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錦織 良; 小島 有志; 花田 磨砂也; 柏木 美恵子; 渡邊 和弘; 梅田 尚孝; 戸張 博之; 吉田 雅史; 市川 雅浩; 平塚 淳一; et al.
Plasma and Fusion Research (Internet), 11, p.2401014_1 - 2401014_4, 2016/03
ITERやJT-60SAにおける中性粒子入射装置では、多孔多段(MAMuG)加速器による高エネルギー、大電流ビームの安定供給が要求されている。これらの加速器の設計に向けては、真空放電で決まる耐電圧の予測が重大な課題となっており、原子力機構では、MAMuG加速器をの耐電圧を物理理解に基づいて設計するために、真空放電の物理過程の研究を実施している。これまでの研究成果から、この真空放電は電界放出電子による暗電流が起点となっていると考えている。しかし、F-N理論によれば、暗電流は電界増倍係数によって決まるが、これまでは実験的にしか求めることができなかった。そこで、今回、の決定機構を調べるために、MAMuG加速器の大面積電極の電界の異なる3つの領域で独立に暗電流を測定した。その結果、は電極のコンディショニングと共に低下するが、絶縁破壊電界Eによって表される実効電界Eが一定で1MV/mmであることが分かった。これは、小型電極から求めた実効電界Eよりも1桁大きい値であり、面積の依存性を示唆していると考えている。このEの値を利用することにより、絶縁破壊電界時におけるを求めることができ、暗電流の評価と耐電圧の予測を関連付けることができると考えている。
小島 有志; 花田 磨砂也; 戸張 博之; 錦織 良; 平塚 淳一; 柏木 美恵子; 梅田 尚孝; 吉田 雅史; 市川 雅浩; 渡邊 和弘; et al.
Review of Scientific Instruments, 87(2), p.02B304_1 - 02B304_5, 2016/02
被引用回数:11 パーセンタイル:49.05(Instruments & Instrumentation)原子力機構では、ITERやJT-60SAで利用する中性粒子入射装置の実現に向けて、大面積多孔多段負イオン加速器を開発中であり、1MVや500kVの直流超高電圧を真空中で安定して保持できる耐電圧性能が要求されている。そこで、真空放電の物理理解に基づく耐電圧設計手法を確立することを目的として、今回、これまでの耐電圧試験結果に基づいて、多段の入れ子構造である加速電極支持構造の形状を、耐電圧や境界条件から最適化する手法を開発した。本手法では、ビーム光学から要求される電圧及びギャップ長から、電極平板部の面積、つまり同軸の入れ子構造となる円筒型電極の半径を決定することにより、耐電圧を満たすための同軸間ギャップ長を求める。これにより一段分の対向する陰極・陽極の電極構造が決まるため、本手法を段数分くり返すことにより、耐電圧を満たした加速電極支持構造を境界条件の中で一意に設計することが可能となる。得られた加速器の耐電圧を予測するために、未解明であった多段による耐電圧の劣化を、5段電極を用いて実験的に調べた結果、5段の耐電圧は1段耐電圧の段数倍よりも25%程度耐電圧が減少し、段数の増加による影響が見られた。この効果を考慮した結果、本手法によるJT-60用負イオン加速器の耐電圧解析が10%以下の誤差の範囲で一致し、ITERやJT-60SAの耐電圧設計の精度を向上することができた。
花田 磨砂也; 小島 有志; 戸張 博之; 錦織 良; 平塚 淳一; 柏木 美恵子; 梅田 尚孝; 吉田 雅史; 市川 雅浩; 渡邊 和弘; et al.
Review of Scientific Instruments, 87(2), p.02B322_1 - 02B322_4, 2016/02
被引用回数:11 パーセンタイル:49.05(Instruments & Instrumentation)本論文は原子力機構(JAEA)で開発中の負イオンビームに関する最新結果を報告するものである。JAEAでは、国際熱核融合実験炉(ITER)およびJT-60SAの実現に向けて、それぞれ1MeV, 40A,3600秒および22A, 500keV, 100秒の重水素負イオンビームの開発を行っている。これらの負イオンビームを開発するために、ITERやJT-60SAの設計と同様、多段静電加速器とセシウム添加型負イオン源を開発している。静電加速器の開発においては、長時間加速をした開発を指向しており、その課題である加速電極の熱負荷を、イオンビームの軌道を制御することにより、許容値以下に低減した。その結果、負イオンの加速時間を、従来の1秒未満から試験装置の電源の限界である60秒まで進展させた。また、セシウム添加型負イオン源の開発においては、大電流負イオンビームの長パルス生成を指向しており、これまでに15A、100秒のビーム生成を達成している。今後、長パルス生成時に顕在化した、イオン源内のアーク放電プラズマの放電破壊(アーキング)の問題を解決し、JT-60SAで要求される22Aを超える電流値で100秒以上の負イオンビーム生成を目指す。
小島 有志; 花田 磨砂也; 井上 多加志; NB加熱開発グループ; 山納 康*; 小林 信一*
Journal of the Vacuum Society of Japan, 56(12), p.502 - 506, 2013/12
JT-60NNBIの負イオン源は加速ギャップを調整することにより加速器の低耐電圧を克服し、500keVビームを3Aまで生成することに成功した。しかし、JT-60SAに利用する次期負イオン源では、ビーム光学と耐電圧の両方に最適な加速ギャップ調設計するため、ギャップ長と耐電圧の関係を決定する隠れた物理パラメーターを理解する必要がある。その一つとして、実機負イオン源の大面積多孔電極及び小型電極を用いて、平坦部の3倍近い局所高電界が生成している加速電極孔の数の-0.15乗に従って耐電圧性能が変化することを明らかにした。さらに、電極孔周りのエッジを平滑化することにより、局所高電界分布を緩和し、耐電圧性能が改善できることを明らかにした。これらの結果、真空長ギャップ放電に支配されている真空耐電圧に対する電界分布の影響という新たな知見を得て、JT-60SA用負イオン源加速電極の設計データを取得することに成功した。
花田 磨砂也; 小島 有志; JT-60NBI開発グループ; 山納 康*; 小林 信一*
電気学会研究会資料,放電研究会(ED-12-35), 6 Pages, 2012/03
核融合炉用の大型負イオン加速器は、大電流負イオンビームを収束性良く高エネルギーへ加速するために、1mを超える領域に1000個以上の孔を配した大面積多孔電極及び直径1.8mの強化繊維プラスチック(FRP)絶縁管を有しており、従産の産業界や加速器分野で使用されている加速器と大きく異なる。本研究においては、核融合用の大型負イオン源の真空放電現象及び世界最大の大きさを有するJT-60SA用大型負イオン源に向けた耐電圧改善のための開発研究について報告する。
小島 有志; 花田 磨砂也; Hilmi, A.*; 遥山 紘央*; 山納 康*; 小林 信一*
電気学会研究会資料,放電研究会(ED-12-36), 5 Pages, 2012/03
JT-60N NBIの負イオン源は加速ギャップを調整することにより加速器の低耐電圧を克服し、500keVビームを3Aまで生成することに成功した。しかし、JT-60SAに利用する次期負イオン源では、ビーム光学と耐電圧の両方に最適な加速ギャップ調設計するため、ギャップ長と耐電圧の関係を決定する隠れた物理パラメーターを理解する必要がある。その一つとして、実機負イオン源の大面積多孔電極及び小型電極を用いて、平坦部の3倍近い局所高電界が生成している加速電極孔の数の-0.15乗に従って耐電圧性能が変化することを明らかにした。さらに、電極孔周りのエッジを平滑化することにより、局所高電界分布を緩和し、耐電圧性能が改善できることを明らかにした。これらの結果、真空長ギャップ放電に支配されている真空耐電圧に対する電界分布の影響という新たな知見を得て、JT-60SA用負イオン源加速電極の設計データを取得することに成功した。
小島 有志; 花田 磨砂也; Hilmi, A.*; 井上 多加志; 渡邊 和弘; 谷口 正樹; 柏木 美恵子; 梅田 尚孝; 戸張 博之; 小林 信一*; et al.
Review of Scientific Instruments, 83(2), p.02B117_1 - 02B117_5, 2012/02
被引用回数:17 パーセンタイル:60.55(Instruments & Instrumentation)JT-60NNBIの負イオン源は長年の課題であった加速器の低耐電圧を克服し、500keVビームを3Aまで生成することに成功している。その結果を踏まえ、JT-60SAに利用する次期負イオン源では、耐電圧データベースに基づいて負イオン源の設計を行う。そこで、実機負イオン源を用いて耐電圧試験を行い、平坦部の3倍近い局所高電界が生成している加速電極孔の数と直径1500mmの電極面積がともに、真空耐電圧を劣化させ得る原因であることを明らかにした。それらはそれぞれ、孔数の-0.15乗、面積の-0.125乗に従い耐電圧が低下するが得られ、実機負イオン源の耐電圧係数は24と孔数で制限された耐電圧であることを明らかにした。また、加速電極間の距離を広げすぎると、電極支持枠角部の電界によって決まる値に耐電圧が制限されることが明らかになった。これらの結果、加速電極構造の配位によって、異なる原因で耐電圧が制限されるという新たな知見を得て、JT-60SA用負イオン源の加速電極を設計するために必要なデータが取得できた。
小島 有志; 花田 磨砂也; 田中 豊*; 谷口 正樹; 柏木 美恵子; 井上 多加志; 梅田 尚孝; 渡邊 和弘; 戸張 博之; 小林 信一*; et al.
AIP Conference Proceedings 1390, p.466 - 475, 2011/09
被引用回数:2 パーセンタイル:53.22(Physics, Atomic, Molecular & Chemical)JT-60N-NBIの負イオン源は今まで耐電圧性能が400keVと設計値の500keVよりも低く、入射パワーが制限されているのが問題であった。そこで、実機負イオン源や小型電極を用いた真空耐電圧試験を行い、耐電圧低下の原因を調べた。その結果、従来の面積依存性だけでなく、電極孔や支持枠角部に代表される局所高電界の領域が広がることにより、耐電圧が低下することが明らかとなった。そこで、既存の加速器体系を大幅に改造することなく、この局所高電界を低下させて耐電圧を改善するために、電極間隔を広げて耐電圧試験を行った。しかし、最短距離が伸長されないために耐電圧の改善が飽和する傾向が観測された。そこで、最短距離の伸長を制限していたビーム放射シールドの再設計を行った。その際、ビームからの放射光がFRPに照射されるのを妨げる機能を保ちつつ、FRP表面電界と陽極電界を低減させて最適化する必要があった。そして、既存の体系の中でビーム放射シールドを最適化するとともに、電極間隔を調整した結果、負イオン源の耐電圧は500kV以上に改善した。この改良した負イオン源を利用して、500keVの負イオンビームを3Aまで加速することに成功した。
小島 有志; 花田 磨砂也; 田中 豊*; 河合 視己人*; 秋野 昇; 椛澤 稔; 小又 将夫; 藻垣 和彦; 薄井 勝富; 佐々木 駿一; et al.
Nuclear Fusion, 51(8), p.083049_1 - 083049_8, 2011/08
被引用回数:51 パーセンタイル:88.4(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60NNBIの負イオン源は今まで耐電圧性能が低く、入射パワーが制限されていることが大きな問題であった。そこで、負イオン源内の真空絶縁距離を調整し、単段の要求性能を超える各段200kVを保持することに成功した。この結果を踏まえて負イオン源を改良し、従来よりも短いコンディショニング時間で500kVの印加に成功し、設計値である490kVを加速電源の限界である40秒間絶縁破壊することなく保持することにも成功した。そして、1/5のビーム引き出し領域からビーム加速試験を実施し、従来410keVが最高であったビームエネルギーを最高507keVまで上昇させることに成功した。また、486keVのビームでの負イオン電流値は18m離れたカロリーメーターで2.8A(84A/m)が得られた。通常、過度のギャップ長延長はビーム光学の劣化を引き起こすが、今回のギャップ長ではビーム光学の大きな劣化がないことを計算及び実験で確認した。これらの結果はJT-60SAやITERのNBIにおける耐電圧設計に大きく貢献するものである。
小島 有志; 花田 磨砂也; 田中 豊*; 河合 視己人*; 秋野 昇; 椛澤 稔; 小又 将夫; 藻垣 和彦; 薄井 勝富; 佐々木 駿一; et al.
Proceedings of 23rd IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2010) (CD-ROM), 8 Pages, 2011/03
JT-60N-NBIの負イオン源は今まで耐電圧性能が低く、入射パワーが制限されているのが問題であった。そこで、加速電極の間隔を拡げて、負イオン源内の最短の真空絶縁距離である支持枠角部の電界集中を低減した結果、単段の要求性能を超える200kVを保持することに成功し、設計指標となっていた大型の負イオン源では小型電極よりも6から7倍程度長い真空絶縁距離が必要であることが明らかになった。その理由として電極の面積が100倍異なることだけでなく、1080個もある電極孔や支持枠等の局所電界の電界分布が影響していることが小型電極の実験結果から予測される。そして、1/5のビーム引き出し領域からビーム加速試験を実施した結果、従来420keVが最高であったビームエネルギーを最高507keVまで上昇させることに成功した。ギャップ長を増加させたことによりビーム光学が劣化して電極熱負荷が増大することが懸念されたが、今回のギャップ長の範囲ではビーム光学の劣化がないことを確認した。これらの結果はJT-60SAやITERのNBIにおける耐電圧設計に大きく貢献するものである。
田中 豊; 池田 佳隆; 花田 磨砂也; 小林 薫; 鎌田 正輝; 木崎 雅志; 秋野 昇; 山納 康*; 小林 信一*; Grisham, L. R.*
IEEE Transactions on Plasma Science, 37(8), p.1495 - 1498, 2009/08
被引用回数:1 パーセンタイル:4.27(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60負イオン源の耐電圧は、FRP絶縁体の真空沿面放電により制限されていることが示唆されており、耐電圧改善には真空沿面放電の理解が必要である。真空沿面放電では、電子エネルギーが重要なパラメータであるものの、計測が困難なために、電子のエネルギーはほとんど実測されていなかった。そこで、本研究では、FRP沿面から放射された制動放射X線のエネルギー分布を測定し、それから電子のエネルギーを評価し、電子の挙動を明らかにした。FRP沿面からのX線のエネルギースペクトルを、3か所の視線において計測し、電極間放電のスペクトルと比較した。アノード付近のX線スペクトルは、電極間の場合と似ており、単一エネルギー電子によるものであることが判明した。カソード付近のX線スペクトルは、アノード付近と比べ、ピーク位置が低エネルギー側にシフトしていた。これは、カソード近傍における低エネルギー電子の生成を示すものである。
小林 薫; 花田 磨砂也; 秋野 昇; 佐々木 駿一; 池田 佳隆; 高橋 昌宏*; 山納 康*; 小林 信一*; Grisham, L. R.*
IEEE Transactions on Dielectrics and Electrical Insulation, 16(3), p.871 - 875, 2009/06
被引用回数:1 パーセンタイル:12.1(Engineering, Electrical & Electronic)JT-60U負イオン源の耐電圧研究の一環として、3段静電加速器(500kV, 22A)の絶縁破壊位置について実験的に検討した。この加速器の特徴は、大型加速電極(面積: 0.28m)と大型FRP絶縁体(直径: 1.8m)を用いている点にある。各加速段に高電圧を印加して耐電圧を調べた。その結果、すべての加速段で130kVの耐電圧であり、各加速段で耐電圧特性に有意な差は見られなかった。そこで、絶縁破壊位置が加速電極かFRP絶縁体のどちらであるかを絞り込むために、加速器から加速電極を取り外してFRP絶縁体のみにして高電圧を印加した。FRP絶縁体の耐電圧は、すべての加速段で設計値である170kVに到達した。これらの結果より、加速器の絶縁破壊は、大型加速電極のギャップ間でおもに発生していることが明らかになった。さらに、非均一電場や多段加速電極が耐電圧に及ぼす影響についても検討した。
池田 佳隆; 花田 磨砂也; 鎌田 正輝; 小林 薫; 梅田 尚孝; 秋野 昇; 海老沢 昇; 井上 多加志; 本田 敦; 河合 視己人; et al.
IEEE Transactions on Plasma Science, 36(4), p.1519 - 1529, 2008/08
被引用回数:12 パーセンタイル:41.25(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60SA用負イオンNBI加熱装置(N-NBI)は、加速エネルギー500keV, 10MW, 100秒入射の性能が求められている。JT-60SA用N-NBIの実現には、3つの課題解決が必要である。1つはイオン源の耐電圧の改善である。最近のイオン源の耐電圧試験から、大型加速管ではその電極面積の大型化に伴い長時間のコンディショニングと電界強度の設計裕度が必要であることが明らかとなった。2つ目は、電極及びビームラインの熱負荷の低減である。最近の研究によりビーム同士の空間電荷効果でビーム軌道が曲げられ電極に衝突し、熱負荷を増加していることが明らかとなった。これは空間電荷効果を考慮した3次元ビーム軌道計算に基づき電極構造を補正することで改善できる。3つ目は、100秒間の安定な負イオン生成である。このため負イオン生成に不可欠なプラズマ電極の温度制御方式を提案した。これらのR&Dを行い、JT-60SA用N-NBIのイオン源は2015年から改造を予定している。
山納 康*; 高橋 昌宏*; 小林 信一*; 花田 磨砂也; 池田 佳隆
Review of Scientific Instruments, 79(2), p.02A524_1 - 02A524_4, 2008/02
被引用回数:4 パーセンタイル:23.76(Instruments & Instrumentation)JT-60Uの500keV負イオンNBIでは半径1.8m,長さ0.315mのFRP絶遠管を3個用いた3段加速構造を有している。これまでの結果、ビーム引出しがない場合でも耐電圧は460kV以下であり、その原因の1つとして、FRPの沿面放電が考えられる。本研究は、FRPの抵抗,2次電子放出率,カソードルミネッセンス,電子脱離ガスに関する測定結果を報告する。
山納 康*; 小林 信一*; 松川 誠
Proceedings of 20th International Symposium on Discharges and Electrical Insulation in Vacuum, p.419 - 422, 2002/07
核融合研究では、大型超伝導コイルの保護回路に適用可能な大電流スイッティング技術が必要不可欠である。真空遮断器はその有力な候補の一つであるが、電極部のコンタクタ温度が最大通電電流値の制限要因となっており、これをいかに抑制するかが大電流化の鍵である。本論文は、異なるクロムと銅の成分比を持つ材料を電極に採用した場合や、ヒートパイプの有無による温度上昇の違いなどについてのモックアップ試験結果をまとめたものである。試験により明らかになった主なものは、(1)コンタクタの接触抵抗はクロム銅比及び面圧により変化する,(2)通電電流によっても接触抵抗は非線形に変化するが、モックアップでは2kA程度で飽和が見られる,(3)電極ロッドの熱伝達率の違いがコンタクタの最高温度に影響する、などである。
小林 信一*; 山納 康*; 松川 誠
電気学会研究会資料, p.79 - 84, 2001/11
核融合装置電源には大電流の遮断器が必要で、真空遮断器はその有力な候補の1つである。真空遮断器は、電流を遮断する接点部分及び通電用導体が真空中に置かれるため、対流による放熱効果が期待できない。このため、大電流通電のためには、通電時の発熱を抑えるとともに、その発熱をいかに効率的に放熱させるかが重要な技術的課題となる。そこで、大電流通電を可能とする電極材料開発のために、組立式試験用真空遮断器を準備し、熱的特性を測定した。試験に供した電極の接点材料は、真空遮断器に広く使用されているクロム銅とし、クロムと銅の比が、100対0(純銅),75対25,50対50,及び25対75の4種類を試験した。その結果、純銅の場合が最も損失が低いこと,接触抵抗が発熱を決める主たる要因であることがわかった。
小林 薫; 花田 磨砂也; 鎌田 正輝; 秋野 昇; 佐々木 駿一; 池田 佳隆; 高橋 昌宏*; 山納 康*; 小林 信一*
no journal, ,
JT-60U負イオン中性粒子入射装置(N-NBI)で用いられている大型FRP絶縁管(内径1.8m)を有する3段静電負イオン加速器において、絶縁破壊位置の特定を目的とする無負荷真空耐電圧試験を実施した。コンディショニングの初期においては、FRP絶縁管の沿面放電よりも、加速電極及びその支持枠で絶縁破壊がおもに発生していることを明らかにした。さらに加速電極での絶縁破壊位置を詳細化するため、加速電極の背後にアクリル板を配置し、絶縁破壊時に発生した電子が加速電極の孔を通り抜けてアクリル板に衝突したときの発光(蛍光)位置を測定した。その結果、絶縁破壊位置が1か所に固定しておらず、放電破壊位置を変えながらコンディショニングが進むことが明らかとなった。このことは大面積電極において、すべての電極面をコンディショニングするためには多くの時間を有することを示唆しており、今後のイオン源の改造の指針となる。
山納 康*; 明石 圭祐*; 小林 信一*; 田中 豊; 小林 薫; 秋野 昇; 花田 磨砂也; 池田 佳隆
no journal, ,
核融合分野で利用されているイオン源では、金属板に冷却管を銀ロー付けした水冷式の電極が一般的に利用されている。これまで、銀ローは融点が低いために真空耐電圧が低いと考えられていたが、実際に銀ロー材の真空中の絶縁破壊特性や電界電子放出特性を実測した報告はほとんどない。そこで、真空絶縁破壊試験用の銀ロー電極を製作し、試験を行う。製作した電極は直径25mmであり、先端曲率半径がR30mmであり、電極中心部の直径7mmの領域に厚さ1.5mmの銀ロー(組成:銀45%,銅15%,亜鉛16%,カドミウム24%)を流し込んだ構造を有している。試験では、同電極に無酸素銅製電極を対向させて、高電圧を印加する。試験に先立ち、真空耐電圧特性に大きな影響を及ぼす電極表面状態をXPSで測定した。無酸素銅電極の場合、銅スペクトル強度は酸素や炭素に対して十分に大きく、銅スペクトルのピークが明瞭に観察された。しかしながら、銀ロー電極の場合、亜鉛やカドミウム等のスペクトル強度は炭素や酸素に対して小さく明瞭なピークが観察されていない。加えて、銀ローの主成分である銀のピークは確認できなかった。これらの結果から、銀ロー電極は表面が炭素系汚染物質や酸化膜で覆われている可能性が高いと推察できる。試験では、真空絶縁破壊電圧に対する電極表面の酸化膜の影響についても測定する予定である。
小島 有志; 田中 豊*; 中野 修輔*; 清水 達夫; 秋野 昇; 花田 磨砂也; 山納 康*; 小林 信一*
no journal, ,
JT-60NNBIに利用する負イオン源はギャップ長を拡大して局所電界を低減することにより、ガスを導入しない無負荷耐電圧で設計値を超える500kVを達成した。しかしながら、JT-60SA用負イオン源を設計するうえでは、従来の研究において物理機構が十分に解明されていない真空長ギャップ領域の耐電圧の研究を進め、耐電圧設計基準を明確にする必要がある。従来耐電圧試験を行った小型ロゴスキー電極と負イオン源の大型加速電極は面積が100倍程度異なるものの、ともに最短ギャップ長の0.5乗に比例して耐電圧が増加する。しかし、ギャップ長に対する比例係数は2.5倍程度異なる。これらの電極はおもに面積と電界分布の点で異なるが、面積に関しては過去の研究による経験則だけでは説明ができない。そこで、電界分布が真空耐電圧に与える影響を調べるために、小型電極に加速電極孔を模擬した穴を設け、局所高電界を発生させた実験を行った。その結果、穴を一つ設けても耐電圧は劣化しないが、穴数を増やすとともに耐電圧が低下することがわかった。これは、真空耐電圧が電界分布の最大値ではなく、局所電界が発生している面積に依存していることを示しており、真空耐電圧に関する新たな知見を得た。
小島 有志; 清水 達夫; 秋野 昇; 花田 磨砂也; 山納 康*; 小林 信一*; JT-60NBI開発グループ
no journal, ,
JT-60NNBIの負イオン源は長年の課題であった加速器の低耐電圧を克服し、500keVビームを3Aまで生成することに成功している。その結果を踏まえ、JT-60SAに利用する次期負イオン源では、耐電圧データベースに基づいて負イオン源の設計を行う必要がある。これまで、電極間の放電に対して、局所電界と面積の効果に着目したデータベースを蓄積してきた。今回は、FRP絶縁管からの放出ガスが電極に吸着して、耐電圧が劣化する可能性がある事から、安川電機により開発された、ガス放出速度が従来のエポキシよりも1/10程度小さい低放出ガスエポキシの耐電圧試験を行った。その結果、従来のFRPよりも電圧コンディショニング中の絶縁破壊電圧の偏差が小さいことから、安定に電圧を保持できるとともに、耐電圧性能も1.6倍高いことがわかった。
明石 圭祐; 小島 有志; 吉田 雅史; 花田 磨砂也; 山納 康*
no journal, ,
局所高電界を有する大面積多孔電極の耐電圧改善に向けては、絶縁破壊が生じる機構を明らかにして、適切な改善策を施すことが必要である。しかし、局所高電界と絶縁破壊の因果関係は未解明であり、その物理的理解が求められている。そこで、今回、絶縁破壊に至るモデルとして、局所高電界による電界放出電子電流が絶縁破壊のトリガーとなると考え、局所暗電流密度と絶縁破壊確率の関係を調べた。その結果、カソードルミネッセンス法を用いて実測した暗電流密度と共に絶縁破壊確率が上昇し、0.1mA/mの場合に10秒間の内の絶縁破壊確率が50%となることが分かった。これにより、局所高電界領域の絶縁破壊に対して新たな知見が得られた。