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三浦 孝之*; 桑野 壽*; 菊地 賢司
鉄と鋼, 87(2), p.31 - 36, 2001/02
原子力発電プラントで使用されるオーステナイトとフェライトが共存する2相ステンレス鋼は、オーステナイト鋼でよく起こる応力腐食割れによるき裂の進展を抑止し、かつ強度と溶接性の向上をもたらすと考えられた。ただ、プラント寿命延長に伴う機械的強度の劣化が注目され、その指標としてメスバウアー分光法によるフィライトの2相分離率が有効であることがわかった。相分離したCrリッチ相の体積分率を内部磁場の変化としてメスバウア法で推定し、さらにその場観察による機械的試験を実施し、時効により脆化したこの材料の破壊の起点を見つけることを試みた。その結果、引張り荷重を加えると、フィライト内にすべり帯が発生し、その結晶粒界近傍にき裂が発生することがわかり、強度劣化の原因を直接特定することができた。