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鈴木 机倫*; 石橋 宏章*; 八木 清*; 志賀 基之; 立川 仁典*
Progress in Theoretical Chemistry and Physics, 26, p.207 - 216, 2012/08
Zundel型イオンは特異的に強い水素結合を持つが、その詳細な構造は知られていない。本研究では、第一原理経路積分分子動力学シミュレーションを用いて、フッ素のZundel型イオンであるFHイオン, FHイオンとその重水素置換体の構造について調べた。これらのイオンの水素結合において、H/D原子は、原子核の量子性のため、F原子間の中心のまわりで大きく構造がゆらいでいることがわかった。また、FHやFHのFHやFF原子間距離は、その重水素置換体のFDやFDのものよりも長くなる。この結果について、他のZundel型イオンOH, NH, OH, NHと比較したところ、それらの重原子間の平均距離とその重水素置換効果に相関があることを発見した。なお、FHについては、実験結果や、振動配置間相互作用法による計算結果とよく一致していることがわかり、用いた手法の精度が極めて高いことが立証できた。本成果は、水素結合等での同位体効果やその量子性などを考慮する第一原理計算手法の開発とその検証にあたり、さまざまな分野での応用が期待できる。
石橋 宏章*; 林 愛子*; 志賀 基之; 立川 仁典*
ChemPhysChem, 9(3), p.383 - 387, 2008/02
被引用回数:24 パーセンタイル:64.53(Chemistry, Physical)第一原理経路積分分子動力学計算により、NHカチオン及びNHアニオンの幾何学的同位体効果について調べた。その結果、これらのイオンの水素結合の構造について、原子核の量子効果が重要な役割を果たすことを見いだした。水素結合を担う水素は、NHでは二つの窒素原子の中心付近にあるのに対し、NDでは一つの窒素側に偏ったところにある。一方、NHとNDともに、水素は一つの窒素側に偏って存在することがわかった。