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星屋 泰二; 関野 甫; 松井 義典; 桜井 文雄; 江南 和幸*
Journal of Nuclear Materials, 233-237, p.599 - 603, 1996/00
TiPd系形状記憶合金は、第3元素としてFeやCrなどを添加することにより、変態温度を800Kから室温まで調整できるとともに、2%の形状回復歪を呈することから、高温用形状記憶合金として検討されている。しかしながら、同合金の高温変形挙動に及ぼす照射の影響については明らかではない。本報告は、JMTRにおいてTiPd-Cr系合金の中性子照射実験(照射量:310m(E1MeV)、温度490K)を実施し、照射後X線解説試験結果から、残留歪と照射量の関係について検討した。その結果、TiNi系合金の場合、規則構造はフルエンスとともに変化し、速中性子フルエンスが10mを越えると大きな残留歪を生じた。一方、TiPd-Cr系合金では、照射に伴う残留歪や構造変化は殆ど無かった。TiPd-Cr系合金の照射下の相安定性に関する検討結果から、同合金が優れた耐照射特性を有することを見出した。
星屋 泰二; 後藤 一郎; 近江 正男; 安藤 弘栄; 江南 和幸*; 西川 雅弘*
Journal of Nuclear Materials, 212-215, p.818 - 822, 1994/00
被引用回数:3 パーセンタイル:35.79(Materials Science, Multidisciplinary)原子力関連機器設計において、構成材料の弾性力を利用した構成要素の拘束・支持機構の設計が数多くなされてきた。最近、こうした構造材料の弾性力が、照射中に急激に低減・消滅する照射誘起応力緩和現象の存在が深刻な課題となっている。母相の弾性力を形状回復力として利用する形状記憶合金においても、同現象は不可避の問題である。本報告では、JMTRにおいてTiNi及びTiPd系形状記憶合金の中性子照射実験を実施し、照射誘起応力緩和機構を解明するとともに、TiPd系合金の中性子照射挙動について明らかにすることを目的とした。照射後の応力緩和実験結果から、照射下における形状記憶合金の応力緩和機構は、格子間原子以外の空孔の挙動に大きく左右され、空孔依存型の現象であること、さらに、環境温度を制御することによって、この応力緩和が抑制できることを見出した。
星屋 泰二; 江南 和幸*; 山内 清*
Shape Memory Materials and Hydrides (Trans. of Materials Research Soc. Jpn., Vol. 18B), 0, p.1013 - 1016, 1994/00
高温作動型TiPd系形状記憶合金の高温変態特性及び高温変形挙動を明らかにするため、高温電気抵抗測定及び高温引張試験を実施した。その結果、TiPd系合金のマルテンサイト変態開始温度は、第3元素としてCrあるいはFeを添加することによって、800Kから室温まで任意に調整可能であること、また、擬弾性特性を利用すれば、2%までの形状回復歪が利用できることを明らかにした。TiPd系合金は、高い変態温度を有することから、高温用機能材料として有用であるとともに、放射線環境下における耐照射材料として使用できる可能性がある。さらに、原子力分野における同合金の様々の適用例(高温作動型のパイプ継手、フランジ、さらには熱交換器用の止栓プラグ)に関する設計例についても報告する。
星屋 泰二; 後藤 一郎; 近江 正男; 安藤 弘栄; 江南 和幸*; 山内 清*
Shape Memory Materials and Hydrides (Trans. of Materials Research Soc. Jpn., Vol. 18B), 0, p.1025 - 1028, 1994/00
TiPd系形状記憶合金は、Fe,Cr,Vなど第三元素を添加することによって、変態開始温度を800Kから室温まで任意に調整できることから、高温作動型の実用形状記憶合金として期待されている。本報告では、TiPd系形状記憶合金の変形挙動に及ぼす中性子照射効果を解明することを目的とした。JMTRにおいて、TiPd系合金の中性子照射実験後、照射後高温引張試験を実施した。その結果、TiPd-3Cr,TiPd-4Cr合金では、中性子照射によるMs温度及びAs温度変化は小さいこと、さらに、照射したTiNi合金の場合と同様の照射誘起擬弾性を呈することを見出した。また、照射後のヤング率に関する温度依存性から、TiPd系合金のマルテンサイト変態に及ぼす照射の影響は小さく、同合金特有の損傷回復の大きさと関連することを明らかにした。