 渡辺 泰広; et al.

Physical Review Accelerators and Beams (Internet), 21(2), p.024203_1 - 024203_20, 2018/02

AA2017-0659.pdf:3.34MB

 被引用回数:8 パーセンタイル:62.35(Physics, Nuclear)

The transverse impedance of the extraction kicker magnets in the 3-GeV RCS of J-PARC is a strong beam instability source and it is one of the significant issue to realize 1 MW beam power as practical measures are yet to be implemented to reduce the impedance. In the present research realistic simulation by updating the simulation code to cope with all time dependent machine parameters were performed in order to study the detail of beam instability nature and to determine realistic parameters for beam instability mitigation. The simulation results were well reproduced by the measurements, and as a consequence an acceleration to 1 MW beam power has also been successfully demonstrated. To further increase of the RCS beam power up to 1.5 MW, beam instability issues and corresponding measures have also been studied.

論文

J-PARC 3GeVシンクロトロンの新しい入射システムの設計

山本 風海; 神谷 潤一郎; Saha, P. K.; 高柳 智弘; 吉本 政弘; 發知 英明; 原田 寛之; 竹田 修*; 三木 信晴*

Proceedings of 14th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.374 - 378, 2017/12

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、最大1MWの大強度陽子ビームを物質生命科学実験施設および主リングシンクロトロンに供給するために設計され、運転を行っている。現在のところ、RCSでは設計値の半分である500kWの出力での連続運転に成功しているが、今後さらにビーム出力を向上し、安定な運転を達成するためには、入射点付近の残留放射能による被ばくへの対策が重要となってくる。これまでのビーム試験やシミュレーション、残留線量の測定結果等から、入射点周辺の残留放射能は、入射で使用する荷電変換用カーボンフォイルに入射及び周回ビームが当たった際に発生する二次粒子(散乱陽子や中性子)が原因であることがわかった。現状では、RCSの入射にはフォイルが必須であり、これらの二次粒子を完全になくすことはできない。そこで、これら二次粒子によって放射化された機器の周辺に遮蔽体を置けるように、より大きなスペースが確保できる新しい入射システムの検討を開始した。予備検討の結果、機器配置は成立するが、入射用バンプ電磁石磁場が作る渦電流による発熱が問題となることがわかり、その対策の検討を進めることとなった。

論文

Achievement of a low-loss 1-MW beam operation in the 3-GeV rapid cycling synchrotron of the Japan Proton Accelerator Research Complex

發知 英明; 原田 寛之; 林 直樹; 加藤 新一; 金正 倫計; 岡部 晃大; Saha, P. K.; 菖蒲田 義博; 田村 文彦; 谷 教夫; et al.

Physical Review Accelerators and Beams (Internet), 20(6), p.060402_1 - 060402_25, 2017/06

AA2017-0154.pdf:4.88MB

 被引用回数:24 パーセンタイル:88.27(Physics, Nuclear)

RCSは、1MWのビーム出力を目指す世界最高クラスの大強度陽子加速器である。こうした加速器では、ビーム損失により生じる機器の放射化がビーム出力を制限する最大の要因となる。ビーム損失の原因(誤差磁場、空間電荷効果、像電荷効果等)は多様で、複数の効果が絡み合った複雑な機構でビーム損失が生じるため、その解決を果たすには、高度なビームの運動学的研究が必要となる。RCSでは、実際のビーム試験と共に、計算機上での数値シミュレーションを精力的に行ってきた。実験と計算の一致は良好で、観測されたビーム損失の発生機構の解明、また、その解決策を議論するうえで、数値シミュレーションが重大な役割を果たしている。ハードウェア系の改良と共に、こうしたビーム試験と数値シミュレーションを反復的に行うアプローチにより、RCSでは、10$$^{-3}$$という極めて少ないビーム損失で1MW相当のビーム加速を達成したところである。本論文では、RCSのビーム増強過程で顕在化したビーム損失の発生機構やその低減に向けた取り組みなど、大強度加速器におけるビーム物理に関する話題を中心に、RCSビームコミッショニングにおけるここ数年の成果を時系列的に紹介する。

論文

Coupled bunch instability and its cure at J-PARC RCS

菖蒲田 義博; Saha, P. K.; 發知 英明; 原田 寛之; 高柳 智弘; 田村 文彦; 谷 教夫; 富樫 智人; 外山 毅*; 渡辺 泰広; et al.

Proceedings of 8th International Particle Accelerator Conference (IPAC '17) (Internet), p.2946 - 2949, 2017/05

J-PARC RCSのような1MWの大強度のビームの生成を目指す加速器では、加速器の構成要素とビームは、電磁気的に相互作用(ビームの結合インピーダンス)をして、ビームが不安定になる。RCSでは、それがキッカーとの相互作用(キッカーインピーダンス)で起こることが明らかにされており、ビームを不安定にすることなく大強度のビームを達成する手法について研究がなされてきた。著者らは、最近、ビームのもつ空間電荷効果にはビームを安定化させる働きがあることを発見し、MLF行き用の横方向に大きい200$$pi$$mm.mradのエミッタンス のビームに対しては、1MWのビームを達成する手法を確立した。ところが、MR行き用の50$$pi$$mm.mradのエミッタンスの細いビームに関しては、この手法では、ビームを大強度化する上で限界がある。このレポートでは、このようなビームに対して、どのようにして大強度ビームを達成するか、その対策を議論する。また、現在のキッカーインピーダンス低減化対策の現状も報告する。

論文

New injection scheme of J-PARC rapid cycling synchrotron

山本 風海; 神谷 潤一郎; Saha, P. K.; 高柳 智弘; 吉本 政弘; 發知 英明; 原田 寛之; 竹田 修*; 三木 信晴*

Proceedings of 8th International Particle Accelerator Conference (IPAC '17) (Internet), p.579 - 581, 2017/05

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、1MWの大強度ビームを物質生命科学実験施設および主リングシンクロトロンに供給するために設計され、調整が進められている。現在の所、RCSでは設計値の半分である500kWでの連続運転に成功しているが、今後さらにビーム出力を向上するためには、入射点付近の残留放射能による被ばく対策が重要となってくる。これまでのビーム試験やシミュレーション、残留線量の測定結果等から、入射点周辺の残留放射能は入射で使用する荷電変換用カーボンフォイルに入射及び周回ビームが当たった際に発生する二次粒子(散乱陽子や中性子)が原因であることがわかった。現状では、RCSの入射にはフォイルが必須であり、これらの二次粒子を完全に無くすことはできない。そこで、これら二次粒子によって放射化された機器の周辺に遮蔽体を置けるように、より大きなスペースが確保できる新しい入射システムの検討を開始した。予備検討の結果、機器配置は成立するが、入射用バンプ電磁石磁場が作る渦電流による発熱が問題となることがわかったため、今後その対策を検討することとなった。

論文

Theoretical elucidation of space charge effects on the coupled-bunch instability at the 3 GeV Rapid Cycling Synchrotron at the Japan Proton Accelerator Research Complex

菖蒲田 義博; Chin, Y. H.*; Saha, P. K.; 發知 英明; 原田 寛之; 入江 吉郎*; 田村 文彦; 谷 教夫; 外山 毅*; 渡辺 泰広; et al.

Progress of Theoretical and Experimental Physics (Internet), 2017(1), p.013G01_1 - 013G01_39, 2017/01

AA2016-0375.pdf:3.07MB

 被引用回数:13 パーセンタイル:66.58(Physics, Multidisciplinary)

大強度のビームを加速すると、一般にビームは不安定になることが知られている。それは、周回中のビームと加速器の機器には電磁相互作用(ビームのインピーダンス)があるからである。ビームを不安定にならないようにするためには、ビームのインピーダンスが閾値を超えなければ良いことが分かっていて、それは、インピーダンスバジェットと呼ばれている。J-PARC 3GeVシンクロトロンは、キッカーというビームを蹴り出す装置がインピーダンスバジェットを破っていることが、建設初期の段階から明らかにされており、1MWビームの達成を阻害することが懸念されてきた。今回、ビームの構成粒子自身の電荷に由来する電磁相互作用(空間電荷効果)には、ビームを安定化させる効果があることを理論的に明らかにした。また、ビームのパラメータや加速器のパラメータを適切に選べば、J-PARC 3GeVシンクロトロンのような低エネルギーのマシーンでは、従来のインピーダンスバジェットを破ることは、1MWビームを達成する上で致命傷にはならないことを実験的にも実証した。

論文

J-PARC 3GeV陽子シンクロトロンにおける1MW運転時のビーム損失とその低減

發知 英明; 原田 寛之; 加藤 新一; 金正 倫計; 岡部 晃大; Saha, P. K.; 菖蒲田 義博; 田村 文彦; 谷 教夫; 渡辺 泰広; et al.

Proceedings of 13th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.61 - 65, 2016/11

J-PARC 3-GeV RCSでは、2015年の夏季作業期間にRF電源の増強を行い、その直後の10月より1MWのビーム調整を再開した。10月のビーム試験では、RFフィードフォワード調整やペイント入射の導入により、縦方向のビーム損失や空間電荷由来の横方向のビーム損失を最小化させると共に、色収差や加速過程のチューンをコントロールすることでビームの不安定化を抑制することに成功した。また、その後のビーム試験では、新規導入した補正四極電磁石と共にAnti-correlatedペイント入射を併用することでペイント入射範囲の拡幅を実現し、その結果、入射中の荷電変換フォイル上での散乱現象に起因したビーム損失を大幅低減させることに成功した。2015年10月以降に行った一連のビーム調整により、1MW運転時のビーム損失は、十分に許容範囲内といえるレベルにまで低減された。本発表では、ビーム増強過程で実際に我々が直面したビーム損失の発生機構やその低減に向けた取り組みなどを中心に、RCSビームコミッショニングの進捗状況を報告する。

論文

J-PARC RCSエネルギー増強のための主電磁石の検討

谷 教夫; 渡辺 泰広; 發知 英明; 原田 寛之; 山本 昌亘; 金正 倫計; 五十嵐 進*; 佐藤 洋一*; 白形 政司*; 小関 忠*

Proceedings of 13th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.708 - 711, 2016/11

J-PARC加速器の大強度化を進めるために、3GeV RCSの加速エネルギーを現在の3GeVから3.4GeVに増強する案が検討されている。そのため、3.4GeVを目指したRCS電磁石の検討が行われた。空間電荷効果の影響でRCSからの3GeV 1MWビームでは、MRの入射部でのビームロスが5%と大きい。入射ビームを3.4GeVにすると、ビームロスが1%程度となり、MRで1MWビームの受け入れが可能となる。四極電磁石の検討では、磁場測定データを基に評価が行われた。四極電磁石は、3.4GeVでも電源の最大定格値を超えないことから、電磁石・電源共に対応可能であることがわかった。しかし、偏向電磁石は、3次元磁場解析データから、3.4GeVでは飽和特性が5%以上悪くなった。電源についても、直流及び交流電源の最大定格が現電源と比べて15%及び6.2%超えており、現システムでは難しいことがわかった。このため、偏向電磁石については、既存の建屋に収まることを前提として、電磁石の再設計を行った。その結果、電源は直流電源の改造と交流電源の交換で実現可能となることがわかった。本論文では、RCS電磁石の出射エネルギー増強における検討内容及びその結果見えてきた課題について報告する。

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