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斉藤 和之*; 岩花 剛*; 伊川 浩紀*; 永野 博彦; Busey, R. C.*
Geoscientific Instrumentation, Methods and Data Systems, 7(3), p.223 - 234, 2018/07
被引用回数:2 パーセンタイル:8.86(Geosciences, Multidisciplinary)アラスカ内陸部の北方林における気温および地温の空間分布および時間変動を観測するため、光ファイバ温度分布計測(DTS)システムを導入した。この森林における地表面温度の範囲は、冬季の-40Cから夏季の30Cまでであった。DTSシステムの全ケーブル長は2.7kmで、そのうちの2.0kmで地表面温度の水平分布を30分ごとに0.5m間隔でモニターした。また、残りのケーブルを垂直コイル形状(1.2m高さ)に配置し、5mm分解能の鉛直温度プロファイルを数か所で測定した。測定は、2012年10月から2014年10月までの2年間、連続的に行われた。森林の主な植生は、永久凍土上に生育するクロトウヒであり、監視区域内の土地被覆タイプは、サーモカルスト状の沼,オープンモス,低木,落葉樹林,疎な針葉樹林、および密な針葉樹林の6つのカテゴリーに分類された。地表面温度の水平分布データは、日周変動と季節変動の両方について、特徴的な時空間パターンを示した。スノーパックの発達とその断熱効果は、土地被覆タイプと共に変化した。鉛直温度プロファイルモニタリングによって、気温,積雪温、および地温の高分解能データが収集された。また、本調査では、高緯度地域生態系へのDTSシステム導入・維持に際して発生しうるいくつかの技術的課題も明らかにされた。
斉藤 和之*; 岩花 剛*; 伊川 浩樹*; 永野 博彦; Busey, R. C.*
no journal, ,
北方林生態系における地表面温度の3次元変動を明らかにするため、光ファイバーケーブルを利用するDTS(Distributed Temperature Sensing)システムを内陸アラスカの北方林観測サイトに展開した。観測サイトの地表面温度は、-40Cから+30Cまで大きく変動する。本DTSシステムでは、比較的平らなエリアを観測する2.7km(Loop1)、および4つの30m30m区画と丘陵斜面を観測する5.5km(Loop2)を観測対象とした。本システムにより広範囲の地表面温度を高解像度(0.5m毎、30分間隔)で連続的に観測することが可能であった。また、ケーブルの一部を垂直コイル構成(高さ1.2m)でボーリング孔に埋設し、地上約60cmから地下約60cmまでの温度プロファイル(約5mm間隔)を各Loop内の数か所で測定した。Loop1では2012年10月から2014年10月までの2年間、Loop2では、2016年7月から2019年2月までの32か月間にわたり観測を行った。観測サイトの主要な植生は永久凍土層の上に生育するクロトウヒであったが、植生分布の不均質性が高いため、各Loopの土地被覆タイプを6つのカテゴリーに分類した。測定された地表面温度は大きな空間的および時間的変動を示し、変動の様子は土地被覆タイプごとで明らかに異なっていた。積雪の発生と断熱効果の違いも、土地被覆タイプごとで異なっていた。丘陵斜面の観測データは大気境界層の発達を示した。地中温度の鉛直プロファイル観測では、気柱, 積雪、および地表についての高解像度時系列データが生成された。本調査では、亜寒帯の生態系においてDTSシステムを配置し維持する際に生じうるいくつかの技術的課題も確認された。