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藤本 浩文*; 樋口 真理子; 小池 学*; 大出 裕高*; Pinak, M.; Kotulic Bunta, J.*; 根本 俊行*; 作道 隆*; 本田 尚子*; 前川 秀彰*; et al.
Journal of Computational Chemistry, 33(3), p.239 - 246, 2012/01
被引用回数:37 パーセンタイル:64.85(Chemistry, Multidisciplinary)リジン残基のアセチル化は、タンパク質が受ける翻訳後修飾の中で最も一般的なものの一つである。本研究では、DNA修復酵素の一つであるKuタンパク質内のリジン残基がアセチル化されると、その基質であるDNAとの結合力がどのように変化するのかをコンピュータシミュレーションを用いて検証した。擬似アセチル化タンパク質のモデルとして実験的によく用いられる、グルタミン置換変異体(KQ変異体)ではDNAとの結合力が下がり、非擬似アセチル化タンパク質モデルとして用いられるアルギニン置換変異体(KR変異体)では結合力は低下しなかった。このシミュレーション結果は既報の実験結果と完全に一致している。一方、これらのリジン残基をアセチル化してもDNAとの結合力は低下しなかった。したがって、擬似アセチル化タンパク質のモデルとしてKQ変異体を用いると、アセチル化の影響を過大評価する場合があると考えられる。
山内 恵美子*; 渡辺 立子; 及川 美代子*; 藤本 浩文*; 山田 明徳*; 斎藤 公明; 村上 正弘*; 橋戸 和夫*; 土田 耕三*; 高田 直子*; et al.
Journal of Insect Biotechnology and Sericology, 77(1), p.17 - 24, 2008/02
PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法を用いて、Cs-137線照射によるpBR322プラスミドDNAの両方の鎖それぞれに生じた1本鎖切断の収率を測定する方法を確立した。本研究では、PCRによる増幅を経時的に測定することで、増幅率をreal-time PCRがDNA切断数の収量の絶対値測定に応用・有用であることを初めて示した。この方法によるSSB収率の実験結果は、モンテカルロシミュレーションによる計算結果と非常によい一致を示したことによっても実証された。
藤本 浩文*; Pinak, M.; 根本 俊行*; O'Neill, P.*; 久米 悦雄; 斎藤 公明; 前川 秀明*
Journal of Computational Chemistry, 26(8), p.788 - 798, 2005/06
被引用回数:23 パーセンタイル:57.53(Chemistry, Multidisciplinary)電離放射線によるDNAクラスター損傷は修復され難く、細胞のガン化など生体にとって深刻な事態を引き起こす原因の一つと考えられている。DNAクラスター損傷を持つDNA分子には、単独の損傷を持つ分子と比べるとDNA修復酵素が作用し難いことが、生化学的・分子生物学的実験によって示されているが、どのような要因が酵素の作用阻害に関わっているかはいまだ不明である。そこで本研究では、DNAクラスター損傷における酵素の作用阻害の要因を、計算科学的手法を用いて考察した。既報の実験で用いられたDNA分子と同配列となるように、7,8-dihydro-8-oxoguanine(8-oxoG)及びapurinic/apyrimidinic(AP) siteという2つの酸化損傷部位が数塩基はなれた位置に存在する40merのDNA分子を、2損傷部位間の距離を変えて6種類設計し、それぞれに対し分子動力学的(MD)シミュレーションを1nsのオーダーで行った。その結果、損傷部位における分子の屈曲や、損傷塩基と相補鎖上の塩基との相互静電エネルギーの減少など損傷DNA分子に特徴的な構造や性質が観察された。これらの特徴によって修復酵素がDNAに結合できず、したがって修復効率が低下したのではないかと推察される。
Pinak, M.; O'Neill, P.*; 藤本 浩文; 根本 俊行*
AIP Conference Proceedings 708, p.310 - 313, 2004/05
酸化損傷を受けたDNAの構造とエネルギーの変化そしてDNAと修復酵素の複合体形成の動的過程を明らかにするためにDNA突然変異源となる酸化損傷7,8-dihydro-8-oxoguanine(8-oxoG)とその修復酵素human oxoguanine glycosylase 1(hOGG1)を生理的水溶液環境下に配置しmultiple nanosecond moleculardynamics simulationを行った。その結果、DNA-酵素複合体において、N末端のアルギニン324が8-oxoGヌクレオチドのホスホジエステル結合に接近しアミノ酸と損傷部位が化学反応を行えることがわかった。DNA損傷の認識、すなわち修復酵素による損傷部位の認識とDNA-酵素の安定な複合体の形成は、その後の修復プロセスを正常に進めるために必須の条件である。
藤本 浩文; Pinak, M.; 根本 俊行*; 坂本 清隆*; 山田 和幸*; 星 芳幸*; 久米 悦雄
Journal of Molecular Structure; THEOCHEM, 681(1-3), p.1 - 8, 2004/01
分子動力学シミュレーションプログラムAMBERと、AMBERの出力ファイルから動画ファイルを自動的に生成するために新たに開発したソフトウエアF-BMVSを組合せたシステムを用いて、複数箇所に酸化損傷を被ったDNA分子がどのように分子構造を変えるかを観察した。放射線や化学物質によって生じるこれらの損傷は、修復されなければ強力な突然変異原となり、細胞がガン化する原因となると考えられている。2種類の損傷(8-oxoG, AP部位)を持つDNA分子と損傷を持たないDNA分子に対し1ナノ秒のオーダーのシミュレーションを行い、F-BMVSを用いて可視化したところ、損傷構造に特異的な立体構造が観察された。これらの分子構造の差異は、損傷を修復する酵素が損傷部位と非損傷部位とを見分ける要因の1つになっているのではないかと考えられる。