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渡邊 みのり*; 加藤 丈典*; 小北 康弘; 湯口 貴史*
no journal, ,
石英は珪長質な深成岩に普遍的に産出する鉱物であり、石英の結晶化プロセスの解明はマグマ溜まりの冷却過程の解明に寄与する。本研究ではカソードルミネッセンス(CL)パターンと微量に含有されるチタン(Ti)濃度の情報から、石英の結晶化プロセスを論じる。研究対象は宮崎県北部の大崩山花崗岩体である。大崩山花崗岩から採取した試料を観察・分析し、CL像およびTi濃度を取得した。石英のCL像取得は山形大学のSEM-CL(JEOL IT100A+Gatan mini CL)を用い、石英中のTi濃度定量は名古屋大学宇宙地球環境研究所のEPMA(JEOL JCXA-733)を用いた。Ti濃度定量の分析条件は、4つの分光結晶(PET)をTiの検出に割り当て、加速電圧15kV, 照射電流60nA, ビーム径20m、1回の測定時間を200s(ピーク: 100s, バックグラウンド: 50sずつ)とし、同一地点で8回(計1,600s)カウントした値を積算することにより1点の定量値を得た。大崩山花崗岩体の石英のCL観察の結果、オシラトリーゾーニングなどの累帯構造を持つ内部構造がしばしば観察される。石英のTi濃度は1711ppmから38210ppmの幅を有し、全点の加重平均は9311ppm(N=148)となった。TiOの活動度を1と仮定し、TitaniQ地質温度計(Wark and Watson, 2006)を適用すると、チタン濃度に対応して最高温度が93920C、最低温度が55668Cと導出された。コアのCL低輝度域において比較的高いTi濃度を持つのに対して、リム部の高輝度域でも比較的高いTi濃度を示す。つまり、CLの輝度の明暗とTi濃度が関連しない可能性を示しており、CLパターンとTi濃度の関連を示したYuguchi et al. (2020)と異なる結果となった。