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大石 大輔*; 早川 弘毅*; 赤浜 裕士*; 池田 直*; 神戸 高志*; 松尾 祥史*; 君塚 昇*; 狩野 旬*; 吉井 賢資
Ferroelectrics, 415(1), p.51 - 56, 2011/10
被引用回数:5 パーセンタイル:25.35(Materials Science, Multidisciplinary)電子強誘電体LuFeOの酸素欠損が少ない単結晶に対し、外部磁場下での交流誘電率測定を行った。150K-300Kの範囲において、磁場印加により1パーセントほど誘電率が変化することが観測された。これは磁性と誘電性の結合を示す結果であり、応用的にも興味深い。磁場をスイープさせたところ、誘電率変化は磁化の磁場微分が最大となる磁場の付近で最も大きくなった。これは、誘電ドメインが磁気ドメインの動きに影響されることを意味する。この結果は、磁場による鉄スピンの再配列が鉄イオン間の電子移動に影響したため誘電性が変化したことによると考察した。
神戸 高志*; 小松 拓磨*; 道内 尊正*; 早川 弘毅*; 大石 大輔*; 花咲 徳亮*; 吉井 賢資; 池田 直*
Journal of Physics; Conference Series, 200, p.012077_1 - 012077_4, 2010/02
被引用回数:4 パーセンタイル:80.4(Materials Science, Multidisciplinary)電荷秩序を起源として強誘電体となる鉄酸化物LuFeOについて、外部磁場下において誘電率測定を行い、電気磁気効果を観測した。330K以下の三次元鉄電荷秩序を持つ強誘電相において、本系の誘電応答は外部磁場に強く依存して変化することがわかった。外部磁場依存性は、磁気転移温度(240K)近傍において増強されることも見いだした。これは誘電性と磁性の相関が存在することを強く示唆する。また、本測定から観測された、磁気転移温度以上の電気磁気効果と、試料の酸素量などについての関係も報告し、観測された電気磁気効果の起源などについて議論する。
米田 安宏; 齋藤 寛之; 吉井 賢資; 西田 貴司*; 早川 弘毅*; 池田 直*
Key Engineering Materials, 421-422, p.30 - 33, 2010/00
高温高圧合成によってBi(MgTi)Oを作製した。常圧合成ではBiO, TiOとMgOの混合粉体を固相反応法によって焼結してもペロブスカイト構造のサンプルは得られない。常圧合成では層状ビスマス化合物の方が安定だからである。高圧合成によって得られたBi(MgTi)Oは若干の不純物が存在するもののrhombohedral構造を示していた。不純物の影響でleakyなD-Eループしか得ることができなかったが、今後、純度が向上すれば非鉛圧電体の有力なエンドメンバーとなることが期待できる。
早川 弘毅*; 森本 昌規*; 池田 直*; 米田 安宏; 小原 真司*; 吉井 賢資; 松尾 祥史*; 道内 尊正*; 森 茂生*
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 34(1), p.51 - 54, 2009/05
最近われわれは、LuFeOが、鉄3d電子の局在化により強誘電性を示す新規なタイプの強誘電体であると報告したが、この物質の詳細な性質はいまだわかっていないことが多い。このことを鑑み、本研究では、LuFeOに対し高エネルギー放射光X線を用いた局所構造解析を行った。Pair-distribution functionに対するフィッティングの結果、強誘電相における局所構造は、これまで報告されている結晶構造とは異なり、ルテチウム原子が変位した構造を持っていることがわかった。このことは、この物質の結晶構造を再検討する必要性を示す。また、局所構造解析の結果を誘電率測定・磁化測定や電子線回折などから得られた結果とあわせて議論し、LuFeOの性質を明らかにすることを試みる。
米田 安宏; 吉井 賢資; 早川 弘毅*; 池田 直*
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 34(1), p.15 - 18, 2009/03
巨大誘電率を示す立方晶系のペロブスカイト酸化物CaCuTiO(CCTO)はその起源はまだ明らかにはなっていない。またCCTOは誘電率にグレインサイズ依存性があると言われており、誘電率の異なるサンプルの局所構造を比較することによって巨大誘電率の起源を明らかにすることを試みた。誘電率の小さなサンプルに関しては平均構造解析で得られたパラメータによって局所構造が再現できるため、平均構造と局所構造との差がほとんどないことがわかった。一方、誘電率の大きなサンプルでは、平均構造には変化はなく誘電率の小さなサンプルと同じ結晶構造であった。しかし局所構造には平均構造からややずれた構造があり、強誘電体におけるドメイン構造のようなモデルが適用できる。しかし、CCTOは強誘電体ではないため、このようなドメインは酸素欠損によって生じたアンチフェーズバウンダリーと考えられる。このような異相が存在すると電気伝導度の違いから巨大な誘電率が観測される(Maxwell-Wagner効果)。これがCCTOの巨大誘電率の起源と推定される。
道内 尊正*; 横田 祐輔*; 小松 拓磨*; 早川 弘毅*; 黒田 朋子*; 真栄田 大介*; 松尾 祥史*; 森 茂生*; 吉井 賢資; 花咲 徳亮*; et al.
Ferroelectrics, 378(1), p.175 - 180, 2009/00
被引用回数:18 パーセンタイル:59.66(Materials Science, Multidisciplinary)鉄イオンの電荷秩序により強誘電体となる標記物質LuFeOにつき、合成条件を変えることにより酸素量を変えた試料に対する磁性と誘電性について報告する。試料作成はCO-CO混合ガスフロー中で行い、COとCOの比を変えることで酸素量を変えた。CO:COのフロー比が1:5付近において、磁気転移温度が最高の240250K近傍となったことから、この試料が最良のものと判断される。本試料の誘電率は、室温で10000近傍であった。誘電率の虚数部分から求めた活性化エネルギー0.40.5eV程度であり、これまでLuFeOにおいて報告されていた0.3eVよりも大きい傾向が見られた。今後さらに測定を行い、物性の詳細のわかっていないLuFeOの性質とその起源を明らかにする予定である。
米田 安宏; 吉井 賢資; 早川 弘毅*; 青柳 倫太郎*; 池田 直*
no journal, ,
CaCuTiO(CCTO)は発見された当初は巨大な誘電率を持つ材料として注目されていたが、近年はこの誘電率に関しては否定的な見解がなされている。誘電率測定の結果から、緩和モードが電気的に不均一で単純なモデルでは理解できないため、グレイン境界とグレイン内部の不均一性が原因でないかという仮説がある。この仮説を直接的に可視化するためにPair-distribution function (PDF)解析を行った。その結果、CCTOの持つリジッドな長距離秩序からして巨大な誘電率は期待できないことがわかった。また、グレインサイズの異なるサンプルを用いてPDF解析を行ったところ、異なる局所構造が得られた。このことから構造解析によっても外部要因が支配的なMaxwell-Wagnerタイプの誘電率発生機構が巨大誘電率の起源であることがわかった。
安居院 あかね; 水牧 仁一朗*; 河村 直己*; 黒田 朋子*; 早川 弘毅*; 真栄田 大介*; 道内 尊正*; 池田 直*
no journal, ,
これまでLuFeOのFe K吸収端励起のKb1,3発光線を測定し3d-3p電子間の交換相互作用によりスペクトルに反映される3d電子の状態について入射方向依存性を観測した。これまでに報告しているFe La,b軟X線発光分光の結果と合わせて報告する。
小松 拓磨*; 神戸 高志*; 道内 尊正*; 早川 弘毅*; 大石 大輔*; 花咲 徳亮*; 池田 直*; 吉井 賢資
no journal, ,
LuFeOは、鉄電荷が実空間において秩序化することによって強誘電性を発現する、新しいカテゴリーの強誘電体である。本発表では、この物質における磁場下の誘電特性を測定した。電荷秩序転移及び磁気転移近傍において、磁場の大きさに依存する誘電率の変化を見いだしたので報告する。この結果は、この物質における誘電性が磁場などの外部パラメータでコントロールできることを示しており、基礎応用両面から興味深い。
池田 直*; 神戸 高志*; 小松 拓磨*; 道内 尊正*; 早川 弘毅*; 花咲 徳亮*; 吉井 賢資; 松尾 祥史*; 森 茂生*
no journal, ,
われわれが放射光などを用いて最近発見した、新しいタイプの標記強誘電体について解説する。通常の強誘電体では、正と負のイオン位置の重心がずれることにより電気双極子を生み出し、それが強誘電性の起源となることはよく知られている。一方、標記物質では、三角格子上の2+と3+の鉄イオンが特殊な配列構造をすることで電気双極子を発生し、それが強誘電性の起源となることがわかった。本発表では、この系の交流誘電率・分極測定・磁化測定などの結果について紹介し、新規強誘電体の興味深い性質について、基礎・応用両面から解説する。
松尾 祥史*; 森 茂生*; 吉井 賢資; 早川 弘毅*; 池田 直*
no journal, ,
RFeO(R:希土類)は、三角格子上で鉄イオンが整列することで強誘電性を発現する。本研究では、この物質の鉄イオンの半分を他のイオンで置換した標記物質について、その局所構造を電子線回折によって調べた。室温での回折実験からは、基本反射のほかに散漫散乱が観測された。考えられるモデルを用いた計算により、鉄及びコバルト(あるいは銅)イオンが三角錘構造を持つ4点クラスターを形成していることが示唆され、これが室温で10-1000程度の誘電率の起源であると考えられる。
久保田 正人*; 早川 弘毅*; 大石 大輔*; 赤浜 祐士*; 吉井 賢資; 神戸 高志*; 池田 直*
no journal, ,
フォトンファクトリーの放射光を用いて、LuFeOの電荷秩序状態の研究を行った。この系は、鉄イオンの3d電子が実空間上で特殊な配列をすることで強誘電性を発現する新規な強誘電物質であるが、電荷秩序状態の詳細と本質については不明な点が多い。本研究では単結晶試料を用い、鉄のK,L吸収端近傍において、試料に電流を流しながら室温近傍でX線回折実験を行った。電流密度及び電流方向などのパラメータを変化させることで、電荷秩序状態が変化したり消失したりする様子が観測された。現在解析を行っており、この系の強誘電性の起源である電荷秩序状態についての詳細を議論する予定である。
早川 弘毅*; 久保田 正人*; 大石 大輔*; 赤浜 祐士*; 松尾 祥史*; 池田 直*; 神戸 高志*; 君塚 昇*; 吉井 賢資
no journal, ,
標記物質は、鉄イオンの電荷秩序によって330K以下で強誘電性を示す、新しいタイプの強誘電体である。本研究では、電荷秩序状態の詳細を調べるために、外部電場による電荷秩序状態の変化を、物性測定及び高エネルギー加速器研究機構の放射光を用いて調べた結果を報告する。試料に電場を印加すると、小さい電場の時には鉄電荷秩序のため電流は流れず抵抗は大きいが、ある閾値を超えると電流が急激に流れ抵抗が減少することが観測された。放射光を用いた軟X線回折からは、低電場ではc軸2倍周期の超格子が観測されるが、閾値以上の電場ではc軸方向の長周期構造は消失した。これらの結果は、LuFeOの電荷秩序の起源にかかわる情報を含むと考えられるが、現在解析中であり、詳細は当日報告する。
大石 大輔*; 早川 弘毅*; 赤浜 祐士*; 船江 岳史*; 松尾 祥史*; 池田 直*; 神戸 高志*; 君塚 昇*; 吉井 賢資
no journal, ,
鉄電荷秩序由来の強誘電性を示す標記酸化物について単結晶を育成し、マルチフェロイック特性と磁性の詳細を調べた。磁化測定から、磁気転移温度は240-250Kであった。また、磁場下における誘電率を測定したところ、良質な単結晶では室温で数十パーセント程度のマルチフェロイック特性(磁気誘電効果)が観測された。詳細な磁気測定からは、磁気転移温度以下で、複数の磁気秩序相が現れる磁気相図が得られた。これらの結果は、この系の持つスピン及び電荷フラストレーション等の特徴の表れと考えられる。