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山田 逸平; 地村 幹; 神谷 潤一郎; 金正 倫計
Journal of Physics; Conference Series, 2687, p.072018_1 - 072018_6, 2024/01
大強度陽子加速器施設J-PARCではわずかな割合のビーム損失でも高線量の放射化を引き起こす。そのため、非破壊型モニタを用いたビームの常時監視による加速器制御の最適化が必須である。ビームとガスの相互作用を利用してビームプロファイルを測定するガスシートモニタは、従来の固体ワイヤとビームの相互作用を利用したモニタと比較してビームに与える影響が小さい。しかし、極少量ではあるもののガスを導入してビームラインの真空圧力に影響を与えるため、ビームにも影響を与える可能性がある。そこで本研究ではガス導入量に対するビーム電流値及びビーム位相空間分布の変化を実測した。本会議では、ビーム電流値はガス導入量に比例して減少し、ビームエミッタンスは一定または減少したという結果を報告し、今後のJ-PARC加速器の安定化や大強度化に向けたガスシートモニタ高度化に関する議論を行う。
永山 晶大; 原田 寛之; 下川 哲司*; 佐藤 篤*; 山田 逸平; 地村 幹; 小島 邦洸; 山本 風海; 金正 倫計
Proceedings of 20th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.526 - 530, 2023/11
本研究では、ビームの遅い取り出しのための非破壊型静電セプタムを開発している。従来型と異なり、この装置はビームと衝突しないようにビーム周辺に配置した多段電極で構成されており、発生させた電場によって非破壊でビームを分離する。本研究ではその電場分布を評価すべく、電子銃とビームモニタで構成された試験装置を開発した。その装置に試作電極を設置し、細い電子ビームで電場分布測定の実験を実施した。その測定結果は計算結果との良好な一致を示した。しかし、ビームの分離能力はまだ十分ではない。そこで、電場分布の改良に向けた電極形状や配置の最適化の検討を行った。本発表では、試験装置を用いた電場分布測定実験の結果や改良案を報告する。さらに、本開発の今後の展望についても述べる。
永山 晶大; 原田 寛之; 下川 哲司*; 山田 逸平; 地村 幹; 山本 風海; 金正 倫計
Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.503 - 507, 2023/01
リング型粒子加速器であるシンクロトロン加速器ではリング内にビームを溜め込み、周回させながら加速したビームを徐々に供給する「遅い取り出し」技術で最先端の物理実験や放射線がん治療を実現している。従来の手法では、周回ビームと取り出しビームの間に電場分布を切り分ける電極を挿入する必要がある。現在の手法では、取り出し時に発生するビーム衝突が原理的に解決できず、機器の故障や出力制限の原因となっている。そこで、ビーム軌道上に挿入される電極を廃した新たな手法に基づく非破壊型静電セプタムを考案し、現在開発を進めている。従来型の静電セプタムと同等に粒子を周回ビームから蹴り出す為には、境界面で不連続のギャップを持つ階段関数のような分布の力を発生させるのが理想である。本発表では階段関数に近い分布のローレンツ力を真空中に発生させるための電極・電流路配置の最適化の計算方法や、発生させるローレンツ力によるビーム軌道の計算結果について報告する。また、現在進行中である本手法の原理実証に向けて開発した小型原理実証機についても紹介し、今後の展望についても議論する。
山田 逸平; 和田 元*; 神谷 潤一郎; 金正 倫計
Journal of Physics; Conference Series, 2244, p.012077_1 - 012077_6, 2022/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0.32(Engineering, Electrical & Electronic)J-PARCのような大強度加速器の安定な運転には、非破壊型モニタを用いたビームの常時監視によるビーム損失の低減が重要である。これまでの研究にて、ガスシートとビームの相互作用を利用する非破壊型プロファイルモニタを開発し、その有効性を実証した。開発したモニタはシートガスの密度を広い範囲で制御できるほか、ビーム誘起蛍光を直接カメラで検出するため、任意の露光時間に設定することで容易に信号の平均化が可能である。この特性を利用したビームプロファイルの時間発展測定の可能性を検証した。ビームパルス50sに対して1s刻みにビームプロファイルを測定した結果、ビームプロファイルは先頭の10sで大きく変化しており、その後安定することを明らかにした。また、このプロファイルの時間発展は初段の高周波加速空洞であるRFQのフィードフォワード制御に依存することも明らかにした。以上から、今後のJ-PARCビームの安定化に新たな指標を提案できる可能性を見出した。
山田 逸平; 和田 元*; 守屋 克洋; 神谷 潤一郎; Saha, P. K.; 金正 倫計
Physical Review Accelerators and Beams (Internet), 24(4), p.042801_1 - 042801_13, 2021/04
被引用回数:3 パーセンタイル:46.8(Physics, Nuclear)大強度加速器のビームを測定するためには非破壊型モニタが必要である。本研究ではビーム誘起蛍光を利用した横方向ビームプロファイルを測定する非破壊型モニタを開発した。開発したモニタは希薄気体力学の技術を利用してシート状に形成したガスを導入し、ビーム照射により発生した蛍光像を検知することで、二次元プロファイルの測定を可能とする。このモニタから得られる信号をビームプロファイルに変換するための近似手法もあわせて考案した。このモニタおよびプロファイル変換手法をJ-PARCの3MeV水素負イオンビームのプロファイル測定に適用した。その結果、開発したモニタで得られたビームプロファイルは既存のプロファイルモニタであるワイヤスキャナモニタで得られたものと一致した。また、ガスシート導入によるビーム損失の評価として、ビーム電流の減少率を測定した。その結果、ビーム減少率はガス導入流量と比例し、0.004% 2.5%の電流値の減少が見られた。さらに、開発したモニタはJ-PARCビーム1パルス中のプロファイル変化を測定できる可能性を持つことを示した。
神谷 潤一郎; 岡部 晃大; 金正 倫計; 守屋 克洋; 山田 逸平; 荻原 徳男*; 引地 裕輔*; Wada, K.*
Journal of Physics; Conference Series, 1350, p.012149_1 - 012149_6, 2019/12
被引用回数:3 パーセンタイル:82.33(Physics, Particles & Fields)チタン製真空ダクト表面にゲッター作用を持たせるため、導入したガスをイオン化させスパッタリングによりチタン表面の酸化膜を除去する手法の開発を行っている。本手法では、スリットからガスを導入することで、少ないガス量で局所的に均一かつ高いガス密度のシート状の分布を生成ができ、周辺の圧力上昇を抑えたうえで効率の良いスパッタリングを行うことができる。今回、スリットによって生成されたガス密度分布をモンテカルロシミュレーションコードによって計算し、評価した。その結果、ガス密度分布の三次元的な分布の情報を得ることができ、両方向からのガス導入がガス密度分布の均一化に対して有効であることが定量的にわかった。さらに本手法をシート状ガスとビームとの相互作用により発生するイオンを検出する非破壊型ビームプロファイルモニターに適用した。本モニターにおいて、ビームプロファイルの注入ガス量に対する依存性を調査し、少量の注入ガス量での測定が不飽和かつS/N比が高い状況でビームプロファイル測定するために重要であることが分かった。
山田 逸平; 荻原 徳男*; 引地 裕輔*; 神谷 潤一郎; 金正 倫計
Vacuum and Surface Science, 62(7), p.400 - 405, 2019/07
J-PARCの陽子加速器は世界最大級である1MWの大強度ビームの出力を目指している。このような強度のビームはわずかな損失でも機器を放射化し、安定かつ安全な加速器運転に支障をきたす。これを防ぐためにはビームを適切に制御する必要があるため、ビームをモニタリングすることが必須である。特にビームプロファイル測定では、ビームの大強度化に向けて非破壊型モニタの実用化が求められている。一つの案としてシート状のガスを用いた非破壊プロファイルモニタが考案されている。しかし、ビーム検出の媒体であるシート状のガスは必ずしも一様に分布するわけではないため、測定されたデータを正確なプロファイルに換算しモニタを実用化するためにはガス分布の情報が必要である。そこで、電子ビームを用いてガスをイオン化し、そのイオンを検出することでガス分布を測定する手法を考案した。本会議では、実現可能性・測定範囲のシミュレーション検討したこと、およびその計算結果を検証する実験を行ったことを報告し、真空科学分野の専門家と議論することで新たなモニタの実用化を目指すことを目的とする。
山田 逸平; 荻原 徳男*; 引地 裕輔*; 神谷 潤一郎; 金正 倫計
Proceedings of 10th International Particle Accelerator Conference (IPAC '19) (Internet), p.2567 - 2570, 2019/06
J-PARCのような大強度陽子加速器ではわずかなビーム損失でも周辺機器の放射化を引き起こし、安全かつ安定な加速器運転に支障をきたす。放射化を防ぐためには、様々なモニタを用いてビーム損失の原因を特定する必要がある。現在、加速器の大強度化に伴いビームモニタの非破壊化が求められている。本研究ではビームのプロファイルを非破壊的に測定する新たなモニタとして、ガスシートビームプロファイルモニタの開発を行っている。本モニタの研究課題は主に、ガスシート生成器の開発、ガスシートの評価、および信号校正からなり、本件では特にガスシート評価装置の開発の進捗を報告する。本モニタはガスシートとビームの相互作用を利用するため、得られる信号はビームの分布のみならずガスの密度分布にも依存する。そのため、正確なビームプロファイルを得るためにはガス密度分布の情報を取得する必要がある。本報告ではイオン軌道シミュレーションに基づきガスシート評価装置の設計を行い、検証実験を行った結果を述べる。
山田 逸平; 荻原 徳男*; 引地 裕輔*; 神谷 潤一郎; 金正 倫計
Proceedings of 15th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.88 - 92, 2018/08
J-PARCの陽子加速器は世界最大級である1MWの大強度ビームの出力を目指している。このような強度のビームはわずかな損失でも機器を放射化し、安定かつ安全な加速器運転に支障をきたす。これを防ぐためにはビームを適切に制御する必要があるため、ビームをモニタリングすることが必須である。特にビームプロファイル測定において、現在主流の金属ワイヤを用いたモニタは大強度ビームの測定で破損の可能性が考えられる。この解決策の一つとして、シート状のガスを用いた非破壊プロファイルモニタが考案されている。しかし、ビーム検出の媒体であるシート状のガスは必ずしも一様に分布するわけではないため、測定されたデータを正確なプロファイルに換算しモニタを実用化するためにはガス分布の情報が必要である。そこで、電子ビームを用いてガスをイオン化し、そのイオンを検出することでガス分布を測定する手法を考案した。本会議では、シミュレーションにて本手法の実現可能性,測定有効範囲、および測定分解能について検討したことを報告し、様々な分野の専門家と議論することで新たなモニタの実用化、およびそれに伴う加速器の安定な運転に役立てることを目的とする。
山田 逸平; 荻原 徳男*; 引地 裕輔*; 神谷 潤一郎; 金正 倫計
no journal, ,
J-PARCの陽子加速器は世界最大級である1MWの大強度ビームの出力を目指している。このような強度ではわずかなビームロスでも機器の放射化を引き起こし、安定な加速器の運転の妨げとなる。そこで非破壊型のビームプロファイルモニタの実用化を進めている。本モニタはシート状に形成したガスとビームの相互作用によりビームを検出するものである。そのためシートガスが一様な密度であれば得られる信号がビームのプロファイルとなるが、ガスは必ずしも一様に分布するわけではないため、ガス密度分布の実測データを用いて本モニタから得られる信号を校正する必要がある。そこで電子ビームを用いてガスをイオン化し、そのイオンを検出することでガス分布を測定する手法を考案し、その評価を行った。本会議では、本測定装置の原理検証実験を行った結果および本装置の実現可能性について報告し、様々な分野の専門家と議論することでガスシートモニタの実用化を目指すことを目的とする。
山田 逸平; 和田 元*; 守屋 克洋; 神谷 潤一郎; 金正 倫計
no journal, ,
J-PARC RCSのような世界最大強度を誇る加速器の安定かつ安全な運転にはビームの非破壊診断が重要である。現在、シートガスとビームの相互作用を利用した非破壊型のビームプロファイルモニタの開発を行っている。これまでの研究にて実際にモニタを開発し、適切な解析手法を考案してその有効性を実証した。本研究では開発したモニタの応用として、1パルスでのプロファイル測定や極低ガス圧なシートの利用による非破壊度の高い測定の可能性を得た。このように開発したモニタは広い範囲でパラメータを制御することができるため、J-PARCのみならず様々な加速器への応用可能性を持つ。本学会はビームモニタに関する会議であり、これまでの研究で得られた知見を世界のモニタ開発の専門家と共有すると同時に、より高度なモニタへの発展を目指して議論するものである。
山田 逸平; 和田 元*; 神谷 潤一郎; 金正 倫計
no journal, ,
J-PARCのような大強度加速器の安定な運転には、非破壊型モニタを用いたビームの常時監視が重要である。そこで、ガスシートとビームの相互作用を用いた非破壊型プロファイルモニタの開発を行っている。このモニタで得られる信号はビーム分布およびガス密度分布に依存する。そのため、ビーム分布を得るためには、ガス密度分布を実測してその情報をもとに適切な解析を行う必要がある。本研究では、この解析手法とガス密度分布測定手法を考案し、実際にJ-PARCビーム測定に適用してビーム分布を再構成することに成功した。開発したモニタは真空の技術を応用しており、本学会での発表を通した真空の専門家との議論により、開発したモニタのさらなる高度化を目指す。
山田 逸平; 和田 元*; 神谷 潤一郎; 金正 倫計
no journal, ,
大強度陽子加速器のさらなる安定化や大強度化に向けて、シート状に形成したガスとビームの相互作用によって生じる光子を用いた非破壊型プロファイルモニタの開発を行っている。生成する光子の密度空間分布はビームプロファイルの情報を含むため、光子分布を写真撮影により画像として検出することで、ビームプロファイル測定が可能である。しかし、プロファイル情報はガスシートの密度分布や検出器の感度分布などの効果を受けて画像に変換されるため、得られる画像の輝度分布は直ちにプロファイルに一致するわけではない。そこでビームガス相互作用から画像構成までの過程を数式化することで画像とビームプロファイルを定量的に関係付け、プロファイル再構成手法を考案した。また、プロファイルから画像への変換を表す関数を測定する手法も併せて考案し、実測した。この実測結果と、3MeV・60mAの大強度水素負イオンビームのプロファイル測定結果を用いてプロファイル再構成を行い、実用化されている破壊型プロファイルモニタであるワイヤスキャナモニタで得られた結果と一致することを明らかにした。
山田 逸平; 和田 元*; 神谷 潤一郎; 金正 倫計
no journal, ,
大強度イオンビーム安定運転のためにはプロファイルの非破壊診断が必須であり、世界的にモニタの研究開発が進められている。我々はシート状に形成したガスをビームライン上に導入し、ビームガス相互作用で生成した光子の密度分布からビームプロファイルを得る方式のモニタを開発している。このようなガス導入方式のモニタを実用化する上で課題となるのが、ビームプロファイルの解析手法が確立されていない点とガス導入によるビームへの影響が懸念される点である。本研究では開発したモニタのプロファイル測定原理を定式化することで解析手法を考案し、その有効性を実証した。またガス導入により、ビーム電流値が減少すること、およびビームエミッタンスが減少することを明らかにした。
山田 逸平; 神谷 潤一郎
no journal, ,
大強度陽子加速器を安定に運転するためには、ビームとモニタの直接的な接触が無い非破壊型モニタを用いたビームの常時監視が重要である。我々はシート状に形成したガスとビームの相互作用で生じる光子を利用して、非破壊でビームの二次元プロファイルを測定するモニタを開発している。ガスシートは自由分子流領域における希薄気体力学に基づいて形成する。つまり、粒子間衝突を無視して、流路壁面での反射過程のみを考慮した計算によりガスシート生成機を設計している。しかし、実際に開発したガスシート生成機に対する性能評価試験により、一般的な見積計算(クヌーセンのコンダクタンス計算式)により予想される無衝突近似可能な上限圧力より1-2桁低い圧力で衝突の効果が現れる結果が得られた。高性能なビームプロファイルモニタを開発するためには、薄く高密度なガスシートを形成する必要があるが、衝突の効果が現れるとガスシートは厚く低密度なものとなる。そこで我々は、分子間衝突がガスシート形成にどのように影響を与えるかについて検証するために、粒子間衝突を考慮したモンテカルロ直接計算(DSMC)コードを開発した。そのコードを用いた計算の結果、一般的な見積もり計算には含まれない効果として、流路長と流路厚み(直径)の比が大きいほどより低い圧力で衝突の効果が現れることを明らかにした。
山田 逸平
no journal, ,
大強度イオンビームの断面形状を非破壊で計測するために、ビームガス相互作用により生じる光子を用いたモニタの開発を行っている。ビームに作用させるガスとして、シート状に形成したガスをビームラインに導入することで、周辺の真空に大きな影響を与えることなく局所的にガス密度を増加させ、かつビームの二次元断面の分布を得られるようなモニタとした。開発したモニタをJ-PARCのRFQテストスタンドに導入し、大強度ビーム計測試験を行った結果、ガスシート分布を考慮して得られたデータを解析することで、従来型モニタで得られた結果と一致するプロファイルを得た。またこの試験により、今後のさらなる高精度計測に向けた課題が明確となった。
山田 逸平; 神谷 潤一郎; 仲野谷 孝充; 黒澤 俊太*; 柳橋 享*; 志賀 隆史; 和田 薫*; 割貝 敬一
no journal, ,
大強度陽子加速器施設J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、大電流かつ速い繰り返しにより、1MWの大強度ビーム出力を実現している。大強度加速器の安定な運転にはビームライン内を超高真空に維持することが重要であり、J-PARC RCSでは1MW出力を実現するために、ターボ分子ポンプとドライスクロールポンプの組み合わせの真空排気系を主として用いている。しかし、現在のJ-PARC RCSの真空システムにおいては、構造的に摺動部を持つドライスクロールポンプはメンテナンス頻度が高い、今後の更なる大強度化を考慮すると現在の真空圧力では不十分である、という課題が残されている。そこでドライスクロールポンプの代わりに、摺動部を持たないルーツポンプへの置き換えを進めており、2年以上メンテナンスフリーで運転できる実績を得た。また、ビームラインの極高真空化を目指して非蒸発型ゲッターポンプの増設を進めており、ターボ分子ポンプと合わせて利用することで極高真空化の実現可能性を得た。
小畠 雅明; 福田 竜生; 谷田 肇; 神谷 潤一郎; 諸橋 裕子; 山田 逸平; 阿部 一英
no journal, ,
J-PARCの神谷らはこれまでの研究で、チタンのゲッター性能を利用して、チタン製真空容器内側の表面酸化膜除去と非蒸発型ゲッター(Non-evaporable getter: NEG)合金をコーティングすることで、容器そのものに高性能なゲッターポンプ作用を持たせる技術を開発した。本技術で開発したNEGポンプは、大気暴露と活性化を繰り返して到達圧力の推移を測定した結果、表面改質した真空容器は通常に比べ、高い真空到達度を得られることと、繰り返しの大気暴露と活性化を行っても高いポンプ性能が維持できることを示した。しかし、母材となるチタンが高度なゲッター性能にどのように寄与しているかというメカニズム解明には至っていない。そこで、本研究では、Ti母材がNEG性能に与える効果を明らかにするために、BL22XUのHAXPESを用いて、NEG/Tiの界面分析を実施した。その場観察HAXPESにおいて、活性化過程を観察することに成功した。
神谷 潤一郎; 阿部 一英; 小畠 雅明; 津田 泰孝; 福田 竜生; 藤森 伸一; 諸橋 裕子; 山田 逸平; 吉越 章隆
no journal, ,
NEGコーティングはビームダクト内面にゲッター機能を持たせることで、ビームラインの真空性能を向上し、加速器の安定運転に直結する技術である。NEGコーティングの活性化と劣化のメカニズムをより詳細に理解するため、X線光電子分光(XPS)による測定を行った。NEGコーティングした基板サンプルをSPring-8のBL23SUの表面科学ステーションに設置し、試料温度を250Cに昇温しながら試料表面のXPS測定を行い、活性化プロセスをin-situで観測した。その後、試料温度を250Cに保ったまま、酸素ガスを導入し、加速劣化試験に相当するXPS測定を行った。さらに、アルゴンエッチングによる試料の深さ方向の成分分析を実施した。その結果、表面Zrは活性化の初期段階でTi酸化物やV酸化物から酸素を取り込み、連続的な温度上昇でZr酸化物の酸素がバルクに拡散することがわかった。またコーティング中の濃縮された酸素は、主にZr酸化物、続いてTi酸化物の形で存在することが明らかとなった。このことは、今後のNEGコーティングの性能高度化につながる新しい事実である。
地村 幹; 山田 逸平; 小島 邦洸
no journal, ,
大強度イオン加速器の初段部のようにビームの密度が高く、ビームが遅い領域においては、ビーム自身の作る電場から短距離で大きな力積を受け取る。この電場によってエミッタンスと呼ばれるビームの位置および運動方向の分散が増大するため、加速器のビーム透過率の悪化や放射化を増大させる要因となる。そこで、大強度イオン加速器の初段部では、ビームがダクト内のガスと衝突し、ガスを電離することで発生した正イオンがビーム作る電場を自発的に中和する現象である空間電荷中和が積極的に利用されている。一方、大強度イオン線形加速器J-PARCリニアックにおいては、シート状のガスをビーム軌道上に導入し、ビームとガスの相互作用によってビーム分布を測定することを目的としたガスシートモニタが利用されている。J-PARCリニアックの3MeV中間エネルギービーム輸送路(MEBT1)では、通常、空間電荷中和を利用していないが、ガスシートを導入することで空間電荷中和とみられるエミッタンスの改善が報告されている。本報告では、MEBT1をモデルとした数値計算によって、その特性の評価を実施することで空間電荷中和の過程を明らかにし、その結果を元に計算モデルを提案する。