検索対象:     
報告書番号:
※ 半角英数字
 年 ~ 
 年
検索結果: 20 件中 1件目~20件目を表示
  • 1

発表形式

Initialising ...

選択項目を絞り込む

掲載資料名

Initialising ...

発表会議名

Initialising ...

筆頭著者名

Initialising ...

キーワード

Initialising ...

使用言語

Initialising ...

発行年

Initialising ...

開催年

Initialising ...

選択した検索結果をダウンロード

論文

Sputtering of SiN films by 540 keV C$$_{60}$$$$^{2+}$$ ions observed using high-resolution Rutherford backscattering spectroscopy

中嶋 薫*; 森田 陽亮*; 北山 巧*; 鈴木 基史*; 鳴海 一雅; 齋藤 勇一; 辻本 将彦*; 磯田 正二*; 藤居 義和*; 木村 健二*

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 332, p.117 - 121, 2014/08

 被引用回数:7 パーセンタイル:48.36(Instruments & Instrumentation)

Our previous observation that an impact of sub-MeV C$$_{60}$$ ion makes an ion track in a thin amorphous silicon nitride (a-SiN) film suggests emission of thousands of atoms from the cylindrical region. Sputtering yields of a-SiN films by C$$_{60}$$ ions were evaluated in order to confirm this observation. A-SiN films deposited on Si(001) were irradiated with 540-keV C$$_{60}$$$$^{2+}$$ ions at fluences from 2.5$$times$$10$$^{11}$$ to 1$$times$$10$$^{14}$$ ions/cm$$^{2}$$. The compositional depth profiles of the irradiated samples were measured with high-resolution Rutherford backscattering spectroscopy, and the sputtering yields were estimated at 3900 $$pm$$ 500 N atoms/ion and 1500 $$pm$$ 1000 Si atoms/ion. The sputtering yield of N was two orders of magnitude larger than the elastic sputtering yield by the SRIM code or than the measured electronic sputtering yield of a-SiN by 50-MeV Cu ions previously reported. Such a large sputtering yield cannot be explained either by the elastic sputtering or by the electronic sputtering. However, an estimation of the synergistic effect based on the inelastic thermal spike model roughly explains the observed large sputtering yield, indicating that the synergistic effect of the nuclear and electronic stopping powers plays an important role.

論文

Surface effect on ion track formation in amorphous Si$$_{3}$$N$$_{4}$$ films

森田 陽亮*; 中嶋 薫*; 鈴木 基史*; 鳴海 一雅; 齋藤 勇一; 石川 法人; 北條 喜一; 辻本 将彦*; 磯田 正二*; 木村 健二*

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 315, p.142 - 145, 2013/11

 被引用回数:13 パーセンタイル:69.61(Instruments & Instrumentation)

Thin films of amorphous Si$$_{3}$$N$$_{4}$$ (thickness 5-30 nm) were irradiated with 360-720 keV C$$_{60}$$$$^{2+}$$ ions in order to investigate ion track formation. Ion tracks were observed with transmission electron microscopy (TEM) and high-angle annular dark field scanning transmission electron microscopy (HAADF-STEM). The length and the radial density profile of the track were measured for various combinations of the film thickness and the energy of C$$_{60}$$$$^{2+}$$ ions. The length of the ion track produced in a 30-nm film was found shorter than that in a 20-nm film for the same projectile energy, which indicates that there is surface effect on track formation. This can be qualitatively understood in terms of the energy dissipation process. The observed radial density profile also depends on the film thickness: The apparent density reduction increases with decreasing film thickness. The result can be explained by surface cratering.

論文

Cluster effect on projected range of 30-keV C$$_{60}$$$$^{+}$$ in silicon

森田 陽亮*; 中嶋 薫*; 鈴木 基史*; 鳴海 一雅; 齋藤 勇一; 木村 健二*

JAEA-Review 2012-046, JAEA Takasaki Annual Report 2011, P. 167, 2013/01

本研究では、これまで飛程に対するクラスター効果がそれほど大きくないと考えられてきた$${it M}$$$$_{1}$$$$<$$$${it M}$$$$_{2}$$の場合について、それを実験的に明らかにする。ここで$${it M}$$$$_{1}$$, $${it M}$$$$_{2}$$はそれぞれ入射イオン及び標的を構成する元素の質量数である。あらかじめ表面に非晶質層を作製したSiウェファーに、30keV C$$_{60}$$$$^{+}$$と0.5keV C$$^{+}$$を室温で2$$times$$10$$^{15}$$ atoms/cm$$^{2}$$注入し、注入した炭素の深さ分布を、高分解能ラザフォード後方散乱法を用いて測定した。C$$_{60}$$注入に対するCの平均深さが6.1nmである一方、C$$^{+}$$注入の場合は4.0nmとなり、投影飛程に対する顕著なクラスター効果を観測した。

論文

Direct observation of fine structure in ion tracks in amorphous Si$$_{3}$$N$$_{4}$$ by TEM

中嶋 薫*; 森田 陽亮*; 鈴木 基史*; 鳴海 一雅; 齋藤 勇一; 石川 法人; 北條 喜一; 辻本 政彦*; 磯田 正二*; 木村 健二*

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 291, p.12 - 16, 2012/11

 被引用回数:15 パーセンタイル:73.47(Instruments & Instrumentation)

非晶質Si$$_{3}$$N$$_{4}$$薄膜(厚さ20nm)に120-720keV C$$_{60}$$$$^{+, 2+}$$イオンを照射し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。その結果、結晶性材料と違って像にコントラストがつきにくい非晶質材料中に形成されたイオントラックをTEMで直接観測できた。さらに、定量的な解析のため、高角散乱環状暗視野走査透過型顕微鏡法(HAADF-STEM)を用いてイオントラックを観察した。その結果、イオントラックの構造は低密度コア(半径約2.5nm)と高密度シェル(幅約2.5nm)からなり、高エネルギー重イオン照射によって非晶質SiO$$_{2}$$中に形成されたイオントラックを小角X線散乱法(SAXS)で観察した結果とよく似ていることがわかった。観測されたイオントラックは表面効果の影響を受けている可能性があるものの、今回の結果は、TEMとHAADF-STEMが非晶質材料中のイオントラックの微細構造を直接観察できることを示すものである。

論文

Cluster effect on projected range of 30 keV C$$_{60}$$$$^{+}$$ in silicon

森田 陽亮*; 中嶋 薫*; 鈴木 基史*; 鳴海 一雅; 齋藤 勇一; Vandervorst, W.*; 木村 健二*

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 269(19), p.2080 - 2083, 2011/10

 被引用回数:6 パーセンタイル:44.28(Instruments & Instrumentation)

あらかじめ表面に非晶質層を作製したSiウェファーに、30keV C$$_{60}$$$$^{+}$$と0.5keV C$$^{+}$$を室温で2$$times$$10$$^{15}$$ atoms/cm$$^{2}$$注入し、注入した炭素の深さ分布を、高分解能ラザフォード後方散乱法を用いて測定した。C$$_{60}$$$$^{+}$$注入に対するCの平均深さは6.1nmであり、一方、C$$^{+}$$注入の場合は4.0nmとなり、投影飛程に対する顕著なクラスター効果を観測した。

口頭

10-540keV C$$_{60}$$イオンを照射したSi表面の損傷に対するクラスター効果

鳴海 一雅; 楢本 洋*; 山田 圭介; 千葉 敦也; 齋藤 勇一; 森田 陽亮*; 中嶋 薫*; 木村 健二*; 前田 佳均

no journal, , 

Si単結晶に10-540keVのC$$_{60}$$イオンを室温で照射し、照射損傷をRBS/チャネリング法で評価した。表面損傷ピーク強度の照射量依存性より、C$$_{60}$$イオン1個の衝撃による弾き出しを受けたSi原子数を求めた。また、同速度のCイオンによる弾き出しを受けたSi原子数をSRIM2008のシミュレーションにより求めた。入射イオンのエネルギーに対して後者は単調に増加するが、前者は飽和する傾向を示した。炭素原子1個あたりの弾き出しを受けたSi原子数の比を取ってクラスター効果を評価すると、100keV近辺をピークとする依存性を示し、ピークでは50程度となった。このエネルギー依存性は、衝突カスケードの粗密で定性的に説明できる。

口頭

10-540keV C$$_{60}$$イオンを照射したSi中の照射損傷に対するクラスター効果

鳴海 一雅; 楢本 洋*; 山田 圭介; 千葉 敦也; 齋藤 勇一; 森田 陽亮*; 中嶋 薫*; 木村 健二*; 前田 佳均

no journal, , 

室温で10-540keV C$$_{60}$$イオンを照射したSi結晶中の格子位置から変位したSi原子数を、ラザフォード後方散乱/チャネリング法で評価し、1個のC$$_{60}$$イオン衝撃により格子位置から変位したSi原子数を、照射量依存性を解析することから求めた。この解析により、照射損傷の照射量依存性がイオントラック的描像で説明できることがわかった。さらに、同じ速度のCイオンにより格子位置から変位したSi原子数を、SRIM2008を使って求め、照射損傷に対する非線形効果を評価した。非線形効果はC$$_{60}$$イオンのエネルギーに依存し、100keV近辺で最大になる。このエネルギー依存性は、核的阻止能とSi中でのC原子間距離の広がりによって定性的に説明できる。

口頭

数百keV C$$_{60}$$イオン照射によって形成された非晶質Si$$_{3}$$N$$_{4}$$薄膜中のイオントラックのTEM観察

森田 陽亮*; 中嶋 薫*; 鈴木 基史*; 木村 健二*; 鳴海 一雅; 齋藤 勇一; 辻本 政彦*; 磯田 正二*

no journal, , 

非晶質Si$$_{3}$$N$$_{4}$$薄膜に120-720keV C$$_{60}$$$$^{+}$$, C$$_{60}$$$$^{2+}$$イオンを照射し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。その結果、非晶質材料中に形成されたイオントラックを初めてTEMで直接観察した。さらに、定量的な解析のため、高角散乱環状暗視野走査透過型電子顕微鏡法(HAADF-STEM)を用いてイオントラックを観測した。観測されたイオントラックは低密度コア(半径$$sim$$4nm)と高密度シェル(幅$$sim$$4nm)からなり、高エネルギー重イオン照射によって非晶質SiO$$_{2}$$中に形成されたイオントラックを小角X線散乱法(XAXS)で観測した結果とよく似ている。このことは、材料・照射イオン種によらず、コア-シェル構造が非晶質材料中に形成されるイオントラックの普遍的な特徴であることを示唆する。観測されたイオントラックの半径は、今回のエネルギー領域(電子的阻止能は急激に増大するが、核的阻止能は減少する)では入射イオンのエネルギーにほとんど依存しなかった。このことは、核的阻止能もまたイオントラック形成にかかわり、電子的阻止能よりもその効果が高いことを示す。

口頭

Cluster effects in collisional processes in a Si crystal bombarded with 10-540-keV C$$_{60}$$ ions

鳴海 一雅; 楢本 洋*; 山田 圭介; 千葉 敦也; 齋藤 勇一; 森田 陽亮*; 中嶋 薫*; 木村 健二*; 前田 佳均

no journal, , 

10-540keV C$$_{60}$$イオン衝撃したSi結晶の損傷の蓄積及びスパッタリング収量に対するクラスター効果を調べた。C$$_{60}$$イオン1個の衝撃による影響領域を円柱状と仮定すると、格子位置から変位したSi原子の面密度の照射量依存性がよく説明でき、このことはkeV C$$_{60}$$イオン衝撃によるSi中の損傷蓄積がイオントラック的描像で説明できることを意味する。C$$_{60}$$イオン1個の衝撃によって変位したSi原子数$${it N}$$$$_{D60}$$のエネルギー依存性は、SRIM2008で計算したC単原子イオン衝撃による$${it N}$$$$_{D1}$$のエネルギー依存性と異なる。Si中の照射損傷に対する非線形効果を、炭素原子1個あたりの変位Si原子数の比$${it N}$$$$_{D60}$$/(60$$times$$$${it N}$$$$_{D1}$$)で評価すると、100keV近辺で最大(50以上)になる。そのエネルギー依存性は核的阻止能とSi中での炭素原子間距離の増大によって定性的に説明できる。一方、スパッタリング収量は、100keV近辺で最大値(C$$_{60}$$あたり約600)を取る。Sigmundの線形カスケード理論から予測されるC単原子イオン衝撃によるスパッタリング収量と比較すると、スパッタリング収量に対する非線形効果はC$$_{60}$$のエネルギーに依存し、スパッタリング収量が最大になるエネルギー近辺で最大になった。一方で、10keVでは非線形効果はほとんど認められなかった。また、$${it n}$$$$^{2}$$依存性($${it n}$$はクラスターを構成する原子数)が観測されなかったことから、非線形効果が少なくとも熱スパイク効果では説明できないことが明らかになった。

口頭

Si中での30keV C$$_{60}$$イオンの投影飛程に対するクラスター効果

森田 陽亮*; 中嶋 薫*; 鈴木 基史*; 木村 健二*; 鳴海 一雅; 齋藤 勇一

no journal, , 

本研究では、これまで飛程に対するクラスター効果がそれほど大きくないと考えられてきた$${it M}$$$$_{1}$$$$<$$$${it M}$$$$_{2}$$の場合について、それを実験的に明らかにする。ここで$${it M}$$$$_{1}$$, $${it M}$$$$_{2}$$はそれぞれ入射イオン及び標的を構成する元素の質量数である。あらかじめ表面に非晶質層を作製したSiウェファーに、30keV C$$_{60}$$$$^{+}$$と0.5keV C$$^{+}$$を室温で2$$times$$10$$^{15}$$ atoms/cm$$^{2}$$注入し、注入した炭素の深さ分布を、高分解能ラザフォード後方散乱法を用いて測定した。C$$_{60}$$注入に対するCの平均深さが6.1nmである一方、C$$^{+}$$注入の場合は4.0nmとなり、投影飛程に対する顕著なクラスター効果を観測した。

口頭

Direct observation of fine structure in ion tracks in amorphous thin films by TEM

森田 陽亮*; 中嶋 薫*; 鈴木 基史*; 木村 健二*; 鳴海 一雅; 齋藤 勇一; 石川 法人; 北條 喜一; 辻本 政彦*; 磯田 正二*

no journal, , 

非晶質Si$$_{3}$$N$$_{4}$$薄膜に120-720keV C$$_{60}$$$$^{+}$$, C$$_{60}$$$$^{2+}$$イオンを照射し、非晶質材料中に形成されたイオントラックを透過型電子顕微鏡(TEM)で直接観測した。さらに、定量的な解析のため、高角散乱環状暗視野走査透過型顕微鏡法(HAADF-STEM)を用いてイオントラックを観測した。その結果、イオントラックの構造は低密度コア(半径約2.5nm)と高密度シェル(幅約2.5nm)からなり、高エネルギー重イオン照射によって非晶質SiO$$_{2}$$中に形成されたイオントラックを小角X線散乱法(SAXS)で観測した結果とよく似ていることがわかった。このことは、材料と照射イオン種によらず、コア-シェル構造が非晶質材料中に形成されるイオントラックの普遍的な特徴であることを示唆する。また、イオントラック半径の観測から、今回のエネルギー領域では、核的阻止能もまたトラック形成にかかわり、電子的阻止能よりも効果が高いことが見いだされた。

口頭

Cluster effect on damage accumulation in a Si crystal bombarded with 10-540-keV C$$_{60}$$ ions

鳴海 一雅; 楢本 洋*; 山田 圭介; 千葉 敦也; 齋藤 勇一; 森田 陽亮*; 中嶋 薫*; 木村 健二*; 前田 佳均

no journal, , 

本研究では、10-100keV領域のC$$_{60}$$イオン衝撃による照射損傷の蓄積に対する非線形効果(クラスター効果)を明らかにすることを目的としている。室温で10-540keV C$$_{60}$$イオンを照射したSi結晶中の格子位置から変位したSi原子数をラザフォード後方散乱/チャネリング法で評価し、C$$_{60}$$イオン1個の衝撃により影響を受ける領域を円柱状と仮定して照射量依存性を解析することから、1個のC$$_{60}$$イオン衝撃により格子位置から変位したSi原子数を求めた。この解析により、照射損傷の照射量依存性がイオントラック的描像で説明できることがわかった。さらに、入射C原子1個あたりの変位したSi原子数の比$$N_{rm D60}$$/(60$$times$$$$N_{rm D1}$$)を使って非線形効果(クラスター効果)を評価した。ここで、$$N_{rm D1}$$は、同じ速度のCイオン衝撃により格子位置から変位したSi原子数であり、SRIM2008を使って求めた。比はC$$_{60}$$イオンのエネルギーに依存し、100keV近辺で最大になる。この比のエネルギー依存性、すなわち非線形効果のエネルギー依存性は、核的阻止能とSi中でのC原子間距離の広がりによって定性的に説明できる。

口頭

非晶質Si$$_{3}$$N$$_{4}$$薄膜中のイオントラックのHAADF-STEM観察

森田 陽亮*; 中嶋 薫*; 鈴木 基史*; 木村 健二*; 鳴海 一雅; 齋藤 勇一; 辻本 政彦*; 磯田 正二*

no journal, , 

物質中に形成されたイオントラックに関する研究は数多くなされているが、非晶質中に形成されたイオントラックの透過型電子顕微鏡(TEM)による直接観察は、結晶中のイオントラックとは異なり像にコントラストの差がつきにくいことから、ほとんど報告例がない。しかし、われわれのこれまでの研究で、非晶質中に形成されたイオントラックであってもTEMや高角散乱環状暗視野走査透過型顕微鏡法(HAADF-STEM)を用いて直接観察することが可能であることが明らかになった。実際、試料を傾斜させて観察したTEM像からは形成されたイオントラックの長さを求めることができ、また、HAADF-STEM像からはイオントラック内の原子密度分布を知ることができる。本研究では、さまざまな厚さの非晶質Si$$_{3}$$N$$_{4}$$薄膜に種々のエネルギーのC$$_{60}$$イオンを照射し、イオントラックの長さやイオントラック内部の原子密度分布がどのように変化するのかを調べたので、その結果を報告する。

口頭

C$$_{60}$$イオン照射によって形成された非晶質SiN薄膜中のイオントラックの膜厚依存性

中嶋 薫*; 森田 陽亮*; 北山 巧*; 鈴木 基史*; 木村 健二*; 鳴海 一雅; 齋藤 勇一; 辻本 将彦*; 磯田 正二*

no journal, , 

物質にイオンを照射すると、入射イオンの経路やその周辺領域において物質の密度や構造が変化することがある。こうしたイオン照射痕跡をイオントラックと呼ぶ。これまでのイオントラックに関する研究は、その形成に大きなエネルギー付与を必要とするため数百MeVからGeVに及ぶ極めて高いエネルギーの重イオンを用いて行われてきた。また、イオントラックの直径などの形状観察を行う場合には、単結晶試料を使い、照射による結晶性の変化を透過型電子顕微鏡(TEM)などで観察する手法が主であった。これに対して、最近我々は数百keVのC$$_{60}$$イオンを非晶質のSiN薄膜、SiO$$_{2}$$薄膜に照射(阻止能は200MeVのAuイオンの場合にほぼ相当する)し、形成されたイオントラックをTEMで直接観察することに成功した。さらに高角度暗視野走査型透過電子顕微鏡(HAADF-STEM)観察により、そのイオントラックの密度が中心部で大きく低下する一方、周辺部でわずかに上昇しているコア-シェル構造であることを明らかにした。本発表では、SiN薄膜に形成されたイオントラックの長さに着目し、その膜厚に対する依存性を調べた結果、照射したC$$_{60}$$イオンのエネルギーが同じでも、膜が厚いほどイオントラックが短くなる傾向が観測されたことを報告する。この傾向は、イオンが与えたエネルギーが熱化した際、膜の厚さによってトラック末端での熱伝導が異なることに起因しているものと考えられる。

口頭

透過電子顕微鏡による非晶質絶縁薄膜中のイオントラックの直接観察

中嶋 薫*; 森田 陽亮*; 北山 巧*; 鈴木 基史*; 木村 健二*; 鳴海 一雅; 齋藤 勇一; 石川 法人; 北條 喜一; 辻本 将彦*; et al.

no journal, , 

物質にイオンを照射すると、イオンの経路やその周囲の領域で物質の密度変化や構造変化が生じることがあり、物質中に形成されたこのような痕跡をイオントラックと呼ぶ。イオントラックに関する研究では、その形状や大きさ、トラック内の原子密度の分布などを知ることが課題となるため、透過型電子顕微鏡(TEM)や高角度暗視野走査型透過電子顕微鏡(HAADF-STEM)などの空間的な分解能をもつ手法で観察することが望まれる。しかし、結晶性の物質中に形成されるイオントラックは結晶性の変化として捉えることができ、TEMによる直接観察が容易であるのに対して、非晶質物質中に形成されるイオントラックはTEM像にコントラストの差がつきにくいことなどから、TEMによる直接観察はほとんど試みられなかった。我々は、非晶質中に形成されるイオントラックの構造等を明らかにするために、厚さ20nmの非晶質SiN薄膜、非晶質SiO$$_{2}$$薄膜に120-720keVのC$$_{60}$$$$^{+}$$, C$$_{60}$$$$^{2+}$$イオンを照射した試料に対してTEMによる直接観察を行った。その結果、非晶質絶縁体中に形成されたイオントラックをTEMで直接観察することに初めて成功した。さらに、トラック内の密度分布を定量的に評価するためにHAADF-STEMによる観察を行い、イオントラックの中心部は密度が約20%低下し、それに対して周辺部は約1$$sim$$2%密度が上昇していることを明らかにした。

口頭

540keV C$$_{60}$$$$^{2+}$$照射による非晶質SiNのスパッタリング

北山 巧*; 森田 陽亮*; 中嶋 薫*; 鈴木 基史*; 木村 健二*; 鳴海 一雅; 齋藤 勇一; 松田 誠; 左高 正雄*; 辻本 将彦*; et al.

no journal, , 

サブMeV C$$_{60}$$イオン照射によって非晶質SiN膜中に形成されるイオントラックの微細構造を調べる研究の過程で、C$$_{60}$$イオン1個で数千個の標的原子がスパッタリングされることを示唆する実験結果を得た。そこで、この現象を詳細に調べるために、Si基板上の非晶質SiN膜(厚さ30nm)に540keV C$$_{60}$$$$^{2+}$$イオンを照射し、高分解能ラザフォード後方散乱(RBS)法によってそのスパッタリング収量を評価した結果、およそ5000atoms/ionであった。一方、弾性衝突によるスパッタリングを模擬するSRIMコードで計算すると約80atoms/ionである。このことは、本研究で考えるスパッタリングが単純な弾性衝突によるスパッタリングでは説明できないことを示している。また、SiNの電子的阻止能が540keV C$$_{60}$$$$^{2+}$$イオンに対する値(8keV/nm)よりも大きい19keV/nmの100MeV Xe$$^{25+}$$によるスパッタリング収量を同様の方法で測定すると、C$$_{60}$$照射に比べて非常に小さくなり、電子的阻止能のみによる単純な電子的スパッタリングでも、540keV C$$_{60}$$$$^{2+}$$によるスパッタリング収量は説明できない。そこで、本発表では電子的阻止能と核的阻止能の相乗効果により説明が可能であることを議論する。

口頭

Sputtering of amorphous SiN induced by 540 keV C$$_{60}$$$$^{2+}$$ irradiation

北山 巧*; 森田 陽亮*; 中嶋 薫*; 鈴木 基史*; 鳴海 一雅; 齋藤 勇一; 松田 誠; 左高 正雄*; 辻本 将彦*; 磯田 正二*; et al.

no journal, , 

Our previous observation of an ion track by sub-MeV C$$_{60}$$-ion bombardment of a thin amorphous silicon nitride (a-SiN) film with transmission-electron microscopy has shown a large density reduction in the core region, and it suggests emission of thousands of atoms from the cylindrical region. Sputtering yields of a-SiN films by C$$_{60}$$ ions were evaluated in order to confirm this suggestion. A-SiN films deposited on Si(001) were irradiated with 540-keV C$$_{60}$$$$^{2+}$$ ions at fluences up to 1$$times$$10$$^{14}$$ ions/cm$$^{2}$$. The sputtering yields were estimated to be 3900$$pm$$500 N atoms/ion and 1500$$pm$$1000 Si atoms/ion from the compositional depth profiles measured with high-resolution Rutherford-backscattering spectroscopy. The sputtering yield of N was two orders of magnitude larger than the elastic sputtering yield by the SRIM code, indicating that the observed sputtering yield cannot be explained by elastic collisions. The sputtering yield of an a-SiN film by 100-MeV Xe$$^{25+}$$ ions was also measured in order to confirm a possibility of electronic sputtering. Although the electronic stopping power for 100-MeV Xe is more than twice larger than that for 540-keV C$$_{60}$$, the observed sputtering yield was only $$sim$$500$$pm$$200 atoms/ion. This indicates that the huge sputtering yield for the impact of C$$_{60}$$ cannot be explained by the simple electronic sputtering, either. A possible explanation might be a synergistic effect of the nuclear and electronic stopping powers.

口頭

C$$_{60}$$イオン照射による非晶質SiNのスパッタリング

北山 巧*; 森田 陽亮*; 中嶋 薫*; 鳴海 一雅; 齋藤 勇一; 松田 誠; 左高 正雄*; 木村 健二*

no journal, , 

非晶質SiN膜へのサブMeV C$$_{60}$$イオン照射では、スパッタリング収量(入射イオン1個当たりのスパッタされる標的原子数)が数千個に達するが、この観測結果は弾性衝突によるスパッタリング(弾性的スパッタリング)では説明できない。一方、非晶質SiN膜への100MeV Xe$$^{25+}$$イオン照射では、C$$_{60}$$イオンに比べて電子的阻止能が大きいにもかかわらず観測されたスパッタリング収量は非常に小さく、この阻止能に依存するスパッタリング(電子的スパッタリング)でも冒頭の観測結果が説明できないことが明らかになった。本研究では、核的阻止能と電子的阻止能の比が異なるエネルギーでC$$_{60}$$イオンを非晶質SiN膜に照射し、各阻止能がスパッタリング収量にどのように影響するかを調べた。得られた結果を基に、冒頭に述べた観測結果が電子的スパッタリングと弾性的スパッタリングの相乗効果を考えることにより説明可能であることを報告する。

口頭

540keV C$$_{60}$$イオン照射による非晶質シリコン窒化膜のスパッタリング

北山 巧*; 森田 陽亮*; 中嶋 薫*; 木村 健二*; 鳴海 一雅; 齋藤 勇一; 松田 誠; 左高 正雄*

no journal, , 

サブMeV C$$_{60}$$イオン照射によって非晶質SiN膜中に形成されるイオントラックの微細構造を調べる研究の過程で、C$$_{60}$$イオン1個で数千個の標的原子がスパッタリングされることを示唆する実験結果を得た。この現象を詳細に調べるために、Si基板上の非晶質SiN膜(厚さ30nm)に540keV C$$_{60}$$$$^{2+}$$イオンを照射し、高分解能ラザフォード後方散乱法によってそのスパッタリング収量を評価した結果、およそ5000atoms/ionであった。この観測結果は弾性衝突によるスパッタリングでは説明できない。一方、非晶質SiN膜への100MeV Xe$$^{25+}$$イオン照射では、C$$_{60}$$イオンに比べて電子へのエネルギー付与が約2倍大きいにもかかわらず約1桁小さなスパッタリング収量が観測された。したがって、電子励起によるスパッタリングでも今回の結果は説明できない。そこで電子的阻止能${it S}$ $$_{e}$$、核的阻止能${it S}$ $$_{n}$$からなる有効阻止能${it S}$ $$_{eff}$$ = ${it S}$ $$_{e}$$ +${it K}$ $$_{eff}$$${it S}$ $$_{n}$$(${it K}$ $$_{eff}$$は定数)を導入し、${it K}$ $$_{eff}$$ = 2.5とすると観測されたスパッタリング収量が有効阻止能の4乗に比例することがわかった。さらに、イオントラックの半径も有効阻止能で説明できることがわかった。${it K}$ $$_{eff}$$の値が持つ物理的意味の検討は今後の課題であるが、今回の結果は、電子励起効果が大きい材料でのイオン照射による原子変位には、電子励起と相乗して弾性衝突が大きく寄与するということを示している。

口頭

高速イオンの照射点付近における温度の測定

林 宏昭*; 北山 巧*; 森田 陽亮*; 中嶋 薫*; 鳴海 一雅; 齋藤 勇一; 松田 誠; 左高 正雄*; 辻本 将彦*; 磯田 正二*; et al.

no journal, , 

固体に高速重イオンを照射すると、イオンの軌跡に沿って直径数nmの円筒状の照射痕(イオントラック)が生成する場合がある。このイオントラックは、固体内の電子励起に伴うイオン軌跡近傍の温度上昇によるものと考えられている。しかし、イオン軌跡近傍の温度上昇は数ピコ秒の極短時間に数nmの極めて狭い領域で生じるため、温度の直接測定はこれまで非常に困難であった。そこで本研究では、試料表面上の金ナノ粒子が、表面温度が金の融点(約1300K)を超えると表面から脱離することを利用して局所的な温度を測定する手法を提案する。表面に金ナノ粒子を蒸着した非晶質窒化ケイ素薄膜に1.11MeVのC$$_{60}$$イオンを照射した後、薄膜を透過型電子顕微鏡で観察した結果、各イオントラックの周囲数nmにわたって金ナノ粒子が消失している領域が観察され、照射によってイオントラック近傍の温度が少なくとも金の融点を超えたことが明らかになった。イオントラック形成機構を説明するモデルの中で現在最も有力と考えられている非弾性熱スパイクモデルを用いて、照射点近傍の温度分布を計算した結果、金の融点を超える領域は金ナノ粒子が消失した領域とおおよそ一致した。この結果より本手法が局所的な温度を測定する方法として適切なものであると結論した。

20 件中 1件目~20件目を表示
  • 1