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有森 貴夫*; 川本 乃理子*; 新家 粧子*; 岡崎 伸生*; 中澤 昌美*; 宮武 和孝*; 深溝 慶*; 上田 光宏*; 玉田 太郎
Journal of Biological Chemistry, 288(26), p.18696 - 18706, 2013/07
被引用回数:31 パーセンタイル:64.14(Biochemistry & Molecular Biology)sp. A-471由来のキチナーゼC(Ra-ChiC)の活性ドメインはG型リゾチームと類似した配列を有し、他のキチナーゼとは異なりGHファミリー23に属する。しかしながら、NMRを用いた解析ではRa-ChiCはキチン二量体と相互作用する一方で、ペプチドグリカン断片とは相互作用しなかった。本論文では、Ra-ChiCの活性ドメイン(野生型, E141Q, E162Q変異体)及びキチンオリゴ糖複合体の結晶構造解析を報告する。Ra-ChiCは基質特異性をつかさどるトンネル構造を含む基質結合部位を有しており、そのトンネル上に位置するAsp226が塩基触媒として水分子を活性化する機構が構造情報に基づく変異体解析の結果から示唆された。構造的に高く保存された酸触媒として機能するGlu141とこのAsp226の相対配置は、他のGH23型酵素や反転型GH19キチナーゼとは異なっており、Ra-ChiCの特徴的な機能と関連していると考えられた。
有森 貴夫; 川本 乃理子*; 岡崎 伸生; 中澤 昌美*; 宮武 和孝*; 上田 光宏*; 玉田 太郎
no journal, ,
好熱性細菌由来キチナーゼ(Ra-ChiC)は、天然資源であるキチンをさまざまな分野で利用できるオリゴ糖へと分解する。しかしRa-ChiCはこれまでに同定されているキチナーゼとはアミノ酸配列の相同性を有さず、キチナーゼとしては唯一GH family 23に分類される。一方、GH family 23にはおもにガチョウ型(G-type)リゾチームが属しているが、Ra-ChiCはリゾチーム活性を有さない。われわれは、Ra-ChiCの基質認識機構及び触媒反応機構を解明するため、触媒ドメインのリガンド非結合型及びキチンオリゴ2糖結合型の結晶構造解析を行った。Ra-ChiCの活性部位の構造から、われわれはRa-ChiCの触媒反応にはG-typeリゾチームにも保存されているE141だけでなく、G-typeリゾチームには保存されていないD226も寄与すると予想した。そこで変異体実験を実施した結果、どちらの残基においても変異体では著しい活性の低下が見られた。さらに、E141Q変異体とキチンオリゴ4糖との複合体についても結晶構造を決定した。この構造をもとにリゾチームの基質の構成要素であるN-アセチルムラミン酸(NAM)の結合モデルを作成したところ、Ra-ChiCではD226が存在するループ領域が活性部位を覆っているため、G-typeリゾチームより基質結合部位が狭く、かさ高い置換基を持つNAMの結合においては立体障害が生じることがわかった。このことから、Ra-ChiCがリゾチーム活性を示さないのは、このような基質結合部位の構造の違いが原因であると考えられた。
有森 貴夫*; 川本 乃理子*; 岡崎 伸生*; 中澤 昌美*; 宮武 和孝*; 深溝 慶*; 上田 光宏*; 玉田 太郎
no journal, ,
好熱性細菌 sp. A-471由来キチナーゼ(Ra-ChiC)は、天然資源であるキチンをさまざまな分野で利用できるオリゴ糖へと分解する。しかしRa-ChiCはこれまでに同定されているキチナーゼとはアミノ酸配列の相同性を有さず、キチナーゼとしては唯一GHファミリー23に分類される。一方、GHファミリー23には主にガチョウ型(G-type)リゾチームが属しているが、Ra-ChiCはリゾチーム活性を有さない。われわれは、Ra-ChiCの基質認識機構及び触媒反応機構を解明するため、Ra-ChiCの触媒ドメイン(野生型, E141Q変異体, E162Q変異体)のリガンド非結合型及びキチンオリゴ糖結合型の結晶構造解析を行った。Ra-ChiCは基質特異性を司るトンネル構造を含む基質結合部位を有しており、そのトンネル上に位置するAsp226が塩基触媒として水分子を活性化する機構が構造情報に基づく変異体解析の結果から示唆された。構造的に高く保存された酸触媒として機能するGlu141とこのAsp226の相対配置は、Ra-ChiCの特徴的な機能と関連していると考えられた。