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村上 昌史; 星野 譲; 中谷 隆良; 菅谷 敏克; 福村 信男*; 三田 敏男*; 坂井 章浩
JAEA-Technology 2019-003, 50 Pages, 2019/06
試験研究用原子炉施設の解体廃棄物に対する共通的な放射能濃度評価方法の構築に向けて、立教大学のTRIGA-II型炉を対象として、アルミニウム合金, 炭素鋼, 遮蔽コンクリート及び黒鉛構造材中の放射化生成核種の放射能を、放射化学分析及び放射化計算により評価した。採取した構造材サンプルは放射化学分析及び構造材組成分析の両方に使用した。放射能を測定した核種はアルミニウム合金についてH, Co, Ni、炭素鋼についてH, Co, Ni, Eu、遮蔽コンクリートについてH, Co, Eu、黒鉛についてH, C, Co, Ni, Euであった。中性子束分布の計算にはDORTコード、誘導放射能の計算にはORIGEN-ARPコードを使用した。アルミニウム合金, 炭素鋼及び遮蔽コンクリートでは、概ね保守的かつよい精度で放射能濃度を評価できる見通しが得られた。一方で黒鉛では、材料組成分析では全ての元素が定量下限値未満であったにも拘らず、全測定核種の放射能分析値が得られた。
長根 悟; 北原 勝美; 吉川 静次; 宮坂 靖彦*; 福村 信男*; 西沢 市王*
デコミッショニング技報, (42), p.2 - 10, 2010/09
原子力船「むつ」の中央部分に搭載された原子炉室は、1996年から附帯陸上施設の原子炉室保管棟に安全に保管,展示されている。主要な放射性廃棄物である原子炉容器及び炉内構造物等は、将来の合理的な廃止措置計画を考えるうえで特に重要な機器であると位置づけている。本報告では、原子炉容器と炉内構造物を収納容器又は追加遮へいにより廃棄体化し、撤去する一括撤去工法について述べる。原子炉容器の一括廃棄体(最大100トン)は、放射能濃度上限値からピット処分に区分され、また、容器密封処置を含む輸送上の要求に基づきIP-2型容器相当の輸送物に該当する。
竹内 素允; 中嶋 勝利; 福村 信男*; 中山 富佐雄*; 大堀 秀士*
デコミッショニング技報, (24), p.27 - 46, 2001/09
高温ガス炉臨界実験装置「VHTRC」の廃止措置にかかわる概要と第1段階の解体工事で行った施設特性評価,物量評価,表面密度測定,試料分析と計算による評価並びに解体撤去工事(原子炉の機能停止にかかわる措置から原子炉本体の解体撤去)の手順,方法等のほか、工事全般にかかわる管理についてまとめた。
岩下 充成*; 有金 賢次; 岸本 克己; 青木 義弘*; 福村 信男*; 三尾 圭吾*
Journal of Nuclear Science and Technology, 37(Suppl.1), p.372 - 378, 2000/03
JRR-2は平成8年12月に原子炉を永久停止し解体届を提出した後、平成9年8月に原子炉の解体工事に着手した。原子炉の廃止措置を行うにあたっては内部の誘導放射能による作業中の被曝を低減するため遮蔽措置とその評価が必要になる。本発表においては、原子炉直下の重水配管の遮蔽措置を行うにあたって実施した遮蔽計算の方法とその評価を発表する。遮蔽計算は、DOT3.5を使用し、群定数はAMPX48群ライブラリを用いたANISNにより作成し、放射化計算は固定線源問題とした。計算結果を炉体各部の実測値と比較した結果、原子炉直下配管貫通部においてファクター2程度で一致した。
宮坂 靖彦*; 福村 信男*; 渡辺 正秋*; 丹治 和拓*
PNC TJ9410 98-001, 170 Pages, 1998/09
本報告書は、将来臨界実験装置「DCA」の廃止措置解体計画書立案に資するため技術的検討、放射線強度分布および放射能インベントリの予備的評価を行ったものである。廃止措置に係わる技術的検討結果から、廃止措置の方針は、原子炉停止前に少なくとも12年前に決定し、臨界実験装置の特徴である中性子束レベルが低いことを考え燃料、中性子源、重水および建家の再利用が得策であることがわかった。放射線強度分布の評価は、最新の断面積ライブラリーJENDL3.1を組み込んだ1次元輸送コードANISN-JRおよび2次元輸送コードDOT3.5を用い、炉心を含んだDCA炉室内の高さ25m、直径19m(2次元円筒モデル)の全領域を対象として計算することにより実施した。この結果炉心タンクの外表面での最大熱中性子束は、約10の8乗n/cm2・sec(1kw時)、炉室1階天井では約10の6乗n/cm2・sec、生体遮蔽体である炉室扉内側では10の3乗n/cm2・sec、床表面では約10の4乗n/cm2・secが得られた。これらの値は、エリアモニター実測値から評価した値とオーダー的に一致する。放射能インベントリ評価は、放射性核種生成崩壊計算コードORIGEN-MDにより、上記で得られた中性子束の評価値を用い、炉心構造材の主要核種についてその生成量を計算することにより実施した。その結果半減期の比較的長い3Hの重水減速材中で、比放射能は、約1.5Bq/g、構造材の60Coで最大約1.410の-2乗Bq/gでIAEAのドラフト案での無条件クリアランスレベル以下となった。一方、運転停止直後の全放射能インベントリは約5.610の11乗Bqとなったが、これらはいづれも半減期の短い核種で占められているが、半減期が10数年程度のトリチウムの放射能量は、4.210の6乗Bqとなり、冷却期間が長くなると無視できなくなる。
小綿 泰樹; 福村 信男; 猪原 敏照
Nuclear Science and Engineering, 127(1), p.89 - 103, 1997/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)本論文は、圧力管型炉の安全性確保に重要な冷却材ボイド反応度に関して燃料組織等を広範囲に変化させて設計コードで解析し、これまでの実験結果を理論的に裏付けたものである。具体的には、28本MOX燃料格子のボイド反応度の挙動解明のために行った重水臨界実験体系でのパラメトリック解析により、以下の結論を得た。(1)ボイド反応度を負側に低下される効果は、U燃料よりPu燃料の方が大きく、またMOX燃料中では239Pu含有率が高いほど顕著に大きくなる。(2)239Puのボイド反応度抑制効果についてのメカニズムは、0.3eVの共鳴の存在に起因している。これは、軽水の大きな中性子錯乱により、共鳴エネルギー幅内の窪んだ中性子束を回復させる効果がボイド率の増加に伴って低下し、共鳴核分裂率の減少が等与するためである。
小綿 泰樹; 福村 信男
PNC TN9410 96-131, 35 Pages, 1996/05
全炉心でMOX燃料を使用できる重水減速・沸騰軽水冷却圧力管型原子炉(HWR)の実用化検討で重要な冷却材ボイド反応度の評価に関しては、多くのパラメータについてその挙動を統一的に解明する必要がある。そのパラメータはプルトニウム富化度、プルトニウム同位体組成比、減速材と燃料の体積比等である。特に、ボイド反応度に及ぼすプルトニウムの寄与の解明は重要である。格子計算コードWIMS-D4を用いてHWRの無限格子の冷却材ボイド率を0100%に変化させた場合のボイド反応度の解析を行い、燃料核種又はプルトニウム同位体組成の相異がボイド反応度に及ぼす効果のメカニズムを解明した。格子計算においては格子内の空間及びエネルギー依存の中性子断面積と中性子束分布を用いて、ボイド反応度を燃料核種、反応断面積、中性子エネルギー群及び格子内領域の各種成分として分離することにより、ボイド反応度の挙動を解明できることが分かった。なお、本解析では使用する核データをオリジナルのUKAEAから日本版評価済みのJENDL-3.1に置き換えた。その結果、中性子スペクトル指標及び熱中性子束分布についてWIMS-D4コードの計算精度が向上することを確認した。本研究により、燃料のマクロ熱中性子吸収断面積が同一であれば、HWR格子における冷却材ボイド反応度は狭いピッチの格子ほど負側に移行し、またウラン格子よりプルトニウム格子の方がより負側に移行することが明らかになった。プルトニウムによるボイド反応度の低減効果は、239Puの0.3eVの共鳴吸収断面積の存在に起因する。即ち、239Puの含有率が高いほど0.3eVの共鳴エネルギー幅内で冷却材ボイド率の増加に伴う軽水の熱中性子散乱効果が減少することによって、中性子密度の回復効果が低下するからである。この結果、239Puの共鳴核分裂率が減少してボイド反応度に対して負側の寄与となることが分かった。
川村 利明; 速水 義孝; 福村 信男; 猪原 敏照
動燃技報, (93), p.79 - 85, 1995/03
ATRの大型炉心としては、重水炉の特性である燃料利用に対する柔軟性を活かしつつ単位出力あたりの圧力管本数の低減を図ることが経済性向上の観点から有効である。このためには、多数本燃料および太径圧力管の採用を前提にし、格子特性を解析した。園結果燃料棒本数72本、ガドリニアを2w/o混入した燃料有効長3.7mのクラスタ型燃料集合体格子で炉心を構成することにより、熱出力4,220Mw取出平均燃焼度48,000Mwd/t、圧力管本数780本の炉心の成立性の見通しを得た。
松本 忠邦; 小山 智造; 船坂 英之; 福村 信男; 清野 英昭
日本原子力学会誌, 37(2), p.89 - 96, 1995/02
被引用回数:1 パーセンタイル:17.53(Nuclear Science & Technology)日米共同臨界実験は、高速炉燃料再処理プロセスを網羅した臨界安全データの取得を主目的とし、未臨界度測定技術の実証もあわせて実施したものである。その成果は、Nucl.Tech.誌等へ7件の論文として投稿したが、その掲載も1994年9月をもってすべて終了した。この機会に、日本原子力学会より、その全体概要を学会誌の「解説」記事として寄稿するよう依頼があった。本稿は、その原稿であり、使用しているデータ等は、上記公開論文をベースとしたものである。
小綿 泰樹; 福村 信男
Nuclear Science and Engineering, 115(3), p.205 - 218, 1993/00
被引用回数:1 パーセンタイル:18.76(Nuclear Science & Technology)ATR実証炉に装荷される計画であるガドリニア入燃料クラスタ(Gd入燃料)が,冷却材ボイド反応度に及ぼす影響について,DCAによる臨界実験及び解析より明らかになった。解析には,WIMS-ATR,CITATION,PERKY(摂動解析)の各コ-ドを使用した。Gd入燃料の装荷割合,Gd入燃料棒のクラスタ内位置及びガドリニア濃度を変化させて,ボイド率が 0%100%に変化した際のボイド反応度へ与える影響を考察した。また, Gd入燃料以外の標準燃料中の核種(U,Pu)の相違が, Gd入燃料装荷炉心のボイド反応度へ及ぼす効果も考察した。この結果,ガドリニアの添加,Gd入燃料装荷割合の増加はボイド反応度を正側へ移行させるが,Pu燃料の利用により正側への移行を抑制できることを炉物理的に明らかにした。
北原 種道*; 若林 利男*; 福村 信男*; 菅原 悟*; 小池 通崇*; 速水 義孝*; 河西 善充*
PNC TN1410 91-063, 239 Pages, 1991/08
新型転換炉の研究開発は、大洗工学センターの施設を中心にして「ふげん」及び実証炉のための研究開発ならびに設計研究からなっている。「ふげん」のための研究開発及び実証炉のための初期段階の研究開発の成果は、国のチェックアンドレビューの場にとりまとめ提出し、国の審議を受けた。(昭和57年)この資料はチェックアンドレビュー以降の研究開発の成果を実証炉の技術確証試験開始(昭和62年)までの研究開発と技術確証試験開始以降の研究開発を以下の内容に従ってまとめたものである。(1)プラントシステム評価研究(実用炉構想評価研究)(2)炉物理研究開発(核設計)(3)伝熱流動研究開発(熱水力設計)(4)部品機器研究開発(運転保守技術の高度化、炉心構造、システム開発)(5)安全性研究開発(6)供用期間中検査技術研究開発 平成3年度以降も継続される技術確証試験、安全研究ならびに高燃焼MOX燃料開発等今後実施していくものについては、継続して評価し取りまとめていく。
相原 永史; 福村 信男; 角谷 浩亨*; 八谷 雄喜
Nuclear Science and Engineering, 109, p.158 - 170, 1991/00
被引用回数:4 パーセンタイル:47.84(Nuclear Science & Technology)圧力管型原子炉の軸方向冷却材ボイド率分布の変化が、反応度に及ぼす影響を実験及び解析を通じて解明した。軸方向冷却材ボイド率の変化は、重水臨界実験装置を用い、圧力管内の冷却材(軽水)水位をステップ状に変化させることによって模擬した。実験体系には、ボイド反応度が正の25.0cm格子ピッチからなる炉心であり、反応度の部分的な冷却材水位変化に伴う変化を臨界重水水位の変化として測定した。この実験から、臨界重水水位は極大値と極小値を有する曲線的振舞いを示し、部分的な冷却材水位の領域で0%及び100%一様ボイド率の両炉心よりも正の反応度が投入されることが判明した。この特異な現象は、冷却材水位の変化に伴い炉内の中性子吸収量がゆるやかなS字状曲線で増大し、中性子漏洩量の線形的な減少に比べて異なることに起因することが解明された。
古橋 晃*; 福村 信男*; 相原 永史*
PNC TN9410 90-179, 40 Pages, 1990/12
R.Averyの結炉理論を発展させ,DCA2領域炉心の臨界実験を行い,その情報からテスト領域単独の実効増倍率を導入するための式を考案・立式し,反応度摂動の種類別効果,実験上適当な摂動量の大きさおよび誤差等の評価を行い,式の妥当性と実験の成立性を考察した。これらの結果から,反応度摂動に伴う結合指数の変化を取り入れる必要があること,通常臨界実験装置の実験に用いられる反応度添加法即ち吸収摂動と水位摂動では結合指数の変化率が異なるとともに,かつその符号も条件により異なり得ることを明らかにするとともに,結合指数の変化率を一次式でとり入れた改良式により許容できる程度の誤差内でかなりの範囲の体系に適用できることを示した。実験上適当とされる反応度摂動量の大きさについても考察し,吸収法摂動では,0.2%K,水位摂動では0.01K程度を最大とすることを提案した。この摂動は小さいが,10B濃度の測定やドライバー領域水位の測定を高精度で行えば実施可能な範囲である。
福村 信男*
PNC TN9410 90-041, 116 Pages, 1990/03
本臨界度測定試験計画は核燃料施設の安全性,経済性向上に資するため,未臨界度の測定値を精度よく求める測定手法を開発すると共に未臨界度モニタの実用化と臨界安全解析手法の高度化を目的として実施中である。設計研究においては昭和61年度に概念設計を着手し,昭和63年度の調整設計で未臨界度測定試験施設の設備仕様を設定した。また,日米共同臨界実験(昭和5863年度)では臨界安全性試験及び未臨界度測定装置を実施してきた。本書は,これまでの研究成果と課題を整理し,平成2年度以後の実施計画をまとめたものである。
小綿 泰樹*; 福村 信男
Nuclear Science and Engineering, 99(4), p.299 - 312, 1988/08
置換法実験に摂動論を応用して28本クラタスのMOX燃料格子の冷却材ボイド反応度を求める実験データ解析手法を開発した。格子ピッチ燃料種類およびボイド率をパラメータとしてボイド反応度をパルス中性子法で測定した。この結果,ボイド反応度に及ぼす燃料核種の効果がボイド率変化に伴う中性子スペクトル変化及びPuの0.3Vの共鳴核分裂率変化の観点から説明できるようになった。格子計算コードWIMS-Dによる計算値は最大約30ドルの測定値に対して1.6ドル以内で実験値と一致した。本実験データ解析手法を用いれば,MOX燃料格子のボイド反応度は約10%の精度で決定できることが示された。
福村 信男*; 川太 徳夫*; 小綿 泰樹*
PNC TN9410 88-072, 162 Pages, 1988/06
(目 的)ATR実証炉の核設計に用いられている核計算コードWIMS-ATRの精度向上の一環として冷却材ボイド反応度の解析精度の向上を、拡散係数の導出手法を詳細化することにより達成する。(方 法)WIMS-ATRコードに組み込まれている拡散係数導出手法は、格子内を3領域のみに分割し衝突確率を求めBonalmiの理論にもとずき導出しているが、この場合の衝突確率を定義式にもとずき領域毎に正確に解き拡散係数を導出する。(結 果)正確な手法により求めた拡散係数を用い、DCA臨界実験の結果および「ふげん」起動試験時の結果について検証したところ下記の結果が得られた。(1) 拡散係数の値は従来の手法に比べ大きくなり、特に高ボイド率および高速群で顕著である。(2) 冷却材ボイド反応度の核計算誤差は、DCA体系で0.2%k、「ふげん」の起動試験体系で、0.07%kとなり改良前の約1/2となった。(結 論)拡散係数の導出手法を正確に行うことにより、体系からの漏洩効果を精度よく評価することが可能となり、これにより冷却材ボイド反応度の計算精度が大幅に向上した。
福村 信男*; 川太 徳夫*; 若林 利男*
PNC TN9410 88-030, 87 Pages, 1988/02
(目的)ATR炉心にガドリニア入り燃料を用いた場合の冷却材ボイド反応度の低減効果を定量的に評価し、その現象解明を行う。(方法)重水臨界実験により精度評価された核特性解析コードシステムWIMS-CITATIONを用い、ATR炉心でのガドリニア入り燃料の最適効果を冷却材ボイド反応度の低減量より評価する。(結果)ガドリニア濃度、ガドリニア入り燃料棒本数およびガドリニア入り燃料棒の集合体内配置をパラメータとして冷却材ボイド反応度の低減量を最大にする最適パラメータを決定した。この結果36本燃料集合体の内・中間層にガドリニア濃度5W/Oのガドリニア入り燃料棒本数各3本を配置すると燃焼末期(24GWD/T)でも冷却材ボイド反応度を負の値にできることが判明した。(結論)冷却材ボイド反応度が正になりやすいATR型炉心でも、バーナブルポイズンとして有効なガドリニア入り燃料棒を効果的に燃料クラスタ内に配列することにより、燃焼期間を通じて冷却材ボイド反応度を常に負の値にする解が得られた。
相原 永史*; 福村 信男*; 角谷 浩享*; 小山 智造; M.J.Hai*
PNC TN9410 87-072, 25 Pages, 1987/05
日米共同臨界実験の中の一項目として、有機溶液及び軽水減速材とMCX燃料ピンの格子からなる炉心の臨界実験が行なわれた。この実験結果に対してベンチマーク解析を実施し、精度評価を行った。 解析コードはATRの解析を通じて高精度の実績を得ているWIMS-CITATION結合システムを用いた。解析手法はエネルギー6群、3次元形状モデルを用い、減速材中の水素の散乱核を計算するために、有機溶液及び軽水共通にネルキンモデルを用いた。 解析の結果、軽水減速炉心はKeff=1に対して、0.2%K以内の解析精度で良い一致を示したが、これに比べて有機溶液減速材炉心は、格子ピッチが大きくなるに従い、僅かな過小評価を示すことが分った。これは、格子ピッチが大きくなると減速材の占める割合が増大することに伴って、有機溶液と軽水の化学結合モデルの違いによる影響が現れてくるものと考えられる。 今後、有機溶液減速材特有の中性子散乱核モデルを作成して、軽水減速材の場合と同様の解析精度を確立させる必要がある。
若林 利男*; 福村 信男*; 宮脇 良夫; 大輝 茂*
PNC TN9410 86-032, 103 Pages, 1986/02
Puは、使用済燃料を再処理して回収される。回収、Puは、Uと比較して、次の特徴と相違がある。 (イ)238Pu、239Pu、240Pu、241Pu、及び242Puの同位体を含んでいる。このうち239Pu、241Puは中性子を吸収して核分裂する。(ロ) 回収Puの同位体組成は、次に影響される。・炉型 ・燃焼度 ・241Puは半減期約14年で241Amに崩壊するので、使用済燃料取り出してからの期間 ・Puリサイクルの履歴 (ハ) Puの同位体は、それぞれ固有の核特性(核断面積等)を持っている。従ってPuを効率よく利用するには、(イ) Puと241Amの核特性 (ロ) 貯蔵Puの量と同位体組成変化の推移 (ハ) 原子炉のPu利用特性 等を把握して、Pu利用計画を立てなければならない。Pu利用計画策定に反映させるため、Puと241Amの核特性、PuEfの使用量と蓄積量、ATRのPu利用特性(特に、Pu同位体組成変化や241Puの崩壊と241Amの蓄積が燃焼度に及ぼす影響)、Pu利用法及びコードの信頼性と適合性について検討した。その結果は以下の通りである。(1)Puと241Amの核特性 Pu及び241Amの核特性で重要な点は以下の通りである。(1) Puは、238Pu、239Pu、240Pu、241Pu、及び242Puの同位体からなっている。このうち239Puと241Puは中性子を吸収して核分裂する。核分裂をするPuの内訳は239Puが約80%、241Puが約20%である。238Puと240Puは中性子を吸収して、それぞれ239Puと241Puに転換する。(2)吸収中性子1個当り核分裂して放出す
弟子丸 剛英*; 若林 利男*; 福村 信男*
PNC TN941 85-167, 66 Pages, 1985/11
「ふげん」燃料PIE測定値及びDCA格子パラメータ測定値を用い,WIMS―ATRコードの精度確認及びライブラリ変更による精度向上の検討を行った。得られた結果は,次の通りである。▲1.現状のWIMS―ATRコードによる燃焼計算,U,Pu同位体組成計算の誤差は,16GWd/t燃焼時点で,Uで0.002%,Puで2%(絶対差)程度である。▲2.現状のWIMS―ATRコードでは,プルトニウム238の燃焼,生成チュインが整備されていないため,ライブラリに追加し,その結果プルトニウム238の計算誤差が大幅に改善された。▲3.Pu断面積の変更により,組成計算結果がどう変化するか,感度解析を行い,合わせて他のWIMSライブラリ変更提案についても検討した。それらに基づき,keffをできるだけ変化させず,組成計算誤差を小さくするライブラリ変更について検討した。その結果,Pu組成計算誤差を1%以内に納めることができる。▲4.ライブラリ変更により,DCA格子パラメータ計算誤差も改善できた。▲