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東郷 洋子*; 高橋 嘉夫*; 天野 由記; 松崎 浩之*; 鈴木 庸平*; 寺田 靖子*; 村松 康行*; 伊藤 一誠*; 岩月 輝希
Geochimica et Cosmochimica Acta, 191, p.165 - 186, 2016/10
被引用回数:25 パーセンタイル:73.46(Geochemistry & Geophysics)ヨウ素の地層中での移行挙動を理解するうえで、化学状態(価数及び局所構造・結合状態)を把握することは重要である。ヨウ素は環境中で一般的には陰イオンの形態を取りやすく、地層への収着性が低い元素であるとともに、陰イオンの他にさまざまな化学形態をとり、各形態で挙動が異なるため、移行挙動の予測は極めて難しい。そこで、本研究では固液両相の化学形態を分析し、表層土壌圏及び地下岩石圏でのヨウ素の挙動解明を試みた。その結果、有機物が熟成される過程でヨウ素イオンが地下水中に溶出されることが示唆された。また、表層で有機態として固相へ分配されたヨウ素は、深層で無機態となって液相へと溶出するが、一部は有機ヨウ素として固相に残ることが明らかとなった。
碩 みはる*; 及川 純一*; 田口 太郎*; 大貫 敏彦; 村松 康行*; 坂本 一憲*; 天知 誠吾*
Environmental Science & Technology, 47(1), p.390 - 397, 2013/01
被引用回数:43 パーセンタイル:75.55(Engineering, Environmental)微生物が生産する酵素ラッカーゼが、土壌中を移行しやすいことで知られるヨウ化物イオンを酸化して土壌有機物に取り込み、安定化させることを明らかにした。
鈴木 崇史; 村松 康行*
Radioisotopes, 54, p.51 - 53, 2005/00
加速器質量分析装置(AMS)の発達により極低レベルのIが測定可能となり、さまざまな分野にAMSを利用した応用研究が行われるようになった。本論文ではAMSを利用した最新の研究をレビューした。ここでは、環境科学,トレーサー利用や年代測定のツールとしてIを利用した研究例を取り上げたが、ヨウ素は環境中でさまざまな化学形を取り複雑な挙動をすることを考えると、Iを利用した地球環境科学分野の研究はますます注目されそうである。
嶋本 洋子*; 高橋 嘉夫*; 天野 由記; 松崎 浩之*; 村松 康行*; 岩月 輝希
no journal, ,
放射性ヨウ素が高濃度に含まれる放射性廃棄物は地層処分される予定であるため、地下環境でのヨウ素の移行挙動の理解は重要である。幌延地域は、地下深部に高ヨウ素濃度の地下水が存在しており、地層処分された放射性ヨウ素のナチュラルアナログ研究としては最適な場所である。本研究では、珪藻質-珪質泥岩中のヨウ素の移行挙動を理解するため、地下水及び岩石中のヨウ素の分布,化学形態,ヨウ素同位体比(I/I)の測定を行った。その結果、地下水中の塩素濃度は海水よりも低濃度であるが、ヨウ素は海水よりはるかに高濃度であり、続成過程で固相から溶出したと考えられる。また、ヨウ素同位体比は、間隙水よりも岩石から抽出したヨウ素の方がやや高い値であったため、地下水中のヨウ素は声問層よりは下位の層準から移動してきた可能性が高い。これらのことから、一度岩石中に有機態として蓄積していたヨウ素が続成過程で特に稚内層においてヨウ素イオンとして解離し、圧密によって上位の声問層まで移動した可能性が考えられた。
嶋本 洋子*; 高橋 嘉夫*; 天野 由記; 松崎 浩之*; 村松 康行*; 岩月 輝希
no journal, ,
幌延深地層研究センターで掘削されたボーリング孔から採取された地下水及び岩石を用いてヨウ素の化学形態及び同位体比に関する分析を行った。その結果、岩石中のヨウ素の濃度は、稚内層(珪質泥岩)と声問層(珪藻質泥岩)の境界付近で急激に濃度が低くなる傾向が見られた。化学形態分析を行った結果、地下水中のヨウ素はヨウ素イオンとして存在していた。また、ヨウ素のK-edge XANES分析結果から、302m(声問層)では無機ヨウ素有機ヨウ素、1008m(稚内層)では有機ヨウ素無機ヨウ素の傾向が見られた。地下水中の塩素濃度は海水よりも低濃度であるが、ヨウ素は海水よりはるかに高濃度であり、続成過程で固相から溶出したと考えられる。ヨウ素と塩素はよく相関し、地下水中のヨウ素同位体比はいずれの深度でも比較的一定であった。この結果は、幌延地域が隆起し天水の影響を受ける以前に、溶出したヨウ素が稚内層及び声問層の地下水中に比較的均一に分布し、その後塩素と同様に天水による希釈を受けたことによると考えられる。
東郷 洋子*; 高橋 嘉夫*; 天野 由記; 松崎 浩之*; 村松 康行*; 岩月 輝希
no journal, ,
I(半減期:1570万年)は、放射性廃棄物の地層処分の安全評価上重要な核種である。そのため、環境中でのヨウ素の挙動を定量的に予測することは、短期的にも長期的も非常に重要である。しかし、ヨウ素は環境中でさまざまな化学形態をとり、それぞれ挙動が異なるため、移行予測は極めて難しい。そこで、本研究では固液両相の化学形態を分析し、表層土壌圏及び地下岩石圏でのヨウ素の挙動解明を試みた。その結果、ヨウ素の見かけの分配係数は表層から深層にかけて100分の1程度低下していることが明らかとなった。また、表層で有機態として固相へ分配されたヨウ素は、深層で無機態となって液相へと溶出するが、一部は有機ヨウ素として固相に残ることが明らかとなった。
東郷 洋子*; 高橋 嘉夫*; 天野 由記; 松崎 浩之*; 鈴木 庸平*; 村松 康行*; 岩月 輝希
no journal, ,
Iは、半減期が長く(半減期:1570万年)、岩盤へ吸着しづらいため、地下水中の元素の移行挙動を把握するための有効なアナログ元素となり得る。しかし、ヨウ素は環境中でさまざまな化学形態をとり、それぞれ挙動が異なるため、移行予測は極めて難しい。本研究では、地下水中のヨウ素濃度が高い幌延地域において採取された試料の固液両相の化学形態を分析し、地下岩石圏でのヨウ素の挙動解明を試みた。その結果、地下水中のヨウ素はヨウ素イオンとして存在しており、ヨウ素同位体比はいずれの深度でも比較的一定で、岩石試料のヨウ素同位体比よりも低い値を示した。この結果は、幌延地域の地下環境が天水の影響を受ける以前に、溶出したヨウ素が稚内層及び声問層の地下水中に比較的均一に分布し、その後天水による希釈を受けたことに因ると考えられる。