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春山 保幸; 瀧澤 春喜; 細野 雅一; 水橋 清*; 中村 義輝*; 兼谷 聡*; 浅井 孝博*; 川畑 道子*; 今井 浩二*
JAEA-Review 2013-059, JAEA Takasaki Annual Report 2012, P. 177, 2014/03
2012年度のサイクロトロンにおけるビームタイムは2243.5時間であった。そのうち、バイオテクノロジーや医療分野の利用時間が最も多く、全体の1/4の利用時間を占める。外部への利用提供は17%であった。一方、静電加速器における利用日数は490日であった。そのうち、基盤技術分野の利用が46%と半分近くの利用割合を占めたが、宇宙材料の照射と原子炉材料の照射利用も多く、それぞれ18%, 15%の利用割合を占めた。外部への利用提供は8%程度であった。
水橋 清; 瀧澤 春喜; 細野 雅一; 中村 義輝*; 兼谷 聡*; 望月 誠互*; 浅井 孝博*; 川畑 道子*; 大工原 和子*
JAEA-Review 2012-046, JAEA Takasaki Annual Report 2011, P. 171, 2013/01
平成23年度は東日本大震災(平成23年3月11日)の影響を大きく受けた年であった。4月から予定していた加速器利用は5月中旬からの開始となり約1.5か月間利用できなかった。しかし、この期間に計画したビームタイムは運転開始後の隔週土曜日を実験利用日とすること等で補った。また、7月から9月までの3か月間の昼間の使用電力量を前年比で15%削減する要請に応えるため、昼間のサイクロトロンの利用を消費電力の少ないビーム条件(H,D: 20MeV)に制限することで削減を図った。こうした外部変化に対応するため、上期の実験計画を再募集し前年度末に作成したビームタイムの割付を見直すことで運転計画の調整を行った。これらの結果、昼間の使用制限値3600kWに対して、期間中3200kW以下と削減要請に十分応えた。また、年間を通してほぼ予定通りのビームタイム(時間/日数)が利用された。
Son, N. T.*; Janzn, E.*; 磯谷 順一*; 森下 憲雄; 花屋 博秋; 瀧澤 春喜; 大島 武; Gali, A.*
Physical Review B, 80(12), p.125201_1 - 125201_8, 2009/09
被引用回数:10 パーセンタイル:42.43(Materials Science, Multidisciplinary)耐放射線性炭化ケイ素(SiC)半導体デバイス開発の基礎データ取得のため、2MeV電子線照射により立方晶(3)SiC中に生成する照射欠陥を電子常磁性共鳴法(EPR)により調べた。その結果、80100Kでの低温照射の場合、LE1とラベル付けされたEPRシグナルが観測されることが判明した。LE1シグナルの温度依存性,EPR測定角度依存性の結果と、スーパーセルを用いた数値計算の結果を比較することで、このLE1シグナルが、+3価の電荷を持ち、[100]方向に沿った、Si空孔(V)と第二近接に位置するSi格子間原子(Si)フレンケルペア型の欠陥であると同定できた。加えて、低温照射ではこのLE1シグナルが主要欠陥であり、単一の空孔型欠陥は観測されないことも判明した。さらに、室温まで温度を上昇させると、LE1シグナルが消失することも併せて明らかとなった。
水落 憲和*; 山崎 聡*; 瀧澤 春喜; 森下 憲雄; 大島 武; 伊藤 久義; 梅田 享英*; 磯谷 順一*
Physical Review B, 72(23), p.235208_1 - 235208_6, 2005/12
被引用回数:50 パーセンタイル:83.68(Materials Science, Multidisciplinary)炭化ケイ素(SiC)半導体中のSiサイトの空孔型欠陥( )のスピン(S)多重度と荷電状態をパルス電子-核二重共鳴法(ENDOR)を用いて決定した。試料にはn型の六方晶SiC(4-SiC)を用い、3MeVの電子線を410/cm照射することで を導入した。電子スピン共鳴(ESR)測定により非常に強いSiの超微細相互作用(HF)が観測された342.3mTでのパルスENDOR測定を行い、得られたシグナルを電子スピン及び核スピンのゼーマン分裂,HF分裂を考慮して解析した結果、 はこれまで提唱されていた中性空孔ではなく、荷電状態-1,スピン状態S=3/2のSi空孔であると同定できた。
箱田 照幸; 須永 博美; 瀧澤 春喜; 廣田 耕一; 小嶋 拓治
Radioisotopes, 53(2), p.59 - 69, 2004/02
汚染排ガス処理への応用拡大が検討される300keV以下の低エネルギー電子ビーム(EB)は、汚染排ガス中で散乱し、その結果ガス中において不均一な吸収線量率分布を与える。そこで、高効率な排ガス処理システムの構築のためには、線量計測が不可欠である。本研究では、空気を満たした照射容器内で2種のポリマーフィルム型線量計による深度線量率の計測,アルミニウム製全吸収型カロリメータによる深度エネルギーフルエンス率の計測を行うとともに、半経験的電子輸送コード(EDMULTコード)による深度線量率分布の計算結果と比較しながら、300keVのEB照射場の線量計測に関する研究を行った。その結果、空気中におけるビームの広がりを考慮することにより、CTA線量計及びGafchromic線量計を用いて実測した深度線量率がEDMULTコードによる計算結果と分布の傾向がよく一致することがわかった。また試作したカロリメータによるエネルギーフルエンス率は、フィルム型線量計から得られた値に比べて811%小さかった。この差は、実験誤差を考えると非常に小さな値である。以上のことから、低エネルギーEB照射場において、本研究で開発したカロリメータによりあらかじめポリマーフィルム線量計を校正しておくことにより、これらの線量計による線量率計測が可能となることが明らかとなった。
小嶋 拓治; 須永 博美; 瀧澤 春喜*; 花屋 博秋; 橘 宏行*
Radiation Physics and Chemistry, 68(6), p.975 - 980, 2003/12
被引用回数:2 パーセンタイル:19(Chemistry, Physical)低LET放射線に対する特性が明らかになっている4種のフィルム線量計を3-45MeV/uのイオンビームに応用した。低LET放射線を基準とした線量計の相対応答は、いずれもおよそ1から10MeV/(mg/cm)であり、阻止能が高くなるにしたがって徐々に小さくなる。特性を明らかにしたこれらの線量計によるイオンビーム線量測定における不確かさは、フルエンス測定における不確かさを2%含んで5%(1)より良かった。特性を明らかにしたGaf線量計を用いることにより、それぞれ1及び10mより良い空間分解能で平面及び深度方向の線量分布測定ができることがわかった。
水落 憲和*; 山崎 聡*; 瀧澤 春喜; 森下 憲雄; 大島 武; 伊藤 久義; 磯谷 順一*
Physical Review B, 68(16), p.165206_1 - 165206_11, 2003/10
被引用回数:41 パーセンタイル:82.89(Materials Science, Multidisciplinary)4H-及び6H-SiC中の負に帯電した孤立シリコン空孔(V)を電子常磁性共鳴(EPR)によって調べた。空孔型の欠陥は、室温での3MeV電子線照射により結晶へ導入した。また、照射後、アルゴン中300Cで熱処理することでC起因の孤立空孔を消滅させた。Cの超微細相互作用より得られるEPRシグナルを解析した結果、VはSiC中のヘキサゴナルサイト及びキュービックサイトに存在するV(I)とV(II)があることが判明した。さらに、Cの超微細相互作用シグナルの角度依存性を詳細に調べた結果、Vに近接するC原子の配置は通常のテトラヘドラルではなく、ゆがんだ(C)対称であることが判明した。
小嶋 拓治; 箱田 照幸; 須永 博美; 瀧澤 春喜; 花屋 博秋
Proceedings of 9th International Conference on Radiation Curing (RadTech Asia '03) (CD-ROM), 4 Pages, 2003/00
300keV電子線について、受感部の厚さが8-mのガフクロミックフィルム線量計により線量率測定を、試作したアルミ製全吸収型カロリメータによりエネルギーフルエンス測定をそれぞれ行うとともに、深部線量分布の半経験的計算をEDMULTコードにより行った。そして、空気中の深さに対する線量率分布及びエネルギーフルエンスに関する3つの方法による予備知見結果を比較した。これらの結果に基づき、300keV電子線の線量測定に対する影響因子について議論した。
水落 憲和*; 山崎 聡*; 瀧澤 春喜; 森下 憲雄; 大島 武; 伊藤 久義; 磯谷 順一*
Physical Review B, 66(23), p.235202_1 - 235202_12, 2002/12
被引用回数:108 パーセンタイル:95.03(Materials Science, Multidisciplinary)SiC中の固有欠陥の構造を明らかにするために電子線照射したn型4H-SiCの空孔型欠陥をEPR(electron paramagnetic resonance)により調べた。本研究では、S=1と報告されているTセンターについて詳細に調べた。パルスEPRのニューテーション法を用いて測定を行ったところS=1ではなくS=3/2であることが明らかになった。Cの超微細相互作用の解析より、このセンターがシリコン単一空孔に由来することが決定された。また、このセンターは負に帯電し、C対称(C軸方向の炭素と他の3個の炭素とが等価でない歪みを有する)であることも見出された。
小嶋 拓治; 須永 博美; 瀧澤 春喜; 花屋 博秋; 橘 宏行*
JAERI-Review 2002-035, TIARA Annual Report 2001, p.123 - 124, 2002/11
Co-線や2MeV電子線について特性が十分に明らかにされている、厚さ約10-200mmの薄いフィルム線量計をイオンビーム線量測定に応用した。線量範囲0.005-200kGyを5%以内の精密度でカバーする線量測定技術の開発のため、高精密なフルエンス測定技術の開発とともに、薄いフィルム線量計の応答の線エネルギー付与(LET) 特性研究を行った。また、平面及び深度方向の空間分解能がそれぞれ約1m及び10m未満の線量分布測定技術を開発した。最近の開発成果の概要をまとめて記す。
水落 憲和*; 磯谷 順一*; 山崎 聡*; 瀧澤 春喜; 森下 憲雄; 大島 武; 伊藤 久義
Materials Science Forum, 389-393, p.497 - 500, 2002/00
被引用回数:3 パーセンタイル:16.11(Materials Science, Multidisciplinary)室温で3MeV電子線を照射(410e/cm)したn型4H-及びp型6H-SiC半導体中の欠陥を電子常磁性共鳴法(EPR)を用いて分析した。試料への光照射を行うことで、近接原子との超微細相互作用に起因するTシグナルを新たに見出した。超微細構造の強度及び対称性を解析した結果、このシグナルはシリコン単一空孔に関連した欠陥であることが判明した。
小嶋 拓治; 須永 博美; 瀧澤 春喜; 花屋 博秋; 橘 宏行
JAERI-Review 2001-039, TIARA Annual Report 2000, p.120 - 121, 2001/11
MeV/uイオンビームについて特性を明らかにしたGafフィルム(MD-1260)をプラスチックファントム中平面方向の線量分布測定に応用した。450MeV Xeイオンを厚さ10mのメッシュマスク材(線幅6m 格子内側距離19mを通して照射することによりGafフィルム上に人為的に線量分布をつくった。そして、フィルムの放射線誘起着色を直径1mの分析光をもつ顕微分光光度計を用いて測定を試みた。この結果、フィルムは十分な先鋭度を持って平面方向の照射領域を正確に示すとともに、線量応答特性に基づき吸光度から線量に換算することにより空間分解能1mで線量分布測定ができる可能性があることが明らかになった。
小嶋 拓治; 須永 博美; 瀧澤 春喜; 橘 宏行
JAERI-Conf 2000-001, p.310 - 313, 2000/03
3-45MeV/amuイオンビームの0.005~200kGyの線量測定を目的として、低LET放射線(Co-線またはMeV電子線)について応答特性を既に明らかにした、アラニン、三酢酸セルロース(CTA)等厚さ10-200mのフィルム線量計の応用を行った。まず、ファラデーカップ(FC)を用いたフルエンス測定値の精度を、フルエンスの均一な照射場における熱量計との同時計測により評価した。この結果、数nA/cmレベルで両者の比は1.022%でいずれのむイオンビームについてもよく一致した。次に、FC計測に基づき応答の直線性ある線量域でフィルム線量計を照射し、その応答を低LET放射線の場合と比較した。いずれの線量計も高LETになるに従い応答が徐々に低下する傾向をそれぞれ4%以内の精度で同様に示した。これから、低LET放射線で構成したこれらのフィルム線量計が、適当な補正を加えることによりイオンビームにも応用可能であることを明らかにした。
小嶋 拓治; 須永 博美; 瀧澤 春喜; 橘 宏行
JAERI-Review 99-025, TIARA Annual Report 1998, p.100 - 102, 1999/10
345MeV/amuのイオンビームのフルエンス測定について、これまでに総電荷量5nc/cm以上では2%の高い精度が得られている。これに基づき、ファラデーカップのサプレッション電圧の最適化や非照射時の暗電流評価を行い、これ以下の電流域についても2%以内の精度が得られることを明らかにした。また、4種のフィルム線量計のLET特性を低LET放射線の場合に規格化して整理することにより、低LET放射線で得られる校正曲線への補正係数を4%以内で与えた。これにより、これまで着色量等の分布でしかなかった情報を線量分布として表すことが可能となった。このため、積層フィルム中の深度線量分布測定などの応用を進めている。
水橋 清; 瀧澤 春喜; 細野 雅一; 中村 義輝*; 兼谷 聡*; 浅井 孝博*; 川畑 道子*; 大工原 和子*
no journal, ,
平成23年度は、東日本大震災(平成23年3月11日)の影響を大きく受けた年であった。4月から予定していた加速器利用は5月中旬からの開始となり、約1.5か月間利用できなかった。しかし、この期間における割当ビームタイムは、運転開始後の隔週土曜日を実験利用日とすることで補填した。また、7月から9月までの3か月間の昼間の使用電力量を前年比で15%削減する要請に応えるため、昼間のサイクロトロンの利用を消費電力の少ないビーム条件(H,D: 20MeV)に制限することで削減を図った。こうした外部情勢に対応するため、上期の実験計画の調整を行った。これらの結果、昼間の使用制限ピーク電力3,600kWに対して、期間中は3,200kW以下に抑制され削減要請に十分応えた。また、年間を通してほぼ予定通りのビームタイム(時間/日数)が利用された。
春山 保幸; 瀧澤 春喜; 細野 雅一; 水橋 清*; 中村 義輝*; 兼谷 聡*; 浅井 孝博*; 川畑 道子*; 今井 浩二*
no journal, ,
TIARA施設の利用状況について報告する。2012年度は大きな外的要因(大地震,電力削減要求等)もなくほぼ計画通りの運営が行えた。研究分野別では1991年から2012年の間に、医療・バイオ応用分野の利用課題件数が増加し、サイクロトロンの利用割合が最も多くなっている。静電加速器では、この約20年間で基盤技術開発の利用割合が大幅に増加した。また、外部利用者数はここ4年間では800人程度で安定している。
中原 里紗; 花屋 博秋; 広田 耕一; 根岸 光治; 春山 保幸; 瀧澤 春喜; 蔀 健次
no journal, ,
「施設供用」制度は、原子力機構が保有する原子力施設・設備を公共財として位置づけ、機構内に限らず外部の利用にも広く供するため設けている有償の施設利用制度である。研究開発を目的とした利用を対象に年2回、利用課題の定期公募を行っている。公募区分としては「成果公開」及び「成果非公開」があり、成果公開課題については機構内に設置されている専門部会で審査を行い、採択された課題は利用料金の一部が免除される。成果非公開課題は、実施の可能性等の検討のみで課題の審査は行わず基本の利用料金を徴収する。
花屋 博秋; 広田 耕一; 瀧澤 春喜; 春山 保幸; 金子 広久*; 中村 義輝*; 兼谷 聡*; 浅井 孝博*; 嵯峨 桂助*; 川畑 道子*
no journal, ,
高崎量子応用研究所のイオンビーム照射研究施設(TIARA)の平成26年度の利用状況を報告する。照射利用運転はほぼ年間運転計画どおりに行われ、原子力機構内外の研究利用に供した。4台の加速器の平成22年度から平成26年度の5年間における研究分野別の利用時間の推移については、サイクロトロンでは基盤技術開発分野及び施設供用等外部利用が近年増加傾向にある一方で、静電加速器では研究分野の比率は大きく変わらず、基盤技術開発分野が50%を占めた。また、福島第一原子力発電所事故対策に係る課題など、福島復興に貢献する課題が実施された。