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藤原 比呂*; 戸田 裕之*; 海老原 健一; 小林 正和*; 眞山 剛*; 平山 恭介*; 清水 一行*; 竹内 晃久*; 上椙 真之*
International Journal of Plasticity, 174, p.103897_1 - 103897_22, 2024/03
被引用回数:0高強度化したアルミ合金において水素脆化は、理解し解決すべき問題である。アルミ合金において、水素が析出物界面に蓄積し脆化の原因となっていると考えられている。しかし、き裂付近の水素分布と応力場の局所的な相互作用について、空間的な複雑さを考慮した定量的な知見は明らかでない。本研究では、結晶塑性有限要素法と水素拡散解析を組み合わせたマルチモーダル3次元画像ベースシミュレーションを用い、実際のき裂近傍の応力分布と、それが水素分布に及ぼす影響およびき裂発生確率に及ぼす影響を捉えることを試みた。その結果、粒界き裂は、その先端近傍の水素蓄積により、MgZn析出物の半整合界面の凝集エネルギーが低下した領域で擬へき開き裂に遷移することが分かった。この結果は、本シミュレーション手法がナノスケールの剥離とマクロスケールの脆性破壊の橋渡しに成功したことを示すものと考える。
Tang, J.*; Wang, Y.*; 藤原 比呂*; 清水 一行*; 平山 恭介*; 海老原 健一; 竹内 晃久*; 上椙 真之*; 戸田 裕之*
Scripta Materialia, 239, p.115804_1 - 115804_5, 2024/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Nanoscience & Nanotechnology)Al-Zn-Mg-Cu合金の外部および内部水素(H)の組合せによって誘起される応力腐食割れ(SCC)の挙動をその場3次元評価技術を使い系統的に調べた。Al-Zn-Mg-Cu合金のSCCは水素濃度が臨界値を超える潜在的なクラック発生領域で発生・進展し、Hがナノスケール-MgZn析出物界面での原子結合を弱め巨視的な割れを引き起こしていることが分かった。さらに、水環境からき裂へ浸透した外部Hが、き裂先端近傍に勾配を持つH影響ゾーンを作ることでSCCにおいて重要な役割を果たすことや、あらかじめ存在する内部Hが、塑性変形に伴いき裂先端に向かうことでSCCにおけるき裂の発生と進展の両方に関与することも分かった。
比嘉 良太*; 藤原 比呂*; 戸田 裕之*; 小林 正和*; 海老原 健一; 竹内 晃久*
軽金属, 73(11), p.530 - 536, 2023/11
Al-Zn-Mg合金において、その強度向上には水素脆化の抑制が必要である。本研究では、X線CTから得られた3次元多結晶微細構造データに基づくモデルによる結晶塑性有限要素法及び水素拡散解析を用いて、実際の破断領域における応力、ひずみ及び水素濃度の分布を調べた。さらに、引張試験のX線CTによるその場観察とシミュレーションを組み合わせて、応力、ひずみ、水素濃度の分布と実際のき裂発生挙動を比較した。その結果、結晶塑性に起因する粒界に垂直な応力負荷が主に粒界き裂発生を支配することが明らかになった。また、結晶塑性に起因する内部水素の蓄積は、き裂発生にほとんど影響しないことがわかった。
清水 一行*; 戸田 裕之*; 藤原 比呂*; 山口 正剛; 上椙 真之*; 竹内 晃久*; 西嶋 雅彦*; 鎌田 康寛*
Corrosion, 79(8), p.818 - 830, 2023/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Materials Science, Multidisciplinary)7xxxアルミニウム合金は代表的な高強度アルミニウム合金であるが、水素による機械的特性劣化がさらなる高強度化の妨げとなっている。我々は、7xxxアルミニウム合金の水素脆化を防止するための新しい技術として、Mn系第2相粒子の分散を提案する。本研究では、Mnを0.0%および0.6%含有する高水素7xxx合金の変形および破壊挙動を放射光X線トモグラフィーを用いてその場で観察した。得られた巨視的な水素脆化は、合金中の水素分配に基づき定量的に解析された。0.6%Mnを添加することにより、高い水素トラップ能力を持つ第二相粒子を生成し、水素による擬劈開破壊を有意に抑制することができた。
戸田 裕之*; 山口 正剛; 松田 健二*; 清水 一行*; 平山 恭介*; Su, H.*; 藤原 比呂*; 海老原 健一; 板倉 充洋; 都留 智仁; et al.
鉄と鋼, 105(2), p.240 - 253, 2019/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Metallurgy & Metallurgical Engineering)本レビューでは、高強度アルミニウム合金の水素脆化に関する研究活動、特に様々なトラップサイトでの水素トラップとそれによる水素脆化への影響に焦点を当てて報告する。高亜鉛濃度Al-Zn-Mg合金において、高分解能TEM法による析出物のナノ構造及び界面構造の分析や、高分解能X線マイクロトモグラフィー技術による詳細な破壊マイクロメカニズムとマイクロ構造-破壊特性関係の調査がなされ、さらに、ごく最近実現された超高分解能X線顕微鏡により特徴的な局部的変形、亀裂の発生・成長が観察されている。また、第一原理シミュレーションによる数々の水素トラップサイトのトラップエネルギー導出を元に、変形・破壊中の水素再分配が解析された。水素の再分配と3つの異なるミクロ機構による水素脆化との間の関係を論じ、水素脆化が起こるための現実的な条件を説明する。
渡邊 和弘; 秋野 昇; 青柳 哲雄; 海老沢 昇; 藤原 幸雄; 本田 敦; 井上 多加志; 伊藤 孝雄; 河合 視己人; 椛澤 稔; et al.
Radiation Physics and Chemistry, 49(6), p.631 - 639, 1997/00
被引用回数:3 パーセンタイル:30.37(Chemistry, Physical)核融合プラズマの加熱や定常維持のために、0.5~1MeV、数十MWの中性粒子入射装置(NBI)が要求されている。このようなシステムの実現のため、大出力の負イオンビーム開発を進めている。JT-60U用500keV、10MW入射予定の負イオンNBI装置ではビーム出力試験が開始され、400keV、13.5A、0.12Sの世界最高のDビーム電流、電力発生に成功した。さらに、1MeV級の負イオン加速管の開発では、805keVで加速電流150mA/sのHビーム加速に成功した。
清水 一行*; 戸田 裕之*; 藤原 比呂*; 平山 恭介*; 山口 正剛
no journal, ,
Al-Zn-Mg合金の水素脆化の起源として、水素による相界面はく離を提唱してきた。Al-Zn-Mg合金の水素脆化を防止するためには、界面の水素を低減することが極めて重要である。本研究では、水素脆化防止の新たな戦略として、合金の主な析出相を相からT相に切り替えることを目指している。T相は強い内部水素トラップサイトを持ち、相は内部水素トラップサイトを持たないことが示唆されている。第一原理計算によりT相の内部水素トラップを明らかにするとともに、T相による水素脆化防止効果を実証した。
海老原 健一; 藤原 比呂*; 清水 一行*; 山口 正剛; 戸田 裕之*
no journal, ,
アルミ合金の高強度化において、水素脆化は避けられない問題である。水素は、合金中の粒界や相界面などの界面欠陥に拡散偏析し、そこでの原子結合を弱めることで脆化を引き起こす。このため、水素の界面偏析を減らすことで水素脆化を抑制する可能性が考えられる。近年、アルミ合金中のスズの第二相粒子が水素をその内部にトラップする可能性が原子レベル計算によって見いだされ、さらに、実験において、スズを添加したアルミ合金において水素脆化の抑制が報告されている。本研究では、二相鋼中の水素拡散をシミュレーションするコードを、スズの第二相粒子を含むアルミニウム中での水素拡散へ適用し、実験条件に従って、スズ第二相粒子への水素の侵入の可能性を評価した。その結果、ある程度の水素がスズ第二相粒子に侵入することを確認した。これは、シミュレーションでの実験事実の検証に資するものである。