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望月 正人*; 森 裕章*; 勝山 仁哉
Proceedings of 2010 ASME Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2010) (CD-ROM), 8 Pages, 2010/07
低炭素オーステナイト系ステンレス鋼溶接部に対する表面加工により生じる残留応力と加工硬化が粒界応力腐食割れ(IGSCC)挙動に及ぼす影響を明らかにするため、配管突合せ溶接部の三次元熱弾塑性解析を行うとともに、定歪速度引張試験による粒界すべり挙動に関する試験を行った。表面加工を模擬した熱弾塑性解析により、残留応力分布と硬さ分布を求め、その引張残留応力をもとに定歪速度引張試験を行い、561Kで粒界すべりが起きることを明らかにした。また、溶体化処理後と冷間加工後の試験片における粒界すべり量の比較から、冷間加工材の方が低歪条件で粒界すべりを起すとともに、そのすべり量は歪の増加にしたがい増加することを見いだした。さらに、粒界すべり量が増えるとともに、粒界エネルギーも増加していることを明らかにした。以上の結果から、SUS316L鋼溶接部における表面加工硬化部のIGSCCの進展の原因は、多層溶接と表面加工で生じる残留応力により粒界すべりが促進され、粒界エネルギーが増加することによると結論付けられる。
望月 正人*; 勝山 仁哉; 伊原 涼平*; 森 裕章*; 三上 欣希*; 鬼沢 邦雄
Proceedings of 2009 ASME Pressure Vessels and Piping Division Conference (PVP 2009) (CD-ROM), 8 Pages, 2009/07
炉心シュラウド及び再循環系配管突合せ溶接部等において、溶接や加工による引張残留応力の存在する内表面で応力腐食割れ(SCC)が検出されている。SCCに影響を及ぼす残留応力と加工硬化は、溶接及び溶接施工の前後に実施する表面加工により発生することが知られている。これらの重畳効果はSCC発生を促進する可能性がある。そこで本研究では、溶接及び表層機械加工により生じる残留応力及び硬さについて、実験による評価を行った。また、解析により残留応力の発生挙動とその機構について検討を行った。その結果、表面機械加工を経て溶接を行った場合、残留応力及び硬化は溶接の影響を強く受けるものの、表面加工の影響は消失することがわかった。また、溶接後に表面機械加工を施す場合、残留応力は加工の影響を受けるが、それは表面近傍に限定されることが示された。
谷川 博康; 廣瀬 貴規; 芝 清之; 笠田 竜太*; 若井 栄一; 芹澤 久*; 川人 洋介*; 實川 資朗; 木村 晃彦*; 幸野 豊*; et al.
Fusion Engineering and Design, 83(10-12), p.1471 - 1476, 2008/12
被引用回数:78 パーセンタイル:97.72(Nuclear Science & Technology)低放射化フェライト鋼は、核融合ブランケットシステムに用いられる構造材料の第一候補材として知られている。日本で開発が進められている低放射化フェライト鋼F82Hは、高温強度と溶接性を重視して成分調整が計られた鋼である。そのデータベースは、存在する低放射化フェライト鋼のうちで最も充実している。本論文は、F82Hの開発状況をレビューし、近年の日本における研究開発から示されたITER-TBM製作に向けた技術的課題を整理し示すことを目的とする。
森 裕章*; 勝山 仁哉; 望月 正人*; 西本 和俊*
保全学, 7(1), p.36 - 41, 2008/04
低炭素ステンレス鋼SUS316L製の炉心シュラウドや再循環系配管において応力腐食割れ(SCC)に起因したき裂の発生が問題となっており、その発生機構の解明が急務となっている。本研究では同鋼の溶接部及び機械加工層におけるSCCに及ぼす残留応力と硬化の影響の解明を目的とし、熱弾塑性解析による残留応力と硬化の力学的解析、並びに材料のミクロ変形挙動に注目した粒界すべり解析の材料学的解析の両面から統合的検討を実施した。実際の施工条件に基づき製作した試験体の硬さ分布を評価し、これらの結果をもとに熱弾塑性解析により表面強加工層での残留応力分布について検討を行った。その結果に基づき、表層から発生した粒内SCCに続いて発生する粒界SCC(IGSCC)に対して表面強加工層が影響を及ぼす点に注目し、金属組織学的観点から粒界すべり挙動に及ぼす加工硬化の影響について検討するとともに、IGSCCに及ぼす粒界すべりの影響について粒界エネルギーの観点から考察を試みた。
勝山 仁哉; 望月 正人*; 森 裕章*; 浅野 航*; An, G. B.*; 豊田 政男*
Materials Science Forum, 580-582, p.573 - 576, 2008/00
近年、ステンレス鋼製の一次系配管において応力腐食割れ(SCC)が顕在化している。SCCは溶接により生じる引張残留応力に起因し発生・進展すると考えられる。本研究では、三次元及び軸対称有限要素解析を用いて、配管形状及び溶接条件が板厚内の残留応力に及ぼす影響について評価した。対象はSUS316Lステンレス鋼配管の突合せ溶接部とした。三次元及び軸対称モデルによる残留応力を詳細に比較し、配管形状及び溶接条件の影響について検討を行った。
森 裕章*; 勝山 仁哉; 望月 正人*; 西本 和俊*; 豊田 政男*
材料と環境, 56(12), p.568 - 575, 2007/12
低炭素ステンレス鋼SUS316L溶接部の機械加工層における粒界応力腐食割れ発生挙動に及ぼす残留応力と硬化の影響の解明を目的として、実機構造物の代表的な例として配管突合せ継手を対象に、熱弾塑性力学シミュレーションによる残留応力と硬化度の評価、並びに材料のミクロ変形挙動に注目した粒界すべり解析の両面から、同割れ発生機構に関する統合的検討を試みた。塑性歪と硬さの関係を明らかにするとともに、表面強加工を模擬できる弾塑性解析手法を開発し、前述の関係から実際の切削加工による硬さ及び残留応力分布を再現した。一方、同鋼の加工硬化材に対して561Kにて定ひずみ速度引張試験を行った結果、粒界すべりが生じるとともに、加工硬化によって同すべりが助長されることがわかった。また、粒界すべりの発生により粒界エネルギーが増大することが判明した。これらの結果から、低炭素ステンレス鋼SUS316Lの表層強加工された溶接部における粒界応力腐食割れは、多層溶接時の残留応力と加工硬化により粒界すべりが助長され、これに伴い粒界エネルギーが増大することに起因するものと推察された。
森 裕章*; 勝山 仁哉; 望月 正人*; 西本 和俊*; 豊田 政男*
Corrosion Engineering, 56(12), p.757 - 770, 2007/09
低炭素ステンレス鋼SUS316L溶接部の機械加工層における粒界応力腐食割れのメカニズムを解明するため、残留応力と硬化の影響について試験及び解析による評価、並びにミクロ変形挙動に注目した粒界すべり解析を行った。その結果、溶接及び表層強加工が残留応力と硬化に与える影響を明らかにするとともに、同鋼の加工硬化材に定ひずみ速度引張試験を施すと、粒界すべりが生じるとともに、加工硬化によって同すべりが助長されることがわかった。また、粒界すべりの発生により粒界エネルギーが増大することが判明した。これらの結果から、低炭素ステンレス鋼SUS316Lの表層強加工された溶接部における粒界応力腐食割れは、多層溶接時の残留応力と加工硬化により粒界すべりが助長され、これに伴い粒界エネルギーが増大することに起因するものと推察された。
高橋 幸司; 今井 剛; 坂本 慶司; 小林 則幸*; 森 清治*; 毛利 憲介*; 伊藤 保之*; 庄山 裕章; 春日井 敦
Fusion Engineering and Design, 56-57, p.587 - 592, 2001/10
被引用回数:7 パーセンタイル:48.68(Nuclear Science & Technology)国際熱核融合実験炉(ITER)では、プラズマ加熱電流駆動,分布制御,プラズマ立ち上げ等のツールとして電子サイクロトロン波帯加熱(ECRF)装置が必要とされている。水平ポートから中心及び周辺の加熱電流駆動を目的として、上斜めポートからは分布制御を目的として、前者はトロイダル入射角20~45度,後者はポロイダル入射角度50~58度の可変性能を有する入射系(ランチャー)が要求されている。何れも周波数は170GHz,総入射パワー20MWである。原研ではITER設計タスクのもと、先端ミラーによってに入射角度可変とするランチャーを基本に設計を行っている。その設計及びそれに必要な耐中性子可動ミラー用摺動部やダイヤモンド窓の開発、さらに先端から離れた位置に可動ミラーを設置し、そのミラーにより入射角度を変える遠隔駆動型ランチャーの開発を行っている。その成果について報告する。
坂本 慶司; 春日井 敦; 庄山 裕章; 林 健一*; 高橋 幸司; 恒岡 まさき; 池田 幸治; 池田 佳隆; 梶原 健; 森山 伸一; et al.
25th International Conference on Infrared and Millimeter Waves Conference Digest, p.11 - 12, 2000/00
110GHzジャイロトロンは、JT-60UでITERの物理R&Dとなる加熱電流駆動や、新古典論テアリング不安定性の抑制、プラズマの立ち上げに使用されるもので、これまでに短パルスで1.2MW,1MWでは3秒、0.5MWでは6秒までの発振を得た。これまで3本のジャイロトロンを製作しJT-60UのECH加熱電流駆動装置に装着した。約50mの伝送系にジャイロトロンを接続して実際に1MW発振でのプラズマ入射にも成功し、最大15keVの電子温度上昇を得ている。RFの抵抗損失による最も熱負荷の厳しい空胴共振器は、設計通り1秒で定常状態に落ち着いた。出力窓の中心部の温度上昇は、1MW出力に対し約25度で定常状態になっており、設計値と良く一致する。この結果は、170GHzの場合、約45度の温度上昇に対応する。また、コレクタも設計通りの温度上昇を示しており、約5秒で定常状態に達する。このようにジャイロトロン内の主要コンポーネントについて長パルス化に関する見通しが得られた。ITER用ジャイロトロン開発では、これまで世界で初めて低損失人工ジャイヤモンド窓を装着して0.5MWで8秒の出力に成功しているが、新たに電子ビームの不安定性を抑制する機構を設けることにより、出力1.2MW、発振効率33%、エネルギー回収を含めた総合効率で52%を達成した。現在、これらの成果を取り入れ、連続出力を目指した長パルス化研究を継続している。
森 裕章*; 勝山 仁哉; 望月 正人*; 西本 和俊*; 豊田 政男*
no journal, ,
BWRの低炭素ステンレス鋼製炉心シュラウドにおいて応力腐食割れ(SCC)の発生が問題となっている。同SCCは表層を加工された溶接部近傍で発生しており、溶接残留応力と加工硬化の影響が指摘されている。そこで本研究では、発生したSCCの中でも、IGSCCに着目し、発生原因を明らかにするため、粒界すべりに及ぼす溶接残留応力と加工硬化の影響について検討を行った。圧延により作製した付加歪のことなる試験片を用いて粒界すべり量を定量評価するとともに、定電位腐食試験を行い、粒界すべり量が大きいほど粒界腐食がより顕著になることを明らかにした。
谷川 博康; 荻原 寛之; 廣瀬 貴規; 芝 清之; 芹澤 久*; 川人 洋介*; 田中 学*; 片山 聖二*; 森 裕章*; 西本 和俊*
no journal, ,
低放射化フェライト鋼F82H(Fe-8Cr-2W-V-Ta)は、核融合炉の第一候補構造材料として、高温用構造鋼であるフェライト/マルテンサイト鋼(Fe-9Cr-1Mo V, Nb)をベースに、高温特性,靱性、及び溶接性のバランスをとりつつ、減衰が比較的速くなるように成分調整して開発された鋼である。原子力機構が主体となって大学等の協力の下で開発を進める水冷却固体増殖TBMにおいては、このF82Hを構造材として製作する方針で開発が進められている。本報告では、F82HのTBM製作に向けた溶接技術の検討状況と課題について紹介する。
廣瀬 貴規; 白井 悠真*; 荻原 寛之*; 森 裕章*; 芹澤 久*; 才田 一幸*; 西本 和俊*; 谷川 博康
no journal, ,
増殖ブランケットには複数の概念が提案されているが、構造材に低放射化フェライト鋼を採用し、流路を内蔵するコの字型第一壁,側壁及び後壁を溶接した箱型の構造は、ITER計画参加全極に共通の構造である。「幅広いアプローチ」活動における原型炉研究開発においては、溶接割れを生じない電子ビーム溶接条件を確立するとともに、実施工を想定した製作工程の実証試験を実施している。溶接条件は市販の耐熱鋼の実績を元に微調整を行った結果、1パスで厚さ90mmまでのF82Hを貫通する溶接条件を得た。溶接金属は理想的なワインカップ形状を呈し、溶接割れは認められなかった。また、実規模ブランケットの第一壁及び側壁を模擬した鋼材により、実規模のモックアップの溶接を実施し、筐体構造の製作工程の妥当性を確認した。溶接部の強度について、熱影響部における軟化は抑制されたが、溶接金属の硬さ及び延性脆性遷移温度は、720Cにおける熱処理後も母材と比較して、それぞれ60Hv, 50C以上も高く、今後は構造物内の熱処理温度不均質も考慮したうえで、溶接金属の脆化を抑制する溶接後熱処理条件の改良が必要である。