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小野寺 直幸; 井戸村 泰宏; 長谷川 雄太; 朝比 祐一; 稲垣 厚至*; 下瀬 健一*; 平野 洪賓*
計算工学講演会論文集(CD-ROM), 28, 4 Pages, 2023/05
我々の研究グループでは、都市全域を含む広域の風況場から細かな路地等を捉えたマルチスケールの風況シミュレーションコードCityLBMの開発を進めている。CityLBMは、格子ボルツマン法に適合細分化格子を適用した省メモリ化、および、GPUスーパーコンピュータによる高性能計算により、数km四方に対してリアルタイムのアンサンブルシミュレーションが可能となる。一方、実現象には、モデル化できない複雑な境界条件が含まれているため、観測データをシミュレーションに反映させるためのデータ同化技術が必要である。本研究では、現実の風況を再現するために、アンサンブルカルマンフィルターに基づく地表面温度バイアスの最適化手法を提案した。CityLBMの検証として、東京都心部を対象とした観測システムシミュレーション実験を実施し、地表面近傍の温度から、境界条件として与えている地表面温度を推定する。
渡辺 力*; 高木 毬衣*; 下山 宏*; 川島 正行*; 小野寺 直幸; 稲垣 厚至*
Boundary-Layer Meteorology, 181(1), p.39 - 71, 2021/10
被引用回数:6 パーセンタイル:47.35(Meteorology & Atmospheric Sciences)速度場とスカラー場に対する二つの分布関数を用いた格子ボルツマン法を用いて、植生キャノピー内およびその上部における、パッシブスカラを含む流れのラージエディ・シミュレーションを実施した。植物キャノピーが分散型シンクとして機能するトップダウンスカラーの場合、キャノピー上面のスカラー流束は、はるか上方から発生するキャノピーへ侵入する流れ(スイープ)により決定される。一方で、キャノピーからスカラーが放出される現象は、キャノピー上部で発生する渦により引き起こされる。本論文では、この様な渦の発生は、キャノピー上方からの大規模なスイープと、キャノピー内部の幅広い範囲での放出現象が接近することで引き起こされることを明らかとした。
武田 哲明*; 稲垣 嘉之; 相原 純; 青木 健; 藤原 佑輔; 深谷 裕司; 後藤 実; Ho, H. Q.; 飯垣 和彦; 今井 良行; et al.
High Temperature Gas-Cooled Reactors; JSME Series in Thermal and Nuclear Power Generation, Vol.5, 464 Pages, 2021/02
本書は、原子力機構における今までの高温ガス炉の研究開発の総括として、HTTRの設計、燃料、炉内構造物や中間熱交換器などの要素技術の開発、出力上昇試験、950Cの高温運転、安全性実証試験などの運転経験及び成果についてまとめたものである。また、HTTRでの知見をもとに、商用炉の設計、高性能燃料、ヘリウムガスタービン、ISプロセスによる水素製造などの要素技術開発の現状について記述しており、今後の高温ガス炉の開発に非常に有用である。本書は、日本機械学会の動力エネルギーシステム部門による化石燃料及び原子力によるエネルギーシステムの技術書のシリーズの一冊として刊行されるものである。
柴田 雅博; 澤田 淳; 舘 幸男; 牧野 仁史; 若杉 圭一郎; 三ツ井 誠一郎; 北村 暁; 吉川 英樹; 小田 治恵; 石寺 孝充; et al.
JAEA-Research 2014-030, 457 Pages, 2015/03
原子力機構(JAEA)がこれまで蓄積してきた技術やノウハウを、原子力発電環境整備機構(NUMO)が今後行う精密調査地区の選定等の処分事業に適用できるよう、実施主体の視点に沿って実用化を図っていくための具体的な考え方と進め方を策定すること等を目的として、2011年度よりJAEAとNUMOは以下の3つのテーマについて共同研究を進めている。(1)水理の観点からみた母岩の適性を評価する方法に関する検討: 水理地質構造モデル構築手法の事例調査に基づいて、得られた知見を評価ツリーとして整理し、モデルの不確実性やそれらの評価項目への影響等についての検討を行った。(2)シナリオの構築方法に関する検討: 状態設定手順を実務的な観点から、さらに見直すとともに、セメント影響とガラス溶解挙動について、知見の体系的な整理と不確実性の影響について解析的検討を行った。(3)核種移行パラメータの設定方法に関する検討: 母岩の分配係数を対象に、国内外の事例調査をもとに複数の設定手法を整理し、堆積岩及び花崗岩への適用を通じ妥当性や課題を確認した。溶解度について、溶解度制限固相の決定を含む設定手法を検討し、主要核種への適用を通じ妥当性や課題を確認した。
小林 達哉*; 伊藤 公孝*; 井戸 毅*; 神谷 健作; 伊藤 早苗*; 三浦 幸俊; 永島 芳彦*; 藤澤 彰英*; 稲垣 滋*; 居田 克巳*; et al.
Nuclear Fusion, 54(7), p.073017_1 - 073017_14, 2014/07
被引用回数:26 パーセンタイル:77.22(Physics, Fluids & Plasmas)JFT-2MトカマクのLH遷移直前において、種々のパラメータにリミットサイクル振動が観測された。リミットサイクル振動の時間的、空間的ダイナミクスを詳細に解析したところ、帯状流は観測されず、プラズマ周辺部に局在化したポロイダルフローと密度勾配の振動が存在することが明らかとなった。その振動は乱流の原因と考えられるレイノルズストレスにも観測されているが、平均的なプラズマフローの駆動力としては小さい。密度勾配の内向きの伝搬と小さい乱流粒子束も観測されており、乱流拡散理論と比較した実験的検証結果を報告する。
植松 眞理 マリアンヌ; 杉野 和輝; 川島 克之; 岡野 靖; 山路 哲史; 永沼 正行; 大木 繁夫; 大久保 努; 太田 宏一*; 尾形 孝成*; et al.
JAEA-Research 2012-041, 126 Pages, 2013/02
ナトリウム冷却金属燃料炉心はMOX燃料炉心に比べ重金属密度が高く中性子経済が良好である。こうした特徴を活かし、燃料仕様やナトリウムボイド反応度及びバンドル部圧力損失などの炉心設計条件を柔軟に持たせることで、高燃焼度化、増殖比の向上、燃料インベントリの低減などを目指した炉心設計が可能である。また、米国では実炉の装荷燃料として使用してきた経験が豊富であり、その実用性が実証されてきていることから、高速増殖炉サイクル実用化研究開発(FaCT)のなかで、MOX燃料炉心に続く副概念として概念検討が実施されている。一方、金属燃料サイクルの実用化に向けては、金属燃料の高温・高燃焼度条件における照射試験やマイナーアクチニド・希土類含有燃料の物性などのデータ拡充や、金属燃料炉心特有の安全特性の確認、過渡時解析手法の信頼性向上などの課題が残されている。本報では平成21年度から平成24年度に実施した日本原子力研究開発機構と電力中央研究所による共同研究「金属燃料高速炉の炉心・燃料設計に関する研究」の結果について報告する。
柴田 雅博; 澤田 淳; 舘 幸男; 牧野 仁史; 早野 明; 三ツ井 誠一郎; 谷口 直樹; 小田 治恵; 北村 暁; 大澤 英昭; et al.
JAEA-Research 2012-032, 298 Pages, 2012/09
原子力機構(JAEA)と原子力発電環境整備機構(NUMO)は、概要調査段階における処分場の設計・性能評価に関連する主要な技術テーマについて、原子力機構が蓄積してきた技術やノウハウを、NUMOが今後の処分事業に適用できるよう、実施主体の視点に沿って実用化を図っていくための具体的な考え方と進め方を策定するとともに、必要な開発課題と今後の計画を明らかにすることを目的として、2011年度に共同研究を実施した。実施テーマと概要は以下の通り。(1)対象母岩の選定に関する検討:母岩特性のうち水理に着目し、母岩特性を評価するための項目、及び地下水移行時間の評価手法について、地質環境の調査・評価と関連付けたうえで整理した。(2)シナリオの構築に関する検討:シナリオ構築手順を具体化するとともに、ガラス固化体の溶解と核種の浸出、オーバーパックの腐食、緩衝材の長期変遷について、現象理解に関する最新の知見を構造的に整理した。(3)核種移行パラメータの設定に関する検討:緩衝材の分配係数と拡散係数、母岩の分配係数を対象として、パラメータ設定の方法論を検討し、その方法論に従った試行を行った。(4)知識情報の品質確保に関する検討:知識情報の品質を確保するための考え方や手法を、(2)シナリオの構築で検討した状態設定に対する論拠に関する情報を例として検討した。
熊谷 純*; 稲垣 宏樹*; 刈谷 奏*; 牛田 考洋*; 清水 裕太*; 熊田 高之
Journal of Chemical Physics, 127(2), p.024505_1 - 024505_13, 2007/07
放射線照射した固体パラ水素中にHイオンとその同位体HD, HD, HDの電子スピン共鳴信号を観測することに初めて成功した。これは水素分子イオンはすべてHかそれを核にしたクラスターイオンであるとするこれまでの通説を否定する意義深い研究である。われわれはまたHD, HDにおいて主軸上に沿って顕著な電子の波動関数におけるD対称の破れがあることと、H+HDHD+Hなどの同位体濃縮反応が起こっていることを見いだした。
熊谷 純*; 稲垣 宏*; 刈谷 進*; 牛田 高広*; 清水 裕太*; 熊田 高之
Journal of Chemical Physics, 127(2), p.024505_1 - 024505_13, 2007/07
被引用回数:17 パーセンタイル:51.91(Chemistry, Physical)線照射した固体para-H中には4本線のシャープなESR信号、para-H-HD(1mol%)中及びpara-H-ortho-D(1mol%)中では50本を超えるESR信号が新たに観測された。われわれは理論計算との比較からこれらの信号がH-core Hイオン及びその同位体HD, HD, HDのものであると同定した。われわれはまた同位体置換による同イオンの対称性の乱れ及び、同位体濃縮反応も合わせて観測することに成功した。
野田 宏; 稲垣 達敏*
JNC TJ1400 2002-001, 546 Pages, 2002/08
核燃料サイクル開発機構(JNC)と日本原子力発電株式会社(原電)は、協力協定を締結してJNCと電気事業者の連携を強化するとともに関係機関の参画も得て、1999年7月から、国内の一元的な体制で高速増殖炉(FBR)システムと燃料サイクルシステムの整合が図られたfbrサイクルシステムの実用化戦略を明確にする上で必要となる判断資料を整備して、軽水炉サイクルと比肩する経済性を達成しうる実用化概念の構築および実用化に向けた研究開発計画(ロードマップ)の策定を行うため、実用化戦略調査研究を開始した。本研究のフェーズ1(1999年度および2000年度の2年間)では、FBR、再処理および燃料製造の各システムについて、各新技術を採用した幅広い技術選択肢の評価を行い、安全性、経済性、資源有効利用性、環境負荷低減性および核拡散抵抗性の5つの開発目標に適合する有望なFBRサイクルの実用化候補概念を抽出し、その開発計画を指示した。フェーズ1で抽出した有望な候補概念の検討を出発点として、新たな革新的技術を取り入れ、23の実用化候補概念に絞り込むこと、およびフェーズ111以降の研究計画を指示することを目標として、2001年から5か年計画でフェーズ11を開始した。その道程で2003年までを一つの区切りとして中間とりまとめを行い、絞込みの見通しを得る予定である。また、フェーズ11より後の研究開発についても、5年程毎にチェックアンドレビューを受けながら進め、安全性確保を前提として競争力のあるFBRサイクル技術体系を2015年頃までに整備することとしている。本報告書は、実用化戦略調査研究のフェーズ11の2001年度の成果を取り纏めたものである。フェーズ11初年度の2001年度は、フェーズ1の成果とフェーズ11の計画についても課題評価委員会の評価を受け、慨ね適切であるとの評価を得ると共に、フェーズ11の計画に沿ってFBRシステム及び燃料サイクルシステムのそれぞれに対して、フェーズ1で抽出した候補概念について、革新的技術を取入れ、それぞれの魅力を引き出すとの観点から概念設計研究を進めると共に、主要技術の成立性見通しおよび候補概念の絞り込みに必要な定量的なデータ取得のための要素技術開発に着手した。
細田 宏*; 稲垣 隆二*; 下山 昌宏*; 永野 修一*
JNC TJ7440 2002-002, 414 Pages, 2002/03
DH-13号孔は、核燃料サイクル開発機構が広域地下水流動研究の一環として掘削したボーリング孔である。今回、地下水流動解析結果の検証データを取得することを目的として、深度1,000m対応のMPシステム資材の購入・設置を行った。採水および間隙水圧を測定するモニタリングゾーンは、事前の孔内試験等から15区間の水圧測定が可能なように測点を設けた。DH-13号孔はHQ(96mm)で掘削され、孔底付近では約摂氏2度 傾斜していたが、計画通り設置は完了し、MOSDAXプローブを使用して15区間の間隙水圧の測定、採水を可能にした。また、採水用に設置したポンピングポートのバルブ開閉試験も良好であった。このうち、7深度にプローブを設置して長期観測を可能に、所定の深度において採水を行い、採水した地下水の水質分析を実施した。
野田 宏; 稲垣 達敏*
JNC TN1400 2001-006, 868 Pages, 2001/10
本報告書は、実用化戦略調査研究のフェーズ1の成果を取り纏めたものであるFBRシステムの検討では、各種冷却材と燃料形態を組み合わせて幅広い選択肢の検討を行い、各技術に対する技術的成立性および開発目標に照らした設計要求に対する適合性の評価、FBRサイクルとしての整合性、国際協力の可能性等を総合的に勘案して、冷却材毎に有望な炉心概念を評価するとともに、有望なFBRプラントシステム概念を評価し、フェーズ2の開発課題を摘出した。また、燃料サイクルシステムの検討では、各種燃料サイクル技術と燃料形態を組み合わせて幅広い選択肢の検討を行い、FBRシステムの検討と同様に、各技術に対する技術的成立性および設計要求に対する適合性の評価等を勘案して、有望な燃料サイクルシステム概念を評価するとともに、フェーズ2の開発課題を摘出した。以上の検討結果を受けて、FBRシステムと燃料サイクルシステムの整合を図ったFBRサイクルとしての総合的な観点から、FBRシステムおよび燃料サイクルシステムの有望な実用化候補概念を抽出するとともに、革新的技術の開発を含めたフェーズ2開発計画を策定した。
稲垣 隆二*; 下山 昌宏*; 中村 哲久*; 竹村 聖吾*; 永野 修一*
JNC TJ7440 2001-011, 243 Pages, 2001/03
本業務は、広域地下水流動研究の表層水理研究の一環として超深地層研究所計画用地の北側に位置する領域において試錐調査等を行い、地質情報・水理情報を取得するものである。本調査の結果、以下の事が分かった。1.明世地区の瑞浪層群の明世累層、生俵累層および瀬戸層群の基底面は同じような標高に認められるのに対し、花崗岩の上面(瑞浪層群基底面)標高は起伏が大きいことが認められた。2.明世地区の北北西部は明世累層・土岐夾炭累層が欠如し、生俵累層の下部もしくは表層付近から土岐花崗岩が認められた。3.明世地区の土岐花崗岩は瀬戸層群および瑞浪層群との間に水理的連続性が顕著でないことが確認できた。4.明世地区の土岐花崗岩の透水係数は約10-410-5cm/s(約10-610-7m/s)と比較的高いものの、レッカ水には顕著な動き(流れ)が認められないことが確認できた。5.生俵累層の基底礫岩が明世地区の主要な帯水層の1つであることが確認できた。
野田 宏; 稲垣 達敏*
JNC TY1400 2000-004, 464 Pages, 2000/08
核燃料サイクル開発機構(JNC)と日本原子力発電株式会社(原電)は、協力協定を締結してJNCと電気事業者の連携を強化するとともに関係機関の参画も得て、1999年7月から高速増殖炉サイクル(FBRサイクル)の実用化戦略調査研究の推進組織を発足させ、その後、原研の協力も得てオールジャパン体制で研究開発を進めている。本研究のフェーズI(1999年度、2000年度の2年間)においては、FBR、再処埋および燃料製造の各システム技術について、革新技術を採用した幅広い技術的選択肢の評価を行い、安全性の確保を前提とし、経済性、資源有効利用性、環境負荷低減性および核拡散抵抗性の5つの視点から、有望なFBRサイクルの実用化候補概念を抽出し、その研究開発計画を策定することとしている。本報告書は、本研究のフェーズIの初年度に得られた成果をもとに、中間報告書として取り纏めたものである。概要は以下のとおり。FBRは中性子経済が優れていることから、プルトニウムの増殖やTRUの燃焼、長半減期の核分裂生成物(FP)の核変換等を行える特長を有しており、これらの性能は炉心設計が決めることになる。そこで、燃料形態(酸化物、窒化物、金属)と冷却材(Na、重金属、ガスなど)を組合せて炉心性能を評価し、FBRの特長を最大限生かせるように、有望な燃料形態と冷却材の組合せを評価した。FBRプラントシステムの検討では、安全性の確保を前提として、将来の軽水炉と比肩し得る経済性を実現するための経済性向上方策の摘出を重視して、有望なFBRプラントシステム概念を抽出した。2000年度には抽出したこれらの候補概念について、詳細な検討を進めていくこととしている。燃料サイクルシステムの検討では、これまで開発を進めてきた湿式再処理法(PUREX法)、ペレット燃料製造法の合理化を図るとともに、新たに乾式再処理法、振動充填燃料製造法等を対象に、技術的成立性、経済性などを評価した。これまでの検討の結果、各候補概念に対する技術的成立性の見通しと間題解決の方向性が示されていることから、2000年度に継続して詳細検討を実施することとしている。2000年度には、これら各システムの整合性を考慮して、FBRサイクルとしての総合評価を行い、実用化候補概念の抽出を行う。
野田 宏; 稲垣 達敏*
JNC TY1400 2000-003, 92 Pages, 2000/08
核燃料サイクル開発機構(JNC)と日本原子力発電株式会社(原電)は、協力協定を締結してJNCと電気事業者の連携を強化するとともに関係機関の参画も得て、1999年7月から高速増殖炉サイクル(FBRサイクル)の実用化戦略調査研究の推進組織を発足させ、その後、原研の協力も得てオールジャパン体制で研究開発を進めている。本研究のフェーズI(1999年度、2000年度の2年間)においては、FBR、再処埋および燃料製造の各システム技術について、革新技術を採用した幅広い技術的選択肢の評価を行い、安全性の確保を前提とし、経済性、資源有効利用性、環境負荷低減性および核拡散抵抗性の5つの視点から、有望なFBRサイクルの実用化候補概念を抽出し、その研究開発計画を策定することとしている。本報告書は、本研究のフェーズIの初年度に得られた成果をもとに、中間報告書として取り纏めたものである。概要は以下のとおり。FBRは中性子経済が優れていることから、プルトニウムの増殖やTRUの燃焼、長半減期の核分裂生成物(FP)の核変換等を行える特長を有しており、これらの性能は炉心設計が決めることになる。そこで、燃料形態(酸化物、窒化物、金属)と冷却材(Na、重金属、ガスなど)を組合せて炉心性能を評価し、FBRの特長を最大限生かせるように、有望な燃料形態と冷却材の組合せを評価した。FBRプラントシステムの検討では、安全性の確保を前提として、将来の軽水炉と比肩し得る経済性を実現するための経済性向上方策の摘出を重視して、有望なFBRプラントシステム概念を抽出した。2000年度には抽出したこれらの候補概念について、詳細な検討を進めていくこととしている。燃料サイクルシステムの検討では、これまで開発を進めてきた湿式再処理法(PUREX法)、ペレット燃料製造法の合理化を図るとともに、新たに乾式再処理法、振動充填燃料製造法等を対象に、技術的成立性、経済性などを評価した。これまでの検討の結果、各候補概念に対する技術的成立性の見通しと間題解決の方向性が示されていることから、2000年度に継続して詳細検討を実施することとしている。2000年度には、これら各システムの整合性を考慮して、FBRサイクルとしての総合評価を行い、実用化候補概念の抽出を行う。
山口 耕平; 本田 明; 稲垣 学; 油井 三和; 齋藤 宏則*
no journal, ,
国際共同研究LCS(Long-term Cement Study)の一環として、花崗岩中の天然亀裂コアへの高pH溶液の通水実験結果(Mader et al., 2006)を用いて、化学反応とこれに伴う物質輸送特性の変化に関するベンチマーク解析を行った。その結果、実験的に観察された閉塞傾向を、物質輸送・化学反応連成モデルにより再現することができた。
倉田 正輝*; 太田 宏一*; 稲垣 健太*; 白数 訓子; 野本 祐春*; 澁田 靖*; 松田 哲志*
no journal, ,
核燃料に関する実用的なマルチスケールシミュレーション手法の構築を目的に、平成22年度より3か年の計画で文部科学省基礎基盤戦略研究イニシアティブの戦略的原子力共同研究プログラム「核燃料に関する計算組織学的な解析技術の開発」を進めている。本研究プログラムでは、「計算組織学」手法の中核となるフェーズフィールド(PF)法に関し、核燃料で重要となるさまざまな現象に対応できる解析モデルと解析ツールを開発する。また、組織形成の駆動力評価のためにCALPHAD法による熱力学データベース構築と、基礎試験による熱力学データベースの拡充を行う。研究開発のねらいと現状について報告する。
舘 幸男; 陶山 忠宏; 北村 暁; 柴田 雅博; 澁谷 早苗*; 後藤 考裕*; 稲垣 学*
no journal, ,
NUMO-JAEA共同研究の一環として、概要調査段階における核種移行パラメータ設定手法を構築するとともに、主要核種の岩石に対する収着分配係数の設定の試行を通じて、その妥当性を確認した。
小野寺 直幸; 長谷川 雄太; 井戸村 泰宏; 朝比 祐一; 河村 拓馬; 伊奈 拓也; 下村 和也; 稲垣 厚至*; 鈴木 真一*; 平野 洪賓*; et al.
no journal, ,
デジタルツインに基づく風況予測は、都市街区内の歩行者に対する熱中症評価や微小粒子状物質の拡散予測などスマートシティ設計・運用に応用など、新たな社会基盤構築に貢献できる技術である。本ポスター発表では、都市街区内の風況デジタルツインの実現に向けた、観測とメソスケール気象データとのデータ同化に基づく風況シミュレーションについて紹介する。
小野寺 直幸; 下川辺 隆史*; 井戸村 泰宏; 河村 拓馬; 朝比 祐一; 長谷川 雄太; 伊奈 拓也; 下村 和也; 稲垣 厚至*; 平野 洪賓*; et al.
no journal, ,
GPUスーパーコンピュータ上において、メートル解像度の風況シミュレーションに観測データをリアルタイムに同化した、都市街区内の風況予測の実現を目指している。初年度である2022年度は、高精度に大気境界層内の風況を再現するために、風況解析コードCityLBMに対してパーティクルフィルタ(PF)に基づくデータ同化手法を適用することで、モデル変数の動的な最適化手法を開発した。米国オクラホマシティの野外風況観測実験に対する解析を行った結果、PFを適用しない結果と比較して、終日の速度の標準偏差の誤差に対して約10%の改善が実現された。東京都市街区内の風況解析として、地理情報システム(GIS)および衛生画像から構築した建物・地形・植生分布、および、防災科学技術研究所の雲解像数値モデル(CReSS)から与えられる境界条件に基づくマルチスケール解析を実施した。
小野寺 直幸; 井戸村 泰宏; 長谷川 雄太; 朝比 祐一; 稲垣 厚至*; 下瀬 健一*; 平野 洪賓*
no journal, ,
我々の研究グループでは、都市全域を含む広域の風況場から細かな路地等を捉えたマルチスケールの風況シミュレーションコードCityLBMの開発を進めている。CityLBMは、格子ボルツマン法に適合細分化格子を適用した省メモリ化、および、GPUスーパーコンピュータによる高性能計算により、数km四方に対してリアルタイムシミュレーションが可能である。本研究では、東京工業大学周辺の建物、地形、植生、およびメソスケールの雲解像モデルCReSSの風況を境界条件としたメートル解像度のシミュレーションを実施した。ドップラーライダーの観測と比較した結果、日中の主風向が大きく変化する条件下においても、風況を良く再現していることが確認された。