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渡辺 耕助*; 松田 晶平; Cuevas, C. A.*; Saiz-Lopez, A.*; 薮下 彰啓*; 中野 幸夫*
ACS Earth and Space Chemistry (Internet), 3(4), p.669 - 679, 2019/04
被引用回数:8 パーセンタイル:43.59(Chemistry, Multidisciplinary)ヨウ素の物質循環において、海洋から大気への輸送が起こる要因の一つに、海面付近での太陽光による光酸化過程がある。これまでに液相のヨウ化物イオン(I)の光酸化によって気相へヨウ素分子(I)が放出されることが報告されている。この過程の全球的な影響を評価するため、溶液中のIの光酸化を実験的に詳細に調べ、290-500nmの波長域におけるIのモル吸光係数と光酸化の量子収率を決定した。さらに、I光酸化量子収率のpHおよび溶存酸素依存性を調べた。これらから海洋条件でのIの光酸化によるI放出速度を推定した。全球化学気候モデルを用いてシミュレーションを行った結果、低緯度域では1年あたり約8%の寄与があることが明らかになった。本研究は、シビアアクシデント時において環境中へ飛散される放射性ヨウ素の挙動を予測するために必要な基礎的知見を与える。
前川 藤夫; 明午 伸一郎; 春日井 好己; 高田 弘; 猪野 隆*; 佐藤 節夫*; Jerde, E.*; Glasgow, D.*; 仁井田 浩二*; 中島 宏; et al.
Nuclear Science and Engineering, 150(1), p.99 - 108, 2005/05
被引用回数:6 パーセンタイル:40.47(Nuclear Science & Technology)米国BNLのAGS加速器による1.94, 12, 24GeVの陽子ビームを入射した鉛反射体付き水銀核破砕中性子ターゲット模擬体系における中性子工学実験の解析を行い、陽子加速器駆動による核破砕中性子源に対する中性子工学計算の妥当性検証を行った。解析にはモンテカルロ法粒子輸送計算コードNMTC/JAM, MCNPX, MCNP-4A、及びJENDL, LA-150の核データライブラリを用いた。その結果、取り扱ったエネルギー範囲がGeVからmeVまで12桁以上に及ぶにもかかわらず、高速中性子束及び熱中性子束の計算値はほぼ40%以内で実験値と一致した。このことから、これらの計算コードとデータの組合せによる中性子工学計算により、核破砕中性子源の核特性評価を適切に行えるとの結論を得た。
鬼柳 善明*; 永宮 正治*; 大山 幸夫; 池田 裕二郎; 大井川 宏之; 井頭 政之*; 馬場 護*; 岩崎 智彦*; 渡辺 幸信*; 石橋 健二*
日本原子力学会誌, 46(3), p.173 - 197, 2004/03
大強度陽子加速器施設J-PARCでは、断面積測定,遮蔽実験などのビーム利用実験ができること、また、II期工事に計画されている核変換実験施設は、原子力エネルギーに直接関係するものであるという理由から、このような研究に関係が深い原子力学会の炉物理,放射線工学,加速器・ビーム科学,核データの4部会が合同で、J-PARCを利用した研究について、企画セッションなどを通して検討してきた。本特集は、そこでまとめられた研究計画について述べたものである。また、検討された研究を、さらに効率的・発展的に進めるための提案にも言及している。プロジェクト側から施設建設状況と実験施設の利用計画について、次いで4つの関係部会からの研究提案について詳細を述べる。
中島 宏; 高田 弘; 春日井 好己; 明午 伸一郎; 前川 藤夫; 甲斐 哲也; 今野 力; 池田 裕二郎; 大山 幸夫; 渡辺 昇; et al.
Proceedings of 6th Meeting of the Task Force on Shielding Aspects of Accelerators, Targets and Irradiation Facilities (SATIF-6), (OECD/NEA No.3828), p.27 - 36, 2004/00
米国ブルックヘブン国立研究所AGS(Alternating Gradient Synchrotron)加速器を用いて行われている一連の核破砕ターゲット実験及びその解析の概要について報告する。本実験では、中性子発生特性,遮蔽設計パラメータに関する情報を得ることを目的として、AGS加速器から得られる数GeV,数百kJの陽子ビームを水銀核破砕ターゲットに入射し、そこで発生する二次粒子を用いて、中性子工学及び遮蔽に関する実験を過去4年間にわたって行ってきた。昨年、遮蔽実験を行うとともに、これまでの実験結果の解析を通して大強度陽子加速器施設の設計コードの精度検証が精力的に行われている。本報告では、昨年行った遮蔽実験の最新結果及びこれまで行ってきた実験解析の結果について紹介する。
渡辺 宏; 数土 幸夫
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 210, p.1 - 5, 2003/09
被引用回数:4 パーセンタイル:33.69(Instruments & Instrumentation)放射線高度利用研究計画に基づいて設置されたTIARAでは、計画に沿って3種のマイクロビームシステム開発が実施された。1つは半導体のシングルイベント解析用であり、ソフトエラーの機構解明に貢献している。生物用マイクロビームは、重イオンのシングルヒット照射が可能な世界で唯一のシステムであり、新知見が得られている。分析用マイクロビームは、大気中1mの分析を可能にし、医学・環境分野への応用を拡大している。過去のマイクロビーム利用は、分析利用を中心に発展してきたが、TIARAの特徴は、照射損傷解析用プローブとしての可能性を大きく引き出したことにある。今後は材料加工への応用や医療への応用も期待される。
中島 宏; 高田 弘; 春日井 好己; 明午 伸一郎; 前川 藤夫; 甲斐 哲也; 今野 力; 池田 裕二郎; 大山 幸夫; 渡辺 昇; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(Suppl.2), p.1155 - 1160, 2002/08
次世代の数MW級核破砕中性子源の開発を目的として、日米欧の国際協力の下、米国ブルックヘブン国立研究所においてAGS(Alternating Gradient Synchrotron)加速器を用いた一連の実験が行われている。実験では、AGS加速器から得られる数GeV,数百kJの陽子ビームを水銀核破砕ターゲットに入射して、中性子源開発における重要な課題である、圧力波発生機構,中性子発生特性,遮蔽設計パラメーターに関する情報を得るため、圧力波測定,発熱分布測定など熱工学的実験並びに、発生中性子分布,エネルギースペクトル測定,遮蔽体内中性子減衰特性測定,核破砕生成物測定等,中性子工学実験及び遮蔽実験を行っている。ここでは、中性子工学実験及び遮蔽実験に関してこれまでに得られた成果など研究の現状について紹介する。
明午 伸一郎; 中島 宏; 高田 弘; 春日井 好己; 猪野 隆*; 前川 藤夫; Hastings, J.*; 渡辺 昇; 大山 幸夫; 池田 裕二郎
JAERI-Data/Code 2001-014, 23 Pages, 2001/03
1.94,12及び24GeV陽子を水銀ターゲットに入射し、ターゲット内の温度,圧力波及び中性子特性を測定するAGS核破砕ターゲット実験における入射ビームのプロファイルと強度の測定を行った。入射陽子ビームプロファイルのオンライン検出器としてセグメント化された平行平板電離箱(CHIDORI)を用いた。また、プロファイルはアルミ箔を陽子ビームで放射化し、これから生成する及び線の強度分布をイメージングプレート(IP)で検出する方法を測定した。ビーム強度の測定には積分型カレントトランスフォーマー(ICT)及び銅箔の放射化法を用いた。CHIDORI及びIPによるプロファイルの結果は良い一致を示した。また、ICT法と放射化法によるビーム強度の結果は、12及び24GeV陽子に対し3%以内で良い一致を示した。さらに、これらの値はAGSのチームが設置したセグメント型ワイヤー電離箱(SWIC)及び二次放出電離箱(SEC)による結果と良い一致を示した。以上より、モニター手法を確立し温度及び圧力波等の実験解析が入射陽子あたりで規格化できるようになった。
渡辺 昇; 勅使河原 誠; 甲斐 哲也; 原田 正英; 坂田 英明*; 池田 裕二郎; 神永 雅紀; 日野 竜太郎; 大山 幸夫
Proceedings of 8th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-8) (CD-ROM), p.12 - 0, 2000/00
統合計画核破砕パルス中性子源の設計開発研究の最近の進展について、中性子工学研究を中心にターゲット開発の現状について述べる。中性子工学では、ターゲット・モデレータ・反射体系の概念設計の高度化を非常に広範囲な要素別に最適化研究を行い種々の新しいアイディアの提案とともに、世界最高性能の実現に向けて迫りつつある。このような高性能をターゲット工学の立場から可能とするため、熱流動、構造・材料にわたる広範囲な開発研究が進行中で、その問題点、開発シナリオ、最近の技術的データ、解析結果等について述べる。また計画の第一期にあっては陽子ビーム出力は1MWであるが第二期にあっては5MWに増力されることが本計画の重要な柱であり、そのためにはどのような陽子エネルギー、パルス繰り返し周波数を目指すべきかを判断するための基礎となるデータを蓄積中で、そのことについても報告する。
勅使河原 誠*; 渡辺 昇*; 高田 弘; 甲斐 哲也; 中島 宏; 永尾 忠司*; 大山 幸夫; 池田 裕二郎; 小迫 和明*
JAERI-Research 99-020, 33 Pages, 1999/03
原研中性子科学研究計画で目指す5MW短パルス核破砕中性子源で提案されている基準ターゲット・モデレータ・反射体システムの性能評価を行うため、各種モデレータから得られる冷、熱及び熱外中性子強度に関するニュートロニクス計算を行った。陽子ビーム出力(MW)当たりの中性子強度は、最も関心の高い冷中性子の場合、他の計画中(SNS及びESS)の同規模の大強度中性子源と比較して高い効率で得られることがわかった。さらに、5MWの出力では、現存するILL強力中性子源の時間積分強度で1.5倍、ピーク強度で約80倍の強度を与える結果となった。また、基準系に対するターゲット形状/サイズの中性子強度に及ぼす影響を検討した。その結果、ターゲット形状の変化は、特にモデレータのない方向の増減は、中性子強度に大きな影響を及ぼさないことが示され、ターゲットの工学的な設計上の大きな裕度を与え得ることが明らかとなった。
勅使河原 誠*; 渡辺 昇*; 高田 弘; 中島 宏; 永尾 忠司*; 大山 幸夫; 小迫 和明*
JAERI-Research 99-010, 16 Pages, 1999/02
原研中性子科学研究計画で次世代短パルス核破砕中性子源の建設を目指しており、その第一歩として裸のターゲットから漏洩する中性子に関するニュートロニクス計算(ターゲット形状やターゲット材料等による)を行った。円筒形のターゲットに比べ扁平ターゲットは遙かに高い漏洩中性子束をモデレータに供給することができること、水銀ターゲットは鉛・ビスマスとも融体ターゲットに比べ高い漏洩中性子強度を与えることなどが明らかとなった。また、どの様なターゲットの形状が高い中性子強度を与えるのかなどに関して重要な知見を得た。しかしながら、正確に中性子性能を評価するためにターゲット・モデレータ・反射体系を含めた計算は不可避である。また、冷モデレータにおける核発熱の情報を得るために、ターゲットに近接(ターゲット表面から2cm)して置かれた軽水の核発熱分布を求めた。
大山 幸夫; 馬場 護*; 渡辺 幸信*; 河野 俊彦*; 沼尻 正晴*; 植木 絋太郎*; 小田野 直光*; 山野 直樹*; 小迫 和明*; 林 克己*; et al.
JAERI-Review 98-020, 130 Pages, 1998/11
シグマ委員会では近年の加速器利用の進展に伴い、基礎研究、放射性廃棄物の消滅処理研究、核融合炉材料研究、医学診断・治療研究など多岐に渡る分野において共通の基礎データである中高エネルギー領域核データの整備を目的として、JENDL High Energy File(JENDL-HE)の整備作業を実施してきた。一方、そのデータレビュー及び積分テスト手法が未確立であり、JENDL-HEの利用を促すためにも積分的検証が必須である。このため、シグマ委員会ではJENDL-HEに関する積分評価のためのタスクフォースを設置し、問題点の現状を調査・検討し、今後のシグマ委員会における中高エネルギー核データ評価及び整備に対する指針を得ることを目的として調査活動を実施した。本報告書は本タスクフォースの調査検討結果をまとめたものであり、シグマ委員会に対する報告を行うものである。
中島 宏; 高田 弘; 明午 伸一郎; 春日井 好己; 池田 裕二郎; 大山 幸夫; 渡辺 昇*; ASTE共同チーム
Proc. of 14th Meeting of the Int. Collaboration on Advanced Neutron Sources (ICANS-14), 1, p.457 - 467, 1998/11
AGS加速器による1.5,7.0及び24GeV陽子を用いて水銀ターゲットの諸特性を測定する核破砕ターゲット積分実験を行った。ここでは、Neutronics等の実験の基本となる入射陽子ビーム形状及び投入陽子量を測定した。ビーム形状測定では、マルチワイヤプロファイルモニタとイメージングプレートの二種類の方法を用いて、上記の入射条件についてビーム入射位置及び強度分布を明確にした。投入陽子量の測定では、Cu(p,x)Na放射化反応を用いて12%程度の精度で絶対値を求めた。本測定結果は、AGSリング内のビーム強度測定装置による測定値と比較して、24GeVの場合5%程度で一致したが、1.5GeVでは23%低かった。この差は、ビームラインにビーム収束装置が設置されていないことによりビームが発散したためである。このビームの発散については、イメージングプレートによる測定でも確認された。
渡辺 昇*; 勅使河原 誠*; 相澤 一也; 鈴木 淳市; 大山 幸夫
JAERI-Tech 98-011, 15 Pages, 1998/03
原研における中性子化学研究計画では、主加速器として陽子エネルギー1.5GeV、総ビーム出力約8MWの超伝導リニアックが考えられており、そのうちの約5MWを用いて世界最大級の短パルス核破砕中性子源施設の計画が目論まれている。本稿では、大強度核破砕中性子源施設の基本的なコンセプトを構築するために、まず、完成時に重要になると考えられる実験の種類、測定器を想定し、それらに必要な冷、熱及び熱外中性子ビームを得るためのモデレータの選定を行い、実験室内における測定器の最適配置を基にターゲット・減速材・反射体システムのコンセプトを提案した。中性子源施設の性能指標としては、各ビームラインの中性子ビーム強度とビームラインの数の積で表せるが、できる限り多くの測定器が設置できるよう工夫した結果、中性子ビームラインが30本以上、中性子測定器が40台以上設置できる配置案が得られた。
渡辺 昇; 大山 幸夫; 向山 武彦
Actinide and Fission Product Partitioning and Transmutation, p.375 - 381, 1998/00
1998年10月に原研がホストとして開催したOECD/NEAワークショップ「大強度陽子加速器の利用と信頼性」の成果についてとりまとめた。議論の内容は以下の通りである。(1)大強度陽子加速器(HPDA)にかかわる計画,(2)HPDAの信頼性,(3)新概念加速器,(4)ビーム・トリップ,ゆらぎの加速器駆動システムに対する影響,(5)陽子ビームとシステムのインターフェース
山田 安定*; 渡辺 昇*; 新村 信雄; 森井 幸生; 片野 進; 相澤 一也; 鈴木 淳市; 小泉 智; 長壁 豊隆; 勅使河原 誠*; et al.
Physica B; Condensed Matter, 241-243, p.42 - 45, 1998/00
被引用回数:4 パーセンタイル:33.04(Physics, Condensed Matter)原研は、従来、研究用原子炉を中心として研究を行って来た東海研究所の新しい将来を拓く目的で「中性子科学研究センター構想」を提案している。この研究センターは「大強度陽子加速器を中心とする多目的研究施設」として特徴づけられる。この計画の第1の柱は自然科学の基礎分野の発展を図ることで、この中には、中性子散乱による物質科学、材料科学、生命科学の研究の他中性子核物理学等が含まれる。第2の柱は、高レベル廃棄物の処理に関連して加速器駆動長寿命核種消滅処理技術を開発することである。6~8MWの陽子加速器を用い、このうち約5MWが中性子散乱施設に供給される。
大山 幸夫; 日野 竜太郎; 渡辺 昇*; 水本 元治; 向山 武彦
Proc. of 14th Meeting of the Int. Collaboration on Advanced Neutron Sources (ICANS-14), p.22 - 31, 1998/00
原研中性子科学研究計画は、基礎科学と原子力の研究を推進するために、大強度高エネルギー陽子加速器と核破砕中性子源を建設するものである。中性子散乱施設は、最も優先度の高い研究施設の一つである。本論文では、中性子科学研究計画及び中性子散乱施設の構想と技術開発の現状について概説する。
高田 弘; 春日井 好己; 中島 宏; 池田 裕二郎; 大山 幸夫; 渡辺 昇*; 新井 正敏*; 鬼柳 善明*; ASTE-Collaboration
Proc. of 14th Meeting of the Int. Collaboration on Advanced Neutron Sources (ICANS-14), p.468 - 477, 1998/00
核破砕水銀ターゲットの開発の一環として、AGS加速器施設に、半球形状の端部を有する内径20cm、長さ130cm、厚さ2.5mmのステンレス容器に水銀を充填したターゲットを設置し、これに1.5,7.0及び24.0GeV陽子を入射する核破砕実験を行った。ニュートロニクス実験として、In,Al,Bi等の放射化検出器を用いてターゲット側面における反応率分布を測定した。しきい値0.4MeVのIn(n,n')In反応率データをもとに核破砕中性子強度分布を評価した。得られた分布は、1.5GeV陽子入射の場合、ピーク位置11.5cm、半値幅29cmであり、24.0GeVの場合にはピーク位置19.6cm、半値幅44cmとなり、入射エネルギーが増加するにつれてピーク位置が深くなるとともに広がる特性を有することがわかった。1.5GeV陽子入射についての計算コードを用いた解析では、入射位置近傍を除いて、計算は実験値をおおむね再現することがわかった。
渡辺 昇*; 勅使河原 誠*; 高田 弘; 中島 宏; 大山 幸夫; 永尾 忠司*; 甲斐 哲也; 池田 裕二郎; 小迫 和明*
Proc. of 14th Meeting of the Int. Collaboration on Advanced Neutron Sources (ICANS-14), 2, p.728 - 742, 1998/00
原研中性子科学研究計画における5MW核破砕中性子源の概念設計について詳細に報告する。まず中性子源施設の基本コンセプトの検討にはじまり、新しいターゲット・モデレータ・反射体システムの提案、新しい高性能冷モデレータの開発、ターゲット材料の選択及び形状の最適化、ターゲット・モデレータ結合の最適化、中性子強度及びパルス特性の性能評価、欧米の競争相手の性能との比較等を行い、原研計画における中性子源が、世界最高の性能を出し得ることを示した。また技術的に最も困難と予想される冷モデレータについて核発熱空間分布を計算し、その実現へ向けての開発研究に必要な知見を得た。すなわち、核発熱密度が極めて高く、ホットスポットでは20W/cmにも達すること、これを緩和するため、冷中性子源用モデレータにあってはプレモデレータ付とすることにより約1/3に熱負荷が軽減できるなど、多くの知見をもたらした。
大山 幸夫; 水本 元治; 日野 竜太郎; 滝塚 貴和; 鈴木 康夫*; 安田 秀志; 渡辺 昇*; 向山 武彦
Proc. of 2nd Int. Topical Meeting on Nuclear Applications of Accelerator Technology (AccApp'98), p.337 - 344, 1998/00
原研中性子科学研究計画では、大強度パルス及び連続ビーム核破砕中性子源を含む核破砕中性子を利用する研究施設の概念検討を行っている。この計画は、基礎科学及び長寿命核種の加速器駆動消滅処理の技術開発を、中性子を利用して推進するものである。主な施設は8MWの陽子加速器、中性子散乱研究用の5MWの核破砕中性子ターゲットステーション、消滅処理技術、核物理、材料照射、医療用RI利用、RIビームの各研究開発施設である。本編では加速器及び核破砕ターゲットの技術開発、研究施設概念設計の現状について報告する。
渡辺 昇*; 勅使河原 誠*; 高田 弘; 中島 宏; 大山 幸夫; 永尾 忠司*; 甲斐 哲也; 小迫 和明*; 日野 竜太郎; 石倉 修一*; et al.
Proc. of 2nd Int. Topical Meeting on Nuclear Applications of Accelerator Technology (AccApp'98), p.3 - 10, 1998/00
原研中性子科学研究計画の基幹施設である5MW核破砕中性子源の設計概念、新提案、最適化、技術的問題点、その解決に向けてのR&D、予想される性能及びその建設の正統性に関する論議等について報告する。本計画では世界最高性能の核破砕パルス中性子源を目指すもので、その実現にはまず優れたコンセプトが不可欠であり、筆者等は広範囲の予備研究の後、ターゲット・減速材・反射体系に新しいコンセプトを提案した。このコンセプトに基づいて広範囲の最適化研究を行い、中性子ビーム強度、パルス特性において世界最高の性能が得られることを示した。またこれに付随する重要な技術的・工学的問題を整理し、その解決に向けてのR&Dについて、一定の道筋を示した。