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新井 太貴*; 吉越 章隆; 本橋 光也*
材料の科学と工学, 60(5), p.153 - 158, 2023/10
現在、Si酸化膜は絶縁材料として電子デバイスや生体材料に広く利用されている。この膜の原子結合状態は、各デバイスの特性に影響を与えるため、特に膜のSiとOの化学結合状態の理解と制御が必要となる。本研究では、極低濃度のHF水溶液を用いた陽極酸化によってSi基板表面に形成されるSi酸化膜をX線光電子分光によって分析した。Si2pおよびF1sスペクトルを中心に調べた。HF濃度がppmオーダであるにもかかわらず、膜表面にパーセントオーダのFを含んでいることがわかった。膜中にSi-FやSi-O-F結合が形成されたことを示唆する結果である。また、FとOの深さ分布が異なることから、FとOで表面反応プロセスが異なることが推論された。
新井 知大*; 村田 歩*; 渡邊 雄一*; 石原 敏裕*; 深水 良哉*; 武田 聡司*; 江端 清和*; 渡邊 裕貴; 高島 良生*; 金子 順一*
Journal of X-Ray Science and Technology, 31(2), p.237 - 245, 2023/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Instruments & Instrumentation)診療放射線技師は、放射線に関する専門的な教育を受けており、医療領域における放射線業務に従事するとともに、患者が抱える放射線被ばくに関する不安の軽減に努めるリスクコミュニケーターとしての役割も担っている。また、2011年3月の福島第一原子力発電所事故の際、避難者の体表面及び携行物品の放射性物質の汚染検査要員として、全国各地域の診療放射線技師が派遣された。本研究では、国立病院機構に所属する診療放射線技師を対象として放射線災害に関する知識及び意識に関する実態調査を実施することにより、放射線災害に関する診療放射線技師のリテラシー及びコンピテンシーを明らかにした。また、日本の診療放射線技師の放射線災害に関する知識及び意識を、原子力発電所の立地地域(隣接地域含む)と非立地地域で比較し、放射線災害に対応可能な診療放射線技師の人材育成の在り方について検討した。
辻 英樹*; 石井 弓美子*; Shin, M.*; 谷口 圭輔*; 新井 宏受*; 栗原 モモ*; 保高 徹生*; 倉元 隆之*; 中西 貴宏; Lee, S*; et al.
Science of the Total Environment, 697, p.134093_1 - 134093_11, 2019/12
被引用回数:17 パーセンタイル:59.38(Environmental Sciences)福島第一原子力発電所事故の影響を受けた河川の溶存態放射性セシウム濃度の制御要因を明らかにするため、東日本66箇所の河川で調査を行った。溶存態Cs濃度について流域の平均Cs沈着量・土地利用・土壌組成・地形・水質との関連性を評価した結果、地形的な湿潤指標(TWI)が有意に正の相関を示した。ヨーロッパの河川でも同様の相関が認められるが、日本の河川では湿地帯ではなく市街地が溶存態Cs濃度に強く影響していた。
伊藤 由太*; Schury, P.*; 和田 道治*; 新井 郁也*; 羽場 宏光*; 平山 賀一*; 石澤 倫*; 加治 大哉*; 木村 創大*; 小浦 寛之; et al.
Physical Review Letters, 120(15), p.152501_1 - 152501_6, 2018/04
被引用回数:60 パーセンタイル:93.36(Physics, Multidisciplinary)冷たい核融合反応および熱い融合反応によって生成した変形閉殻中性子数152の近傍に位置する原子核Es, Fm、および超フェルミウム原子核Md, Noの質量の直接測定を、多反射時間飛行質量分析装置(MR-TOF)を用いて実施した。EsおよびMdの質量測定は世界で初めての成果である。さらにMdの質量を崩壊連鎖のアンカーポイントとして用いてBhおよびMtまでの重い原子核の質量を決定した。これらの新測定された質量を理論質量計算と比較し、巨視的・微視的模型の予測値と良い一致が見られることを示した。近接する3つの質量値から求められる経験的殻ギャップエネルギーを今回の質量値から求め、MdおよびLrに対する変形閉殻中性子数の存在を裏付ける結果を得た。
Schury, P.*; 和田 道治*; 伊藤 由太*; 加治 大哉*; 新井 郁也*; MacCormick, M.*; Murray, I.*; 羽場 宏光*; Jeong, S.*; 木村 創大*; et al.
Physical Review C, 95(1), p.011305_1 - 011305_6, 2017/01
被引用回数:48 パーセンタイル:96.07(Physics, Nuclear)多反射時間飛行質量分析装置を理化学研究所設置の気体充填型反跳分離装置-II型(GARIS-II)と連結したガスセルに配置し、崩壊連鎖を伴う重原子核の質量の直接測定を実施した。融合-蒸発反応で生成された原子核をGARIS-IIを用いて分離し、ヘリウムガスセルで止めて目的の原子核を捕集した。本実験でFr-Rn-At-Po, Fr-Rn-At-Po-Bi及びFr-Rn-Atの3つの同重体鎖の時間飛行スペクトルが観測された。その結果、Fr, Rn、そしてAtの原子質量値が精密に決定された、今回の解析において、Bi, Po, Rn、そしてAtの同定は10個以下という少量のイオン数でなされた。この成果は 次のステップとして実施する予定である(生成量が極少量の)超重元素イオンの質量分析につながる成果となる。
鈴木 貞明; 柳生 純一; 正木 圭; 西山 友和; 中村 誠俊; 佐伯 寿; 星 亮; 澤井 弘明; 長谷川 浩一; 新井 貴; et al.
NIFS-MEMO-67, p.266 - 271, 2014/02
日本原子力研究開発機構は、核融合エネルギーの早期実現に向けた幅広いアプローチ(BA)活動の一環として、日欧共同で実施されるサテライト・トカマク計画において超伝導トカマク装置(JT-60SA)の建設を行う。JT-60SAは、限られた空間に多くの主要機器を高精度で組み立てるため、3次元CADを用いた模擬計測を行うことにより、組立に必要となる機器の代表点を確認し、組立の成立性を検証するとともに3次元計測器(レーザートラッカー)を用いた位置計測方法を検討した。本講演では、JT-60SA組立の中で最も重要となるTFコイルの位置計測方法を含めた組立方法について述べる。
柴沼 清; 新井 貴; 長谷川 浩一; 星 亮; 神谷 宏治; 川島 寿人; 久保 博孝; 正木 圭; 佐伯 寿; 櫻井 真治; et al.
Fusion Engineering and Design, 88(6-8), p.705 - 710, 2013/10
被引用回数:10 パーセンタイル:61.16(Nuclear Science & Technology)The JT-60SA project is conducted under the BA satellite tokamak programme by EU and Japan, and the Japanese national programme. The project mission is to contribute to early realization of fusion energy by supporting ITER and by complementing ITER with resolving key physics and engineering issues for DEMO reactors. In this paper, the assembly of major tokamak components such as VV and TFC is mainly described. An assembly frame (with the dedicated cranes), which is located around the tokamak, is adopted to carry out the assembly of major tokamak components in the torus hall independently of the facility cranes for preparations such as pre-assembly in the assembly hall. The assembly frame also provides assembly tools and jigs to support temporarily the components as well as to adjust the components in final positions.
篠原 武尚; 酒井 健二; 大井 元貴; 甲斐 哲也; 原田 正英; 及川 健一; 前川 藤夫; 鈴木 淳市; 奥 隆之; 高田 慎一; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 651(1), p.121 - 125, 2011/09
被引用回数:27 パーセンタイル:87.94(Instruments & Instrumentation)中性子を用いたイメージング法は、中性子の特徴である高い物質透過性能や軽元素に対する感度の高さを利用し、他の放射線では困難な大型試料や水素系の材料の内部の情報を得ることができる優れた研究手法である。特に、中性子は磁気モーメントを持つため、磁場環境下での中性子磁気モーメントのラーモア歳差運動を偏極度変化として位置ごとに検出することにより、空間や物質中の磁場を可視化することができる。本研究では、パルス中性子の飛行時間分析法を用いて偏極度変化の中性子波長依存性を高精度に測定することにより、磁場強度の定量的な議論が可能となることを原理実証を行うため、物質生命科学実験施設のBL10ビームラインにおいて実験を行った。小型のソレノイド透過後の偏極度変化の波長依存性を解析した結果、ソレノイド内部に発生する磁場の可視化に成功し、その強度を見積もることができた。この結果から、偏極パルス中性子を用いた磁場イメージング法により磁場強度の定量化が可能であることが示された。
Adare, A.*; Afanasiev, S.*; Aidala, C.*; Ajitanand, N. N.*; 秋葉 康之*; Al-Bataineh, H.*; Alexander, J.*; 青木 和也*; Aphecetche, L.*; Armendariz, R.*; et al.
Physical Review C, 83(6), p.064903_1 - 064903_29, 2011/06
被引用回数:184 パーセンタイル:99.44(Physics, Nuclear)200GeVと62.4GeVでの陽子陽子の中心衝突からのの横運動量分布及び収量をRHICのPHENIX実験によって測定した。それぞれエネルギーでの逆スロープパラメーター、平均横運動量及び単位rapidityあたりの収量を求め、異なるエネルギーでの他の測定結果と比較する。またやスケーリングのようなスケーリングについて示して陽子陽子衝突における粒子生成メカニズムについて議論する。さらに測定したスペクトルを二次の摂動QCDの計算と比較する。
Adare, A.*; Afanasiev, S.*; Aidala, C.*; Ajitanand, N. N.*; 秋葉 康之*; Al-Bataineh, H.*; Alexander, J.*; 青木 和也*; Aphecetche, L.*; Aramaki, Y.*; et al.
Physical Review C, 83(4), p.044912_1 - 044912_16, 2011/04
被引用回数:8 パーセンタイル:49.7(Physics, Nuclear)重いフレーバーのメソンの崩壊からの電子の測定は、このメソンの収量が金金衝突では陽子陽子に比べて抑制されていることを示している。われわれはこの研究をさらに進めて二つの粒子の相関、つまり重いフレーバーメソンの崩壊からの電子と、もう一つの重いフレーバーメソンあるいはジェットの破片からの荷電ハドロン、の相関を調べた。この測定は重いクォークとクォークグルオン物質の相互作用についてのより詳しい情報を与えるものである。われわれは特に金金衝突では陽子陽子に比べて反対側のジェットの形と収量が変化していることを見いだした。
梶本 亮一; 中島 健次; 河村 聖子; 稲村 泰弘; 加倉井 和久; 新井 正敏; 外園 貴久*; 大園 怜*; 奥田 哲治*
Journal of the Physical Society of Japan, 79(12), p.123705_1 - 123705_4, 2010/12
被引用回数:21 パーセンタイル:71.8(Physics, Multidisciplinary)We have studied magnetic excitations in quasi two-dimensional triangular lattice antiferromagnets CuCrO and CuAgCrO by inelastic neutron scattering. CuCrO has two types of magnetic excitations: the one is highly dispersive, while the other is less dispersive and spreads over a wide range. With increasing the temperature, the weight of the latter component transfers to a lower energy, and the spin dynamics becomes a mixture of disordered spin wave and another diffusive component. The Ag doping induces similar spin dynamics even at 5 K. This manifests the impact of the Ag doping on the magnetic correlations and gives a clue to understand the unconventional spin state in the Ag doped CuCrO.
柴沼 清; 新井 貴; 川島 寿人; 星野 克道; 星 亮; 小林 薫; 澤井 弘明; 正木 圭; 櫻井 真治; 芝間 祐介; et al.
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.9, p.276 - 281, 2010/08
JT-60SAは日本とEU間の共同プロジェクト(幅広いアプローチ)の中のサテライトトカマクプロジェクトとして合意されたものであり、現在その設計と製作が精力的に進められている。JT-60SAの組立はプロジェクトを推進するうえで最も重要な課題である。JT-60SAは、真空容器,超伝導コイル(TFコイル, EFコイル, CSコイル),ダイバータなどの容器内機器,サーマルシールド,クライオスタットなどの主要機器から構成される。これらの機器を効率よく組み立てるために、トカマク本体室に組立専用のクレーン付き組立架台を設置することで、建家内クレーンとの作業分担を行う。本論文では、JT-60SASの主要機器である真空容器とTFコイルを中心に組立シナリオ及び組立シーケンスの検討、これらの作業を可能とするための専用組立冶具の概念設計について述べる。
林 孝夫; 神永 敦嗣; 新井 貴; 佐藤 正泰
Fusion Engineering and Design, 84(2-6), p.908 - 910, 2009/06
被引用回数:3 パーセンタイル:24.52(Nuclear Science & Technology)高分解能質量分析装置を用いて、JT-60U残留ガスの質量分析を行い、ヘリウムグロー放電洗浄(He-GDC)の効果を調べた。質量分析の分解能が高くDとHeの弁別が可能な質量分析装置を今回新たに導入した。He-GDCの開始後、Dガスの分圧が上昇し、最大分圧(3.810Pa)に到達した。これはHe-GDC開始前(3.510Pa)の約十倍の圧力であった。7時間のHe-GDC中に放出されたDガスの量は、4Pa mであった。He-GDC終了後、Dガスの分圧はHe-GDCの前よりも下がり、He-GDC(7時間)+約7時間経過後には5.710Paに到達した。これらの結果からHe-GDCがプラズマ対向機器の重水素除去に有効であることがわかった。
信太 祐二*; 新井 貴; 柳生 純一; 正木 圭; 佐藤 正泰; 田辺 哲朗*; 山内 有二*; 日野 友明*
Journal of Nuclear Materials, 390-391, p.643 - 646, 2009/06
被引用回数:5 パーセンタイル:35.97(Materials Science, Multidisciplinary)本研究では、JT-60の放電実験に曝された第一壁タイルを取り出し、タイル表面及び側面の重水素(D)及び軽水素(H)蓄積量を2次イオン質量分析法,昇温脱離法を用いて評価した。分析したタイルは外側ミッドプレーンと内側第一壁のタイルである。側面のギャップ間隔が広くなるとボロン(B)堆積量とD+H蓄積量が増える傾向にあった。D濃度はBとともに増加していたことから、DとBが同時期に蓄積されたものと考えられる。Bの堆積は、ボロニゼーション時の堆積と、主放電時にタイル表面で損耗されたBのギャップへの再堆積の可能性が考えられる。D+H蓄積量は側面上側の方が多かったが、上下でそれほど大きな差はなく、側面の下側へもかなり蓄積することがわかった。内側第一壁タイルの側面(ギャップ間隔20mm)には厚い(10m)炭素堆積層が確認された。イオンはギャップの底には到達できないので、炭化水素のような中性の粒子が堆積したものと考えられる。本研究で調べたギャップ側面のDのリテンションは1e22mのオーダーであった。放電時間あたりの蓄積速度はダイバータ部よりも一桁程度小さいが、第一壁全体のリテンションは非常に大きくなる可能性があることを示唆している。
上田 良夫*; 福本 正勝*; 渡邊 淳*; 大塚 裕介*; 新井 貴; 朝倉 伸幸; 信太 祐二*; 佐藤 正泰; 仲野 友英; 柳生 純一; et al.
Proceedings of 22nd IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2008) (CD-ROM), 8 Pages, 2008/10
JT-60Uの外側ダイバータから放出されたタングステンの再堆積分布を調べた。今回初めて中性子放射化分析法を用い厚い炭素たい積層に含まれるタングステンの面密度を正確に測定した。タングステンの堆積は内側ダイバータ及びドームタイルの外側に多く見られた。トロイダル方向にはタングステンタイルが設置した場所に非常に局在した分布であった。
三代 康彦; 柳生 純一; 西山 友和; 本田 正男; 市毛 尚志; 神永 敦嗣; 笹島 唯之; 新井 貴; 逆井 章
Fusion Engineering and Design, 83(2-3), p.337 - 340, 2008/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)JT-60本体制御設備は、JT-60の主要な構造物,付属設備の健全な運転を維持することを主な目的としている。各設備の運転状態をグラフィックパネル,計器,レコーダーと画面表示により情報をオペレーターに提供し、実験運転中において異常時には、実験シーケンスの停止コマンドを全系制御設備に出力する。その機能構成は、機器の起動・停止,警報及び保護回路をハードワイヤード回路で行う「シーケンス制御」,計装信号及び詳細な装置の運転状態を計算機で処理する「CAMACシステム」及び運転監視上必要とされる計装信号を光伝送し中央制御盤に指示・記録する「多重信号処理回路(STU)」から成る。一方、JT-60本体装置は、製造から20年以上経過し老朽化が進んでおり、特にトロイダル磁場コイル(TFC)の冷却配管の不具合が起きている。これに対処するため、光ファイバー温度測定器を用いてコイル内部の温度管理を行うシステムを増設した。これにより、TFCの健全な運転を保持している。さらに、全系制御設備と本システムをLANで接続し、温度データによる冷却所要時間の算出とインターロック動作で、運転に対する信頼性と運転効率の向上を図った。
廣木 成治; 丹澤 貞光; 新井 貴; 阿部 哲也
Fusion Engineering and Design, 83(1), p.72 - 78, 2008/01
被引用回数:5 パーセンタイル:35.07(Nuclear Science & Technology)核融合炉の真空容器内水冷配管において冷却水を循環させたまま水リーク探知が可能な技術として、クリプトン(Kr)を水溶解トレーサーに用いる方法を提案した。試験を進めるにあたっては国際熱核融合炉(ITER)への適用を想定し、ITERの運転条件を勘案して10Pa-m/sレベルの水リークバルブを試作した。また、同バルブの高圧側を水ループ回路に、低圧側をクライオポンプで排気する真空容器に接続し、水リーク箇所を通して真空中に流入するKrを四極子質量分析計で検出した。そして、同バルブを1m間隔で2箇所に取り付けた試験体を30Cに加熱しながら試験を行ったところ、/=84のピーク電流の時間変化において、水リークに起因する2箇所の明瞭なピーク電流増加分を確認することができた。このとき、2箇所のピーク電流変化開始時の時間差は39秒だった。一方、簡易モデルで試験体の30C加熱に伴う自然対流の影響を考慮して流水の到達距離の経過時間依存性を計算したところ、1m間隔での時間差は44.6秒となり、計算値基準で測定値の位置検出精度として12.6%となった。本提案による水リーク探知技術の実証試験により、同技術はITER条件でも十分使用可能な見通しが得られた。
正木 圭; 田辺 哲朗*; 広畑 優子*; 大矢 恭久*; 柴原 孝宏*; 林 孝夫; 杉山 一慶*; 新井 貴; 奥野 健二*; 宮 直之
Nuclear Fusion, 47(11), p.1577 - 1582, 2007/11
被引用回数:14 パーセンタイル:45.18(Physics, Fluids & Plasmas)本研究では、炉内の水素同位体残留量の定量評価及び残留過程を明らかにすることを目的として、従来のダイバータ領域に加え、第一壁及びプラズマから影の部分における炭素の損耗/再堆積分布及び水素同位体蓄積分布を評価した。真空容器内全体でプラズマ対向壁を観察した結果、おもに外側ダイバータ及び上部第一壁が損耗領域であり、内側ダイバータ及び内側第一壁が堆積領域であった。トロイダル方向の対称性を仮定したダイバータ領域全体の損耗/再堆積量は損耗量0.34kg、再堆積量(ダスト含む)0.55kgであり、この差0.21kgが第一壁領域の損耗が寄与していると考えられる。また、最も厚い再堆積層(内側ダイバータ)に蓄積された水素同位体蓄積濃度を評価した結果、(H+D)/C0.02であった。真空容器ベーキング温度を150Cに下げた運転後、プラズマから影の部分であるダイバータ下部を調べた結果、約2mの堆積層があり(H+D)/Cが約0.8と高いことがわかった。しかし、この領域における炭素堆積率は、810 atoms/sとタイル表面の炭素堆積率(610 atoms/s)と比較すると約一桁小さい値であった。
芝間 祐介; 新井 貴; 三代 康彦; 沢井 友次; 櫻井 真治; 正木 圭; 鈴木 優; 實川 資朗; 宮 直之
Fusion Engineering and Design, 82(15-24), p.2462 - 2470, 2007/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)臨界プラズマ試験装置JT-60におけるトロイダル磁場のリップル低減に用いるフェライト鋼製タイルの構造設計と機械及び真空特性について報告する。8Cr-2W-0.2V系フェライト鋼板を製造し、機械特性,真空特性を評価することにより設計条件の妥当性を確認した。引張強度は、耐力,強度ともに室温において偏差の少ないことを確認した。また、運転温度である15C, 300Cにおいて十分な強度を有することを確認した。200Cに昇温後の真空特性を評価した。その結果、市販のステンレス鋼と同程度の真空特性を有するものの、JT-60の真空容器内材料の基準値をわずかに上回ることがわかった。しかし、実際の運転温度は300Cであること,残留放出ガスが燃料である水素であることを考慮すると、容器内への適用が可能であると判断した。
大矢 恭久*; 広畑 優子*; 中畑 俊彦*; 須田 泰市*; 吉田 雅史*; 新井 貴; 正木 圭; 奥野 健二*; 田辺 哲朗*
Fusion Science and Technology, 52(3), p.554 - 558, 2007/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)JT-60Uで用いられた第一壁グラファイトタイル表面の水素同位体蓄積挙動を評価するために、SEM, TDS, XPS及びSIMSを用いて、主要なタイルの堆積・損耗分布及び水素同位体蓄積量を調べた。その結果、第一壁上側は厚いボロン膜に覆われていた。一方、第一壁下側ではボロンと炭素の混合膜が形成していた。ポロイダル方向の重水素分布は比較的均一であることがわかったが、TDSによる重水素脱離挙動はタイルの位置により大きく異なっていた。第一壁上側では厚いボロン膜に覆われており、重水素TDSスペクトルは第一壁下側のボロン濃度が低い膜中の重水素脱離温度と比べて低い温度で放出ピークが観測された。また、第一壁タイルにおけるD/H比はダイバータタイルで測定されたD/H比よりも明らかに大きく、第一壁へのNBIによる高エネルギーの重水素の打ち込みによる影響が考えられた。さらに、ダイバータと比較して第一壁では放電実験中の温度が573Kと低いため、打ち込まれた重水素の脱離が少なく、D/H比が高くなったと推察された。