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三上 智; 田中 博幸*; 奥田 直敏*; 坂本 隆一*; 越智 康太郎; 宇野 騎一郎*; 松田 規宏; 斎藤 公明
日本原子力学会和文論文誌, 20(4), p.159 - 178, 2021/12
2011年の福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質の影響のある地域で地殻ガンマ線によるバックグラウンド線量率のレベルを調査した。可搬型ゲルマニウム半導体検出器を用いて福島第一原子力発電所から80km圏内の370地点で、2013年から2019年にかけて地殻ガンマ線を測定した。ICRUレポート53に示される方法によってウラン238(U),トリウム232(Th)及びカリウム40(K)の土壌中放射能濃度とこれらによる地上1m高さにおける空気カーマ率を測定評価した。U, Th及びKの370地点の平均濃度はそれぞれ18.8, 22.7, 428Bq/kgであった。また、空気カーマ率の対象エリアの平均値は0.0402Gy/hであった。得られた空気カーマ率を文献に報告されている値と比較した。その結果、本研究による測定結果は文献に報告されている値と互いに相関があり、数値は不確かさの範囲内で一致していた。これは地殻ガンマ線による空気カーマ率は地質に依存するためである。地質時代が中生代、地質が花崗岩や流紋岩に分類される地点の空気カーマ率はその他の時代や岩石種に分類される地点の空気カーマ率に比べて統計学的に有意に高いことが確認できた。これは、既報の知見と整合する結果であった。
三上 智; 田中 博幸*; 松田 秀夫*; 佐藤 昭二*; 星出 好史*; 奥田 直敏*; 鈴木 健夫*; 坂本 隆一*; 安藤 正樹; 斎藤 公明
Journal of Environmental Radioactivity, 210, p.105941_1 - 105941_12, 2019/12
被引用回数:21 パーセンタイル:67.06(Environmental Sciences)2011年から2016年にかけて福島第一原子力発電所から80km圏内の撹乱のない多数の測定点で放射性セシウムの沈着量と空間線量率を繰り返し測定し、それらの経時変化の特徴を明らかにした。この地域のバックグラウンド放射線量を除いた平均空間線量率は、2011年6月から2016年8月までの期間中に初期の約20%に減少した。これは主にCs(半減期2.06y)の壊変の結果である。空間線量率の減少は放射性セシウムの壊変から予想されるものよりも約2倍早く、この減少の大部分は放射性セシウムの土壌への浸透によるものである。除染されていない土壌におけるCsとCsの平均沈着量は、ほぼ放射性壊変から予想されるペースで減少していた。すなわち水平方向の放射性セシウムの移動が比較的小さいことを示した。空間線量率と沈着量の測定結果では除染の効果が明らかに観察された。測定点の平均空間線量率は、その詳細な定量分析は今後の課題だが、除染やその他の人間の活動によって約20%減少した。
宮越 博幸; 上出 英樹; 田中 正暁; 山本 和弘
JNC TN9400 2002-027, 78 Pages, 2002/03
高速炉の経済性を工場させる方策として燃料の高燃焼度化が挙げられる。しかし、燃料の高燃焼度化に伴う燃料ピンやラッパ管の照射変形が集合体内の熱流動特性に及ぼす影響については、検討がまだ十分ではない。本研究では、変形ピンバンドル内の熱流動評価手法の確立の一環として、大型炉と同等のピン径およびピンピッチを有するワイヤスペーサ型の37本ピンバンドル体系模擬燃料集合体の一辺に沿って、周辺2列の14サブチャンネルにポーラス状閉塞物が組み込まれた試験装置を用いて、径方向流れが強調された体系での、集合体内混合現象の把握と解析手法開発のための検証データを得ることを目的としたナトリウム試験を実施した。試験では、集合体内の閉塞物との相対位置が異なる 7本のピンを個別に加熱した場合の温度場、ならびに試験体流入量とピン発熱量をパラメータとして出力・流量条件の依存性を確認した。試験の結果、閉塞物上流にはこれを避ける水平方向流れが生じ、この流れが集合体内の温度分布に大きな影響を及ぼすことが分った。閉塞物を避ける水平方向流れは、閉塞物設置断面(-0.125Z*-0.0125)から閉塞物下流(Z*0.0)を試験体中心に向かって斜めに上昇する。この水平方向流れで温度分布に影響を受ける範囲は閉塞物周辺の領域に限定されることが分った。加熱ピン周辺のサブチャンネルの軸方向温度分布から閉塞物を避ける流れとワイヤスペーサに沿うスワールフローがともに温度分布に影響を与えていることがわかった。試験ではパラメータとした50%と15%の出力・流量条件では、集合体内の温度分布に与える影響は限定的なものであった。ここで得られた試験データは、燃料集合体内熱流動解析手法の開発・検証に反映される。
田中 正暁; 上出 英樹; 小林 順; 宮越 博幸
JNC TN9400 2001-062, 145 Pages, 2001/02
局所事故の起因事象の一つとして想定されている燃料集合体内局所閉塞事象について実験研究を行った。ワイヤスペーサ型の燃料集合体の発熱部に生じる閉塞形態として、粒子状の異物が集積して流れ方向に厚みを持つポーラス状閉塞物となることが想定されている。大型炉と同等のピン径およびピンピッチを有するワイヤスペーサ型の37本ピンバンドル体系で、集合体の一辺に沿って周辺2列の14サブチャンネルにポーラス状閉塞物を組み込んだ試験体を用い、物理現象の把握と解析手法開発のための検証データを得ることを目的としたナトリウム試験を実施した。流量を実機定格条件の107.5% から10% 、ヒータ出力を実機最大線出力の最大60% まで変化させて試験を実施した。閉塞物内部のサブチャンネル中心温度およびピン表面温度は流れ方向に急激に上昇し、周囲の3サブチャンネルが全て閉塞しているサブチャンネルに接するピン表面の閉塞物上端部において最高温度が観測された。閉塞物内部の温度分布には、特に鉛直方向の流れが大きな影響を与えていること、ワイヤスペーサによるスワールフローの影響は小さいことが明らかとなった。また、高出力・流量条件(流量30%以上)と低出力・流量条件(流量15[% 以下)では閉塞物内部の温度分布の傾向が異なり、高出力・流量条件においては周辺よりも内側サブチャンネルの方が温度は高く水平断面内で分布が生じるが、低出力・流量条件では閉塞物内部の水平断面内でほぼ一様な温度分布となることが明らかとなった。本試験体系(37本ピンバンドル体系、周辺2列閉塞)において、閉塞物下流に生じる後流域は、閉塞物上端からワイヤ巻きピッチ(L=200mm)の1/6の高さで消滅し、鉛直方向流れが支配的な領域となることが分かった。実験結果を外挿して、実機条件下でのピン表面最高温度を評価した。実機で想定される閉塞よりも保守的な閉塞条件として、連続したサブチャンネルを直径0.3[mm の粒子で均一に充填した場合であっても最高温度は670 程度と推定される。試験条件の設定および温度計測に伴う不確かさ等を考慮しても700 以下であることが分かった。
青木 章平; 渡辺 宏; 佐藤 友太郎*; 星 龍夫; 田中 進; 高野 博幸*; 梅田 圭司*
日本食品工業学会誌, 23(7), p.283 - 287, 1976/07
高崎研究所で設計、製作したサイロ型中規模米麦照射装置を用い、米について実際に殺虫試験および照射米の官能検査を行なった。本装置は棒状のC-60線源(277/Ci)の周囲に同心円状に3つの照射領域を有し、線量の調節は、米麦の流速を各領域ごとに仕切弁で制御することにより行なう構造となっている。試料米には46年群馬県産「日本睛」玄米を用い、線量は8~21kradとした。殺虫試験ではコクゾウの成虫およびカルチャーを各照射領域に混入して照射した。成虫はいずれの領域のものも、照射後7日間で約85%、21日後でほとんど完全に死滅した。また、卵、幼虫、蛹からの成虫羽化は認められなかった。官能検査では大量に照射した玄米のなかから一部を精白して試料とした。照射米は照射直後において粘りについて5%の危険率の下に、非照射米より若干劣っていたが、3ヵ月貯蔵後では試験項目すべてにわたって有意差は認められなかった。
青木 章平; 渡辺 宏; 佐藤 友太郎*; 星 龍夫; 田中 進; 高野 博幸*; 梅田 圭司*
食品照射, 9(1-2), p.82 - 83, 1974/02
高崎研究所で設計、製作したサイロ型中規模米麦照射装置を用い、米について実際に殺虫試験および照射米の官能試験を行なった。線量8~21kradの照射において、コクゾウの成虫は照射後7日間で約85%、21日後でほとんど完全に死滅した。また、卵、幼虫、蛹からの成虫羽化は認められなかった。官能試験では、非照射米、照射米間において、照射直後では粘りについて照射米のほうがやや劣っていたのを除き、有意差はなく、3ヶ月貯蔵後ではすべての試験項目について有意差は認められなかった。
田中 正暁; 江連 俊樹; 石川 信行; 宮越 博幸; 清水 亮*; 中村 博紀*; 大山 一弘*
no journal, ,
過酷事故(SA:シビアアクシデント)時を含む崩壊熱除去時の多様な炉内冷却システムの成立性確認を目的として設計検討を行っているナトリウム試験装置(AtheNa-RV/DHRS)に対し、総合効果試験としての要求項目に対応した系統構成及び炉心冷却器(DHX)を含む試験体概念の検討結果を報告する。