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杉本 雅樹; 出崎 亮; 吉川 正人; 渡辺 省伍*; 関 修平*
Advances in Polymer Derived Ceramics and Composites; Ceramic Transactions, Vol.213, p.105 - 110, 2010/06
SiC前駆体高分子のポリカルボシラン(PCS)を、イオンビームの飛跡に沿って形成される直径ナノオーダーの円筒状架橋体を溶媒抽出で取り出す単一粒子ナノ加工法(SPNT)によりナノファイバー化し、焼成転換することで、長さ・太さ・形成数を同時かつ任意に制御してSiCセラミックナノファイバーが作製できる。これを高効率触媒やフィルター材に用いる場合、溶媒抽出工程でナノファイバーが基板上に倒れて積み重なり、表面積が低下することが開発の障害となっていた。そこで本研究では、PCS薄膜に対して45の角度で複数の方向からイオンを照射して薄膜中でイオン飛跡を交錯させ、相互接続されたPCSナノファイバーを形成することで抽出工程での倒れを抑制し、これを焼成することで自立したSiCナノファイバーの作製に成功した。照射角度,照射量によりナノファイバーの接続状態の粗さが制御できれば、任意の穴径を有する耐熱性SiCナノメッシュフィルター等の実現が期待できる。
杉本 雅樹; 吉川 正人; 渡辺 省伍*; 関 修平*
no journal, ,
MeVオーダーのイオンビーム照射により、前駆体高分子材料からセラミックナノワイヤーを合成する新規合成法及びその自立形成法を開発した。セラミックスの前駆体高分子であるポリカルボシランの薄膜にイオンビームを照射すると、その飛跡に沿ってナノオーダーの架橋体が形成される。未架橋部を溶媒で除去し焼成することで、架橋部をセラミックナノワイヤーに転換できた。ナノワイヤーの直径は、イオンビームの線エネルギー付与及び高分子の分子量と架橋効率で、長さはケイ素高分子薄膜の厚さにより制御可能であった。一方、直径に比べ長さが大きい高アスペクト比ナノファイバーを形成した場合、未架橋部分を溶出する工程においてナノファイバーが基板表面に倒れ、個々のナノファイバーを自立状態で形成することが困難であった。そこで、高分子薄膜に対して多角度でイオン照射してナノファイバーを相互に接続する手法を考案し、高アスペクト比ナノファイバーを自立させることに成功した。この技術は、ナノ空隙サイズを制御したセラミクナノメッシュ等の形成に応用可能である。
杉本 雅樹; 吉川 正人; 渡辺 省伍*; 関 修平*
no journal, ,
高分子薄膜にイオンビームを照射すると、その飛跡に沿って直径ナノオーダーの円筒状架橋体が形成され、未架橋部分を溶媒で溶解除去することで、その円筒状架橋体をナノファイバー化可能である。われわれは、この方法をセラミックス前駆体高分子材料に適用し、セラミックナノ・ファイバーの開発研究を進めてきたが、直径と長さの比が100を越えるような高アスペクト比のナノファイバーの形成においては、未架橋部を除去する際にナノファイバーが基板表面に倒れて積み重なり、高アスペクト比を活かした機能性をナノファイバーに付与する技術開発の障害となっていた。そこで、膜厚230nmの高分子薄膜にXe 450MeVを45の角度で異なる4方向からそれぞれ110ions/cm照射し、イオンビームの飛跡を高分子薄膜中で交錯させ円筒状架橋部を3次元的に相互接続することを試みた。得られたナノファイバーをAFMにより観察した結果、ナノファイバーの基板からの高さは100nmであった。従来の単一方向照射で形成され倒れて重なった場合の厚さは約40nmにすぎないことから、ナノファイバーがメッシュ状に接続され、相互に支え合った自立構造に形成できたと考えられる。照射角度,照射量によりナノメッシュの粗さが制御できれば、高アスペクト比を活かした高活性触媒等の開発へと転換が図れる。