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林 香苗; 竹崎 淳一; 岡田 紀夫; 桜田 一郎*
J.Appl.Polym.Sci., 36, p.295 - 308, 1988/00
被引用回数:6 パーセンタイル:40.82(Polymer Science)メタクリル酸メチルおよびアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチルの放射線重合を線ならびに電子線加速器を用いて10-10rad/secの広い線量率範囲にわたって行った。メタクリル酸メチル、アクリル酸n-ブチルに対しては上記の全線量率領域にわたってラジカル重合がおこり、重合初期段階では定常状態の動力学が成立することがわかった。アクリル酸メチル、アクリル酸エチルに対しては、線量率の増大による重合速度の増大は、1/2乗則から予想されるよりずっと小さく、線量率の増大による分子量の減少よりもずっと小さいことが示された。ここで研究したモノマーすべてについて、ゲル効果による重合速度の自動加速現象は、線量率の増大により明瞭でなくなった。これらのモノマーから得られたポリマーはすべて二つのピークをもつ分子量分布をもっていることが明らかとなった。
岡田 紀夫*; 浅野 努*; 竹崎 淳一; 畑田 元義; 越智 光一*
Proc. Conf. on Radiation Curing Asia 88, 6 Pages, 1988/00
ビスフェノールA型エポキシオリゴマーに光カチオン反応開始剤としてトリフェニルスルホニウム塩を添付し、これにテトラヒドロフラン(THF)を混合してV. d. G. 加速器よりの電子線を照射すると、THFが共重合した硬化生成物が得られることが見いだされた。アセトン抽出によるゲル含有率の測定より少量のTHFを加えることによりゲル化が促進されることが分かった。硬化物のIR測定によりTHFが共重合していることが確認された。
岡田 紀夫*; 浅野 努*; 畑田 元義; 竹崎 淳一; 越智 光一*
高分子論文集, 44(10), p.761 - 770, 1987/00
被引用回数:1 パーセンタイル:10.38(Polymer Science)ビスフェノールA型エポキシオリゴマーの電子線硬化を、オニウム塩を開始剤として行った。硬化反応に及ぼすオニウム塩の種類、濃度、オリゴマーの分子の影響が検討された。
石垣 功; 須郷 高信; 高山 隆*; 岡田 紀夫*; 岡本 次郎; 町 末男
J.Appl.Polym.Sci., 27, p.1043 - 1051, 1982/00
被引用回数:90 パーセンタイル:96.13(Polymer Science)ポリエチレンフィルムへのアクリル酸のグラフト重合について、照射雰囲気、照射後の放置温度時間、モル塩および二塩化エチレンの添加とグラフト挙動の関係を検討した。照射を空気中で行った場合、グラフト速度と最終到達グラフト率が、窒素中照射よりも高くなることが認められたが、空気中照射ではポリエチレンの主鎖切断が生じモノマーの拡散が容易になるためと推察した。このことは、ゲル分率およびキシレンでの膨潤度測定によって示唆された。照射フィルムの放置時間依存性では、主として捕捉ラジカルの減衰からグラフト挙動を説明し得ることを明らかにした。モノマー溶液にモール塩を添加することにより、グラフト速度は若干低下するが、モノマーの単独重合が完全に阻止されること、また二塩化エチレン添加によりグラフト速度が高くなることなどを明らかにした。
石垣 功; 須郷 高信; 妹尾 敬次*; 岡田 紀夫*; 岡本 次郎; 町 末男
J.Appl.Polym.Sci., 27, p.1033 - 1041, 1982/00
被引用回数:118 パーセンタイル:97.59(Polymer Science)低密度および高密度ポリエチレン(LDPE,HDPE)へのアクリル酸のグラフト重合について、電子線前照射線量、モノマー濃度、反応温度および膜厚の影響を検討した。2~50Mradの線量をLDPE,HDPEに照射し、次いで30~100wt%のアクリル酸(AAc)水溶液中に、25~40Cで10分~5時間浸漬しグラフとさせた。HDPEは、LDPEにくらべてグラフト速度は小さいが最終到達グラフト率は高くなった。何れの場合も照射線量とともにグラフト速度及び最終到達グラフト率は高くなるが、高線量で飽和現象が認められた。モノマー濃度依存性では、60wt%でグラフト速度が最高値を示し、グラフト膜のモノマー溶液中での膨潤挙動と一致することが判った。温度及び膜厚依存性からも、本系グラフト反応が、AAcのPEマトリックス中への拡散速度に強く依存していることが明らかになった。
石垣 功; 福崎 祐延*; 岡田 利美*; 岡田 紀夫; 岡本 次郎; 町 末男
J.Appl.Polym.Sci., 26, p.1585 - 1594, 1981/00
被引用回数:6 パーセンタイル:40.98(Polymer Science)N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートの塩化メチル塩(DMAEM・MC)とアクリルアミド(AAm)の放射線共重合によるカチオン系凝集剤の合成において、製造プロセスの簡素化を目的として高モノマー濃度での共重合を検討した。 上記両モノマーは固相で重合するが少量の水を添加することにより重合速度が著しく増加する。 しかし、高重合速度が得られるモノマー濃度の高い領域では、生成ポリマーが橋かけして、水不溶性となるため凝集剤としては使用できない。 生成ポリマーの橋かけを抑制するために種々の添加剤を検討した結果、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールなどの三級炭素に水素を有するアルコール類が極めて有効であることが判明した。 本系での橋かけはイミド化よりもむしろ3連鎖移動に起因していること、上記アルコール類添加下では、80%濃度での重合が可能であり生成ポリマーは乾燥工程を経ずに粉末化できることなどを明らかにした。
岡田 紀夫
塩ビとポリマー, 19(8), p.16 - 24, 1979/00
ポリ塩化ビニル繊維の耐熱安定性,親水性を向上する目的で放射線グラフト重合による改質を行なった。アクリル酸・二酸化エチレン・水の混合液にポリ塩化ビニル繊維を浸漬し、あるいは繊維に混合液を含浸させた状態で、線又は電子線を照射することによりアクリル酸をグラフト重合させることができる。この反応の速度は極めて大きく、加速器の電子線を用いれば、数秒間の照射で所要のグラフト率に達することができる。グラフト後、ナトリウム塩,カルシウム塩,アルミニウム塩などに転換することにより、親水性,熱安定性を付与できる。アクリル酸カルシウム20%グラフト繊維は300Cまで加熱しても溶断せず、熱収縮率は10%以内におさえることができた。このような処理によりポリ塩化ビニル繊維の難燃性は損われなかった。アクリル酸カルシウムの直接グラフト法,アクリルアミドをグラフト後、加水分解し、カルシウム塩に転換する方法と比較し、各方法の特長を述べた。
岡田 紀夫
高分子, 28(6), p.412 - 415, 1979/00
放射線重合反応に及ぼす水および線量率の影響を、スチレンの研究結果を例に解説した。スチレンはラジカル機構およびイオン機構で重合しうるモノマーである。従来、低線量率下ではスチレンを極度に乾燥しないと、重合は支配的にラジカル重合でおこり、高線量率下では、含水スチレンでもイオン重合がおこると考えられていた。広範囲に線量率、含水率を変えて行った実験の結果、開始ラジカルと開始イオンは共に線量率、含水率に無関係に一定数生成することラジカル重合が低線量率下で主役を演じるか、高線量率下でもラジカル重合がおこり、分子量が線量率と共に減少するので重量基準では減少すること、一方イオン重合物は、鎖長が線量率に無関係であるため、高線量率では後者が、優勢になることを説明した。イオン重合では水が停止反応に関与するので、重合速度、分子量はスチレン含水率の増加と共に減少することを述べた。
梶 加名子; 大倉 啓*; 岡田 紀夫
繊維学会誌, 35(2), p.80 - 89, 1979/00
ポリエチレンテレフタレート(ポリエステル)布を難燃化する目的でV.d.G.加速器あるいは変圧器整流型の加速器よりの電子線を用いて、ビニルフォスフォネートオリゴマーのグラフト重合を行なった。線量率は最高3.310rad/secであった。オリゴマーの所要量を布に含浸させ電子線を、照射すると、オリゴマーは重合架橋化し、布に含浸させ電子線を照射すると、オリゴマーは重合架橋化し、布に固着され、みかけのグラフト重合がおこる。オリゴマーのグラフト反応は比較的容易であり、オリゴマーの利用率は80%まで達した。グラフト布の耐火性は著しく改善され、極限酸素指数(LOI)は原布の18.5から、りん含有率12%でLOI=26まで上昇した。重量増加率10%(りん含有率2.2%)の布を着火させ次いで火災から除去すると直ちに消火した。即ち自己消火性であった。グラフト布は帯電防止性が付与され、熱安定性も塩素化ポリエステル布に比して遥かにすぐれていた。グラフトにより機械的性質は劣化せず風合いもすぐれていた。
梶 加名子; 岡田 紀夫
繊維学会誌, 34(7), p.331 - 335, 1978/07
ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)の布を塩素ガス中に置き、線を照射して得た塩素化試料の耐アルカリ性を検討した。種々の塩素含有率の布を炭酸ソーダ水溶液に浸漬、所定温度に加熱すると、多少とも重量損失が起こり、機械的性質は低下した。しかしながら、各種染料に対する染着性、水滴吸収速度より測定した親水性は、塩素化後のアルカリ処理によって著しく増大することが見出された。処理布を走査型電子顕微鏡で調べた。塩素化のみでは、繊維表面に変化は見られないが、アルカリ処理により、最大10の大きさの細孔が多数形成していることが認められた。染色性の改善、親水性の増加はアルカリ処理による細孔の形成によるものであり、この反応はポリエステル繊維の改質に応用できる。
梶 加名子; 岡田 紀夫
繊維学会誌, 34(4), p.166 - 174, 1978/04
ポリエステル(ポリエステレンテレフタレート)繊維を難燃化する目的で放射線によって直接塩素化する方法について研究した。ポリエステルのフィラメントまたは布を約一気圧の塩素ガス中に置き、室温で線を照射すると塩素化反応が起こり、5~10%の塩素含有率を持つポリエステルを得ることができた。この際、ポリエステル繊維を適当な膨潤剤で前処理しておくと反応速度を増加させることができる。塩素ガス充てん-照射を繰返し行うことにより、塩素含有率20%以上の塩素化繊維を調整することができる。塩素化による強度的性質の低下はわずかであった。ポリエステル繊維は塩素化により耐炎性が著しく増加していることが確認された。しかしながら熱重量分析よりみた耐熱性は原繊維より劣っているので、塩素化を少量にとどめ、他の難燃剤の併用が実用上有効であると思われる。
岡田 紀夫
原子力工業, 24(12), p.44 - 52, 1978/00
放射線による繊維の改質ならびに繊維材料の加工について最近の発展と改良を解説した。ポリエステル繊維へのアクリル酸などのグラフト重合による親水化、ポリエチレングリコールジメタクリレートなどの反応性オリゴマーのグラフト重合による帯電防止、吸汗加工、臭化ビニルあるいはビニルフオスフオネートオリゴマーのグラフト重合による難燃化、ポリ塩化ビニル繊維へのアクリル酸のグラフト重合後、Ca塩転換による、耐炎性を損なうことなく行う熱安全性の改善など、放射線とくに電子線を用いる改質について述べた。さらに、アクリロウレタンオリゴマーを含むオリゴマー・モノマー混合樹脂などを用いる電子線橋かけ重合による不織布の製造、織布のレザー様コーティング加工、顔料捺染加工のプロセスおよびその特徴についても述べた。
竹崎 淳一; 岡田 紀夫; 桜田 一郎*
J.Appl.Polym.Sci., 22, p.3311 - 3325, 1978/00
被引用回数:14水を飽和させたスチレンを最高10rad/secまでの広い範囲の線量率にわたって、電子線照射による重合反応を行ない、重合速度、生成物の分子量分布を調べた。比較のために行なったCaHで乾燥したスチレン(含水率 3.510mole/l)では生成物はオリゴマー、イオン重合ポリマー、ラジカル重合ポリマーに対応するピークを有し、高線量率下では、イオン重合が支配的におこることがわかった。水飽和スチレン(含水率 3.510mole/l)では生成物は、オリゴマー、イオン重合ポリマー、ラジカル重合ポリマーに対応するピークの他に分子量10の新しい高分子量ポリマーが生成することがわかった。これらの結果にもとづいて、電子線による重合反応の開始機構について提案した。
梶 加名子; 岡田 紀夫; 桜田 一郎*
繊維学会誌, 34(12), p.545 - 550, 1978/00
全芳香族ポリアミド、ポリ-m-フェニレンイソクタルアミド(m-PIA)及びポリ-p-フェニレンテレフタルアミド(p-PTA)に対する放射線照射効果をCo60線及びV.d.G.電子線を用い検討した。m-PIA,p-PTA共真空中照射においては1000Mradの照射においても強伸度の低下はほとんどなく、むしろやや増大する傾向がみられる。空気中照射においては強伸度は照射によりやや減少し、酸素の存在が主鎖切断を促進していることがわかるがナイロン6の200Mrad空気中線照射後の強度保持率が4%であるのに反し、m-PIAのそれは91%,p-PTAのそれは99%であり全芳香族ポリアミドが脂肪族ポリアミドに比して著しく放射線に対して安定であることが明らかになった。溶液粘度の測定より、全芳香族ポリアミドにおいても脂肪族ポリアミド同様真空中照射においては架橋反応が、空気中照射においては崩壊反応が優先していることが明らかになった。熱分解特性からみた耐熱性は1000Mradの照射後も損なわれていないことがわかった。
岡田 紀夫
日本接着学会誌, 13(12), p.465 - 474, 1977/12
電子線、紫外線による架橋反応の接着への応用を二大別して述べた。その一は高分子材料の表面処理としてのそれであり、その二は接着剤の製造、接着剤の硬化プロセスとしてのそれである。表面処理としての架橋は、いわゆるweak boundary layerの強化する手段であってポリエチレンや弗素樹脂に応用できる。この方法はクロム酸処理法に比べ、労働安全衛生や環境汚染の問題をまぬかれる点で有利である。電子線、紫外線を用いる接着剤の製造、硬化プロセスは省エネルギー、省資源、無公害という立場から多くの長所を有する。紫外線法では増感剤の併用が必要であり、各増感剤の化学構造と作用効果との関係を論じた。これらの架橋プロセスに用いられる不飽和ポリエステル系、アクリル系、チオールオレフィン系、エポキシ系樹脂の硬化について実例を挙げて述べた。最後に電子線法、紫外線法の効果プロセスの利害得失を論じた。
竹崎 淳一; 岡田 紀夫; 桜田 一郎*
J.Appl.Polym.Sci., 21(10), p.2683 - 2693, 1977/10
被引用回数:14スチレンをコバルト60の線、VdG加速器の電子線を用い4.210~1.210rad/secの線量率範囲にわたって照射し、重合反応を行なった。実験した線量率ならびにスチレンの含水率の全領域にわたってラジカルおよびイオン機構による重合反応が共存しておこると仮定して動力学式を誘導した。実験した範囲内、すなわち線量率4.210~1.210rad/sec、スチレンの含水率3.2103~3.510mol/lの範囲で、全重合速度、ラジカル重合速度、イオン重合速度は計算値と実験値はよく一致した。 種々の条件下で得られたポリマーのGPC曲線により、ラジカルならびにイオン機構の寄与を評価できる。イオン機構の寄与は、重量基準で示せば、本実験範囲で0~100%にわたって変化した。しかし、モル基準で示せば、実験した線量率領域で一定であった。
梶 加名子; 岡田 紀夫; 桜田 一郎*
繊維学会誌, 33(10), p.T488 - T494, 1977/10
ポリ塩化ビニル(PVC)繊維へ、その難燃性を損うことなく軟化温度向上させ、親水性を付与する目的で、アクリル酸(AA)の放射線グラフト重合を行なった。 モール塩を少量加えたAA・二酸化エチレン・水の混合液を用いて円滑にグラフト重合を行なうことができた。Co-60線用いる浸漬法、Van de Graff加速器から電子線を用いる含浸法、何れもグラフト重合をおこさせることができ、特に電子線を用いた場合、線量率0.1Mrad/secで僅か2秒の照射でグラフト率30%の繊維を容易にえることができた。AAグラフト繊維は熱収縮性が小さく、グラフト後、カルシウム塩に転換することにより、さらに熱収縮性を改善することができた。 耐炎性はAAグラフトによりほとんど損なわれず、100%グラフト繊維も原繊維のもつ自己消火性を保っていた。 PVC繊維はAAのグラフト率で木綿と同程度の吸湿性を示した。
梶 加名子; 岡田 紀夫; 桜田 一郎*
繊維学会誌, 33(10), p.T494 - T498, 1977/10
ポリ塩化ビニル繊維の難燃性を損なうことなく、軟化温度を向上させる目的で、Co60線を用いる、アクリル酸カルシウムのグラフト重合を行なった。 二塩化エチレン・メタノール溶液で繊維を前膨潤させた後、アクリル酸カルシウム水溶液を用いるか、又は前膨潤なしで、二塩化エチレンを加えたアクリル酸カルシウム水、メタノール溶液を用いることにより、金属塩の添加の下で、浸漬法同時照射で円滑にグラフト重合を行なうことが出来た。 アクリル酸カルシウムをポリ塩化ビニル繊維にグラフトすることにより、熱収縮温度を著しく向上することが可能であり、またグラフト重合による強度的性質の変化はほとんど認められなかった。さらに、グラフト反応により、原繊維のもつ自己消火性は損なわれず、カチオン染料に染色可能になった。
梶 加名子; 岡田 紀夫; 桜田 一郎*
繊維学会誌, 33(1), p.50 - 57, 1977/01
ポリ塩化ビニル繊維へ、その難燃性を損なうことなく軟化温度を高め親水性を向上する目的でアクリルアミド(AAm)の放射線グラフト重合を行なった。 繊維の膨潤剤としての二塩化エチレン、ホモポリマー生成抑制のためのFeClを加えたメタノール溶液を用いることにより、グラフト重合を円滑に起させることが出来た。グラフト重合速度は、1~10rad/secの広い線量率範囲にわたり、線量率の0.76乗に比例した。 グラフト率56%までの繊維の強伸度、ヤング率を測定したところ、その変化は僅かであった。50%グラフト率の繊維で木綿と同程度の吸湿性を示した。アクリルアミドをグラフトすることにより、高い熱収縮温度が得られたが、グラフト繊維をアルカリ加水分解した後、Caイオンで架橋することにより、その効果はさらに顕著になった。グラフト重合により難燃性が損なわれることはなかった。
梶 加名子; 岡田 紀夫; 桜田 一郎*
繊維学会誌, 32(8), p.T340 - T346, 1976/08
ポリ塩化ビニリデン繊維へ、その難燃性を損なうことなく改質する目的で、放射線によるアクリロニトリルのグラフト重合を行った。 ジメチルホルムアミドなどの適当な溶剤を用い、浸漬法同時照射によりグラフト重合を円滑におこさせ、100%以上のグラフト率の繊維を容易に得ることができた。 グラフト繊維の性質を測定した。密度は原繊維の1.70から、グラフト率100%で1.40まで減少した。初期ヤング率はグラフト33%で原繊維の約2.5倍に増大した。熱収縮性はグラフト率の増大と共に減少し、グラフト率約100%の繊維では300Cにおいても繊維状を保持した。 グラフト率74%以下(塩素含有率43%以上)のグラフト繊維は自己消火性であった。比較のためにアクソロニトリルをグラフトしたポリ塩化ビニル繊維の難燃性を調べた。いずれも、塩素含有率42~43%以上で難燃性が保持されていることが明らかとなった。