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松原 章浩*; 藤田 奈津子; 石井 邦和*; 木村 健二*
放射線(インターネット), 45(3), p.134 - 138, 2020/04
イオンチャネリングは、結晶の空隙をイオンが進行し、大角散乱等の核的相互作用の確率が著しく低下する現象である。一般的にイオンチャネリングの応用として、イオンビーム分析での結晶性評価が知られる。われわれはチャネリングを加速器質量分析(AMS)の要素技術に応用することを提案している。AMS要素技術へのチャネリングの応用としては、ディグレーダーとストリッパーである。いずれも、イオンビームをガスあるいは薄膜に入射した際のイオンと物質の相互作用を基にしたものである。イオンチャネリングによるこれらの応用は、AMSを小型化することを可能にする。
松原 章浩*; 藤田 奈津子; 石井 邦和*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 437, p.81 - 86, 2018/12
被引用回数:2 パーセンタイル:21.23(Instruments & Instrumentation)AMSにおける同重体分別技術の開発が盛んに行われている。本論文では、2つの新しい同重体分離技術を提案する。一つはチャネリングディグレーダーともう一つはコヒーレント共鳴励起(RCE)に基づく同重体分離である。両方とも、イオンが結晶チャネルを通過すると、大きな角度のイオン散乱を大幅に減少させる現象である「イオンチャネリング」に基づいている。チャネリングディグレーダーではイオンの透過性を上げることに成功した。またRCEに基づく同重体分離については結晶内での電離段階を利用した同重体分離を行っている。
松原 章浩*; 藤田 奈津子; 石井 邦和*; 小川 英巳*; 三宅 正恭; 國分 陽子
no journal, ,
加速器質量分析(AMS)では、測定目的核種であるBe, Cl等の長半減期放射性核種と、この安定同重体(Beに対してはB、Clに対してはS)との分別が必須の技術である。本研究では、比較的小型の加速器でも大きな原子番号の核種のAMSを可能にする同重体分別技術として、コヒーレント共鳴励起で目的核種あるいは同重体を選択的に電離させ両者を分別する方法を提案し、この開発に取り組んでいる。実験では原子力機構東濃地科学センターのAMS装置を用いており、単結晶薄膜を通過したイオンに対して静電偏向器で電離段階分布を調べた。
松原 章浩*; 藤田 奈津子; 三宅 正恭; 磯崎 信宏*; 石井 邦和*
no journal, ,
加速器質量分析では、測定目的核種である長半減期放射性核種とこの安定同重体の分別が必須である。従来、電離箱を用いた同重体分別では、測定目的核種の原子番号が大きくなると、両者のスペクトルが近接するため分別が難しくなる。著者らは、新しい技術として、コヒーレント共鳴励起で目的核種あるいは同重体を選択的に電離させ両者を分別する方法を提案した。この基礎研究としてイオン・チャネリングと荷電分布の関係を実験的に調べた。
松原 章浩*; 藤田 奈津子; 石井 邦和*
no journal, ,
加速器質量分析では、測定目的核種である放射性核種と、この安定同重体との分別が必須である。我々は、従来の電離箱を用いた同重体分別方法に替わるものとしてコヒーレント共鳴励起を基にした方法を開発している。この基盤となる技術は、チャネリングしたイオンの荷電分布の取得である。しかしながら軸チャネリングを起こすための単結晶薄膜への入射角度の近傍では、ドーナツ効果によりビームが輪状に広がることがあるが、この時の荷電分布は一般的に知られておらず、本研究ではドーナツ効果の下での荷電分布を実験的に調べた。実験で得られた偏向分布とビームプロファイルを基に荷電分布を数値的に求めると、この場合の平均電荷は3.70となり、文献で知られる平衡電荷よりも有意に高いことが分かった。
松原 章浩*; 藤田 奈津子; 石井 邦和*
no journal, ,
加速器質量分析では、測定目的核種である希少核種とこの安定同重体とを分別させることが必須の技術である。我々は、コヒーレント共鳴励起を基にした同重体分別法の開発過程において、イオンチャネリング自体も同重体分別に有用であることを着想した。本研究では、ディグレーダー用非結晶薄膜を結晶薄膜に置き換えイオンチャネリング状態を生成することで、両者のエネルギーの差を十分作ることのできる比較的厚い膜でもビーム広がりが抑えられ分別能力が向上することを明らかにした。