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論文

Recent status & improvements of the RCS vacuum system

神谷 潤一郎; 古徳 博文; 引地 裕輔*; 高橋 博樹; 山本 風海; 金正 倫計; 和田 薫*

JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011023_1 - 011023_6, 2021/03

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)の真空システムは、出力強度1MWのビーム運転においても安定にビームラインの真空を維持するために、運転開始から現在に至るまで綿密な保守を行う一方で各種高度化を続けてきた。広範囲で排気速度を保つターボ分子ポンプの主排気系への採用、ターボ分子ポンプのタッチダウントラブルを防ぐための長尺ケーブル化実施、極高真空領域まで計測可能な高精度真空計の導入、磁場遮蔽を兼ねた磁性材料真空容器の設置等である。そして、2018年の1MW出力でのビーム運転時のガス放出問題を受けて真空ポンプの増強を行い、2019年の1MWの10.5時間運転ではビームラインの圧力上昇は微小となり、真空を原因とするダウンタイムをなくすことができた。現在、高強度材料で回転数を上げたターボ分子ポンプの設計検討を行うなど、より高いビーム強度での多量の放出ガスへの対応策を進めているところである。本発表では、RCSの真空システムの10年間にわたる運転実績を総括するとともに、将来のより高強度なビーム運転を見据えた真空機器の高度化について発表する。

論文

Evaluation of 2-D transverse beam profile monitor using gas sheet at J-PARC LINAC

神谷 潤一郎; 岡部 晃大; 金正 倫計; 守屋 克洋; 山田 逸平; 荻原 徳男*; 引地 裕輔*; Wada, K.*

Journal of Physics; Conference Series, 1350, p.012149_1 - 012149_6, 2019/12

 被引用回数:2 パーセンタイル:82.51

チタン製真空ダクト表面にゲッター作用を持たせるため、導入したガスをイオン化させスパッタリングによりチタン表面の酸化膜を除去する手法の開発を行っている。本手法では、スリットからガスを導入することで、少ないガス量で局所的に均一かつ高いガス密度のシート状の分布を生成ができ、周辺の圧力上昇を抑えたうえで効率の良いスパッタリングを行うことができる。今回、スリットによって生成されたガス密度分布をモンテカルロシミュレーションコードによって計算し、評価した。その結果、ガス密度分布の三次元的な分布の情報を得ることができ、両方向からのガス導入がガス密度分布の均一化に対して有効であることが定量的にわかった。さらに本手法をシート状ガスとビームとの相互作用により発生するイオンを検出する非破壊型ビームプロファイルモニターに適用した。本モニターにおいて、ビームプロファイルの注入ガス量に対する依存性を調査し、少量の注入ガス量での測定が不飽和かつS/N比が高い状況でビームプロファイル測定するために重要であることが分かった。

論文

低放射化材料であるチタン製の真空チェンバーを真空ポンプとして用いる手法の開発

神谷 潤一郎; 引地 裕輔*; 和田 薫*

Proceedings of 16th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.1189 - 1192, 2019/07

欧州原子核研究機構(CERN)で開発された非蒸発型ゲッター(NEG)コーティングは、ビームパイプ表面に気体分子を吸着する性能を持つゲッター材をコーティングすることでビームパイプそのものを真空ポンプとして活用できる画期的な手法であり、近年他の加速器での利用が広がっている。一方、J-PARCでは低放射化材料であるチタンをビームパイプの材料として用いている。チタンは気体分子を吸着するゲッター材である。しかしながら、通常チタン表面は酸化膜に覆われておりゲッター機能はない。この酸化膜を除去することで、NEGコーティング同様にビームパイプ自身を真空ポンプとして活用できる。これによりビームラインの超高真空を安定的に維持することができ、加速器のさらなる安定運転に帰することとなる。本研究により酸化膜の厚みが15nm程度であることを明らかにし、2Pa程度のアルゴン雰囲気でのスパッタリングによりこの酸化膜を除去することに成功した。その結果、目論見通り真空容器にゲッター作用を持たせることができ、10$$^{-9}$$Pa台の極高真空を達成することができた。

論文

二次元ビームプロファイルモニタのためのガス分布測定装置の開発

山田 逸平; 荻原 徳男*; 引地 裕輔*; 神谷 潤一郎; 金正 倫計

Vacuum and Surface Science, 62(7), p.400 - 405, 2019/07

J-PARCの陽子加速器は世界最大級である1MWの大強度ビームの出力を目指している。このような強度のビームはわずかな損失でも機器を放射化し、安定かつ安全な加速器運転に支障をきたす。これを防ぐためにはビームを適切に制御する必要があるため、ビームをモニタリングすることが必須である。特にビームプロファイル測定では、ビームの大強度化に向けて非破壊型モニタの実用化が求められている。一つの案としてシート状のガスを用いた非破壊プロファイルモニタが考案されている。しかし、ビーム検出の媒体であるシート状のガスは必ずしも一様に分布するわけではないため、測定されたデータを正確なプロファイルに換算しモニタを実用化するためにはガス分布の情報が必要である。そこで、電子ビームを用いてガスをイオン化し、そのイオンを検出することでガス分布を測定する手法を考案した。本会議では、実現可能性・測定範囲のシミュレーション検討したこと、およびその計算結果を検証する実験を行ったことを報告し、真空科学分野の専門家と議論することで新たなモニタの実用化を目指すことを目的とする。

論文

Development of a gas distribution measuring system for gas sheet beam profile monitor

山田 逸平; 荻原 徳男*; 引地 裕輔*; 神谷 潤一郎; 金正 倫計

Proceedings of 10th International Particle Accelerator Conference (IPAC '19) (Internet), p.2567 - 2570, 2019/06

J-PARCのような大強度陽子加速器ではわずかなビーム損失でも周辺機器の放射化を引き起こし、安全かつ安定な加速器運転に支障をきたす。放射化を防ぐためには、様々なモニタを用いてビーム損失の原因を特定する必要がある。現在、加速器の大強度化に伴いビームモニタの非破壊化が求められている。本研究ではビームのプロファイルを非破壊的に測定する新たなモニタとして、ガスシートビームプロファイルモニタの開発を行っている。本モニタの研究課題は主に、ガスシート生成器の開発、ガスシートの評価、および信号校正からなり、本件では特にガスシート評価装置の開発の進捗を報告する。本モニタはガスシートとビームの相互作用を利用するため、得られる信号はビームの分布のみならずガスの密度分布にも依存する。そのため、正確なビームプロファイルを得るためにはガス密度分布の情報を取得する必要がある。本報告ではイオン軌道シミュレーションに基づきガスシート評価装置の設計を行い、検証実験を行った結果を述べる。

論文

Non-destructive 2-D beam profile monitor using gas sheet in J-PARC LINAC

神谷 潤一郎; 荻原 徳男*; 三浦 昭彦; 金正 倫計; 引地 裕輔*

Journal of Physics; Conference Series, 1067, p.072006_1 - 072006_6, 2018/09

 被引用回数:2 パーセンタイル:68.57

J-PARCにおいて大強度ビームの断面形状すなわちビームプロファイルを精度よく測定することは、ビームロスを減らし安定した加速器の運転維持を行うために必須である。既存のワイヤーを用いたビームプロファイルの測定は、ビーム強度が増した場合、ワイヤーの切断やワイヤーによるビーム散乱での装置の放射化の問題が懸念される。今回我々は真空中にシート状のガスを発生させ、ビームとガスの相互採用で発生するイオンもしくは光等を検出することでビームのプロファイルを得る非破壊のビームプロファイルモニターの開発を行った。リニアックのビーム輸送ラインにガスシートビームモニターを設置した際、導入ガスに対して近傍の空洞への圧力上昇が起きないための排気系の設計および実際の圧力分布測定を行い、空洞に対して悪影響を及ぼさずに十分な量のガス導入が可能であることを示した。発生イオンを電場により検出器に導きビーム像を蛍光板に投影することでビームプロファイルを得る手法で、リニアックの加速ビームのプロファイル測定に成功した。

論文

ガスシートを用いた二次元ビームプロファイルモニタのためのガス分布測定装置の開発

山田 逸平; 荻原 徳男*; 引地 裕輔*; 神谷 潤一郎; 金正 倫計

Proceedings of 15th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.88 - 92, 2018/08

J-PARCの陽子加速器は世界最大級である1MWの大強度ビームの出力を目指している。このような強度のビームはわずかな損失でも機器を放射化し、安定かつ安全な加速器運転に支障をきたす。これを防ぐためにはビームを適切に制御する必要があるため、ビームをモニタリングすることが必須である。特にビームプロファイル測定において、現在主流の金属ワイヤを用いたモニタは大強度ビームの測定で破損の可能性が考えられる。この解決策の一つとして、シート状のガスを用いた非破壊プロファイルモニタが考案されている。しかし、ビーム検出の媒体であるシート状のガスは必ずしも一様に分布するわけではないため、測定されたデータを正確なプロファイルに換算しモニタを実用化するためにはガス分布の情報が必要である。そこで、電子ビームを用いてガスをイオン化し、そのイオンを検出することでガス分布を測定する手法を考案した。本会議では、シミュレーションにて本手法の実現可能性,測定有効範囲、および測定分解能について検討したことを報告し、様々な分野の専門家と議論することで新たなモニタの実用化、およびそれに伴う加速器の安定な運転に役立てることを目的とする。

論文

流路長の長い矩形スリットのコンダクタンス測定

荻原 徳男; 引地 裕輔*; 神谷 潤一郎; 金正 倫計; 吉田 肇*; 新井 健太*

Journal of the Vacuum Society of Japan, 60(12), p.475 - 480, 2017/12

In order to achieve stable operation of J-PARC accelerator, we studied the conductance of a slit used for a gas sheet monitor. The flow rate of a rarefied gas through a long rectangular channel with a very small height (H) to width (W) ratio was experimentally investigated using N$$_{2}$$ and Ar for the wide range of the Knudsen number Kn, which is defined as a ratio of H to the mean free path. Here the dimensions of the channel are as follows: H=0.1 mm, W=50 mm, and the length L=100 mm. The conductance, which is proportional to the dimensionless flow rate, decreases from the value in free-molecular regime and reaches the Knudsen minimum at Kn $$sim$$ 1.2, as the inlet gas pressure increases. Then, assuming fully developed gas flow, the reduced flow rate G has been estimated as a function of the local rarefaction parameter using the experimental data.

論文

非破壊2次元プロファイルモニター用ガスシートターゲットの開発

荻原 徳男; 引地 裕輔*; 神谷 潤一郎; 山本 風海; 金正 倫計

Proceedings of 14th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.563 - 567, 2017/12

In order to realize a non-destructive and fast-response beam profile monitor for stable operation of the accelerators in the J-PARC, we have been developing a dense gas-sheet target with the aid of vacuum science and technology. After the study with the Monte Carlo simulations of transported molecules through some kinds of tubes, the deep slit is found to be effectual to make a gas sheet. In this report, the outline of the simulations will be shown, and the performances of the proto-type gas sheet generator will be presented through the demonstration experiments for the electron beam detection.

論文

J-PARC 3GeVシンクロトロンビームコリメータの故障原因究明作業

岡部 晃大; 山本 風海; 神谷 潤一郎; 高柳 智弘; 山本 昌亘; 吉本 政弘; 竹田 修*; 堀野 光喜*; 植野 智晶*; 柳橋 亨*; et al.

Proceedings of 14th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.853 - 857, 2017/12

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)には、ビーム損失を局所化し、機器の放射化を抑制するためにビームコリメータが設置されている。RCSにて加速中に広がったビームハローは、すべてコリメータ散乱体によって散乱され、吸収体部にて回収される。2016年4月のコリメータ保守作業時に吸収体部の1つで大規模な真空漏れが発生したため、代替の真空ダクトを設置することで応急的な対処を行い、ビーム利用運転を継続した。取り外したコリメータの故障原因を特定するためには、遮蔽体を解体し、駆動部分をあらわにする必要がある。しかし、故障したコリメータ吸収体部は機能上非常に高く放射化しており、ビームが直接当たる真空ダクト内コリメータ本体では40mSv/hという非常に高い表面線量が測定された。したがって、作業員の被ばく線量管理、及び被ばく線量の低減措置をしながら解体作業を行い、故障したコリメータ吸収体の真空リーク箇所の特定に成功した。本発表では、今回の一連の作業及び、コリメータの故障原因について報告する。

論文

Improvements of vacuum system in J-PARC 3 GeV synchrotron

神谷 潤一郎; 引地 裕輔*; 滑川 裕矢*; 武石 健一; 柳橋 亨*; 金正 倫計; 山本 風海

Proceedings of 8th International Particle Accelerator Conference (IPAC '17) (Internet), p.3408 - 3411, 2017/06

J-PARC RCSにおける真空システムは、システム完成以来、ビームロスの低減と装置の安定運転という加速器の高度化に寄与するべく、より良い質の真空および真空装置の安定性能の向上を目標に性能向上を進めてきた。真空の質の向上については、(1)H$$^{-}$$の想定外の荷電変換によるビームロスの低減を目的とした入射ビームラインの圧力の改善、(2)パルス磁場による発熱を原因とした真空ダクトの熱膨張によるリークへの対策、(3)放出ガス源であるキッカー電磁石のin-situでの脱ガスを行い、良好な結果を得た。真空装置の安定化については、(1)ゴム系真空シールによりリークを止めていた箇所を、低いばね定数のベローズと超軽量化クランプの開発により金属シールへ変更、(2)長尺ケーブル対応のターボ分子ポンプコントローラーの開発により、電気ノイズによるコントローラーのトラブルを撲滅、(3)複数台のターボ分子ポンプの増設による、システムの信頼性向上、を行ってきた。本発表では、このようなRCS真空システムの高度化について総括的に報告する。

論文

A Non-destructive profile monitor using a gas sheet

荻原 徳男; 引地 裕輔; 滑川 裕矢; 神谷 潤一郎; 金正 倫計; 畑中 吉治*; 嶋 達志*; 福田 光宏*

Proceedings of 7th International Particle Accelerator Conference (IPAC '16) (Internet), p.2102 - 2104, 2016/06

We are developing a dense gas-sheet target to realize a non-destructive and fast-response beam profile monitor for 3 GeV rapid cycling synchrotron (RCS) in the J-PARC. This time, to demonstrate the function of the gas sheet for measuring the 2 dimensional profiles of the accelerated beams, the following experiments were carried out: (1) The gas sheet with a thickness of 1.5 mm and the density of 2$$times$$10$$^{-4}$$ Pa was generated by the combination of the deep slit and the thin slit. Here, the gas sheet was produced by the deep slit, and the shape of the sheet was improved by the thin slit. (2) For the electron beam of 30 keV with a diameter greater than 0.35 mm, the position and the two-dimensional profiles were well measured using the gas sheet. (3) Then the profiles of the 400 MeV proton beam with a current of 1 $$mu$$A was well measured, too.

論文

ガスシートを用いた電子ビームの検出

荻原 徳男; 引地 裕輔; 神谷 潤一郎; 金正 倫計

Journal of the Vacuum Society of Japan, 59(4), p.79 - 82, 2016/04

In order to demonstrate the function of the gas sheet for measuring the 2 dimensional profiles of the accelerated beams, the following experiments were carried out: (1) The gas sheet with a thickness of 1.5 mm and the density of 2$$times$$10$$^{-4}$$ Pa was generated by the combination of the deep slit and the thin slit. Here, the gas sheet was produced by the deep slit, and the shape of the sheet was improved by the thin slit. (2) For the electron beam of 30 keV with a diameter greater than 0.35 mm, the position and the two-dimensional profiles were well measured using the gas sheet.

論文

Degassing of kicker magnet by in-situ bake-out method

神谷 潤一郎; 荻原 徳男; 引地 裕輔; 金正 倫計; 三木 信晴*; 柳橋 亨*

Proceedings of 6th International Particle Accelerator Conference (IPAC '15) (Internet), p.2911 - 2913, 2015/06

RCSキッカー電磁石はフェライト及びアルミ電極板等で構成されている。フェライトは多孔質の材料であり放出ガスが多く、アルミ電極板は超高真空対応の表面処理を行っているが、表面積が大きいので全放出ガス量が無視できない。このようなキッカー電磁石からの放出ガスはビームライン圧力の悪化に直結する。よって加速器を安定に運転するためには、キッカー電磁石の脱ガスを行うことが必須である。これまでわれわれは真空容器中の構造物を脱ガスする新しい方法として、ヒーターを真空容器内部へ導入し、熱源と真空容器の間を熱遮蔽することで、熱流量を構造物へ向けて構造物を昇温するという手法の研究開発を行ってきた。この手法を用いれば、真空容器を熱膨張させずに内部構造物を脱ガスできるため、キッカー電磁石をビームラインに設置された状態で(すなわちin-situで)昇温し、放出ガスを低減することが可能である。課題は保守性の良いヒーターの設計であった。今回、グラファイトをヒーター材料に選定することで、ポートから脱着できるようヒーターを小型化した。発表において、本ヒーターの設計思想について報告する。また、本ヒーターを用いて昇温試験及び脱ガス試験を行い、良好な温度分布を得、結果として放出ガスの低減に成功したので報告する。

論文

Titanium alloy as a potential low radioactivation vacuum material

神谷 潤一郎; 引地 裕輔; 金正 倫計; 荻原 徳男; 福田 光宏*; 濱谷 紀彰*; 畑中 吉治*; 鎌倉 恵太*; 高久 圭二*

Journal of Vacuum Science and Technology A, 33(3), p.031605_1 - 031605_8, 2015/05

 被引用回数:5 パーセンタイル:23.08(Materials Science, Coatings & Films)

高エネルギー粒子加速器や核融合装置における真空装置の特徴の一つはそれらが放射線環境下におかれるということである。これまで低放射化材料として、アルミ合金、純チタン材等が用いられてきた。それらは低放射化材料であるとともに真空特性も良好である。しかし両者とも機械強度は一般のステンレス鋼に対して劣る。そのためより機械強度の高い材料について低放射化真空材料としての可能性を調査することは有意義である。我々は低放射化真空材料としてチタン合金Ti-6Al-4Vを調査することとした。Ti-6Al-4Vはすぐれた機械強度をもつ材料であり、純チタンの利点であった低放射能や低ガス放出率が期待できる。我々は低放射化材料をJ-PARC RCSの真空装置に適用することを想定していることから、中間エネルギー(400MeV)の陽子ビームを照射しその残留線量を測定した。結果、Ti-6Al-4Vは純チタンにと同等な低放射化特性を示していることが分かった。さらに放出ガス速度も十分低く、真空材料としても適していることが分かった。本発表においてはそれらの結果をまとめて報告する。

論文

J-PARC RCSキッカー電磁石のin-situでの脱ガス

神谷 潤一郎; 荻原 徳男; 引地 裕輔; 柳橋 亨; 金正 倫計

Journal of the Vacuum Society of Japan, 58(4), p.134 - 139, 2015/04

真空容器中の構造物を脱ガスする際は、真空容器の大気側に設置したヒーターで真空容器を加熱し、容器からの輻射や伝導で構造物を昇温する手法が一般的である。しかしこの手法では真空容器の熱伸びが発生するため、適用できる環境が制限される。特に加速器では、真空容器が隣のビームラインと締結されているため、この手法がとれない場合がある。真空容器を加熱することなく、内部構造物のみを昇温することができれば、そのような問題は解決できる。そのためには、ヒーターを真空容器内部へ導入し、熱源と真空容器の間を熱遮蔽し、熱流量を構造物へ向ければよい。われわれはこのヒーター導入式の手法を、J-PARC RCSビーム出射用キッカー電磁石の脱ガスに適用した。キッカー電磁石はフェライトをコアとして用いている。フェライトは多孔質であり気孔に水が吸着するため放出ガスが多い。キッカー電磁石をビームラインに設置した状態で(すなわちin-situで)昇温し、フェライトや他の構成部品からの放出ガスを低減することが目的である。フェライトを100$$^{circ}$$C以上へ昇温すること、及び真空容器の温度上昇を30$$^{circ}$$C以下へ抑えることを目標としてヒーター導入式の脱ガス手法の開発を行った。まず、原理実験を行い、本手法で真空内のキッカー電磁石を昇温できることを確認した。その後、実機への適応を見据え、ヒーターの選択、昇温試験を行ったので報告する。

論文

Development of a turbo-molecular pump with a magnetic shield function

荻原 徳男; 柳橋 亨; 引地 裕輔; 西川 雅章; 神谷 潤一郎; 和田 薫*

Vacuum, 98, p.18 - 21, 2013/12

 被引用回数:6 パーセンタイル:30.83(Materials Science, Multidisciplinary)

In order to safely use turbo-molecular pumps (TMPs) in a magnetic field, it is necessary to reduce the eddy current induced on the rotating rotor. Usually, a magnetic shield facility is added to a normal TMP available in the market. In this study, we have developed a TMP with a magnetic shield function by replacing the housing materials with a ferromagnetic substrate, SUS430. Before and after machining, SUS430 was vacuum-fired at 700$$^{circ}$$C for 10 h in order to have good vacuum quality and to recover high magnetic permeability. The magnetic shield efficiency of a housing made of SUS430 was examined. When the vertical magnetic field of 0.009 T was applied, the field inside of the TMP was reduced to less than 0.0003 T. We then confirmed that the developed TMP shows a good performance in achieving an ultrahigh vacuum in magnetic fields of up to 0.009 T.

論文

Vacuum chamber made of soft magnetic material with high permeability

神谷 潤一郎; 荻原 徳男; 西川 雅章; 引地 裕輔; 柳橋 亨; 金正 倫計

Vacuum, 98, p.12 - 17, 2013/12

 被引用回数:9 パーセンタイル:38.1(Materials Science, Multidisciplinary)

ビームパワーの大強度化が進む粒子加速器や、核融合における一つの課題は不必要な磁場をいかにして遮蔽し、安定したビーム軌道を得られるかということである。ビームに対して不必要な磁場を最も効果的に遮蔽をすることは、最もビームに近い場所でビームの周りを磁性材料で完全に覆うことである。ビームの存在する真空容器を磁性材料化することが、完全な磁場遮蔽であるといえる。われわれは、現在漏洩磁場によりビーム軌道に影響がでているJ-PARC 3GeVシンクロトロン出射部の真空容器に対し、磁性材料化を適用することとした。しかしながら、磁気性能及び真空性能を併せ持つ真空容器の実績はない。そこで必要な磁気性能及び真空性能を満たすための課題を洗い出し、それらに対し実測に基づき検証を行った。その結果、磁気遮蔽性能及び真空性能の非常に優れた強磁性体材料製真空容器を開発することに成功したので報告する。本開発結果により、ビームを安定な軌道で運転でき、ビームロスを低減することが期待されるため、加速器をより安定に運転することが可能となる。

論文

J-PARC 3GeVシンクロトンにおけるキッカー電磁石フェライトコアの脱ガス処理

荻原 徳男; 菅沼 和明; 引地 裕輔; 西川 雅章; 柳橋 亨; 神谷 潤一郎; 金正 倫計

Journal of the Vacuum Society of Japan, 56(5), p.159 - 162, 2013/05

Kicker magnets are used to kick out the accelerated beam to the transport lines in the RCS of the J-PARC. A high voltage is applied to kickers for a short period, so they must be installed in a vacuum to prevent discharge. Therefore, it is important to reduce the outgassing of water vapor from the ferrite cores. This time, we have decided to construct the reserve magnets with very low outgassing at high-voltage discharge. First of all, the thermal desorption behavior of the ferrite was investigated by thermal desorption spectroscopy (TDS). TDS spectra show two peaks of water vapor: at 150$$^{circ}$$C and 300$$^{circ}$$C. Carbon dioxide is rather largely emitted with the peak around 275$$^{circ}$$C and then decreases with the temperature. From these results, the ferrite cores were vacuum-fired at 450$$^{circ}$$C for 48 h. Then the good properties for the magnetic cores were confirmed. And now the performances of the kicker magnet are examined.

論文

Status of the vacuum system in J-PARC RCS

神谷 潤一郎; 荻原 徳男; 西川 雅章; 引地 裕輔; 柳橋 亨; 金正 倫計

Proceedings of 3rd International Particle Accelerator Conference (IPAC '12) (Internet), p.2522 - 2524, 2012/05

加速器において、ビームと真空の相互作用はビームラインの圧力上昇という形で観測される。J-PARC 3GeVシンクロトロンでは、ビームパワー300kWというかつてない大強度ビーム運転を行い、陽子ビームと真空の相互作用が観測され始めている。これまで、圧力上昇の原因は、(1)高エネルギービームによる真空壁表面からの気体の脱離、(2)残留ガスがビームとの散乱により作られるイオン(or電子)による真空壁表面からの気体の脱離、(3)化学反応による真空壁表面からの気体の脱離、等が考えられてきた。今回の報告では、ビームロスとの相関,長期ビーム運転による圧力上昇の変化等を調べることでこれらの原因を探ることを目的とする。また、2011年3月の東日本大震災時の真空システムの挙動,被害状況,復旧方法、その後の真空システム状況についても合わせて報告する。

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