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桑原 慶太郎*; 岩佐 和晃*; 神木 政史*; 金子 耕士; 荒木 新吾; 目時 直人; 菅原 仁*; 青木 勇二*; 佐藤 英行*
Journal of the Physical Society of Japan, 73(6), p.1438 - 1441, 2004/06
被引用回数:64 パーセンタイル:87.32(Physics, Multidisciplinary)初めてのPr系重い電子系超伝導体PrOsSbについて中性子非弾性散乱による研究を行った。単結晶試料について測定したところ、色々な散乱波数において約0.7meVの位置に第一励起を観察した。これは以前粉末試料を用いて行われた研究結果と矛盾しない。非弾性スペクトルの磁場依存性の測定からこの物質の結晶場準位が一重項基底状態,三重項第一励起状態を伴うことを明らかにした。第一励起ピークは、この物質における磁場誘起反強四極秩序ベクトルQ=(100)付近で準弾性散乱的になっており、重い電子状態を担う準粒子が第一励起を介して生じると考えられる。弾性散乱の結果から、この準粒子間の相互作用は四極子相互作用が本質的であることが以前のわれわれの研究から明らかになっている。超伝導状態における低エネルギー励起の減少は、この準粒子が重い電子系超伝導を担っている証拠と考えられ、軌道揺らぎによって媒介されている可能性を示唆している。
長壁 豊隆; Hannan, A.*; 川名 大地*; 神木 政史*; 北澤 英明*
Acta Physica Polonica B, 34(2), p.1469 - 1472, 2003/02
CeSbとCeBiについて、最近開発したアンビル式の高圧セルを用いて高圧低温下の中性子回折実験を行い、圧力-温度磁気相図を明らかにした。これらの相図で特徴的なことは、CeSbの約2GPa以上の相図がCeBiの常圧以上の相図と類似しているということである。これは、Ce-モノプニクタイド,CeX(X=P, As, Sb, Bi)の磁性が1つの共通の物理パラメータでスケールできる証拠であり、このパラメータとはキャリアー濃度であると考えられる。また、これ以外に電気抵抗に非常に大きな変化が生じる温度と、高温側のAF-I磁気相と低温側のAF-IA磁気相の発達に深い関連があること、高温側のAF-I磁気相のみが圧力によって非常に安定化されることなどを見いだした。
小池 良浩; 目時 直人; 芳賀 芳範; McEwen, K. A.*; 神木 政史*; 山本 竜之介*; 阿曽 尚文*; 立岩 尚之*; 小松原 武美*; 木村 憲彰*; et al.
Physical Review Letters, 89(7), p.077202_1 - 077202_4, 2002/08
被引用回数:8 パーセンタイル:49.86(Physics, Multidisciplinary)局在5f電子系ウラン金属間化合物UPdSiの磁気構造,磁気相図,新しい機構に基づくメタ磁性転移を、原研が開発した液体ヘリウムフリー中性子散乱実験用10Tマグネット及び希釈冷凍機を用いた中性子回折実験によって明らかにした。基底状態では4aサイトの強磁性秩序と8cサイトの反強磁性秩序状態が、ウランスピンが平行になるように結合していることが明らかになった。この物質におけるサイト間ハイゼンベルグ交換相互作用はキャンセルしている。そのため、この磁気構造が安定化するためには、より高次の相互作用が必要であることが明らかになった。その起源として最も可能性が高いのは、結晶構造及び磁気構造から4体の交換相互作用と考えられる。5f電子系においては4体相互作用はいまだかつて観察された報告例がなく、交換相互作用のキャンセルと、サイト間の結合に伴うフラストレーションによって生じた強い磁気揺らぎによって4体相互作用が顕著に現れたと結論できる。