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望月 出海*; 有賀 寛子*; 深谷 有喜; 和田 健*; 前川 雅樹*; 河裾 厚男*; 設楽 哲夫*; 朝倉 清高*; 兵頭 俊夫*
表面科学, 37(9), p.451 - 456, 2016/09
本論文では、30年間構造が確定しなかった、触媒の担体として知られるルチル型の二酸化チタン表面の構造解析について報告する。全反射高速陽電子回折(TRHEPD)を用いて、陽電子の回折スポット強度の視射角依存性の測定および、動力学的回折理論に基づく強度解析を行った。その結果、最近Wangらが理論的に提唱した構造モデルを用いると実験結果をよく説明できることがわかった。
望月 出海*; 有賀 寛子*; 深谷 有喜; 和田 健*; 前川 雅樹; 河裾 厚男; 設楽 哲夫*; 朝倉 清高*; 兵頭 俊夫*
Physical Chemistry Chemical Physics, 18(10), p.7085 - 7092, 2016/03
被引用回数:18 パーセンタイル:62.79(Chemistry, Physical)本研究では、全反射高速陽電子回折(TRHEPD)法を用いて、30年来議論が続くルチル型の二酸化チタン表面の原子配置を決定した。陽電子の反射強度の入射角依存性を測定し、様々な構造モデルを仮定した計算結果との比較を行った。構造解析の結果、OnishiとIwasawaが提唱した構造モデルに最表面の酸素原子の非対称性を取り入れることにより、実験結果をよく説明できることがわかった。
望月 出海*; 有賀 寛子*; 深谷 有喜; 和田 健*; 兵頭 俊夫*; 朝倉 清高*; 前川 雅樹; 河裾 厚男
no journal, ,
ルチル型TiO(110)表面は、原子スケールで均一平坦な表面が容易に得られるため、金属酸化物の触媒反応過程を調べるためのモデルケースとして最もよく研究されている。また、触媒活性をもつナノ粒子の担体としても用いられ、触媒反応の分子・原子レベル解明が進められる。一方、TiO(110)表面構造は超高真空下でアニールすると(12)周期構造に転移する。STM, LEED, 表面X線回折, DFT計算から多数の構造モデルが提案されており、未だ決着していない。そこで本研究は、最表面構造解析に特化した反射高速陽電子回折(RHEPD)法を用いて、RHEPDロッキング曲線を測定し、動力学的回折理論に基づいた構造解析からTiO(110)表面の原子配置の決定を試みた。これまで提案されているさまざまな構造モデルを用いて、ロッキング曲線を計算したところ、TiOモデルのみが実験結果を非常によく再現できることがわかった。今後、デバイ温度などのパラメータを最適化する必要があるものの、RHEPDロッキング曲線の解析から、Onishiらが提唱したTiOモデルによってTiO(110)-(12)表面の原子配置を説明できることがわかった。
望月 出海*; 有賀 寛子*; 深谷 有喜; 和田 健*; 兵頭 俊夫*; 朝倉 清高*; 前川 雅樹; 河裾 厚男
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反射高速陽電子回折(RHEPD)は反射高速電子回折(RHEED)の陽電子版である。電子の場合とは異なり、陽電子の結晶ポテンシャルは正であるため、ある臨界角以下で入射した陽電子は全反射される。したがって回折ビームは、バルクとは分離された結晶表面の原子のみの情報を反映する。この特徴により、RHEPDは結晶表面の最上層に敏感な手法となる。最近我々は、高エネルギー加速器研究機構(KEK)低速陽電子実験施設(SPF)にて、電子線形加速器(linac)ベースの高強度陽電子ビームを用いた新たなRHEPD装置を開発した。輝度増強ユニットを導入した結果、全反射条件下での結晶表面からの鮮明な陽電子回折(全反射陽電子回折: TPRD)パターンを観測することに成功した。本研究では、新たに開発したRHEPD装置を用いて、ルチル型TiO(110)表面の原子配置を調べた。この表面では、1100K以上でのアニールにより()から()へ周期構造が変化することが知られているが、詳細な原子配置は不明である。この原子配置を解明するために、我々はRHEPDのロッキング曲線を測定し、動力学的回折理論に基づく強度解析から、最表面の原子配置を決定した。
望月 出海*; 有賀 寛子*; 深谷 有喜; 和田 健*; 兵頭 俊夫*; 朝倉 清高*; 前川 雅樹; 河裾 厚男
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反射高速陽電子回折(RHEPD)は、反射高速電子回折(RHEED)の陽電子版であり、きわめて表面敏感な手法である。電子の場合とは異なり、陽電子の結晶ポテンシャルは正であるため、ある臨界角以下の視射角で入射した陽電子は全反射される。この特徴により、RHEPD法は結晶表面の最上層に非常に敏感な手法となる。最近、高エネルギー加速器研究機構低速陽電子実験施設にて、電子線形加速器ベースの高強度陽電子ビームを用いた新たなRHEPD装置を開発した。輝度増強ユニットを導入し、全反射条件下の結晶表面からの鮮明な回折パターンの観測に成功した。本研究では、この新たな装置を用い、Ge(001)-Ptとルチル型のTiO(110)表面の原子配置と表面相転移について研究した。相転移温度前後でRHEPDのロッキング曲線を測定し、動力学的回折理論に基づく強度解析から、それぞれの表面での原子配置を決定した。
望月 出海*; 有賀 寛子*; 深谷 有喜; 和田 健*; 兵頭 俊夫*; 朝倉 清高*; 前川 雅樹; 河裾 厚男
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ルチル型のTiO(110)表面は、金属酸化物の触媒反応過程を調べるモデルケースとして精力的に調べられている。また触媒活性を持つナノ粒子の担体として用いられ、触媒反応の原子・分子レベルの解明が進められている。TiO(110)表面を超高真空下アニールすると()周期構造が現れる。その表面構造については様々な表面研究手法を用いて多数のモデルが提案されているが、未だ決着していない。本研究は、最表面構造解析に有力な手法である反射高速陽電子回折(RHEPD)を用いて、TiO(110)-()表面の構造決定を試みた。これまで提案されている構造モデルを仮定してロッキング曲線を計算したところ、TiOモデルの結果は実験結果を再現できるが、その他の構造モデルを用いた場合、信頼度因子の値が約5倍以上大きいことが分かった。したがって、RHEPDによる構造解析の結果は、Onishiらが提唱したTiOモデルと矛盾しない。
望月 出海*; 有賀 寛子*; 深谷 有喜; 和田 健*; 兵頭 俊夫*; 朝倉 清高*; 前川 雅樹; 河裾 厚男
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ルチル型TiO(110)表面は、超高真空下でアニールすると()周期構造に転移することが知られており、STM、LEED、SXRD、DFT計算から多くの構造モデルが提案されているが、未だ決着には至っていない。そこで本研究では、反射高速陽電子回折(RHEPD)法を用いて、TiO(110)-()表面の構造決定を試みた。これまでに提案されている構造モデルを用いて計算したロッキング曲線と、室温で測定した曲線を比較したところ、TiOモデルのみが実験結果を非常に良く再現できることが分かった。したがって、RHEPDロッキング曲線の解析結果は、Onishiらが提唱したTiOモデルによって説明できる。
望月 出海*; 有賀 寛子*; 深谷 有喜; 和田 健*; 兵頭 俊夫*; 朝倉 清高*; 前川 雅樹; 河裾 厚男
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反射高速陽電子回折(RHEPD)は、反射高速電子回折(RHEED)の陽電子版である。陽電子の結晶ポテンシャルは、電子とは逆の正である。そのため、ある臨界角以下で入射した陽電子ビームは結晶表面で全反射される。この特徴により、RHEPDは結晶表面の最上層に非常に敏感な手法となる。最近我々は、高エネルギー加速器研究機構(KEK)低速陽電子実験施設(SPF)の電子線形加速器ベースの高強度陽電子ビームラインにおいて、新たなRHEPD装置を開発した。本研究では、新たに開発したRHEPD装置を用いて、ルチル型TiO(110)表面の原子配置を調べた。これまでに提唱されている様々な構造モデルを用いて、動力学的回折理論に基づく強度計算との比較を行った。その結果、Onishiらが提唱したTiOモデルを用いると、RHEPDの実験結果を説明できることが分かった。
望月 出海*; 有賀 寛子*; 深谷 有喜; 和田 健*; 兵頭 俊夫*; 設楽 哲夫*; 朝倉 清高*; 前川 雅樹; 河裾 厚男
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ルチル型TiO(110)単結晶表面は、金属酸化物の触媒反応過程を調べるうえでの標準物質として知られ、最も広く研究されている表面の一つである。最安定面である(11)表面を超高真空下でアニールすると(12)周期構造が現れる。走査型トンネル顕微鏡、低速電子線回折、表面X線回折実験、第一原理計算などを用いた研究から多数の構造モデルが提案されているものの、その表面原子配置は未だに決定していない。そこで本研究は、最表面の構造解析に特化した全反射高速陽電子回折(TRHEPD)法を用いて、TiO(110)-(12)表面の構造決定を試みた。これまで提案されている様々な構造モデルを用いてロッキング曲線を計算したところ、TiOモデルのみが実験結果を再現でき、R因子も最小値(1.5%)となった。したがって、この構造解析の結果は、大西らが提唱したTiOモデルを支持できる。
望月 出海*; 有賀 寛子*; 深谷 有喜; 和田 健*; 兵頭 俊夫*; 設楽 哲夫*; 朝倉 清高*; 前川 雅樹; 河裾 厚男
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ルチル型TiO(110)単結晶表面は、金属酸化物の触媒反応過程を調べる際の標準物質として扱われ、最も広く研究されている。また原子スケールで均一平坦な表面を容易に得られるため、触媒活性を持つナノ粒子の担体として用いられ、触媒反応を、表面科学的手法を駆使して原子・分子レベルから規定して解明する研究が進められている。一方で、その最安定面である(11)表面を超高真空下でアニールすると(12)周期構造が現れる。その表面原子配置については、走査型トンネル顕微鏡、低速電子線回折、表面X線回折実験、第一原理計算などから多数の構造モデルが提案されており、20年来の研究にも拘らず、未だ決着していない。そこで本研究は、最表面の構造解析に特化した全反射高速陽電子回折(TRHEPD)法を用いて、TiO(110)-(12)表面の構造決定を試みた。これまで提案されている構造モデル(Missing-Row(MR), Added-Row(AR), TiO, TiO)に対して計算したロッキング曲線と、実験から取得したロッキング曲線を比較した。MR, AR, TiOモデルは実験結果を再現できず、TiOモデルのみ結果を上手く再現でき、R因子も最小値となった。構造解析の結果は、大西らが提唱したTiOモデルを支持する。
望月 出海*; 有賀 寛子*; 深谷 有喜; 和田 健*; 朝倉 清高*; 前川 雅樹; 河裾 厚男; 設楽 哲夫*; 兵頭 俊夫*
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最近、高エネルギー加速器研究機構低速陽電子実験施設において、電子線形加速器ベースの高強度陽電子ビームを用いた新たな全反射高速陽電子回折(TRHEPD)装置を開発した。本研究では、この装置を用い、Ge(001)表面上に形成したPt原子吸着誘起ナノワイヤーの原子配置を調べた。動力学的回折理論に基づく回折強度解析から、理論的に提唱されていた構造モデルのうちの一つがナノワイヤーの基底構造であることを確かめた。我々は同様にして、ルチル型TiO(110)表面の原子配置も調べた。この表面の構造は、1100K以上の加熱により、()から()構造へその周期性が変化することが知られている。走査型トンネル顕微鏡、低速電子回折、表面X線回折、第一原理計算などを用い、様々な構造モデルが提唱されているが、現状では統一的な見解には至っていない。この問題を解決するために、我々はTRHEPDロッキング曲線を測定し、最表面の原子配置を決定した。
望月 出海*; 有賀 寛子*; 深谷 有喜; 和田 健*; 朝倉 清高*; 前川 雅樹; 河裾 厚男; 設楽 哲夫*; 兵頭 俊夫*
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最近、高エネルギー加速器研究機構低速陽電子実験施設において、電子線形加速器ベースの全反射高速陽電子回折(TRHEPD)装置を開発した。本研究では、Ge(001)表面上に形成したPt原子吸着誘起ナノワイヤーとルチル型TiO(110)表面の原子配置の結果について報告する。これまで、Ge(001)-()-Pt表面の原子配置として、いくつかの異なった構造モデルが報告されていた。我々は、動力学的回折理論に基づくロッキング曲線解析から、理論計算により得られていた構造モデルのうちの一つがナノワイヤーの基底構造であることを確かめた。ルチル型TiO(110)表面は、1100K以上で加熱することにより、()から()構造へ表面の周期性が変化することが知られているが、後者の原子配置はまだ明らかになっていない。現状では、走査型トンネル顕微鏡, 低速電子回折, 表面X線回折, 第一原理計算などを用い様々な構造モデルが提唱されているものの、統一的な見解には至っていない。この問題を解決するために、我々はTRHEPDロッキング曲線を測定し、結晶表面の原子配置を決定した。