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藤崎 弘士*; 志賀 基之; 森次 圭*; 木寺 詔紀*
Journal of Chemical Physics, 139(5), p.054117_1 - 054117_9, 2013/08
被引用回数:13 パーセンタイル:45.06(Chemistry, Physical)分子シミュレーションでは、化学反応やタンパク質の折り畳みなど、構造変化がゆっくりで稀にしか起きない現象の扱い方が議論されている。これまで様々なアプローチが提案されてきたが、本論文では、シミュレーションを効率よく実行する方法の一つを提案する。これは、マルチスケール拡張サンプリング法を一般化し、粗視化された自由度と連動させたLangevin方程式を解くことで、Onsager-Machlup作用に基づいた反応経路計算の効率化を図るものである。この手法を朝倉-大沢相互作用のポリマー模型に応用し、計算効率については遷移経路サンプリング法など従来の方法と比較した結果を報告する。
志賀 基之; 藤崎 弘士*
Journal of Chemical Physics, 136(18), p.184103_1 - 184103_11, 2012/05
被引用回数:12 パーセンタイル:40.78(Chemistry, Physical)本論文発表では、量子多体系の分配関数を虚時間経路積分理論におけるリングポリマーの質量中心で表現することにより、化学反応経路を特徴づける固有反応座標を量子系に拡張した「セントロイド固有反応座標」を提案する。この提案方法は、反応物と生成物を結ぶ経路のうち、各原子の重心にかかる仕事量を最も少なくなるような最小自由エネルギー経路に対応し、セントロイド反応座標を第一原理的に計算する手段として、経路積分シミュレーションとストリング法を組合せたものである。実際、この提案方法をNHとNHやその重水素置換体に適用し、分子内及び分子間プロトン移動反応における量子効果の重要性を明らかにした。また、この計算から、NHについては、セントロイド固有反応座標は古典論の場合とは大きくずれて、プロトンの量子性が反応の自由エネルギーに大きな影響を与えることがわかった。なお、これらの成果は、化学反応の基礎論の発展に資するものである一方、原子力材料等の物性予測手法の高度化に繋がる成果と位置付けられる。
藤崎 弘士*; 志賀 基之; 木寺 詔紀*
Journal of Chemical Physics, 132(13), p.134101_1 - 134101_8, 2010/04
被引用回数:22 パーセンタイル:59.56(Chemistry, Physical)化学反応に対し、起伏の多いエネルギー面上の複雑な反応経路を探索する方法として、Onsager Machlupの作用をもとにした新たなサンプリング法を提案する。また、推測した経路の初期値でトラップされてしまうことを防ぐために有効な手段として、レプリカ交換法と組合せる。簡単な二次元のモデル系に適用することを通して、この方法の原理とアルゴリズムの実証を行う。
志賀 基之; 藤崎 弘士*
no journal, ,
本発表では、第一原理経路積分法をストリング法と組合せることによって、量子系の自由エネルギー曲線を簡易に計算する新たなシミュレーション手法を提案する。この方法では、経路積分表示された原子核の重心位置(セントロイド)を座標変数とし、その座標空間における自由エネルギー面を定義した場合、その面の反応障壁が最小となる経路をストリング法によって探索する。これは、固有反応座標のアイデアを量子系へ適用する道のうちの一つと考えられ、今後、水素・重水素移動反応の解析に役立つものと期待される。
志賀 基之; 藤崎 弘士*
no journal, ,
本発表では、前中期計画において開発した原子核を量子化する第一原理計算手法を水素結合系に応用した成果を発表する。発表ではまず、第一原理経路積分法をストリング法と組合せることによって、量子系の自由エネルギー曲線を簡易に計算する新たなシミュレーション手法を提案し、その水素結合系への適用成果を通して、手法の十分な妥当性を明らかにする。なお、発案手法は、固有反応座標のアイデアを量子系へ適用する手法の一つとして有用であり、水素・重水素移動反応の解析等にも役立つ。
志賀 基之; 藤崎 弘士*
no journal, ,
本発表では、福井謙一により考案された固有反応座標のアイデアを拡張して、量子多体系の化学反応経路を求める第一原理計算手法を提案する。すなわち、反応物から生成物へ至る化学反応過程において、量子統計力学的自由エネルギー障壁が最小となる経路をストリング法を用いて探索するものである。これによって、大きな熱揺らぎ,量子ゆらぎを伴う複雑な水素結合系のプロトン移動反応について、量子力学に基づいた第一原理的解析が可能になる。なお、この成果は、第一原理シミュレーションにより、原子力材料の水素脆化プロセスの理解を深めることにも寄与する成果である。