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根本 義之; 石島 暖大; 近藤 啓悦; 藤村 由希; 加治 芳行
Journal of Nuclear Materials, 575, p.154209_1 - 154209_19, 2023/03
被引用回数:1 パーセンタイル:31.61(Materials Science, Multidisciplinary)著者らはこれまでジルコニウム合金製の燃料被覆管について、空気と水蒸気の混合雰囲気中での酸化試験を実施し、乾燥空気中よりも空気と水蒸気の混合雰囲気中において酸化が速くなる場合のあることを報告してきた。このような酸化は使用済み燃料プール(SFP)の重大事故時や、原子炉圧力容器への空気侵入事故時に起こることが懸念されるため、詳細な検討が必要である。そのためジルカロイ4製の被覆管の酸化試験を、空気と水蒸気の混合比を変化させた環境中で800Cの温度条件で実施し、酸化試験データに基づいて酸化速度定数の評価、酸化試験後の試料について、酸化層の詳細評価,水素吸収量の評価等を行った。その結果、酸化の極初期におけるジルコニウム窒化物(ZrN)の生成や、試料表面の全面に拡がる多孔質な酸化層の成長などが、空気と水蒸気の混合雰囲気中での酸化挙動に影響していることが確認された。以上に基づき、乾燥空気中と、空気と水蒸気の混合雰囲気中での酸化メカニズムの違いについて議論を行った結果を報告する。
石島 暖大; 上野 文義; 阿部 仁
Materials Transactions, 63(4), p.538 - 544, 2022/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Materials Science, Multidisciplinary)核燃料再処理機器に使用されているタンタルについて、除染作業での使用が想定される水酸化ナトリウム溶液における腐食挙動の時間依存性を浸漬腐食試験により調査し、経時変化の機構について表面観察および電気化学測定結果から検討した。浸漬腐食試験についてNaOH濃度は1から7mol/L、浸漬時間はそれぞれ、24から168hrとし、室温で行った。腐食速度はNaOH濃度とともに増加するが、浸漬時間によりピークを示しその後減少した。ピークまでの時間はNaOH濃度が高いほど短時間であった。浸漬腐食試験後に洗浄・秤量を行った試料表面のSEMおよびラマン分析では皮膜の生成はみられなかった。一方、分極抵抗は浸漬直後から減少した後に一定値あるいは増加を示した。分極抵抗の経時変化は腐食速度の変化と同じ挙動を示し、また分極抵抗の値は皮膜抵抗と電荷移動抵抗の和とおおよそ一致することから、腐食速度の経時変化は浸漬による皮膜生成に影響を受けることが示唆された。皮膜は主としてTaの溶解により生成するNaTaOであると考えられた。
石島 暖大; 上野 文義; 阿部 仁
材料と環境, 70(6), p.192 - 198, 2021/06
核燃料再処理機器に使用されているタンタルについて、除染作業での使用が想定される水酸化ナトリウム溶液における腐食挙動の時間依存性を浸漬腐食試験により調査し、経時変化の機構について表面観察および電気化学測定結果から検討した。浸漬腐食試験についてNaOH濃度は1から7mol/L、浸漬時間はそれぞれ、24から168hrとし、室温で行った。腐食速度はNaOH濃度とともに増加するが、浸漬時間によりピークを示しその後減少した。ピークまでの時間はNaOH濃度が高いほど短時間であった。浸漬腐食試験後に洗浄・秤量を行った試料表面のSEMおよびラマン分析では皮膜の生成はみられなかった。一方、分極抵抗は浸漬直後から減少した後に一定値あるいは増加を示した。分極抵抗の経時変化は腐食速度の変化と同じ挙動を示し、また分極抵抗の値は皮膜抵抗と電荷移動抵抗の和とおおよそ一致することから、腐食速度の経時変化は浸漬による皮膜生成に影響を受けることが示唆された。皮膜は主としてTaの溶解により生成するNaTaOであると考えられた。
橋倉 靖明*; 石島 暖大; 中原 将海; 佐野 雄一; 上野 文義; 阿部 仁
保全学, 19(3), p.95 - 102, 2020/10
プルトニウム濃縮缶を対象とし、硝酸及び硝酸ナトリウム水溶液を用いて、印加電位を制御した定荷重引張試験及び電気化学試験を実施した。その結果を用い、硝酸濃度-き裂発生電位マップを作成した。また、応力腐食割れの可能性を評価する際には、硝酸だけでなく、硝酸塩に配位した硝酸イオン濃度も考慮する必要があることが明らかとなった。
石島 暖大; 上野 文義; 阿部 仁
日本原子力学会和文論文誌, 16(2), p.100 - 106, 2017/05
ジルコニウム(Zr)は沸騰硝酸中での耐食性に優れることから使用済燃料再処理機器の構造材料として使用されている。一方、使用済燃料溶液中で放射線分解水素が発生すること、またZrは水素ぜい化を生じる事も知られているため、Zrの硝酸溶液中における放射線分解水素吸収挙動の解明は重要である。本研究では、線照射下での硝酸中浸漬試験を実施し、Zrの放射線分解水素吸収挙動を検討した。試験の結果、5および7kGy/hrの線量率において3mol/Lまでの硝酸溶液中でZr放射線分解水素を吸収した。水素吸収量は、放射線分解水素発生量と相関がみられ、また吸収された水素はZr表面に集中して水素化物を生成していた。これは、Zrの水素固溶量が極めて低く水素化物を生成しやすいためである。またこの表面に生成した水素化物により金属内部への水素拡散が抑制されること、さらに放射線分解水素吸収による水素侵入深さをZr水素化物中の水素拡散定数から評価可能であることも明らかにした。
加藤 千明; 石島 暖大; 上野 文義; 山本 正弘
Journal of Nuclear Science and Technology, 53(9), p.1371 - 1379, 2016/09
被引用回数:4 パーセンタイル:36.53(Nuclear Science & Technology)硝酸水溶液でジルコニウムの応力腐食割れに関して、ジルコニウムの陽極酸化に及ぼす結晶配向の影響を調査した。酸化ジルコニウム膜の成長挙動は、脱不動態化電位(1.47V vs. SSE)で、劇的に変化した。1.5Vでは、酸化皮膜は速く成長し、その平均皮膜厚さは電荷量に比例して増加した。酸化皮膜は周期的な3乗則に従った成長挙動を示した。周期的な3乗則に従った成長挙動への遷移前では、酸化皮膜の成長挙動に結晶配向の影響を及ぼさなかった。しかし、皮膜成長の遷移後は、酸化皮膜の平均皮膜厚さと厚い酸化皮膜の下に生じたき裂は結晶配向の影響を受けた。(0002)面が配向している圧延面では、その平均皮膜厚さは減少し、皮膜内のき裂により皮膜の剥離が生じた。(0002)面に垂直面である圧延方向面では、厚い酸化皮膜の下には、圧延方向に深く進展したき裂が観察された。き裂は酸化物層の中をジルコニウム母材の(0002)面に沿って進展した。酸化物層は、ひも状の酸化ジルコニウムとジルコニウム水素化物からなり、ひも状の酸化ジルコニウムは、単斜晶ZrOに加えて斜方晶ZrOを含んでいた。外部応力が無い条件でき裂が発生・進展した機構の1つの仮定として、(0002)面に析出した水素化物の酸化と、その後に生じる斜方晶ZrOから単斜晶ZrOへの相変態がその原因の一つと考えられた。
石島 暖大; 上野 文義
Proceedings of 23rd International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-23) (DVD-ROM), 4 Pages, 2015/05
再処理機器で使用されているNi基耐熱合金(Alloy625)の熱サイクル寿命評価に重要な、クリープ特性に及ぼす熱時効の影響を評価するため、熱時効材および溶体化処理材について1073Kでクリープ試験を行った。その結果、溶体化材では試験応力が100MPa未満では試験途中でクリープひずみ速度が減少するが、熱時効材ではその様な傾向は見られなかった。溶体化材の試験応力によるクリープ挙動の変化は、試験中に金属間化合物が析出するためであることが組織観察およびクリープひずみ速度の挙動から明らかとなった。これらの結果は、再処理機器の運転中に金属間化合物が析出し、クリープ疲労特性が変化することを示唆しているが、試験結果よりその析出は数百時間で終了しているため、実機のクリープ疲労寿命評価には熱時効材のデータを使用する方が適切である。
石島 暖大; 加藤 千明; 本岡 隆文; 山本 正弘; 加納 洋一*; 蝦名 哲成*
Materials Transactions, 54(6), p.1001 - 1005, 2013/06
被引用回数:7 パーセンタイル:39.39(Materials Science, Multidisciplinary)ジルコニウムは硝酸中において優れた耐食性を有するため核燃料再処理機器材料として使用されている。しかしながら、ジルコニウムは不働態破壊電位下において沸騰硝酸中でSCC感受性を示すことが報告されている。一方、ジルコニウムのSCC発生及び進展挙動は明らかになっていない。本研究では、ジルコニムのSCCにおける発生及び進展挙動を明らかにするため、沸騰硝酸中にて定荷重引張試験を実施した。その結果、不働態破壊電位より貴な電位で生成する酸化皮膜下に発生するき裂が成長して破断することが明らかとなった。これは、酸化皮膜の生成が沸騰硝酸中におけるジルコニウムのSCCを引き起こすことを示している。またこのことは、沸騰硝酸中におけるジルコニウムのSCCはTarnish Ruptureモデルで説明できることを示唆している。
小松 篤史; 石島 暖大; 本岡 隆文; 上野 文義; 山本 正弘
材料と環境, 62(5), p.198 - 203, 2013/05
チタンは沸騰硝酸中で腐食することが知られているが、沸騰硝酸中でのチタンの腐食機構,特に還元反応に関しての知見は少ない。そこで硝酸溶液中におけるチタン上での還元反応に注目し、硝酸溶液中に存在するイオン(H, NO, HNO)濃度を変化させた硝酸溶液中でチタンのカソード分極曲線を測定し、各種イオンの反応次数やターフェル勾配からチタン上での硝酸の還元反応機構について検討した。チタン上における硝酸の還元機構には、チタンの酸化皮膜の還元が関与していると考えられ、以下の反応機構を提案した。NO NO (QE), TiO + H + e TiOOH (QE), NO + TiOOH (NO - TiOOH) (RDS), (NO - TiOOH) + H + e NO + TiO + HO
加藤 千明; 石島 暖大; 山本 正弘
材料と環境, 61(1), p.22 - 28, 2012/01
核燃料再処理プロセスのうち、燃料溶解槽条件におけるジルコニウムの応力腐食割れ(SCC)感受性を検討した。使用済核燃料溶解液を模擬したコールド模擬液を用いて、高電位条件並びに沸騰伝熱条件における定荷重試験を行った。ジルコニウムのSCCは電位依存性が極めて強く、1.55V(vs.SSE)で破断時間が著しく低下した。この電位条件ではファセット状のへき開状破面が全面に観察された。1.50V以下の電位条件では、擬へき開状の破面が試験片表面近傍のみに発生したが、著しい破断時間の低下は生じなかった。沸騰伝熱条件においては、破断時間の低下が生じた。しかし、その破断時間の低下は、伝熱による温度上昇を考慮したオイル中の破断時間とほぼ同じであった。二次/三次クリープの遷移時間(tss)/破断時間(tf)比を用いたSCC感受性指標から沸騰コールド模擬液中のジルコニウムのSCC感受性は、1.55Vで非常に大きいが、沸騰伝熱条件にてSCC感受性が高まることはなかった。コールド溶解槽模擬液中におけるジルコニウムのSCC挙動は、おもにジルコニウムのクリープ特性に依存した。
井岡 郁夫; 石島 暖大; 宇佐美 浩二; 桜庭 直敏; 加藤 佳明; 木内 清
Journal of Nuclear Materials, 417(1-3), p.887 - 891, 2011/10
被引用回数:8 パーセンタイル:53.37(Materials Science, Multidisciplinary)主要元素の調整,有害不純物の低減,熱処理による微細粒化からなるIASCC対策を施した超高純度オーステナイトステンレス鋼(Fe-25Cr-35Ni EHP)を開発した。照射試験片は外径11mm,肉厚0.4mmの管から作製した。試験片は、JRR-3で不活性ガス中、25000h, 553Kで照射し、照射量は1.510n/mであった。IASCC感受性を評価するため、高温水中(7.7MPa, 561K, 32ppmDO)で照射材のSSRT試験を実施した。SSRT後のSEM観察より、Fe-25Cr-35Ni EHPは延性破面であったが、比較材のSUS304では約70%の粒界破面が観察された。微細組織の観察では、両材ともボイドは認められなかったが、照射欠陥のサイズ,密度に違いがあり、Fe-25Cr-35Ni EHPは、SUS304より耐照射性に優れているものと考えられる。
加藤 千明; 石島 暖大; 本岡 隆文; 山本 正弘
Proceedings of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycle; Sustainable Options & Industrial Perspectives (Global 2009) (CD-ROM), p.292 - 297, 2009/09
ジルコニウムは、硝酸溶液で優れた耐食性を示すことが知られている。しかし、ジルコニウムの不働態破壊電位以上の高電位領域となる濃硝酸中において応力腐食割れ(SCC)感受性を有することが知られている。不働態破壊電位以上では厚い酸化皮膜が生成することから、ジルコニウムのSCC発生機構に関して電位と酸化皮膜成長の関係を調査した。3, 6と9mol/dm沸騰硝酸を用い、電気化学測定と定電位腐食試験を実施した。定電位腐食試験は、ジルコニウムの不働態破壊電位を中心とした貴な電位と卑な電位で実施し、試験時間を10, 100と500hとすることで酸化皮膜成長速度を評価した。ジルコニウムの電気化学測定結果から、ジルコニウムは不働態破壊電位を超えると急速にアノード溶解を生じ、この遷移過程がSCC発生に大きな影響を与えていることが明らかとなった。また、定電位腐食試験の結果から、ジルコニウムの酸化物生成は不働態破壊電位より少し小さい電位域から成長を始め、不働態破壊電位以上では急激に成長することが明らかとなった。また、厚い酸化皮膜の下には無応力状態でも割れが発生することが確認され、ジルコニウムのSCC発生は酸化皮膜の成長過程と密接な関係があることが明らかとなった。また、割れはジルコニウムの異方性の影響を受け(0002)面に沿って進展する傾向が観察された。一方、不働態破壊電位より十分卑な電位域では、酸化皮膜の成長は全く観察されず、SCC発生の可能性が極めて小さいことが明らかとなった。
石島 暖大; 井岡 郁夫; 木内 清; 金子 哲治*; 大久保 努; 山本 正弘
圧力技術, 47(1), p.12 - 17, 2009/01
次期軽水炉として研究開発が行われている革新的水冷却炉(FLWR)の燃料被覆管は、温度分布,構造荷重及び内圧が定常的に変化する環境に晒される。そこで、この燃料被覆管の耐久性を評価するため上記条件を同時に制御可能な熱変形挙動評価試験法を開発し、ジルカロイ-2に対して試験を行うとともに、試験条件を模擬した構造解析結果と比較することで試験法の妥当性を確認した。試験時間中の変形量は、内圧,外力,温度分布を与えることで変動し、実機の条件に極めて近いデータが得られることがわかった。また、弾性範囲内で計算した変形量の予測結果とも一致し、熱変形挙動評価試験法の妥当性が確認された。
木内 清; 井岡 郁夫; 田邉 誠*; 南条 吉保*; 小河 浩晃; 石島 暖大; 塚谷 一郎; 落合 孝正; 木崎 實; 加藤 佳明; et al.
JAEA-Research 2006-023, 173 Pages, 2006/03
本報告は、将来の核燃料サイクル技術として、BWRでのMOX燃料の有効利用,経済性向上と廃棄物の低減を同時に達成するための100GWd/t級の超高燃焼度BWR用の高性能燃料被覆管材質の研究フェーズ2として、平成1317年度の5年間に実施した共同研究の成果である。本研究のフェーズ2では、フェーズ1で選定した超高純度UHPとSAR加工熱処理の仕様を持つ25Cr-35Ni-0.2Ti系改良ステンレス鋼製の被覆管と、Nb-Mo系合金製の耐PCIライナを用いた燃料要素の実用製造技術として、被覆管の製管工程,ライナの動的拡散接合技術及び端栓のレーザ溶接法等を開発した。それらの実環境適用性の基礎評価では、加速器TIARAや研究炉JRR-3を利用した照射試験等を行い、現行BWR炉心用の低炭素ステンレス鋼の重要課題である応力腐食割れに対する抵抗性を含む耐照射性を確認するとともに、長期耐久性にかかわるクリープや疲労の特性データを取得した。併せて、候補材の100GWd/t級の燃料被覆管としての成立性に関して、燃料安全性の観点からBWR燃料ふるまいコードを用いた数値解析を行い、燃料設計や基礎工学試験に必要な基盤データベースを整備した。
井岡 郁夫; 石島 暖大; 木内 清; 木崎 實; 加藤 佳明; 藤村 研*; 小幡 宏幸*
no journal, ,
高純度オーステナイト系ステンレス鋼開発材の照射による環境割れに対する抵抗性と延性変化について調べた。試験片には、高純度25Cr-35Ni-0.2Ti鋼被覆管(UHP),18Cr-8Ni鋼被覆管(SUS304)を用いた。照射量は1.8dpa(1.510n/m)、照射温度は約290Cであった。照射による延性低下度を把握するため、高温引張試験を実施した。照射により、UHP管、SUS304管の引張強さは増加し、破断伸びは低下したが、SUS304既存照射データの範囲内であった。また、環境割れ抵抗性を評価するため、SSRT試験を実施した。本試験の照射量では、SUS304管は環境割れ感受性が確認されたが、UHP管は環境割れ感受性を示さないことが確認できた。
石島 暖大; 井岡 郁夫; 木内 清; 宇佐美 浩二; 加藤 佳明; 藤村 研*
no journal, ,
超高燃焼度燃料被覆管への適用を検討するため高純度オーステナイトステンレス鋼候補材料に対し日本原子力研究開発機構のJRR-3で照射(照射量:1.8dpa,照射温度:約290C)し、IASCC感受性と延性低下をリング引張試験により評価した結果、高純度オーステナイトステンレス鋼はIASCC感受性を示さず、著しい延性低下はなかった。
本岡 隆文; 山本 正弘; 上野 文義; 加藤 千明; 石島 暖大
no journal, ,
高酸化性イオンが存在する硝酸溶液において、ステンレス鋼が加速腐食されることは既に明らかにされているが、高酸化性イオンの腐食力の時間変化挙動は明らかでない。そこで、Cr(VI)とV(V)の腐食力の時間変化挙動を、SUS304L鋼を用いた沸騰硝酸溶液中での腐食試験による腐食速度の測定及び溶液分析によるイオンの定量により調査した。Cr(VI)含有高濃度硝酸溶液中ではステンレス鋼の腐食速度は試験時間とともに急減しCr(VI)はCr(III)に還元していった。V(V)含有硝酸溶液ではテンレス鋼の腐食速度は試験時間によらずほぼ一定でありV(V)量に変化はなかった。Cr(VI)の腐食力によるステンレス鋼の腐食加速効果は硝酸濃度と時間に強く影響を受けるが、V(V)の腐食力によるステンレス鋼の腐食加速効果には時間依存性がないことが明らかとなった。
山本 正弘; 加藤 千明; 石島 暖大; 加納 洋一*; 蝦名 哲成*
no journal, ,
ジルコニウムは硝酸中での耐食性が極めて良好なために再処理機器用材料に適用されている。しかしながら、応力腐食割れ(SCC)感受性があることが指摘されている。そこで、沸騰硝酸中でのジルコニウムのSCCの発生可否判定を電気化学的手法を用いて行った。浸漬電位とSCC感受性の関係より、ジルコニウムの応力腐食割れはターニッシュラプチャモデルで説明付けられ、破断面やき裂部の断面観察結果もこのモデルを支持する。すなわち、ジルコニウムのSCCは主として厚い酸化皮膜形成により影響を受け、過不働態域の電位でのみ発生する。再処理機器をジルコニウムの不働態域に保持すればSCCは発生しないことが示される。
石島 暖大; 本岡 隆文; 加藤 千明; 山本 正弘; 加納 洋一*; 蝦名 哲成*
no journal, ,
ジルコニウム(Zr)は沸騰硝酸中における耐食性に優れることから再処理機器用材料として用いられるが、高濃度沸騰硝酸中において応力腐食割れ(SCC)が発生することが知られている。しかしこれらは低ひずみ速度引張試験(SSRT)により得られたものが多く、実際の使用環境に近い定荷重条件におけるZrのSCC発生過程に関する研究は少ないのが現状である。そこで本研究では、沸騰硝酸中におけるZrのSCCの発生過程を明らかにすることを目的とし、腐食環境を腐食電位により制御した定荷重引張試験を5及び9mol/L沸騰硝酸中にて行った。その結果、皮膜破壊電位よりやや低い電位でZrはSCC感受性を示した。SEM観察より破断面は脆性破面を呈し、また断面観察より厚い酸化皮膜の下で微細なき裂が多数観察された。以上の結果よりZrが沸騰硝酸中において過不動態域近傍の腐食電位にあるとき、厚い酸化皮膜下と金属との界面で微細なき裂が発生しSCCが生じると考えられる。
中原 由紀夫; 山本 正弘; 石島 暖大; 加藤 千明
no journal, ,
高温水中腐食環境の放射線照射による変化について検討するため、SUS316L試験片を、288C純水中に線照射条件(吸収線量率30kGy/h)と非照射条件で500時間浸漬した。試験後に試験片の表面分析を実施し、線照射の有無による違いを比較した。1枚単独で浸漬した試験片の表面近傍断面をTEMにより観察した結果、線照射により酸化皮膜が成長し、表面での酸化物粒子の生成が顕著となっていた。線照射により腐食環境が変化し、酸化物の析出が促進されたと考えられる。すき間部を模擬して浸漬した試験片のすき間内表面をレーザーラマン分光装置により分析した結果、非照射条件ではピークが見られなかったが、線照射条件ではFe, Ni, Crの複合酸化物のピークが観察された。すき間内部でも、線照射により腐食環境が変化し、腐食が促進されたと推定される。