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岩村 公道; 大久保 努; 村尾 良夫; 末村 高幸*; 平賀 富士夫*
Journal of Nuclear Science and Technology, 28(1), p.45 - 58, 1991/01
原研では、燃料の有効利用を目的として、平二重炉心型高転換軽水炉(HCLWR)を開発中である。本炉の運転時及び事故時DNBR特性を調べるため、実験的及び解析研究を実施した。原研及びBettis原子力研究所で実施した三角配列、密格子体系でのCHF実験データにより相関式を評価した結果、KfK相関式がデータとの一致が最も良好であった。Bettisの実験データとKfK相関式による予測値を比較した結果、最小DNBR(MDNBR)として、1.28を得た。一次冷却材ポンプトリップ事故及びポンプ軸固着事故を対象としたシステム解析には、J-TRACコードを使用し、局所流動条件及び表面熱流束の計算には、サブチャンネル解析コードCOBRA-IV-1を用いた。解析の結果、定常運転条件下では十分な安全余裕が確保され、事故条件下においても最小DNBRの評価値はMDNBR基準値を上回ることが分かった。すなわち、HCLWRの現状設計は、MDNBR基準の観点からは実現可能である。
大久保 努; 岩村 公道; 末村 高幸*; 平賀 富士夫*; 村尾 良夫
6th Proc. of Nuclear Thermal Hydraulics, p.79 - 86, 1990/11
原研で提案している扁平二重炉心型高転換軽水炉の熱水力設計の一環として事故解析を実施した。そのなかから、大破断LOCAとATWSの結果をまとめた。大破断LOCA解析は、37本模擬燃料棒テスト部を用いた実験及びJ-TRACコードを用いた計算により行なった。再冠水実験により、広い条件範囲に渡って炉心冷却が達成される事を確認した。また、上の炉心のクエンチが下の炉心のそれと同時に進行して炉心冷却を促進する事が明らかになった。一方、J-TRACによる解析では、燃料棒表面の最高温度が1,172Kとなり、安全基準値にくらべ300K低い事が示された。また、外部電源喪失ATWSに対するJ-TRACによる解析では、一次系内の最高圧力が18.7MPaとなり、現行のPWRに対する許容最高圧力値である20.6MPaを越えないことが示された。これらの結果から、対象としている炉は、上述の事故事象に対して、現行の安全基準の下で十分成立可能であると考えられる。
大久保 努; 岩村 公道; 末村 高幸*; 平賀 富士夫*; 村尾 良夫
Transactions of the American Nuclear Society, 62, p.662 - 663, 1990/11
原研で提案している扁平二重炉心型高転換軽水炉の熱水力設計の一環として事故解析を実施した。そのなかから、大破断LOCAとATWSの結果をまとめた。大破断LOCA解析は、37本模擬燃料棒テスト部を用いた実験及びJ-TRACコードを用いた計算により行なった。再冠水実験により、広い条件範囲に渡って炉心冷却が達成される事を確認した。また、上の炉心のクエンチが下の炉心のそれと同時に進行して炉心冷却を促進する事が明らかになった。一方、J-TRACによる解析では、燃料棒表面の最高温度が1,172Kとなり、安全基準値にくらべ300K低い事が示された。また、外部電源喪失ATWSに対するJ-TRACによる解析では、一次系内の最高圧力が18.7MPaとなり、現行のPWRに対する許容最高圧力値である20.6MPaを越えないことが示された。これらの結果から、対象としている炉は、上述の事故事象に対して、現行の安全基準の下で十分成立可能であると考えられる。
平賀 富士夫*; 末村 高幸*; 岩村 公道; 大久保 努; 村尾 良夫
JAERI-M 90-085, 51 Pages, 1990/06
原研では、ウラン資源の有効利用を目的とした扁平二重炉心型高転換軽水炉(HCLWR)の研究を進めている。本研究では、本炉の熱水力学的成立性検討の一環として、最適評価コードJ-TRACにより、圧力容器底部計測配管破断(コードレグ流路面積の0.5%相当)を想定した小破断時LOCA解析を実施した。解析結果によれば、蓄圧注入系が間欠的に作動する現象が見られたが、炉心水位は次第に回復し、最終的には放出流量と安全注入系からの注水量がほぼバランスして、炉心の長期冷却は確保された。また、燃料被覆管最高温度は1265Kとなり、現行軽水炉の安全評価基準値1473Kを下回っている。炉心温度上昇の抑制には、軸方向ピーキングファクターが小さいこと、及び上部プレナム内保有水量が多いために炉心露出が遅れることが寄与している。以上の結果より、小破断の観点からは本炉は熱水力学的な成立性を有すると考えられている。
末村 高幸*; 岩村 公道; 大久保 努; 平賀 富士夫; 村尾 良夫
JAERI-M 90-047, 37 Pages, 1990/03
原研においては、ウラン資源の有効利用と共に安全性を向上させた扁平二重炉心型高転換軽水炉の研究が進められている。本炉を対象として、代表的な安全解析項目として大破断LOCA及び外部電源喪失ATWSの解析を実施した。評価コードとしては、最適予測コードJ-TRACを用いた。大破断LOCA解析における最高被覆管温度は899Cであり現行のPWR安全評価基準1200Cを十分に下回った。また、外部電源喪失ATWS解析では1次系(加圧器)最高圧力が18.7MPaと、これも現行PWR安全評価基準20.6MPaを十分下回った。以上の結果から本炉は熱水力学的に十分な成立性を持つことが明かとなった。
岩村 公道; 大久保 努; 末村 高幸*; 平賀 富士夫; 村尾 良夫
JAERI-M 90-044, 158 Pages, 1990/03
高転換軽水炉の熱水力学的成立性研究の一環として、4本または7本ロッドからなる三角配列稠密格子バンドルでの定常及び流量低下非定常時の限界熱流束(CHF)実験を実施した。テスト部形状は、ロッド外径9.5mm、P/D:1.21.126、発熱長さ:0.5~1.0mである。定常実験条件の範囲は、圧力:1.03.9MPa、質量速度:460~4270kg/s・m、出口クオリティ:0.020.35である。サブチャンネル解析コードCOBRA-IV-1により求めた局所流動条件をCHF相関式の評価に用いた結果、定常CHFデータに関してはKfK相関式が20%以内で一致した。一方、WSC-2、EPRI-B&W、EPRI-Columbia及びKattoの相関式については、データとの一致は良好ではなかった。流量低下時には、流速減少率が6%/s以下では、過渡時と定常時のDNB発生条件に差は認められなかったが、流速減少率がさらに大きくなると、定常実験から予測されるDNB発生条件に達するよりも速くDNBに至る傾向が認められた。
岩村 公道; 末村 高幸*; 大久保 努; 平賀 富士夫; 村尾 良夫
JAERI-M 90-043, 70 Pages, 1990/03
原研においては、ウラン資源の有効利用と共に安全性を向上させた扁平二重炉心型高転換軽水炉の研究が進められている。本炉を対象として、定常運転時、一次冷却材ポンプトリップ事故時及び一次冷却材ポンプ軸固着事故時のDNB解析を実施した。事故時の一次系システムの過渡解析には、最適評価コードJ-TRACを用い、DNBRの評価には、COBRA-IV-1サブチャンネル解析コードと組み合わせたKfKの限界熱流束(CHF)相関式を使用した。本相関式は、原研で実施した小規模CHF実験データ及びBettis原子力研究所の20本ロッドCHF実験データを用いて検証した。本炉の最小DNBR評価値は、定常運転条件下で1.66、ポンプトリップ事故時には1.56、軸固着事故時には1.34となり、いずれもKfK相関式を用いた場合のDNBR制限値を上回っている。以上の結果より、本炉はDNBR制限上の立場からは成立性に関する重大な支障はなく、実現可能なことが明らかとなった。
岩村 公道; 大久保 努; 村尾 良夫; 末村 高幸*
Thermal Hydraulics of Advanced Nuclear Reactors, p.31 - 38, 1990/00
原研では、燃料の有効利用を目的として、扁平二重炉心型高転換軽水炉(HCLWR)を開発中である。本炉は、P/Dが1.23で高さ60cmの扁平炉心を中間ブランケットを介して二段に重ねたもので、上部及び下部にもブランケットを有す。本炉の熱水力学的成立性を調べるため実験的及び解析的研究を実施した。まず、限界熱流束、圧力損失、及び再冠水炉心冷却の実験を実施し、本炉の熱水力特性評価手法を検証した。次に運転時の熱水力特性を評価した結果、本炉は現行軽水炉の最小DNBR基準を満足し、集合体圧力損失も現行軽水炉以下であることがわかった。また、最適評価コードJ-TRAC、KfKのCHF相関式と組合わせたサブチャンネル解析コードCOBRA-IV-1等を用いて、大破断LOCA、一次冷却水ポンプ軸固着事故、及び外電喪失ATWSの解析を実施した。解析結果より、いずれの事故の場合も、本炉は現行軽水炉の安全基準を満足することが分かった。
岩村 公道; 大久保 努; 末村 高幸*; 平賀 富士夫; 村尾 良夫
JAERI-M 89-127, 47 Pages, 1989/09
本研究ではバンドル体系でのCHF予測精度の向上のため、二相流条件下での流体混合促進効果について考察する。まず、二相流条件下でのサブチャンネル間流体混合に関する文献調査を行った結果、流体混合量は流動様式に対応しており、気泡流ではボイド率と共に増加し、スラグ/チャーン流でピークに達し、環状流になれば減少する傾向が認められた。次に、実験データに基づいて、ボイド率の関数として混合係数を表現し、この関係をCOBRA-IV-Iサブチャンネル解析コードに組み込んだ。本コードを用いて沸騰二相流混合実験の解析を行い、エンタルピー分布について比較的よい一致を得た。二相流混合モデルとKfKのCHF相関式を高ボイド率条件下での実験解析に用いた結果、混合係数が一定の場合に比較してCHFの予測値は約5%増加した。定常時における二相流体混合を考慮した場合の安全余裕は、CHF相関式の予測精度の範囲内と評価された。