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谷口 武士*; 磯部 一夫*; 今田 省吾*; Eltayeb, M. M.*; 赤路 康朗*; 中山 理智; Allen, M. F.*; Aronson, E. L.*
Science of the Total Environment, 899, p.165524_1 - 165524_13, 2023/11
被引用回数:3 パーセンタイル:80.3(Environmental Sciences)乾燥地の生態系は強度の乾燥と適度な降水の季節的なサイクルを経験する。乾燥地の植物は典型的にはパッチ状に分布しており、多くは繰り返す乾湿ストレスを生き抜くために根の内生微生物と共生している。群集合体は多くのシステムで見出されているが、乾燥地における機能微生物によるコロニー形成や季節の移り変わりとの関係は不明である。ここでは、米国南西部の高温砂漠における乾季と雨季の根の内生微生物分類群、およびその根のコロニー形成と関連した形質を調べた。5種類の砂漠性低木について、16S rRNAおよびITSの遺伝子プロファイリングを行い、内生微生物系統の季節変化を分析した。また、微生物形質との関係における中立的な群集モデルへの適合度を評価した。夏には、属特異的ではないものの、放線菌(グラム陽性菌)が増加した。真菌類では、夏に糸状菌が選択的に増加した。冬期には、窒素固定や植物成長促進を行うグラム陰性菌属が増加した。中立モデル解析の結果、内生細菌については確率的な影響が強いが、菌類については特に夏季に弱い影響が見られた。中立モデルで予測された頻度よりも高い頻度を示した分類群は、環境適応性と共生形質を共有していたが、病原性真菌の頻度は予測値以下であった。これらの結果は、細菌と真菌の群集形成が異なる制御を受けていることを示唆している。細菌群集は、乾燥に対する細菌の反応(反応形質)と植物に対する有益な効果(効果形質)を介して、確率的および決定論的なプロセスの影響を受けていた。菌類については、夏期に菌根菌が植物によって選択された。乾季と雨季の両方で植物による有益な微生物の制御が行われていることから、この砂漠の自然生態系には植物-土壌の正のフィードバックが存在することが示唆された。