Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
田之頭 優樹*; 永吉 実孝*; 渡辺 剛史*; 長谷 純宏
JAEA-Review 2015-022, JAEA Takasaki Annual Report 2014, P. 98, 2016/02
これまでの夏秋スプレーギク品種「サザンチェルシー(桃色)」へのイオンビーム照射による花色変異体作出では、白色、赤樺色の変異体は出現するものの、黄色変異体は出現しなかった。そこで、得られた花色変異体の出現率や色素分析結果を踏まえ、目的とする花色変異体の出現率を想定した。原品種(桃色)への照射による赤樺色変異体の出現率、すなわちカロテノイド含量の増加が生じる頻度は1.4%と想定された。一方、白色変異体の出現率、すなわちアントシアニンの消失が生じる頻度は0.6%と想定された。カロテノイド及びアントシアニン含量の変化は、それぞれの生合成経路が異なることから独立の変異によって生じると考えられる。したがって、1回の変異誘発でアントシアニン消失とカロテノイド含量増加の2つの変化を併せ持つ黄色変異体が作出される頻度は極めて低く、0.0084%と推定される。この結果から、黄色変異体を得るためには、白色変異体への再照射によってカロテノイド含量の増加を引き起こすことが最も効率的であると考えられた。このことは、複数の形質を対象とした突然変異育種においては段階的に変異を誘発する方法が効率的であることを示唆する。
牛込 剛史*; 鹿園 直哉; 藤井 健太郎; 渡辺 立子; 鈴木 雅雄*; 鶴岡 千鶴*; 田内 広*; 横谷 明徳
Radiation Research, 177(5), p.614 - 627, 2012/05
被引用回数:23 パーセンタイル:68.61(Biology)イオンビーム照射したDNA損傷のLET依存性を明らかにするため、水和DNAフィルム中に誘発されるDNA損傷収率を調べた。1本鎖切断収率はHe, C及びNeイオンのLETの増加とともに減少したのに対して、2本鎖切断収率は増加した。照射DNAフィルムを塩基除去修復酵素で処理すると、酵素の作用により鎖切断が生じたことから照射により水和DNAフィルム中にも塩基損傷が生じることがわかった。しかしその収率はLETの増加とともに顕著に現象したことから、高LETほど難修復性の複雑なDNA損傷を誘発することが推測された。
横谷 明徳; 鹿園 直哉; 藤井 健太郎; 牛込 剛史*; 鈴木 雅雄*; 漆原 あゆみ; 渡辺 立子
Proceedings of the 27th Symposium on Materials Science and Engineering, Research Center of Ion Beam Technology Hosei University, 8 Pages, 2008/12
イオンビームが誘発する突然変異誘発などの生物影響は、DNA上の数ナノメートル程度の局所に生じるクラスター損傷であることが指摘されている。われわれは、クラスター損傷の修復阻害を調べるため、高水和状態のプラスミドDNAにイオンビーム(LET=20-500keV/m)を照射し、生じた1本鎖切断(SSB)と2本鎖切断(DSB)を定量するとともに、照射試料に対して実際の損傷塩基除去修復酵素を反応させ、損傷塩基の除去活性の阻害の程度を調べた。さらに、クラスター部位で多重に生じたSSBを検出するためにDNAの変性を利用する新しいアッセイ法を開発し、TIARAから得られるHeイオンを照射したDNAについて調べた。その結果、SSB収率はほとんどビームの性質に依存しなかったのに対してDSBはビームのLETに複雑に依存し、さらに塩基除去修復酵素の活性はLETの増大とともに劇的に減少した。一方、多重SSBはほとんど生じていないことがわかった。これらの結果は、クラスター損傷部位にはDSBが生成する場合を除き、SSBは多重には生成せず、一つのSSBと複数の塩基損傷あるいは塩基損傷のみで構成されていることが示唆された。
横谷 明徳; 牛込 剛史; 鹿園 直哉; 藤井 健太郎; 漆原 あゆみ; 鈴木 雅雄*; 田内 広*; 渡辺 立子
no journal, ,
本研究の目的は、放射線によるエネルギー付与の空間構造とDNA損傷の性質の関連を明らかにすることである。高水和状態のDNA薄膜を照射試料とし、ラジカル補足剤濃度を変えた溶液試料に対する軟X線(150kVp)照射による1本鎖切断(SSB)収率との比較を行った。次に高水和DNA試料に対してさまざまなイオン粒子を照射し、生じたSSBと2本鎖切断(DSB)に加え、8-oxoGなど塩基除去修復酵素(EndoIII(Nth)及びFpg)処理によりSSBに変換され得る酸化的塩基損傷と、これらがクラスター化してDSBとして検出される損傷の収率を調べた。その結果、(1)細胞内環境では全SSB収率のうち約30%が直接効果により生じること,(2)SSB収率はほとんどビームの性質に依存しないがDSBは複雑に依存すること,(3)酵素処理により検出される塩基損傷は軟X線領域で最大となるがLETの増大とともに劇的に減少し、(4)同じLET領域でもイオンビームに比べ光子の方が高い塩基損傷収率を与え、さらに(5)すべての放射線照射でFpgよりNth処理の方が有意に大きなSSB収率を与えることが明らかになった。
横谷 明徳; 牛込 剛史*; 田内 広*; 鈴木 雅雄*; 鶴岡 千鶴*; 野口 実穂; 藤井 健太郎; 鹿園 直哉; 渡辺 立子
no journal, ,
本研究では、放射線のトラック構造とDNA損傷の関連を明らかにするため、加速器施設から得られるHe, C及びNeイオンを試料DNAに照射し、誘発されたDNA損傷の線エネルギー付与(LET)依存性を調べた。特に水ラジカルを解さない直接効果に注目するため、高水和状態のプラスミドDNAをモデル照射試料分子として用いた。1本鎖切断はLETに大きくは依存しなかったのに対しグリコシレースで鎖切断に変換される塩基損傷は、LETの増加とともに激減した。これは高LET域では修復酵素の活性を妨げるような難修復性の損傷が生じることを示唆する。また同じLETであってもイオン種の違いにより損傷収率は異なった。一方2本鎖切断収率は、Heイオンでは20keV/mに極小値を持つがこれより高LET側では急激に収率が増大しCイオンでもその傾向があった。これに対しNeイオンでは調べた300-900keV/mの領域でほとんど変化はなかった。以上から難修復性DNA損傷の生成は、単純にLETのみに依存するではなく放射線のトラックの空間構造に深く関連していることが示唆された。