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三島 理愛; 稲葉 優介*; 立岡 壮太郎*; 針貝 美樹*; 渡邊 真太*; 尾上 順*; 中瀬 正彦*; 松村 達郎; 竹下 健二*
Chemistry Letters, 49(1), p.83 - 86, 2020/01
被引用回数:4 パーセンタイル:21.18(Chemistry, Multidisciplinary)使用済燃料の再処理で生じる高レベル放射性廃液を最終処分するにあたり質の良いガラス固化体に成型するためには、白金族元素(PGM)を分離することが重要である。新たな収着材としてフェロシアン化アルミニウム(AlHCF)を合成し、濃硝酸中におけるPGM収着挙動を調べた。その結果、硝酸によりAlHCFが顕著な溶出をすることがわかった。同様にPGMであるRhの単成分溶液においてもAlHCFが溶出しRh収着が確認されなかった。しかしPd単成分溶液においてはPd収着が確認でき、AlHCFは大きく溶出せず構造が安定化した。そこでPdとRhが共在する二成分系溶液での収着試験を行ったところPd収着によりAlHCFの構造が保たれRhは収着された。また、Pd収着量とAlとFeの溶出量について、AlとFeの溶出比はAlHCF中の元素比と一致しなかったがその理由としてFeの再収着が考えられ新しい構造の形成が示唆された。AlHCFによるPGMの収着メカニズムは、単純なイオン交換だけでなく酸化還元反応と収着速度論も重要な法則である。この収着と溶出の挙動を理解することがAlHCFのPGM収着性能向上に役立つ。
広瀬 直毅*; Sergey, V.*; 渡邊 達郎*; 川村 英之; 山本 勝*
no journal, ,
日本海には、外洋が持つ現象が数多く見られる。私達は、この日本海の海況を調べるためにデータ同化と海況予報システムを開発してきた。システムの中心は、九州大学応用力学研究所で開発されたRIAMOMであり、メソスケールの変動を計算することが可能である。現在、このシステムには二つのバージョンがあり、その一つである短期予報システムは、潮汐や天気予報により計算された変数を駆動力としており、潮汐を含めて5日程度までの正確な予報ができる。また短期予報システムは、流出重油のような物質の移行計算にも適用される。もう一つの長期予報システムは、人工衛星の海面水温・高度データをそれぞれ緩和法・近似カルマンフィルターにより逐次的に同化するものである。対馬海峡における流量は、定期的に日本と韓国を運航するフェリーに搭載した機器により観測されたデータを使用している。長期予報システムは、正確な日本海の現況計算に加えて、数か月程度の予報も可能であることが確認された。さらに海況予報システムを使用して、2005年に社会問題となったエチゼンクラゲの挙動を予報することに成功した。今後、海況予報システムは東アジア縁辺海に拡張していく予定である。
高山 勝巳*; 広瀬 直毅*; 川村 英之; 清水 大輔*; 渡邊 達郎*
no journal, ,
原子力機構では日本海における汚染物質等の移行挙動を再現・予測するために、日本海を対象とした海洋大循環モデルを開発している。これまでの研究により、日本沿岸の潮位計データを数値モデルに同化することで沿岸域の海況の再現性を高めることが確認された。本研究では、人工衛星海面高度計データ・現場水温塩分データ・潮位計データを数値モデルに同化する効果を定量的に解析した。その結果、これらのデータを同化することが、海況の再現性を高めるのに有効であることがわかった。
高山 勝巳*; 渡邊 達郎*; 川村 英之; 田中 伊織*
no journal, ,
近年、海洋大循環モデルと低次生態系モデルを結合させて、海洋中の基礎生産量を見積もる研究が盛んに行われている。海洋中の基礎生産量を正確に見積もることは、水産資源の動向や汚染物質の挙動を数値モデルで再現・予測するうえでも非常に重要である。本研究では、3次元低次生態系モデルを構築する準備段階として、北海道西岸沖を対象海域とした鉛直1次元モデルを構築し、栄養塩や植物プランクトン濃度等の観測データとモデル結果を比較し、数値モデルの再現性を確認することを目的としている。本研究で使用した低次生態系モデルは、1-boxのNEMUROを鉛直1次元に拡張したものである。モデル結果は、春季と秋季に表層で植物プランクトン濃度が高くなるブルーミングと呼ばれる現象や夏季に亜表層で植物プランクトン濃度が極大になる現象等を現実的に再現していることが確認された。
渡邊 達郎*; 高山 勝巳*; 川村 英之; 田中 伊織*
no journal, ,
日本海北部における基礎生産の季節変動と鉛直分布を解明するために、日本海海況予報システムに基づいた一次元低次生態系モデルを開発した。低次生態系モデルには、データ同化を適用した海況予報システムの2003年から2008年の北海道西岸域における水温と鉛直拡散係数の計算結果の平均値を入力した。モデルの計算結果は、硝酸塩・植物プランクトン・動物プランクトンの季節変動と鉛直分布を現実的に再現していた。例えば、植物プランクトンの増殖が原因となる春季ブルーミングは、観測結果と同様に、海面から水深50 mの間で4月上旬に発生し、その時の植物プランクトン濃度は1.510molN/lとなった。その後、水深40 m付近に濃度の極大が形成され、秋季までにその水深は深くなり、11月末には表層で弱い秋季ブルーミングが起こるという季節変動を示した。
高山 勝巳*; 渡邊 達郎*; 川村 英之; 田中 伊織*
no journal, ,
本研究では、三次元低次生態系モデルを使用した数値実験を行い、日本海におけるクロロフィルaと栄養塩の時空間変動に関して解析を行った。低次生態系モデルは、月平均の短波放射データと海洋大循環モデルにより計算された日平均の水温・海流速・鉛直拡散係数データによって駆動される。モデル結果の検証を行うため、人工衛星SeaWiFSで観測された海面のクロロフィルa濃度データと日本海北部で観測されたクロロフィルa濃度データと栄養塩データを使用した。低次生態系モデルは、クロロフィルaと栄養塩の季節変動を定量的に再現していることが確認された。モデル結果と人工衛星で観測されたクロロフィルa濃度の相関係数とRMSの日本海全域における平均値は、それぞれ0.455と1.468mg/mとなった。
高山 勝巳*; 渡邊 達郎*; 川村 英之
no journal, ,
本研究では、三次元低次生態系モデルを使用して、クロロフィルa濃度の再現性に関して解析を行った。低次生態系モデルは、海洋大循環モデルで計算された日平均の水温・海流速・鉛直拡散係数、月平均の日射量で駆動され、対馬海峡付近ではクロロフィルa・硝酸塩・ケイ酸塩濃度の月平均データを側面境界条件としている。モデルの検証に使用したデータは、人工衛星MODIS/AQUAで観測された海面のクロロフィルa濃度と気象庁の越前岬沖線(PM線)の標準層で測られたクロロフィルa濃度である。モデル結果と人工衛星で観測されたクロロフィルa濃度の相関は、日本海全域で0.403となり、日本海南西部では相関が低かった。PM線で測られた観測データと比較した結果、低次生態系モデルはクロロフィルa濃度の季節変動だけでなく、2003年から2007年における経年変動を定性的に再現していることが確認された。
三島 理愛; 立岡 壮太郎*; 稲葉 優介*; 針貝 美樹*; 松村 達郎; 渡邊 真太*; 尾上 順*; 中瀬 正彦*; 竹下 健二*
no journal, ,
日本では高レベル放射性廃液(HLLW)をガラス固化し地下深部に最終処分する方針であるが、ガラス固化処理中に発生する、HLLW中の白金族元素の析出とMoのイエローフェーズ形成が問題になっており、さらにそれら解決のための洗浄運転による発生ガラス固化体量と必要な最終処分場面積の増大も問題となる。本研究では吸着材としてフェロシアン化アルミニウム(AlHCF)に着目し、AlHCFの各種金属イオンに対する吸着挙動を解明し溶出と吸着の関係を理解することを目的に、AlHCFの合成と処理条件による吸着性能への影響と、金属イオンの吸着とAlHCFの溶出との関係を調査した。合成したAlHCFは模擬HLLWにおいて白金族元素とMoに対し吸着性能を示すことが分かった。各元素に対する吸着機構を調べるためPd単成分溶液での吸着試験を行った結果、Pd吸着過程で溶出したFeとAlの元素比は1:4となり、本来のAlHCF内のFeとAlの元素比3:4と異なることから、Pdの吸着だけでなく再吸着と安定化のメカニズムの存在が示唆された。
三島 理愛; 立岡 壮太郎*; 稲葉 優介*; 針貝 美樹*; 松村 達郎; 渡邊 真太*; 尾上 順*; 中瀬 正彦*; 竹下 健二*
no journal, ,
日本では高レベル放射性廃液(HLLW)をガラス固化し地下深部に最終処分する方針であるが、ガラス固化処理中に発生する、HLLW中の白金族元素の析出とMoのイエローフェーズ形成が問題になっており、さらにそれら解決のための洗浄運転による発生ガラス固化体量と必要な最終処分場面積の増大も問題となる。本研究では吸着材としてフェロシアン化アルミニウム(AlHCF)に着目し、AlHCFの各種金属イオンに対する吸着挙動を解明し溶出と吸着の関係を理解することを目的に、AlHCFの合成と処理条件による吸着性能への影響と、金属イオンの吸着とAlHCFの溶出との関係を調査した。合成したAlHCFは模擬HLLWにおいて白金族元素とMoに対し吸着性能を示すことが分かった。各元素に対する吸着機構を調べるためPd単成分溶液での吸着試験を行った結果、Pd吸着過程で溶出したFeとAlの元素比は1:4となり、本来のAlHCF内のFeとAlの元素比3:4と異なることから、Pdの吸着だけでなく再吸着と安定化のメカニズムの存在が示唆された。