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藤田 聡志*; 久万 健志*; 石川 聡子*; 西村 将太郎*; 中山 雄太*; 牛坂 理美*; 磯田 豊*; 乙坂 重嘉; 荒巻 能史*
Journal of Geophysical Research, 115(C12), p.C12001_1 - C12001_12, 2010/12
被引用回数:14 パーセンタイル:38.73(Oceanography)海洋において鉄は、生物生産を制御する栄養元素として機能することが知られているが、海水中での挙動は未解明な点が多い。本研究では、海水中の鉄の分布を決定する因子を明らかにするため、日本海の7観測点で海水を採取し、全鉄(未濾過)及び溶存鉄(0.22マイクロメートル以下の成分)の濃度を測定した。併せて、海水の生物・化学特性を示す成分(栄養塩,酸素,クロロフィル,腐植物質濃度等)を測定した。海水中の溶存鉄濃度は、表層では極めて低く、中層(1km深)に極大を示し、底層(2km以深)で一定値となった。この分布は、表層での生物活動による鉄の取り込みと、生物粒子の中層での無機化によって決定付けられると推測された。海域によってその絶対値は異なるものの、底層における全鉄濃度は透過率の減少とともに指数関数的に増加することがわかった。この結果から、底層における懸濁物の輸送が、海水中の全鉄濃度を決定付けていると考えられる。