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田上 雅彦*; 山田 泰広*; 山下 佳彦*; 宮川 歩夢*; 松岡 俊文*; Xue, Z.*; 辻 健*; 鶴田 忠彦; 松岡 稔幸; 天野 健治; et al.
JAEA-Research 2012-036, 110 Pages, 2013/02
瑞浪超深地層研究所の周辺には北西-南東走向の断層が発達しており、これらの断層が地下水流動に影響を与えていることがわかっている。これらの断層は、研究所北側をほぼ東西に走る月吉断層の右横ずれ運動に伴って形成されたプルアパート構造に関連したものである可能性が指摘されているが、これらの断層の過去の活動履歴やその分布については、十分に明らかにされていない。本共同研究では、瑞浪超深地層研究所で確認されている地質構造を事例として、アナログモデル実験並びに数値シミュレーションを用いた地質構造の再現を試みた。まず、瑞浪超深地層研究所内及びその周辺において確認されている断層や剪断割れ目について古応力解析を実施し、運動像と形成時期を推定した。その結果と既往の研究をふまえて地質構造発達史を整理した。次に、現状の地質構造を再現するためのアナログモデル実験及び数値シミュレーションを実施した。再現された断層の配列・分布・発達密度といった三次元的な幾何特徴を現状の地質構造モデルと対比し、未調査地域における地質構造の発達状況を考察した。
鶴田 忠彦; 田上 雅彦; 天野 健治; 松岡 稔幸; 栗原 新; 山田 泰広*; 小池 克明*
地質学雑誌, 119(2), p.59 - 74, 2013/02
瑞浪超深地層研究所では、結晶質岩(花崗岩)を調査・研究において深地層の科学的研究を進めている。研究所で行っている地質学的調査では、特に結晶質岩中における地下水などの流体の主要な移行経路である割れ目や断層などの不連続構造の不均質性や特性に着目して、地表地質調査、反射法弾性波探査、ボーリング調査、研究坑道における地質調査などからなる現場調査と、それらの結果に基づく地質構造のモデル化を行っている。これまでの現場調査の結果、地下水の流動を規制する低透水性の断層が存在することと、多量の湧水を伴う割れ目帯が花崗岩上部に分布していることが明らかになっている。これらの地質構造については、スケールの異なる地質構造の規則性・関連性や地質構造の発達過程に着目したモデル化の整備を進めているところである。本報では、地質構造に関する現場調査と、地質構造モデルの構築に関する事例の紹介を通して、研究所における地質学的調査について報告する。
田上 雅彦; 鶴田 忠彦; 松岡 稔幸; 山田 泰広*; 松岡 俊文*; 山下 佳彦*; 宮川 歩夢*
JAEA-Review 2010-069, p.125 - 126, 2011/02
瑞浪超深地層研究所及び周辺に分布する断層を対象として、断層の古応力解析,砂箱アナログモデル実験、及び数値シミュレーションを用いた断層の三次元分布の推定に関する京都大学との共同研究を実施した。共同研究の結果、研究所及びその周辺に分布する断層の発達過程を再現するとともに、未調査領域を含む断層の空間的な配置・延長が推定することができた。研究所において採用した本手法は、今後未調査領域の断層などの地質構造分布を推定するための技術となることが期待される。
鶴田 忠彦; 松岡 稔幸; 田上 雅彦; 栗原 新; 天野 健治; 山田 泰広*; 小池 克明*
no journal, ,
石油資源探査,放射性廃棄物の地層処分,COの地中貯留などの地下環境を対象とした事業では、高透水性の割れ目帯や、低透水性の断層などの地下水の流動を規制する地質構造の空間分布を把握することが重要である。一方で、そのような地質構造の分布を把握するためのボーリング調査や物理探査などの現場調査は、経費や実施場所などの制約により取得できる情報が限定されることから、地質構造の空間分布を現場調査の結果のみに基づいて理解することは極めて困難である。そのため、地質構造の空間分布を推定するモデリング技術の開発・適用が必要となってくる。以下に、日本原子力研究開発機構が岐阜県東濃地域の瑞浪超深地層研究所において進めている地質構造の空間分布を予測するためのモデリング技術の開発について、現状の取り組みを報告する。
山田 泰広*; 山下 佳彦*; 宮川 歩夢*; 鶴田 忠彦; 松岡 稔幸; 田上 雅彦
no journal, ,
瑞浪超深地層研究所の北には土岐花崗岩と瑞浪層群を変位させる月吉断層が分布しており、見かけの変位からは逆断層とみなされていた。しかし、ENE-WSW走向の断層が右ステップに屈曲する部分に形成された月吉チャネル構造や、NNW-SSE方向に平行に発達する断層群の配置関係は、土岐挟炭累層の堆積当時に月吉断層が右横ずれしたことを想像させた。この作業仮説を裏付けるべく、砂箱実験装置を用いて月吉断層の運動を再現するアナログ実験と、三次元数値シミュレーションを実施して、月吉断層の南盤側に現状の地質構造と同様の断層や陥没地形を復元することを試みた。アナログ実験では、現状の月吉断層の三次元形態のブロックモデルを作って右横ずれさせることで、現在の地質モデルに類似した地質構造を再現することに成功した。このようなアナログ実験は、調査の及ばない地表や地下領域における地下構造の検討や、地質構造の発達過程の解析に有効な手段であると言える。
常盤 哲也; 新里 忠史; 天野 健治; 赤嶺 辰之介*; 田邊 謹也*; 中務 真志*; 山田 泰広*
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分システムに関する長期挙動を予測するうえで地質構造発達過程を把握することは必要不可欠であり、その発達過程を把握するための調査・解析・モデル化手法の整備とそこで利用される専門知識の表出化が重要になると考えられる。本研究では、地質構造発達過程の三次元モデル構築を目的として実施したアナログモデル実験について、一連の作業手順とともに、その作業過程で利用される専門家のノウハウ・判断根拠の分析・整理を実施した。その結果、「既存情報の整理」,「アナログモデルのデザイン」,「実験条件の設定」,「実験の実施と結果の評価」などの一連の作業手順とその判断根拠等を整理することができた。
中務 真志*; 山田 泰広*; 常盤 哲也
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分システムに関する長期挙動を予測するうえで地質構造発達過程を把握することは必要不可欠であり、現地調査とともに実験的アプローチにより、地質構造発達過程を系統的に理解することが重要である。そこで本研究では、北海道幌延地域を対象としたアナログモデル実験により、本地域における隆起・削剥と地質構造発達過程の関連性について評価した。その結果、モデルの平均隆起速度を相似律に基づいて実際のスケールに換算すると0.33m/kyから0.45m/kyとなり、段丘の形成年代から推測される隆起速度と整合的な結果が得られた。また、モデルで生じた3条の断層を幌延断層,大曲断層,サロベツ断層帯にそれぞれ対比させた場合、今回の実験結果からは幌延・大曲断層は今後の削剥の有無に関係なく停止状態を維持すること、今後も引き続きサロベツ断層帯が活動を続けるものと予測できることが示された。
松崎 達二; 常盤 哲也; 中務 真志*; 山田 泰広*; 赤嶺 辰之介*; 天野 健治; 新里 忠史
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分では、長期的な地層処分の安全性評価が必要不可欠である。このため、地層処分の場となる地質環境の長期変遷を予測する技術の開発は、地層処分の安全性を確保するために重要な位置を占める。特に、断層や褶曲などの地質構造要素の発達過程の理解と、それに伴う変動量(隆起・沈降量)の定量的な把握及び予測手法の整備は、安全評価の観点だけではなく、初期段階での施設設計の観点からも重要である。変動量の定量的な把握は、指標となる地層境界面や地形面を地質学・地形学・測地学的な調査手法を用いてその変遷履歴を把握し、解析することにより実施される。しかし、それらの調査手法だけでは時空間的に連続した変動量の変遷の追跡は困難であり、種々の解析手法等を適用した多面的なアプローチによる検証確認が必要となる。そこで本研究では、その一例として実験的なアプローチを用いて地質構造要素の発達過程の連続的追跡、変動量の定量的な測定とその変遷の把握を試みた。その結果、断層の発達過程に伴う、変動の傾向を定量的に把握することができた。今後、精緻化などにより、地下の変動量を定量的に把握する手法整備の一助となると考える。