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酒瀬川 英雄; 谷川 博康; 叶野 翔; 榎本 正人*
Fusion Engineering and Design, 86(9-11), p.2541 - 2544, 2011/10
被引用回数:16 パーセンタイル:75.8(Nuclear Science & Technology)低放射化フェライト鋼は原型炉ブランケットの構造材料候補である。日本でのBA活動を通じ原型炉ブランケットモジュールの製作技術が研究開発されつつあるが、この中でも複雑構造を実現するための接合技術は極めて重要である。とりわけ、熱間等方圧縮(HIP)は矩形冷却管の接合方法として採用されており、構造材料はそのHIP中やその後、さまざまな熱処理を施される。この熱処理中における組織変化はブランケットモジュールの性能を決定されるために注目されるべきものであり、とりわけ、高温熱処理で析出すると考えられるタンタルやバナジウムなどの微細析出物は、クリープ特性,靭性,耐照射得栄に大きな影響を与える。そこで本研究はブランケット製作にかかわる熱処理を模擬し、その熱処理下におけるF82H-BA07(8Cr-2W-V, Ta)鋼の微細析出物の安定性に注目した。
谷川 博康; Sokolov, M. A.*; 澤畠 篤司*; 橋本 直幸*; 安堂 正己; 芝 清之; 榎本 正人*; Klueh, R. L.*
Journal of ASTM International (Internet), 6(5), 10 Pages, 2009/05
F82Hに代表される低放射化フェライト鋼の靱性評価には、現在マスターカーブ法(MC法)が用いられているが、この手法は破壊起点が一様に分布していることを前提としている。一方、近年の研究より、MC法の許容値以下の値で破断したF82HではアルミナとTa酸化物の複合介在物が破壊起点に存在することが示されてきた。本研究では、複合介在物が鋼中に不均一に分布すること,低温では割れやすくなることが、靱性値に影響を与え、MC法による靱性値推定に影響を与えている可能性を示した。
澤畠 篤司; 谷川 博康; 榎本 正人*
日本金属学会誌, 72(3), p.176 - 180, 2008/03
被引用回数:14 パーセンタイル:59.5(Metallurgy & Metallurgical Engineering)核融合炉構造材料の第一候補材である低放射化フェライト鋼F82Hにおいては、鋼中にTa系酸化物,アルミナ、及びTa酸化物とアルミナの複合酸化物が形成されており、これらが衝撃特性に悪影響を及ぼしていることがわかりつつある。F82Hにとって不純物元素であるTiを低減し高純度化することで複合酸化物は減少させることが可能だが、Ta酸化物単体やアルミナといった介在物を完全に取り除くことは現行の溶解法(VIM)のみでは困難である。そこで、本研究では脱硫や非金属介在物の除去のため用いられている二次精錬方法のエレクトロスラグ再溶解(Electroslag Remelting: ESR)を施した鋼を溶製し、F82HにとってのESRの有効性と、酸化物が衝撃特性などの機械的特性に及ぼす影響を調査した。
谷川 博康; 澤畠 篤司; Sokolov, M. A.*; 榎本 正人*; Klueh, R. L.*; 香山 晃*
Materials Transactions, 48(3), p.570 - 573, 2007/03
被引用回数:22 パーセンタイル:72.03(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉構造材料の第一候補材料として期待される低放射化フェライト鋼は、照射後にも高い靱性を有することが求められる。本研究では、延性脆性遷移領域において散発的に低靱性を示す傾向のある低放射化フェライト鋼F82H IEAヒート材について、その要因と考えられる微細組織、及びその微細組織と靱性特性との相関について、特に介在物に着目して調査を行った。その結果、本来MX析出物の析出による耐熱性向上をねらって投入されたTaが、Ta酸化物あるいはアルミナとの複合介在物を形成し、その結果としてF82Hの靱性特性に影響を及ぼしている可能性が明らかになった。
澤畠 篤司; 谷川 博康; 芝 清之; 榎本 正人*
日本金属学会誌, 71(2), p.244 - 248, 2007/02
被引用回数:1 パーセンタイル:13.09(Metallurgy & Metallurgical Engineering)核融合炉用構造材料の第一候補材料である低放射化フェライト鋼F82Hの重要な課題の一つとして照射脆化の問題がある。現在、脱酸剤として添加したAlがTaと介在物を形成すること、介在物が靱性低下の原因となっていること、またTiが靭性低下を招くことが明らかになりつつある。そこでTiの靭性低下の原因と介在物形成との関係を調べるために、Tiをなるべく含んでいない高純度材と一般純度材のF82鋼を用いてシャルピー衝撃試験,微細組織観察・分析(FE-SEM)を行った。高純度材,低純度材ともにAlOとTaOの複合介在物, AlOを含まないTaO介在物が観察された。また、複合介在物のTaO部分にはTi, Vが含まれており、一般純度材の介在物は全体的にTiのEDSピークが高かった。また、高純度材には1m以下のTaO介在物が多く、一般純度材で多く見られた複合介在物はほとんどなかった。シャルピー衝撃特性は高純度(-64C)が一般純度材(-16C)よりも低いDBTTを示すことから、不純物元素であるTiの低減は複合介在物を減少と、良好な衝撃特性を得るには有効な手段であると考えられる。
澤畠 篤司; 谷川 博康; 芝 清之; 榎本 正人*
no journal, ,
低放射化フェライト鋼F82Hは核融合炉構造材料の第一候補材である。F82H鋼の衝撃特性はTi又はTa量を調整することで改善することができる。一方でF82H-IEA鋼の微細組織観察の結果、Taは酸化物を形成しやすく、衝撃特性の低下の要因になることも報告されている。そこで本研究では、Ti又はTaと衝撃特性の関係を微細組織観察を中心に調査を行った。
叶野 翔; 谷川 博康; 酒瀬川 英雄; 榎本 正人*
no journal, ,
核融合炉構造材料である低放射化フェライト鋼の第一候補材料であるF82H鋼の高温強度への寄与が期待されているタンタルは、従来のフェライト系耐熱鋼中のニオブと同等の役割が期待され、低誘導放射化の観点から代替元素として添加されている。しかし、近年の研究結果からタンタルの析出挙動はニオブの析出挙動と異なることがわかりつつある。本研究は、水素精錬により溶解された超高純度Fe-Ta-C 3元系のモデル合金を用いてタンタル系析出物の析出挙動の解明を試みた。モデル合金中での析出相の挙動を微細組織観察とヴィッカース硬さ試験により評価した。
酒瀬川 英雄; 谷川 博康; 叶野 翔; 榎本 正人*
no journal, ,
幅広いアプローチ活動(BA活動)の低放射化フェライト鋼のタスクは、F82Hの材料仕様と製作仕様を固め、設計に要する材料基盤技術を整備することが目的の一つにある。本研究は、5t溶解され二次精錬を行い製作されたF82H-BA07を対象に、熱処理感受性を組織観察と硬さ試験によって評価した。これより、大型部材に対する熱処理の許容幅の設定に資することを最終目標とした。
叶野 翔; 榎本 正人*; 酒瀬川 英雄; 谷川 博康; 近藤 啓悦; 野際 公宏; 外山 健*; 永井 康介*
no journal, ,
核融合実験炉ITERのテストブランケットモジュールや原型炉のブランケットの構造材料として利用が計画されている低放射化フェライト鋼はTaを含んでいる。このTaはMod.9Cr-1Mo鋼中のNbと同等の効果を意図して、低誘導放射化の観点から代替されたものである。現在までのTa系析出物に関するさまざまな研究は、クリープ特性に及ぼすTa量の増加効果によるものが中心であり、熱処理条件の変化による組織変化への影響や、Ta系粒子の析出挙動には不明確な部分が多い。よって、Ta系粒子の析出挙動を解明することは低放射化フェライト鋼の実用化に向けて極めて重要であるが、低放射化フェライト鋼は高密度の転位を含むマルテンサイト組織であり、CrやVなどの析出物と、Ta系粒子の析出挙動は複雑に影響を及ぼし合うために、Ta系粒子の析出挙動の解明には基礎的な研究成果の積み上げが必要である。本研究では、Ta系粒子の析出挙動を詳細に観察するために高純度Fe-Ta-Cの3元系モデル合金を製作して析出挙動の解明を目的としている。また、モデル合金中のTa系析出物は、非常に微細であるために原子レベルでの元素マッピングが可能な3DAPによる分析により、Ta系粒子の析出挙動の解明を試みる。