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岩崎 幸生*; 慈道 大介*; 岡 眞; 鈴木 渓
Physics Letters B, 820, p.136498_1 - 136498_6, 2021/09
被引用回数:2 パーセンタイル:18.91(Astronomy & Astrophysics)本論文では、時間依存する空間一様磁場中でのS波チャーモニウムの時間発展を数値的に計算し、各固有状態が磁場の減衰後にどれだけ生き残るかを示す指標(残存確率)を見積もる。このような研究は、RHICやLHCなどで行われている相対論的重イオン衝突実験において瞬間的に生成される磁場の測定(特に、磁場の大きさや磁場の寿命の測定)に役立つことが期待される。本解析では、磁場中で起こる異なるスピン固有状態の混合効果や高軌道励起状態への遷移効果が含まれており、これらの効果は最終的な残存確率に影響を及ぼす。結果として、磁場の寿命が極端に短い場合でさえも残存確率の有意な変化が見られることや、残存確率が初期状態のスピン配位に依存することが判明した。このような残存確率は、スピンパートナー同士(スピン1重項とスピン3重項)の和をとることにより初期配位に依存しない量となり、この量はの関数(は磁場の寿命、は磁場の最大値に対応するパラメータ)として表されることを示す。
岩崎 幸生*; 岡 眞; 鈴木 渓
European Physical Journal A, 57(7), p.222_1 - 222_14, 2021/07
被引用回数:17 パーセンタイル:70.63(Physics, Nuclear)クォーコニウムとは、チャームクォークやボトムクォークのような「重い」クォークとその反クォークから構成される中間子であり、水素原子やポジトロニウムなどの原子物理との類似点を持ちつつも、量子色力学(QCD)由来の性質も併せ持つ興味深い系である。ハドロン物理における典型的なスケールに匹敵する強磁場は、相対論的重イオン衝突実験や強磁場中性子星(マグネター)と関連して注目を集めている。本論文は、強磁場中のクォーコニウムの性質についてまとめたレビュー論文である。磁場中のクォーコニウムにおける特徴的な物理現象として、(1)異なるスピン固有状態間の混合効果、(2)クォーク自由度に対するランダウ準位とハドロン波動関数の変形現象、(3)クォーク・反クォーク間ポテンシャルの修正、(4)運動的シュタルク効果について解説を行う。また、磁場中のクォーコニウムを記述するための理論手法のまとめとして、(1)構成子クォーク模型、(2)有効ラグランジアンによる手法、(3)QCD和則、(4)ホログラフィックQCDについて解説する。さらに、有限温度,有限密度,有限渦度などの磁場以外の外場効果による影響についても述べる。付録において磁場中のクォーコニウムの典型的な質量スペクトルや波動関数を例示する。
岩崎 幸生; 岡 眞; 鈴木 渓*; 吉田 哲也*
AIP Conference Proceedings 2130, p.050001_1 - 050001_8, 2019/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.09(Physics, Nuclear)ヘビークォークを含むメソンに強い磁場がかかったときにスペクトルおよび波動関数がどのように変化するかを磁場の強さの関数として解析した。
岩崎 幸生; 岡 眞; 鈴木 渓*; 吉田 哲也*
International Journal of Modern Physics; Conference Series (Internet), 49, p.1960002_1 - 1960002_6, 2019/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.09(Astronomy & Astrophysics)P波のチャーモニウムメソンに強い磁場がかかったときにスペクトルおよび波動関数がどのように変化するかを磁場の強さの関数として解析した。
岩崎 幸生; 岡 眞; 鈴木 渓*; 吉田 哲也*
Physics Letters B, 790, p.71 - 76, 2019/03
被引用回数:10 パーセンタイル:71.88(Astronomy & Astrophysics)ヘビークォークを含むメソンに強い磁場がかかったときにスペクトルおよび波動関数がどのように変化するかを磁場の強さの関数として解析した。
岩崎 幸生; 鈴木 渓*
Physical Review D, 98(5), p.054017_1 - 054017_11, 2018/09
被引用回数:9 パーセンタイル:45.08(Astronomy & Astrophysics)We study the radiative (E1 and M1) decays of P-wave quarkonia in a strong magnetic field based on the Lagrangian of potential nonrelativistic QCD. To investigate their properties, we implement a polarized wave function basis justified in the Paschen-Back limit. In a magnetic field stronger than the spin-orbit coupling, the wave functions of the P-wave quarkonia are drastically deformed by the Hadronic Paschen-Back effect. Such deformation leads to the anisotropy of the direction of decays from the P-wave quarkonia. The analytic formulas for the radiative decay widths in the nonrelativistic limit are shown, and the qualitative decay properties are discussed.
岩崎 幸生; 鈴木 渓*
no journal, ,
強い磁場中の量子色力学(QCD)は、RHICやLHCで行われている相対論的重イオン衝突実験や強磁場中性子星(マグネター)の文脈とも関連して近年盛んに議論されている。そのような環境下におけるハドロンの性質の変化は、磁場中のQCDの理解を深めるうえでも、実験における磁場の観測手段を提案する意味でも重要な研究対象である。本講演では、クォーコニウム系を記述する有効場理論であるポテンシャル非相対論的QCDのラグランジアンに基づいて、強磁場中のP波クォーコニウムの輻射崩壊の異方性について議論する。真空中における本来の定式化では、真空中のクォーコニウム固有状態の波動関数を仮定するが、磁場中においてこれらの波動関数は混合するため、そのまま使うことはできない。本研究では、強磁場極限において現れる偏極した波動関数を新たしく導入することにより、強磁場中の輻射崩壊幅について主要項までの解析的な公式を導く。