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田代 信介; 大野 卓也; 天野 祐希; 吉田 涼一朗; 渡邉 浩二*; 阿部 仁
Nuclear Technology, 208(10), p.1553 - 1561, 2022/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)グローブボックス(GB)火災における放射性物質の閉じ込め安全性の評価に寄与するために、代表的なGBパネル材料であるポリメチルメタクリエート(PMMA)およびポリカーボネート(PC)の燃焼試験を比較的大型の試験装置を用いて行った。閉じ込め安全性を評価するための重要なデータとして、燃焼物質から発生した煤煙の放出割合と粒径分布を得た。さらに、煤煙負荷による高性能エア(HEPA)フィルタの差圧(P)の上昇も検討した。その結果、PCからの煤煙の放出割合はPMMAの場合よりも約7倍大きかった。さらに煤煙粒子の体積負荷の効果を考慮することにより、煤煙負荷体積量が低い領域における差圧の上昇挙動は、燃焼物質の種類によらず統一的に表現できる可能性を見出した。
天野 祐希; 渡邉 浩二; 田代 信介; 山根 祐一; 石川 淳; 吉田 一雄; 内山 軍蔵; 阿部 仁
日本原子力学会和文論文誌, 14(2), p.86 - 94, 2015/06
再処理施設における高レベル濃縮廃液(HALW)の蒸発乾固事故により放射性物質が放出されるおそれがある。特に、揮発性の高いルテニウム(Ru)はHALW貯槽から外部へ放出される可能性がある。また、放射性物質の放出とともに、HALW中の硝酸塩の熱分解によって窒素酸化物(NOx)も発生する。発生したNOxは揮発性Ruの放出に対する物理的な駆動力として作用するだけでなく、揮発性Ruとの酸化還元反応による揮発性Ruの分解及び生成に影響を与える可能性もある。本研究では、600Cまで模擬廃液を加熱し、NOxの発生に関するデータを取得した。模擬廃液乾固物からのNOxの発生は、200C以上で顕著となり約600Cまで継続し、約340C付近で最大となることが分かった。さらに、各ランタノイド元素の硝酸塩は模擬廃液中の様にそれらが共存する場合にはほぼ同じ温度にて同時に熱分解を生じること、Ruの硝酸塩が熱分解することで生じるRu酸化物はランタノイド元素の硝酸塩の熱分解温度を低温側に遷移させることを示唆する結果を得た。
阿部 仁; 渡邉 浩二; 内山 軍蔵
日本原子力学会和文論文誌, 13(4), p.136 - 144, 2014/12
MOX燃料加工施設では、MOXはPuの閉じ込めのためグローブボックス(GB)の内部で取り扱われる。本研究では、GBパネル材として一般的なポリメチルメタクリレート(PMMA)とポリカーボネート(PC)の熱分解特性に対する線照射の影響を検討した。Coを用いてそれらを照射し、TG-DTAを用いて同特性データを取得した。25kGy以上では、PMMAの分子鎖末端における解重合と考えられる質量減少速度のピーク温度はより低温側に、また、主鎖のランダムな切断によって引き起こされる解重合と考えられるピーク温度はより高温側にシフトした。PMMAは10kGyまで、PCは880kGyまでの条件では、明確な効果は観察されなかった。操業期間中にGBが受ける積算照射線量評価結果と比較することで、MOXからの照射は、実施設で使用されるGBパネル材の熱分解特性に対して明らかな影響を与えないことを確認した。
阿部 仁; 田代 信介; 渡邉 浩二; 内山 軍蔵
JAEA-Research 2012-035, 26 Pages, 2013/01
核燃料サイクル施設の安全性の確認に資するため、同施設における火災時の閉じ込め機能の健全性を評価するための手法の整備を進めている。同施設に存在する代表的な可燃性物質として、再処理有機溶媒やMOX燃料加工工程でMOX粉末へ添加されるステアリン酸亜鉛さらに代表的な潤滑油を取り上げ、これらの燃焼に伴う質量減少速度や煤煙化率等の燃焼特性データを取得した。また、再処理有機溶媒の燃焼に伴う煤煙の目詰まりによるHEPAフィルタの差圧上昇データを取得した。その結果、30%TBP/70%ドデカンの燃焼では、煤煙化率がドデカンを含む他の燃焼物質と比べて大きいこと、燃焼晩期にこれまで報告されていないHEPAフィルタの急激な差圧上昇が引き起こされる可能性があることがわかった。また、これまで燃焼性については考慮されていないステアリン酸亜鉛も、外部から加熱された状態では、定常的に燃焼を継続することを確認した。
阿部 仁; 渡邉 浩二; 田代 信介; 内山 軍蔵
JAEA-Research 2007-075, 50 Pages, 2007/11
MOX燃料加工施設では、MOXの閉じ込め性能を維持するため、MOXをグローブボックスにて取扱うことが要求されている。グローブボックスは樹脂製部材から構成されるため、火災等により熱的なストレスが加えられた場合には、これらの熱分解や燃焼によってグローブボックスの閉じ込め性能が失われる可能性がある。本研究では、火災時のグローブボックスの閉じ込め性能の定量的な評価に資するため、これら部材の熱分解特性及び燃焼特性にかかわる基礎データを取得している。本報は、空気雰囲気下でのこれらデータを取得した結果をまとめたものであり、これら知見を組合せることでグローブボックス火災時の静的閉じ込め機能劣化の経時変化を評価するための解析モデルの検討を行った結果をまとめたものである。
阿部 仁; 渡邉 浩二; 田代 信介; 内山 軍蔵
JAEA-Research 2006-054, 39 Pages, 2006/09
MOX燃料加工施設では、MOXの施設内への閉じ込め性能の維持のため、MOXをグローブボックスの内部で取り扱うことが要求されている。グローブボックスは幾つかの種類の樹脂製部材から構成されるため、火災等によりグローブボックスに対して熱的なストレスが加えられた場合には、この樹脂製部材の熱分解や燃焼によってグローブボックスが有する静的閉じ込め性能が失われる可能性がある。本研究では、火災時のグローブボックスの静的閉じ込め性能の定量的な評価に資するため、これら部材の熱分解反応にかかわる、反応開始温度,吸発熱量,反応温度範囲及び反応速度データ等の吸発熱特性を検討している。本報では、熱分析装置を用いたこれら吸発熱特性データの取得と、火災時のグローブボックスの静的閉じ込め性能の定量的評価モデルの検討を行った。その結果、火災の進展に伴うこれら部材の温度上昇や熱分解の進行による質量減少の経時変化を矛盾なく評価することができることを示した。
小池 忠雄; 西尾 軍治; 高田 準一; 塚本 導雄; 宮田 定次郎; 渡邉 浩二*
JAERI-Tech 95-005, 84 Pages, 1995/02
再処理施設で使用する溶媒と硝酸の熱分解反応は発熱性であるので、溶媒と硝酸が存在する状態で温度しきい値(熱的制限値)を超えて加熱すると、急激な熱分解反応を引き起こす恐れがある。原研では、科学技術庁の委託を受けて、再処理施設において想定される溶媒と硝酸の急激な熱分解反応が蒸発缶などの加熱機器の安全性に及ぼす影響について実証試験を実施した。本報告書は、硝酸や硝酸ウランを含む溶媒の熱分解反応挙動、反応速度、反応熱等の試験結果についてまとめたものである。さらに、再処理モデルプラントのPu蒸発缶を対象にして、溶媒と硝酸の熱分解反応に関わる熱的制限値の妥当性や自己反応温度の意味を明らかにし、再処理プラントにおけるPu濃縮蒸発缶の安全裕度を推算した。
阿部 仁; 渡邉 浩二; 田代 信介; 土野 進*; 梅津 博幸*
no journal, ,
MOX燃料加工施設の火災時の安全性を定量的に確認するためには、実施設の詳細情報を考慮したうえで、施設で使用される各可燃性物質固有の燃焼・熱分解特性とそれに伴う放射性物質・煤煙の放出特性にかかわるデータを相互に関連付けて取得し、火災の拡大やエネルギー及び放射性物質・煤煙放出等の事象の時間的進展を評価することが重要である。(独)原子力安全基盤機構(JNES)は、同施設の閉じ込め機能を担うGBに対する保守管理にかかわる技術基準の整備を目的として、閉じ込め機能にかかわる技術的基本要件の整理と火災時及び地震時のGB挙動評価を実施しており、そのうち(独)日本原子力研究開発機構はJNESからの受託事業(火災要素試験)として、これらデータの取得・整備を進めている。本報では、本試験概要とGB構成材の熱分解特性データについての中間報告を行う。
渡邉 浩二; 阿部 仁; 田代 信介; 内山 軍蔵; 土野 進*; 梅津 博幸*
no journal, ,
核燃料サイクル施設におけるグローブボックス(GB)の火災時の閉じ込め機能を定量的に評価するための基礎データの取得と評価モデルの整備を進めている。本報では、GB構成材の燃焼特性データ(輻射熱流等のエネルギー放出特性)と熱分解特性データに基づいた閉じ込め評価手法の検討にかかわる中間報告を行う。
阿部 仁; 渡邉 浩二; 田代 信介; 内山 軍蔵; 土野 進*; 梅津 博幸*
no journal, ,
火災時のグローブボックス(以下、GBという。)の閉じ込め機能劣化の経時変化を評価するため、GB構成部材の熱分解特性及び燃焼特性データの取得と評価モデルの整備を進めている。このうち本報では、GBパネル構成部材であるアクリルの燃焼に伴う熱流動に対するソースタームデータと煤煙及び模擬放射性物質(EuOを使用)の放出特性データについて報告する。EuOを上表面に均一に添加したペレット状のアクリルを燃焼させた場合、EuOの放出速度(kg/ms)は燃焼開始直後に最大値を示しその後急激に低下した。煤煙化率は同放出速度のピークより若干の時間遅れを伴ってピークを示した。全燃焼時間でのEuO及び煤煙の平均の放出率は、それぞれ、約2.4%及び約0.16%であった。EuOの存在形態や幾つかのGB構成部材を混合させた場合の燃焼特性評価結果等についても言及する。
天野 祐希; 渡邉 浩二; 阿部 仁; 石川 淳; 田代 信介; 山根 祐一; 内山 軍蔵
no journal, ,
再処理廃液に含まれる硝酸塩の示差熱熱重量分析(TG-DTA)を行うとともに、速度論的解析を行うことで硝酸塩の熱分解反応の反応速度定数を得た。得られた定数を用いて計算したTG-DTA曲線と実測値を比較し、定数の妥当性を評価した。
天野 祐希; 渡邉 浩二; 石川 淳; 田代 信介; 阿部 仁; 山根 祐一; 吉田 一雄; 内山 軍蔵
no journal, ,
高レベル濃縮廃液に含まれる代表的な元素の硝酸塩の熱分解特性データを組合せることで、同廃液乾固物の熱分解挙動及びNOx発生速度の計算による再現を試みた。熱分解に伴う質量減少挙動については試験結果と同様の傾向を再現できたが、NOx発生挙動については試験結果を再現できなかった。その原因は、複数の金属硝酸塩の共存により脱硝反応後に複酸化物が生成されているためと考えられる。
阿部 仁; 真崎 智郎; 渡邉 浩二; 鈴木 慎也; 田代 信介; 天野 祐希; 山根 祐一; 吉田 一雄; 内山 軍蔵; 上田 吉徳*; et al.
no journal, ,
再処理施設における高レベル濃縮廃液の蒸発・乾固事故時の放射性物質の放出・移行特性を検討してきた。揮発性の観点からRuは公衆への影響評価上で重要な元素である。気相部の温度や雰囲気組成を一定の条件で制御できる試験装置を用いて、高レベル濃縮廃液・乾固物から気相へ移行する際にRuがとる化学形と考えられるRuOの移行経路での移行挙動データを取得した。その結果、再処理特有の気相条件(硝酸蒸気共存)下では、RuOは気相中での熱分解やガラス壁面への沈着を経ず気相中を移行することがわかった。
天野 祐希; 渡邉 浩二; 鈴木 慎也; 田代 信介; 山根 祐一; 阿部 仁; 吉田 一雄; 内山 軍蔵
no journal, ,
再処理施設における高レベル濃縮廃液の蒸発・乾固事故時の放射性物質の放出・移行特性を検討してきた。揮発性の観点から公衆への影響評価上で重要な元素であるRuは、主に廃液の乾固の進行に伴って気相中へ放出されることが報告されている。Ruの顕著な放出は、乾固物に存在すると考えられる各元素硝酸塩のNOxガスの放出を伴う熱分解反応の進行と関連していると考えられる。本研究では、Ruの気相への移行挙動を推察するため、各元素硝酸塩のうちRu硝酸塩に着目し、Ru硝酸塩の熱分解反応熱および熱分解反応速度定数等の熱分解特性データを取得した。これらを組み合わせることで、熱分解反応の進展を推察できる見通しを得た。
阿部 仁; 真崎 智郎; 渡邉 浩二; 田代 信介; 山根 祐一; 天野 祐希; 吉田 一雄; 内山 軍蔵
no journal, ,
再処理施設における高レベル濃縮廃液の蒸発・乾固事故時の放射性物質の放出・移行特性を検討してきた。揮発性の観点から公衆への影響評価上で重要な元素であるRuは、主に廃液の乾固の進行に伴って気相中へ放出されることが報告されている。本研究では、廃液の乾固段階におけるRuの放出挙動を把握するため、乾固物中に存在すると予想されるRu硝酸塩の熱分解に伴うRuの放出割合を測定するとともにRuの放出速度定数を導出した。この放出速度定数を用いてRu硝酸塩の昇温に伴うRuの放出速度を計算したところ、模擬廃液を加熱したビーカースケール実験で得られたRuの放出挙動を矛盾なく再現できることを確認した。