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勝田 長貴*; 池田 久士*; 柴田 健二*; 國分 陽子; 村上 拓馬*; 谷 幸則*; 高野 雅夫*; 中村 俊夫*; 田中 敦*; 内藤 さゆり*; et al.
Global and Planetary Change, 164, p.11 - 26, 2018/05
被引用回数:10 パーセンタイル:43.77(Geography, Physical)バイカル湖ブグルジェイカサドルの堆積物中の化学組成を高分解能に分析することにより過去3.3万年以上の内陸シベリアの古環境及び古気候変動を復元した。完新世の気候は、6500年前に温暖、乾燥に変化し、氷期から間氷期の気候システムに遷移したことを示唆する。最終氷期においては、プリモールスキー山脈に起因する砕屑性炭酸塩の堆積がハインリッヒイベント(H3とH1)に伴って生じた。また、ハマル-ダバン山脈の氷河融解水がセレンガ川を通じて供給された。アレレード・ヤンガードリアス時に発生した無酸素底層水は、セレンガ川からの流水の減少とプリモールスキー山脈から供給された有機物の微生物分解で生じたものと考えられる。完新世初期の降水の減少は、8200年前の寒冷イベントに対応する。
池田 久士*; 柴田 健二; 村上 拓馬; 國分 陽子; 勝田 長貴*
no journal, ,
アジア大陸内陸部は、全球規模の気候変動に対して地球上で最も鋭敏に応答する地域であり、陸域環境の応答を理解する上で格好の情報を提供する。本研究では、過去3.3万年の堆積記録を有するバイカル湖湖底堆積物に関して、その全有機炭素・全窒素、ウランやひ素等の微量元素、生物起源シリカを定量分析し、古環境変動の復元を行なった。その結果、次のような結果を得た。(1)大陸内の気候システムは、約6000年前で氷期から間氷期の状態へシフトし、それ以前は温暖湿潤・寒冷乾燥、それ以降は温暖乾燥・寒冷湿潤変動で特徴づけられる。(2)バイカル湖周辺の生物生産量が約6000年前にピークに達し、それに伴いバイカル湖の深層水は還元化した。(3)ヤンガードリアス期やハインリッヒイベントといった最終氷期の寒冷化に対応する時期に、バイカル湖周辺地域で氷河の発達を示す氷河運搬砕屑性ドロマイト層と、セレンガ川流域の氷河融解水に起因するウラン濃度の上昇が認められた。