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大久保 成彰; 若井 栄一; 松川 真吾*; 沢井 友次; 北澤 真一; 實川 資朗
Journal of Nuclear Materials, 367-370(1), p.107 - 111, 2007/08
被引用回数:6 パーセンタイル:42.5(Materials Science, Multidisciplinary)核融合中性子照射がもたらす核変換生成Heと弾き出し損傷の強度特性に与える影響を調べるために、B添加した鋼に核分裂炉照射を行う手法がしばしば用いられる。BをF82H鋼に添加すると、靭性が低下する場合があるが、BN化合物を形成するNを同時に添加(F82H+B+N)すること及び、熱処理条件の調整により、F82H鋼と同様な特性とすることができた。ここでは、JMTRやHFIRで計画中の中性子照射に先駆けて、F82H+B+N材(同位体調整した10B及び11Bも含む)の強度特性及びTIARA施設でのイオン照射による照射硬化を評価したので報告する。焼き戻し温度を変化させたときの降伏応力の変化は、10BN及び11BN添加材はともに未添加材と同様の変化を示した。Fe単独イオン照射及びFe/Heイオン同時照射による硬さ変化について線量依存性(10dpaまで)及び温度依存性(160590度)を調べた。その結果、F82H未添加材と同様の照射硬化を示した。以上のようにF82H+B+N材はF82Hと強度特性及び照射硬化挙動が同様であることから、核分裂炉照射によるHe 効果の評価精度向上が期待できる。
若井 栄一; 大塚 英男; 松川 真吾*; 安堂 正己; 實川 資朗
JAEA-Technology 2006-019, 58 Pages, 2006/03
放射性廃棄物量の低減と国際核融合材料照射施設(IFMIF)用コンポーネントの材料評価などのために、微小破壊靭性試験片を用いた強度特性評価及び、このための破壊靭性試験装置の開発を実施した。本報告書では、核融合炉用構造材料として開発したF82H鋼(Fe-8Cr-2W-0.1C系マルテンサイト鋼)を用いて、微小破壊靭性試験片作製法やこの微小試験片の靭性評価に及ぼす試験片サイズの効果、さらに、動的及び静的な試験方法による延性脆性遷移温度に関する研究成果と開発した試験装置の性能などをまとめたものである。また、これら微小破壊靭性試験片を用いて、2005年に約2dpaまでJMTR炉で中性子照射した試料リストを記載した。
若井 栄一; 大塚 英男*; 松川 真吾; 古谷 一幸*; 谷川 博康; 岡 桂一朗*; 大貫 惣明*; 山本 敏雄*; 高田 文樹; 實川 資朗
Fusion Engineering and Design, 81(8-14), p.1077 - 1084, 2006/02
被引用回数:11 パーセンタイル:60.27(Nuclear Science & Technology)微小試験片の試験技術は核融合炉材料の強度特性を調べるために発展しているが、これは特に、IFMIFでは照射スペースが小さくならざるを得ないことに由来している。本研究ではF82H鋼を用いて微小な曲げ試験片(ノッチ部に疲労予亀裂入)であるt/2の1/3PCCVN(pre-cracked Charpy V-Notch)とDFMB(deformation and fracture mini bend)を作製し、これらの曲げ試験片の靭性を評価するための新しい試験装置の開発について紹介する。本装置は約-180Cから300Cまでの範囲で、変位量を高精度に制御して試験できるように設計した。また、室温でこれらの試験片を用いて静的破壊靭性試験を行い、大きめのサイズを持つ0.18DCT試験片の試験結果との比較を行った。加えて、t/2-CVNと1/3CVN及びt/2-1/3CVN片を用いて、衝撃試験によって得られた吸収エネルギーの温度変化から延性脆性遷移温度(DBTT)を評価し、t/2-1/3CVNのDBTTは大きい試験片の場合より約30C低くなる結果を得た。他方、微小引張り試験やスモールパンチ試験による強度とDBTT等の評価も同様に進めた。
大久保 成彰; 若井 栄一; 松川 真吾; 谷川 博康; 沢井 友次; 實川 資朗; 大貫 惣明*
Materials Transactions, 46(8), p.1779 - 1782, 2005/08
被引用回数:1 パーセンタイル:16.27(Materials Science, Multidisciplinary)核融合中性子照射がもたらす核変換生成Heと弾き出し損傷の影響を調べるために、B添加した鋼に核分裂炉照射を行う手法がしばしば用いられる。BをF82H鋼に添加すると、靭性が低下する場合があるが、BN化合物を形成するNを同時に添加(F82H+B+N)すること及び、熱処理条件の調整により、Bを添加しない場合と同様な特性とすることができた(前報)。ここでは、F82H+B+N材の引張特性,シャルピー衝撃特性、さらにイオン照射による硬化挙動について報告する。なお、照射硬化の評価には極微小硬さ試験機を用いた。シャルピー試験による延性-脆性遷移温度は、焼き戻し温度が750C(30分)の場合、F82H鋼と同等で約-100Cであったが、焼き戻し温度を低くすると約50C上昇した。このとき、降伏応力も増加を示した。イオン照射による硬さ変化は、この損傷領域では焼き戻し温度によらずほぼ一定であり、これはF82H鋼の場合と同様である。以上のように、F82H+B+N材では、B単独添加やNi添加鋼の場合のような照射による顕著な硬化はみられなかったことから、核分裂炉照射によるHe効果の評価精度向上が期待できる。
大久保 成彰; 若井 栄一; 松川 真吾*; 古谷 一幸; 谷川 博康; 實川 資朗
Materials Transactions, 46(2), p.193 - 195, 2005/02
被引用回数:1 パーセンタイル:16.27(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉構造材料の第一候補材であるF82H鋼において核変換生成物であるHe原子の影響を評価することは重要である。HFIRやJMTR炉でこの影響を評価するための模擬試験材としてF82H鋼にB単独及びB+Nを同時添加した試料を作製した。無添加材と比較して、B単独添加材の靭性は低下したが、B+N同時添加材では低下しなかった。今回は、BとNの添加による靭性の変化と微細組織,結晶(旧オーステナイト)粒径及びB等の元素分布との相関関係を調べた。結晶粒径及び微細組織を評価するために組織観察及びTEM観察を行った。また、B等の元素分布を調べるためにTOF-SIMSによる面分析を行った。光学顕微鏡観察の結果、結晶粒径はB単独添加により増大したが、B+N同時添加では無添加材と同等であった。TEM観察の結果、B添加材中の炭化物のサイズは、他の試料より大きかった。SIMS測定の結果、B添加材では粒界への顕著な局在化が生じ、B+N同時添加によりこの局在化は抑えられる傾向を示した。以上の結果から、B添加材のDBTT上昇の原因は、Bの局在化及び炭化物の粗大化によるものと考えられる。B+N同時添加によりBは均一に分散したことから、中性子場の模擬試験材として使用可能である。
田口 富嗣; 實川 資朗; 佐藤 道隆*; 松川 真吾*; 若井 栄一; 芝 清之
Journal of Nuclear Materials, 335(3), p.457 - 461, 2004/12
被引用回数:11 パーセンタイル:58.51(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉用構造材料の候補材料である、F82H鋼及び2%Ni添加F82H鋼の照射後引張試験を室温で行った。F82H及び2%Ni添加F82Hは、米国オークリッジ国立研究所のHFIR炉において、300Cで最大20dpaまで照射された。引張試験中、継続して試料のネッキング部分の画像をビデオカメラで記録した。これら画像及び荷重変位曲線から、試料の真応力-真歪曲線を求め、中性子照射による試料の硬化挙動を評価した。その結果、欠陥導入型の硬化が照射によりおもに生じたが、300Cで照射されたF82Hにおいては、同じflow stressレベルでは、歪硬化に対して強く影響を及ぼさないことを明らかにした。しかしながら、2%添加F82Hでは、照射が歪硬化に強く影響を及ぼすことがわかった。
安堂 正己; 若井 栄一; 沢井 友次; 松川 真吾; 内藤 明*; 實川 資朗; 岡 桂一朗*; 田中 典幸*; 大貫 惣明*
JAERI-Review 2004-025, TIARA Annual Report 2003, p.159 - 161, 2004/11
ブランケット構造材料の候補材料である低放射化フェライト鋼では、照射による靭性の低下(延性脆性遷移温度の上昇)が重要な課題となっている。本研究では、低放射化フェライト鋼F82Hに対して、照射硬化が、靭性の低下と大きな関連を有することに着目し、特にヘリウムによる硬化促進及び高照射量での硬化挙動について、TIARAによる多重ビーム照射を用いて調べた。まずヘリウムがない場合における、照射硬化の照射量依存性を調べた結果、633Kにおいては、30dpaまで硬化は増加する傾向にあるが、それ以上の照射量においては飽和傾向を示すことが明らかとなった。さらに同照射温度にて、ヘリウムが照射硬化の促進に及ぼす影響について、ヘリウム注入比を10/100appmとしてそれぞれ比較した結果、1000appmを超えるとわずかな硬化の促進が見られるが、約3300appm(ヘリウム注入条件100appmHe/dpa)の場合においては、20%程度の硬化量の促進が生じることがわかった。
若井 栄一; 松川 真吾; 山本 敏雄*; 加藤 佳明; 高田 文樹; 杉本 昌義; 實川 資朗
Materials Transactions, 45(8), p.2641 - 2643, 2004/08
被引用回数:6 パーセンタイル:41.12(Materials Science, Multidisciplinary)JMTR炉で300C, 2.3dpaまで中性子照射したF82H鋼の引張り特性に関する破断と硬化の挙動に及ぼすHeの効果を調べた。本研究では材料中にHeを生成させるためにアイソトープ調整したボロンを添加させ、中性子照射中にHe量を約5から330appmまで発生させた。照射後、室温にて引張り試験を行い、破断面をSEMで観察した。その結果、He生成量の増加に伴って硬化量がやや増加したが、絞りは減少傾向にあった。この絞りと破断時の強度から近似的に算出した破断応力は材料中に生成したHe量の増加に伴って減少することがわかった。他方、ボロンと窒素を微量添加したF82H鋼(Fe-8Cr-2W-0.1C-0.3V-0.04Ta)の引張り特性とシャルピー衝撃特性の試験片サイズ効果を調べた。引張り試験には標準的サイズのJIS 14A(平行部径6mm,平行部長さ33mm)と小型サイズのSS-J3(平行部1.2mm0.77mm,平行部長さ5mm)を用い、シャルピー衝撃試験には標準の1/2t-CVNと小型の1/2t-1/3CVNを用いて評価した。その結果、引張り特性に関しては試験片の小型化による影響はほとんどなかったが、衝撃特性では試験片の小型化によって、破断面の単位面積あたりの吸収エネルギーが低下しただけでなく、DBTT(延性脆性遷移温度)が約12C低下することがわかった。
若井 栄一; 安堂 正己; 松川 真吾*; 山本 敏雄; 高田 文樹
no journal, ,
微小試験片の試験技術(SSTT)は、IFMIF(国際核融合炉材料照射施設)においてDEMO炉用構造材料の設計評価データを取得するために必要なものである。本研究で開発した微小試験片用破壊靭性試験装置は、-190Cから300Cまでの温度範囲において3点曲げ試料の変位量を1m以下で正確に制御できる良好な性能を持つものである。また、本装置を用いて照射した低放射化フェライト鋼(F82H鋼)の破壊靭性挙動を解析した結果、照射によって最大破壊応力の増加が生じることを明らかにした。また、250Cで2dpaまで中性子照射したF82H鋼とF82H+11B+N鋼の延性脆性遷移温度(DBTT)の挙動を解析した結果、後者の鋼の方が照射によるDBTTの変化量が大幅に低下することがわかった。