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田口 光正; 木村 敦; 大谷 仁巳*; 白石 不二雄*; 広田 耕一
no journal, ,
これまでわれわれは、水中に反応活性種を均一に発生させることができる放射線の特性を利用して、内分泌かく乱化学物質を含む排水の放射線処理研究を行ってきた。今回は急性毒性を有する代表的な有機塩素化合物であるダイオキシンやPCBの前駆体と考えられている2-クロロフェノール(2CP)を純水に溶解したものに線照射した。2CPの濃度は線照射により指数関数的に減少した。低線量領域では、一次生成物として3-クロロカテコールやクロロハイドロキノンが生成したが、線量の増加に伴いそれらの濃度は減少に転じた。8kGyの照射では、2CPや分解一次生成物はほとんど分解した。発光細菌を用いた生物学的評価では、2CP水溶液は、線照射前に弱い急性毒性を有していたが、線量の増加に伴い急性毒性は単調に増加した。この毒性は、2CPや分解一次生成物の濃度から予測される毒性の総和よりも大きかった。すなわち、線照射後の毒性はクロロフェノールや分解一次生成物のみ由来するのではなく、有機酸やアルデヒドを含めた照射生成物の相加・相乗効果によるものと考えられる。
田口 光正; 木村 敦; 広田 耕一; 大谷 仁巳*; 白石 不二雄*
no journal, ,
水中に酸化性あるいは還元性の強い反応活性種を均一に発生させることができる放射線照射により、内分泌かく乱化学物質などの微量環境汚染物質の分解処理が可能である。われわれは、急性毒性を有する有機塩素化合物の分解処理を目的として、塩素や芳香環などの基本骨格を有する2-クロロフェノール(2CP)を最初のターゲットとした。2CPを純水に溶解したものに線照射したところ、その濃度は指数関数的に減少した。低線量領域では、一次生成物として3-クロロカテコールやクロロハイドロキノンが生成したが、線量の増加に伴いそれらの濃度は減少した。8kGyの照射では、2CPや分解一次生成物はほとんど分解した。発光細菌を用いた生物学的評価では、2CP水溶液は、線照射前に弱い急性毒性を有していたが、線量の増加に伴い急性毒性は単調に増加した。この毒性は、2CPや分解一次生成物の濃度から予測される毒性の総和よりも大きかった。すなわち、線照射後の毒性はクロロフェノールや分解一次生成物のみ由来するのではなく、有機酸やアルデヒドを含めた照射生成物の相加・相乗効果によるものと考えられる。
田口 光正; 木村 敦; 広田 耕一; 白石 不二雄*
no journal, ,
河川や湖沼水中に存在し極微量にもかかわらず生物作用を引き起こす有機塩素化合物の影響が報告されている。有機塩素化合物は自然界では分解しにくいことに加え、生体内に濃縮・蓄積しやすいという性質を持っている。そこで、有機塩素化合物の基本骨格を有している4-クロロフェノールについて、線照射後の試料を化学分析するとともに、細菌を用いた生物学的毒性評価を行った。クロロフェノールは線照射によって、クロロカテコールやクロロレソルシノール,フェノールなどに酸化され、その後ギ酸など小さな分子に分解した。一方、線照射前に観測された生物毒性は、無酸素条件で線照射した場合ほとんど変わらないものの、酸素飽和条件では強度を増した。これは、ギ酸などの有機酸やアルデヒドによる影響と考えられる。