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下村 祐介; 佐藤 拓也; 福井 康太; 工藤 健治; 吉岡 龍司
JAEA-Review 2018-023, 220 Pages, 2019/01
平成27年9月11日、日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター廃棄物管理施設の固体集積保管場IIにおいて、アスファルト固化体封入ドラム缶(アスファルトドラム缶)4缶からアスファルトの漏えい跡が確認された。また、その後の点検において、平成27年11月10日にアスファルトドラム缶1缶からアスファルトの漏えい跡が発見された。さらに、平成27年12月2日には、アスファルトドラム缶1缶に、アスファルトの漏えい跡は無いが上蓋の腐食が激しいものが確認された。アスファルトドラム缶からのアスファルトの漏えい跡について、原因の調査と対策を検討するため、「ドラム缶からの漏えい跡原因調査及び対策に係る検討作業部会」を設置し、対応が進められた。具体的な検討事項は、(1)アスファルトドラム缶からのアスファルトの漏えい原因の特定、(2)アスファルトドラム缶の腐食(錆)発生原因の特定、(3)アスファルトドラム缶のアスファルト漏えい及び腐食(錆)の再発防止対策である。本報告書は、当該作業部会でまとめられた報告書「ドラム缶からの漏えい跡原因調査及び対策に係る報告書」を基に、その後の書類調査によって明らかになった内容を含めて再構成したものである。
山野 秀将; 鈴木 徹; 神山 健司; 工藤 勇*
Proceedings of International Conference on Fast Reactors and Related Fuel Cycles; Next Generation Nuclear Systems for Sustainable Development (FR-17) (USB Flash Drive), 11 Pages, 2017/06
本報は、我が国で設計されている第4世代ナトリウム冷却高速炉(750MWe級)における炉心損傷事故での溶融炉心の炭化ホウ素(BC)とステンレス鋼(SS)の共晶反応及び移動挙動の重要性を示すとともに、それらの挙動に着目した1500Cを超える高温条件下での可視化基礎実験について発表する。まず、予想される挙動を考慮して厳密摂動計算ツールを用いて反応度推移を計算し、BC-SS共晶生成物移動挙動が大きな不確かさを持っており反応度推移のうえで重要であることを示した。この挙動を明らかにするため、高温加熱炉の中に溶融SSをBCペレットに接触させ、その反応を可視化する基礎実験を実施した。その実験により、共晶反応を可視化するとともに、固化した試験体の上部で密度分離によりBC-SS共晶生成物が固化・移動した様子が示された。
宇藤 裕康; 高瀬 治彦; 坂本 宜照; 飛田 健次; 森 一雄; 工藤 辰哉; 染谷 洋二; 朝倉 伸幸; 星野 一生; 中村 誠; et al.
Fusion Engineering and Design, 103, p.93 - 97, 2016/02
被引用回数:8 パーセンタイル:60.26(Nuclear Science & Technology)BA原型炉設計においてプラズマ垂直位置安定性とブランケットや保守などの炉構造との観点から導体シェルを含む炉内機器の概念設計を行った。プラズマ垂直位置安定化のための導体シェルはトリチウム生産のため増殖ブランケットモジュールの背面に設置されるが、プラズマ安定化の観点からは可能な限りプラズマ表面近傍に設置しなければならず、炉内機器設計ではこれらを合した設計検討が必須である。そこで、BA原型炉設計では3次元渦電流解析コード(EDDYCAL)を用いて、3次元の炉構造モデルにおいて数種類の導体壁構造に対して位置安定性を評価した。これらの検討により、楕円度1.65の原型炉プラズマでは、トリチウム増殖率(TBR)1.05以上が得られるブランケット領域を確保した場合(導体壁位置rw/ap=1.35)、ダブルループ型などの導体シェル構造で銅合金厚さ0.01m以上が必要であることがわかった。一方、ディスラプション時に導体シェルに誘起される渦電流によりブランケットモジュールにかかる電磁力が数倍になり、発表ではこれらの検討結果を踏まえた導体シェルと炉内機器の概念設計と課題について報告する。
吉田 雅洋*; 石井 賢司; Jarrige, I.*; 綿貫 徹; 工藤 一貴*; 小池 洋二*; 熊谷 健一*; 平岡 望*; 石井 啓文*; Tsuei, K.-D.*; et al.
Journal of Synchrotron Radiation, 21(1), p.131 - 135, 2014/01
被引用回数:3 パーセンタイル:19.04(Instruments & Instrumentation)A single-crystal momentum-resolved resonant inelastic X-ray scattering (RIXS) experiment under high pressure using an originally designed diamond anvil cell (DAC) is reported. The diamond-in/diamond-out geometry was adopted with both the incident and scattered beams passing through a 1 mm-thick diamond. This enabled us to cover wide momentum space keeping the scattering angle condition near 90. Elastic and inelastic scattering from the diamond was drastically reduced using a pinhole placed after the DAC. Measurement of the momentum-resolved RIXS spectra of SrCaCuO at the Cu -edge was thus successful. Though the inelastic intensity becomes weaker by two orders than the ambient pressure, RIXS spectra both at the center and the edge of the Brillouin zone were obtained at 3 GPa and low-energy electronic excitations of the cuprate were found to change with pressure.
名合 牧人*; 萩原 健司*; 南出 賢司*; 本島 貴之*; 神 和美; 工藤 元; 杉田 裕; 三浦 養一*
第49回全国建設業労働災害防止大会研究論文集(CD-ROM), p.77 - 80, 2012/10
本書では、幌延深地層研究センターの大深度立坑建設時における、湧出ガス対策について報告するものである。幌延深地層研究センターにおいては、湧出ガス対策として、次の6つの管理を講じている。(1)事前調査による、地層,地下水に含まれるメタンガス量,濃度の把握、(2)通気解析(シミュレーション)による送風機, 集塵機, 風管仕様の決定、(3)止水グラウト工によるメタンガスの湧出低減対策、(4)内燃機関の使用禁止、防爆機器の採用、(5)メタンガス管理体制の設定、(6)メタンガス湧出状況の監視モニタリング。このうち、本論では、日常の安全管理活動の中で実施している、36について述べる。幌延深地層研究センターにおける立坑の深度は、現在換気立坑で深度290m、東立坑で深度250mであり、メタンガスの湧出状況については、断層部において0.3%1.3%までの上昇が確認されているが、上述の整備した湧出ガス対策に基づいて適切に管理している。メタンガス濃度を低下させる対策を行ううえでは、監視モニタリングの有用性が確認されている。
白木 文也*; 吉川 妙子*; 大島 明博*; 大島 雄二*; 高澤 侑也*; 福武 直之*; 大山 智子*; 裏川 達也*; 藤田 創*; 高橋 朋宏*; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 269(15), p.1777 - 1781, 2011/08
被引用回数:8 パーセンタイル:53.37(Instruments & Instrumentation)イオン照射時のブラッグピーク付近での化学反応の局所性を利用して、傾斜的に親水基が導入された燃料電池用新規プロトン交換膜材料を創製し、燃料電池特性を評価した。フッ素系高分子材料にXe照射を真空・室温下で行い、ブラッグカーブに沿ったLETの違いを利用して傾斜的なラジカル生成を誘起した。照射後、スチレンモノマーをグラフト反応させ、スルホン化処理することで親水基の傾斜的な分布を有するプロトン交換膜を得た。これを用いて作製した膜/電極接合体は、特に電圧の安定性が従来のものよりも優れていることが明らかとなり、燃料電池の性能向上に繋がると期待される。
岡 壽崇; 大島 明博*; 本橋 良太*; 瀬戸 直人*; 渡邊 裕司*; 小林 亮二*; 斉藤 功樹*; 工藤 久明*; 村上 健*; 鷲尾 方一*; et al.
Radiation Physics and Chemistry, 80(2), p.278 - 280, 2011/02
被引用回数:7 パーセンタイル:48.91(Chemistry, Physical)アイソタクチックポリスチレンに種々のイオンビームを照射し、化学構造の変化を調べた。顕微赤外分光及び紫外可視分光の結果から、LETとフルエンスによって化学構造変化が大きく変化することが明らかになった。
吉田 雅洋; 石井 賢司; 池内 和彦*; Jarrige, I.; 村上 洋一*; 水木 純一郎; 筒井 健二; 遠山 貴己*; 前川 禎通*; 工藤 一貴*; et al.
Physica C, 470(Suppl.1), p.S145 - S146, 2010/12
被引用回数:4 パーセンタイル:21.96(Physics, Applied)SrCaCuO (SCCO), which is composed of two-leg ladders and edge-sharing chains, is the first superconducting cuprate without CuO planes. By substituting Ca for Sr, holes are transferred from the chains to the ladders. It was recently shown that charge ordering (CO) along the leg direction in the ladder occurs at and the periodicity is five times the unit length along the c axis. In order to investigate the electronic excitations associated with the CO, we carried out resonant inelastic X-ray scattering (RIXS) experiments for SCCO (). Cu- RIXS can directly probe the momentum-dependent electronic excitations related to the Cu site, which are resonantly enhanced by tuning the incident photon energy to the Cu -edge. We measured the q dependence of the intraband excitations, which is associated with the dynamics of doped holes in the Zhang-Rice singlet band. The intensity is enhanced at the momentum corresponding to the periodicity of the CO in , while the temperature dependence of the enhancement is different for and . We discuss the relationship between our experimental results and the occurrence of the CO.
坂中 章悟*; 明本 光生*; 青戸 智浩*; 荒川 大*; 浅岡 聖二*; 榎本 収志*; 福田 茂樹*; 古川 和朗*; 古屋 貴章*; 芳賀 開一*; et al.
Proceedings of 1st International Particle Accelerator Conference (IPAC '10) (Internet), p.2338 - 2340, 2010/05
日本においてERL型放射光源を共同研究チームで提案している。電子銃,超伝導加速空洞などの要素技術開発を進めている。また、ERL技術の実証のためのコンパクトERLの建設も進めている。これら日本におけるERL技術開発の現状について報告する。
塚田 和明; 羽場 宏光*; 浅井 雅人; 豊嶋 厚史; 秋山 和彦*; 笠松 良崇; 西中 一朗; 市川 進一; 安田 健一郎; 宮本 ユタカ; et al.
Radiochimica Acta, 97(2), p.83 - 89, 2009/02
被引用回数:20 パーセンタイル:77.78(Chemistry, Inorganic & Nuclear)105番元素ドブニウム(Db)及び周期表上同族の5族元素ニオブ(Nb),タンタル(Ta),擬5族のプロトアクチニウム(Pa)のフッ化水素酸水溶液中における陰イオン交換挙動を観測した。実験にはタンデム加速器施設に設置したオンライン自動迅速イオン交換分離装置を利用し、Cm+F反応で生成するDb(半減期34秒)を対象に13.9Mフッ化水素酸水溶液におけるイオン交換樹脂への分配係数を測定した。上記元素とDbの溶離挙動を比較すると、Dbの分配係数は5族元素Nb及びTaに比べて小さく、その傾向はむしろ擬5族のPaに近いという結果を得た。この結果は超アクチノイド元素であるDbのフッ化物陰イオン錯体が同族元素と異なるという興味深いものである。
坂中 章悟*; 吾郷 智紀*; 榎本 収志*; 福田 茂樹*; 古川 和朗*; 古屋 貴章*; 芳賀 開一*; 原田 健太郎*; 平松 成範*; 本田 融*; et al.
Proceedings of 11th European Particle Accelerator Conference (EPAC '08) (CD-ROM), p.205 - 207, 2008/06
コヒーレントX線,フェムト秒X線の発生が可能な次世代放射光源としてエネルギー回収型リニアック(ERL)が提案されており、その実現に向けた要素技術の研究開発が日本国内の複数研究機関の協力のもと進められている。本稿では、ERL放射光源の研究開発の現状を報告する。
石井 賢司; 筒井 健二*; 遠山 貴己*; 稲見 俊哉; 水木 純一郎; 村上 洋一*; 遠藤 康夫*; 前川 禎通*; 工藤 一貴*; 小池 洋二*; et al.
Physical Review B, 76(4), p.045124_1 - 045124_7, 2007/07
被引用回数:20 パーセンタイル:63.45(Materials Science, Multidisciplinary)(La,Sr,Ca)CuOは銅酸化物高温超伝導体との関連で注目されている物質である。ほとんどの銅酸化物超伝導体の共通ユニットであるCuO面を持たないにもかかわらず、SrCaCuOは高圧下で超伝導体となる。銅の吸収端で行った(La,Sr,Ca)CuOの共鳴非弾性X線散乱の結果について報告する。モットギャップを越えるバンド間励起とギャップ内に現れるバンド内励起の運動量依存性がホール濃度に対してどのように変化するかに注目する。得られた実験結果は理論の予想と一致している。
工藤 健治; 川妻 伸二; 林道 寛; 渡部 晃三; 富居 博行; 白石 邦生; 八木 直人; 福島 正; 財津 知久
Proceedings of 14th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-14) (CD-ROM), 8 Pages, 2006/07
2001年12月の閣議決定にしたがい、2005年10月1日、日本原子力研究所(以下、原研)と核燃料サイクル開発機構(以下、サイクル機構)は統合し、新たに日本原子力研究開発機構(以下、原子力機構)となった。この新しい法人は、総合的な原子力研究開発法人であり、政府関連法人の中で最も大きな法人となった。法人の主要な業務は、原子力の基礎研究開発、核燃料サイクル研究開発、自らの原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物処理・処分にかかわる技術開発、安全と核不拡散に関する寄与、などである。原子力機構には、JRR-2や常陽などの試験研究炉、ふげんやもんじゅなどの研究開発段階炉、人形峠ウラン濃縮原型施設や東海MOX燃料製造施設や東海再処理施設などの核燃料サイクル施設、その他JRTFやFMFなどのホットラボ施設がある。二法人統合準備の一環として、原研とサイクル機構は、これまでの施設解体や改修工事などの実績をもとに、総合的な廃止措置費用評価手法を共同で開発した。また、費用評価試算にあたっては、評価項目を増加する等により信頼性の向上を図った。本評価手法を用いた原研とサイクル機構における廃止措置費用の総計は、約6,000億円(約50億$)と試算した。
飛田 健次; 西尾 敏; 榎枝 幹男; 佐藤 正泰; 礒野 高明; 櫻井 真治; 中村 博文; 佐藤 聡; 鈴木 哲; 安堂 正己; et al.
Fusion Engineering and Design, 81(8-14), p.1151 - 1158, 2006/02
被引用回数:123 パーセンタイル:99.01(Nuclear Science & Technology)原研における発電実証プラント設計検討では、中心ソレノイド(CS)の機能に着目して3つの設計オプションを検討中である。これらのうち、主案はCSの機能をプラズマ形状制御に限定してコンパクトにすることによりトロイダル磁場コイルの軽量化を図ったものであり、この設計オプションの場合、主半径5.5m程度のプラズマで3GWの核融合出力を想定する。本プラントでは、NbAl導体による超伝導コイル,水冷却固体増殖ブランケット,構造材として低放射化フェライト鋼,タングステンダイバータなど近未来に見通しうる核融合技術を利用する。プラントの設計思想及び要素技術に対する要請を述べる。
林道 寛; 川妻 伸二; 工藤 健治; 斉木 秀男
Proceedings ANS Topical Meeting on Decommissioning, Decontamination, and Reutilization (CD-ROM), 5 Pages, 2005/00
サイクル機構の全施設の廃止措置費用の算出方法について、過去の設備更新データや装置の解体撤去の分析結果に基づき、廃止措置費用の算出方法を開発した。この内容について、米国原子力学会の廃止措置のトピカル会議で報告し、専門家のコメントを頂き、今後の廃止措置エンジニアリングシステムの開発に資する。
羽場 宏光*; 塚田 和明; 浅井 雅人; 豊嶋 厚史; 秋山 和彦; 西中 一朗; 平田 勝; 矢板 毅; 市川 進一; 永目 諭一郎; et al.
Journal of the American Chemical Society, 126(16), p.5219 - 5224, 2004/04
被引用回数:43 パーセンタイル:72.51(Chemistry, Multidisciplinary)Cm(O,5n)Rf反応で生成する104番元素ラザホージウム(Rf)のフッ化物錯体のイオン交換挙動を単一原子レベルで明らかにした。Rfの陰イオン交換挙動は、周期表同族元素であるジルコニウム(Zr)やハフニウム(Hf)の挙動とは明らかに異なることがわかり、Rfのフッ化物形成に相対論効果が寄与している可能性を指摘した。
逆井 章; 石田 真一; 松川 誠; 秋野 昇; 安藤 俊就*; 新井 貴; 江里 幸一郎; 濱田 一弥; 市毛 尚志; 礒野 高明; et al.
Nuclear Fusion, 44(2), p.329 - 334, 2004/02
超伝導トカマク装置へのJT-60改修が計画されている。原型炉に繋がる先進的な核融合技術として、JT-60改修装置(JT-60SC)の設計のために超伝導マグネット技術やプラズマ対向機器を開発した。JT-60SCの超伝導トロイダル磁場コイル用として、高い臨界電流密度を可能とする、高い銅比4のニオブアルミ超伝導素線を新規に開発し、量産化に成功した。この素線と、突合せ溶接で作った全長30mの丸穴四角のステンレス製コンジットを用いて、実機サイズのケーブル・イン・コンジット導体を製作した。この導体を使用して、リアクト&ワインド法(熱処理後に巻線作業を行う製作方法)を実証するR&Dを進めている。ニオブアルミ導体の歪み劣化が小さいことを利用したこの製作方法は、将来の大型コイル製作の技術的な信頼性向上と低コストに繋がる先進的な超伝導技術として注目されている。JT-60SCのダイバータへの熱負荷10-15MW/mに耐える機器として、スクリュウ管を銅製ヒートシンクに設け、これと炭素繊維複合材,緩衝材を一体ロウ付けすることで、良好なプラズマ対向機器を開発した。電子ビーム照射試験により、この対向機器は従来のスワール管の場合と比較して約1.5倍の高い熱伝達率を達成することを明らかにした。
逆井 章; 石田 真一; 松川 誠; 秋野 昇; 安藤 俊就*; 新井 貴; 江里 幸一郎; 濱田 一弥; 市毛 尚志; 礒野 高明; et al.
Nuclear Fusion, 44(2), p.329 - 334, 2004/02
被引用回数:7 パーセンタイル:22.95(Physics, Fluids & Plasmas)超伝導トカマク装置へのJT-60改修が計画されている。原型炉に繋がる先進的な核融合技術として、JT-60改修装置(JT-60SC)の設計のために超伝導マグネット技術やプラズマ対向機器を開発した。JT-60SCの超伝導トロイダル磁場コイル用として、高い臨界電流密度を可能とする、高い銅比4のニオブアルミ超伝導素線を新規に開発し、量産化に成功した。この素線と、突合せ溶接で作った全長30 mの丸穴四角のステンレス製コンジットを用いて、実機サイズのケーブル・イン・コンジット導体を製作した。この導体を用いて、リアクト&ワインド法(熱処理後に巻線作業を行う製作方法)を実証するR&Dを進めた。ニオブアルミ導体の歪み劣化が小さいことを利用したこの製作方法は、将来の大型コイル製作の技術的な信頼性向上と低コストに繋がる先進的な超伝導技術として注目されている。JT-60SCのダイバータへの熱負荷10-15MW/mに耐える機器として、スクリュウ管を銅製ヒートシンクに設け、これと炭素繊維複合材、緩衝材を一体ロウ付けすることで、良好なプラズマ対向機器を開発した。電子ビーム照射試験により、この対向機器は従来のスワール管の場合と比較して約1.5倍の高い熱伝達率を達成することを明らかにした。
玉井 広史; 松川 誠; 栗田 源一; 林 伸彦; 浦田 一宏*; 三浦 友史; 木津 要; 土屋 勝彦; 森岡 篤彦; 工藤 祐介; et al.
Plasma Science and Technology, 6(1), p.2141 - 2150, 2004/02
被引用回数:2 パーセンタイル:6.49(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60定常高ベータ化計画(JT-60改修計画)の最重要課題は高ベータ,臨界クラスのパラメータを持つ高性能プラズマの100秒程度以上の維持を実証することである。このため、高ベータプラズマを達成するためのプラズマパラメータや運転シナリオ,制御手法の検討を行うとともに、超伝導磁場コイルの要素技術の開発を始め、放射線遮蔽や真空容器等の設計検討及び試験開発を行い、その成立性を確認した。本発表は、以上の物理・工学設計と試験開発の進捗状況を詳述する。
工藤 健; 山本 明彦*; 野原 壯; 木下 博久; 志知 龍一*
Earth Planets and Space, 56(5), p.e5 - e8, 2004/00
被引用回数:7 パーセンタイル:20.48(Geosciences, Multidisciplinary)中国地方の地形を精査することによって抽出された線条構造は、過去数十万年間の断層運動によって生じた地殻最上部の弱線構造であることが強く示唆されている。一方地殻内部では、過去の構造運動によって強度の弱い部分の破壊が繰り返される。上部地殻が破壊されると内部の密度構造も複雑化し、その結果は重力異常分布の起伏の複雑さとなって現れる事が予測される。そこで本研究では、上部地殻構造の過去における安定・不安定が、重力異常分布の起伏の単純さ・複雑さとして反映されていると予測し、これらと地表の形態に現れた破壊の痕跡との空間的関連を調査した。重力異常分布の複雑さの指標として、今回はある取り込み半径内のブーゲ異常値の標準偏差の水平変化の導入を試みた。地形の線条構造分布と重力異常標準偏差値分布の空間的対応を統計的手法によって吟味した結果、重力異常分布が複雑な領域に地形の線条構造が集中する傾向が得られた。