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藤村 薫; R.E.Kelly*
J. Fluid Mech., 331, p.261 - 282, 1997/00
被引用回数:4 パーセンタイル:26.35(Mechanics)安定成層をした平面ポワズイユ流において、流体のプラントル数が0.17以下の場合には、層流状態からの1次分岐を記述するStuart-Landau方程式の3次の非線形が消失する非線形縮退が生じることを見出した。縮退点の前後で超臨界分岐から亜臨界分岐へと分岐の定性的様相が入れかわる。そこで、5次の非線形項を有するStuart-Landau方程式を導出し、縮退が分岐に与える影響について議論した。また、プラントル数が0.00283の場合、3次の項のみならず5次の項も同時に0となり、7次の項がその縮退点近傍で符号を変える強い超縮退が生じることを見つけた。
藤村 薫
ながれ, 15, p.253 - 256, 1996/00
「最近の流体物理の展望」という特集記事のうちの1項目として、非線形安定性理論をごく大雑把に解説した。内容は、非線形理論の中心課題である次元の低減に限定し、中心多様定理の方法と、弱非線形摂動展開理論を概観した。
藤村 薫
JAERI-Conf 94-006, 41 Pages, 1995/01
本抄録は、東海研究所並びに東海会館において1994年9月9-10日に開催した流体運動における安定性と分岐に関連する研究会での講演内容をまとめたものである。研究会では、16の講演が行われ、流体方程式の解の安定性と分岐に関する問題が議論された。内容は多岐にわたるが、いずれも線形安定性解析、弱非線形解析、分岐解析、非線形平衡解に対する数値解析を含む、理論もしくは数値解析結果である。
藤村 薫; R.E.Kelly*
Phys. Fluids, 7(1), p.68 - 79, 1995/01
被引用回数:24 パーセンタイル:70.47(Mechanics)不安定成層を伴う平面Poiseuille流は、流れを特徴づけるReynolds数が小さい場合縦ロール(Rayleigh-Benardロール)に対して不安定となるが、Raynolds数が臨界値を超えると横伝播波(Tollmien-Schlichting波)に対して不安定となる。本研究では、これら両モードが同時に臨界となった場合を仮定し、両モードの振幅に対する発展方程式を弱非線形摂動展開理論を用いて導き、解の分岐特性を分類した。その結果、流体のプラントル数が比較的小さい場合には両モード成分が混在した解が可能であること、また、その場合不安定な解としてノイズ敏感な概周期解が存在すること等を明らかにした。
藤村 薫
原子力工業, 41(3), p.49 - 51, 1995/00
流体系における層流から乱流への遷移の素過程としての、流体運動の安定性と分岐について述べ、代表的な例として、現在行っている縦横モード相互作用に関する研究の解説を行った。不安定成層をしたせん断流においては、ベナール対流に対応するロールが流れ方向に軸をもって現われる。しかし、せん断流を強くしてゆくと、流体力学的不安定モードである流れ方向に周期性をもつ伝播波が現われる。縦ロールと横伝播波が同時に出現するパラメータ領域ではどのような空間パターンが形成されうるかについて、弱非線形理論に基づく結果を紹介し、展望について述べた。
椎名 保顕; 藤村 薫; 功刀 資彰; 秋野 詔夫
Int. J. Heat Mass Transfer, 37(11), p.1605 - 1617, 1994/00
被引用回数:49 パーセンタイル:91.26(Thermodynamics)下面を加熱した半球容器内自然対流の熱伝達実験及び流れ場と温度場の可視化実験を行った。流体として水, グリセリン水溶液, フレオン等を用いた。実験条件はレイリー数範囲10510、プラントル数範囲613000である。熱伝達実験の結果、ヌッセルト数とレイリー数の関係NuRaで、指数nはレイリー数が10を越えると層流の値1/4から乱流の値1/3に遷移することを示した。また、流れの可視化実験の結果、流れ場はレイリー数を増加させるに伴い、定常循環流、周期プリュームを伴う循環流、非周期プリュームの発生を伴う循環流、乱流と遷移することを示した。さらに、下面加熱の半球容器内自然対流で生じる周期プリュームは、流体力学的不安定性により生ずることを示した。
藤村 薫; R.E.Kelly*
J. Fluid Mech., 246, p.545 - 568, 1993/00
被引用回数:25 パーセンタイル:73.96(Mechanics)傾斜スロット内の自然対流には、流体のプラントル数の値に応じて定在波(横ロール)、伝播波(横モード)、及び縦ロールの3つの異なったモードが生じ得る。本研究では、これら3モード間の非線形相互作用を弱非線形漸近理論を用いて調べ、解の分岐特性を明らかにした。その結果、異なるモードがほぼ同時に臨界となる場合、縦ロールが先に臨界となれば制御パラメターを増加させても縦ロールのみが安定に形成されること、縦ロール以外のモードが先に臨界となる場合には、縦ロールとそのモードの間の混合モードが安定となるパラメター領域が存在するが、パラメターの増加に従って最終的に縦ロールが実現されること等が結論された。
藤村 薫; 河村 洋*
エネルギーレビュー, 12(11), p.12 - 18, 1992/10
流体運動におけるカオス現象、とくにレイリー・ベナール対流における遷移過程とカオスについて、数式を全く用いず、極めて平易に解説した。
藤村 薫; 水島 二郎*
日本物理学会誌, 47(10), p.798 - 805, 1992/10
流体運動における解の分岐現象は、力学系理論の進展によって近年脚光を浴びている。分岐現象の解析においては、無限自由度系である流体方程式から有限小数自由度系である「振幅方程式」への自由度の低減が不可欠である。本解説では、この自由度の低減を中心課題として発展してきた流れの弱非線形安定性理論を解説する。とりわけ、簡単な対称群との可換性の要請の下に得られる振幅方程式の分類、中心多様体定理に基づく振幅方程式の導出、並びに振幅方程式によって記述される解のダイナミックスについて述べる。
藤村 薫; R.E.Kelly*
Bifurcation Phenomena and Chaos in Thermal Convection, p.73 - 83, 1992/00
空気でみたされた傾斜流体層内で、制御パラメターのある値で横モード攪乱と縦モード攪乱が同時に臨界となる場合に生じるこれらのモード間の非線形相互作用を調べた。多重尺度法を用いた弱非線形漸近理論によって流体方程式から振幅方程式を導出し、解の分岐特性を調べた結果、縦ロールの臨界Rayleigh数が横モードのそれよりわずかに低い場合縦ロールがRayleigh数を増加させていく時つねに観察されるが、逆の場合には最初横モードが、次いで横と縦の混合モードが観察され、さらにRayleigh数を増加させると最終的に縦ロールが現れることが明らかになった。すなわち後者の場合、縦成分は亜臨界領域から分岐を生じるが、その生成機構は両モード間の非共鳴相互作用で説明される。
藤村 薫
European Journal of Mechanics B, Fluids, 11(4), p.461 - 464, 1992/00
先に発表した鉛直スロット内自然対流における伝播波解に関する論文(Eur.J.Mech.B/Fluids(1990)10 No.2-Suppl.)の掲載とほとんど同時期にKropp Busseによる同一内容の論文が「Bifurcation and Chaos」に掲載された。本論文では両論文の欠点を補なうことにより、両者の結果が完全に一致していることを明らかにするとともに、分岐特性を明確に表わしている分岐ダイヤグラムを示し、非共鳴定常/Hopf相互作用における分岐特性を明らかにした。
水島 二郎*; 藤村 薫
J. Fluid Mech., 234, p.651 - 667, 1992/00
被引用回数:21 パーセンタイル:68.67(Mechanics)ベナール対流中の2次元準中立攪乱間に波数比1:3の高調波共鳴が生じることを明らかにした。共鳴が生じる場合、共鳴モードの振幅に対する方程式を導き、分岐パラメータとしてレイリー数をとった際の分岐特性を調べた。その結果、低プラントル数流に対しては伝播波解とその変調波解が安定に存在しうる領域のあることが明らかになった。なお、臨界モードが別個に存在する場合の相互作用を評価し、高波数域以外では1:3共鳴の結果得られた解は臨界モードに対し不安定であることが結論された。
藤村 薫
Philos. Trans. R. Soc. Lond., Ser. A, 340, p.95 - 130, 1992/00
2枚の異なる温度を有する鉛直平板間に満たされた流体層には温度差が十分小さくても自然対流が生じる。温度差を大きくしていくと、自然対流にロール対流又は波動が重畳されてくる。本研究では適当な波数とグラスホフ数を選んだ場合、ロール対流同士の非線形高調波共鳴、ロールと波動間の共鳴、ロール同士と波動間の共鳴という異なる3種の共鳴が生じることを指摘し、各々の場合について各モードの振幅を記述する方程式を導き、振幅方程式の解の分岐特性を調べた。
水島 二郎*; 藤村 薫
European Journal of Mechanics B, Fluids, 10(2(SUPPL.)), 331 Pages, 1991/00
固体-固体境界条件下におけるBenard対流に生じる2次元ロール解の平衡状態を調べた。波数比1:3の高調波共鳴が生じることを指摘した。その際、可能な分岐解として高プラントル数ではpureモードとmixedモードが存在し、低プラントル数では伝播波モード、安定な変調伝播波モード、pureモード、及びmixedモードが存在することが明らかになった。
藤村 薫; 水島 二郎*
European Journal of Mechanics B, Fluids, 10(2(SUPPL.)), p.25 - 30, 1991/00
異なる一様温度を有する鉛直平板間に満たされた自然対流の非線形安定性を弱非線形漸近理論に基づいて調べた。撹乱振幅の時間発展を記述する方程式として、プラントル数PがPPc(Pc=12.45425644)のときLandau方程式が、PPcのとき2-連立Landau方程式が、P=Pcのとき3-連立Landau方程式が導かれた。方程式に含まれる係数を数値的に決定し、振幅方程式の平衡解をいくつかのカテゴリーに分類し、平衡解の線形安定性を議論した。
藤村 薫
Proc. R. Soc. Lond., Ser. A, 434, p.719 - 733, 1991/00
流体運動に代表される多自由度非線形力学系の解の分岐現象の解析に多く用いられる中心多様体定理の方法と、弱非線形漸近理論、とくに多重尺度法の間の関係を調べた。7次まで形成的展開を行いLandau方程式をこれら両理論に基づいて求めた結果、両者の間に完全に等価性が成り立つことが結論された。
藤村 薫
Phys. Fluids A, 2(7), p.1182 - 1190, 1990/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.05(Mechanics)円管内面に沿って回転する液膜流の安全性を線形理論を用いて調べた。ただし、円管は静止しているものとし、円管内での回転は仮想的な円周方向の外力によって維持されると仮定している。この流れの不安定モードとしては、傾斜平板上を流れ落ちる液膜流に固有の液膜モードと、遠心力不安定モードが得られる。これに対し、管軸方向に新たな外力を付加することにより、軸方向のせん断流が、遠心力不安定モードを安定化することが示された。
椎名 保顕; 秋野 詔夫; 功刀 資彰; 藤村 薫
可視化情報, 10(37), p.41 - 46, 1990/04
底面を加熱した半球内自然対流の流れ場及び温度場を感温液晶を用いて可視化した。実験には水、グリセリン水溶液、及びシリコンオイルを用いた。実験のレイリー数Ra及びプラントル数Prの範囲は110Ra1.410、6Pr10000である。実験の結果、流れは3つのパターンに分類できることが示された。Ra≦1.910の場合には定常な循環流が形成される。210Ra10では高温プリュームが周期的に上昇する流れが形成される。Ra10では、プリュームの発生は不規則となりやがて乱流に遷移する。
藤村 薫
JAERI-M 90-057, 28 Pages, 1990/03
流れの線形安定性の研究にとって最も重要な情報である臨界条件を数値的に高精度に決定するスキームを提案した。応用例として、非一様温度を有する二鉛直平板間に生じる自然対流と、平面ポワズイユ流に対し、この手法を適用した数値計算を行い、非常に高精度に臨界条件を決定できることを示した。
椎名 保顕; 藤村 薫
日本機械学会論文集,B, 55(518), p.3129 - 3135, 1989/10
高温ガス炉の強制冷却そう失事故時の圧力容器上部の伝熱流動特性を調べるために、圧力容器上部を半球容器で模擬して自然対流実験を行った。実験の結果、熱伝達特性、流動特性等から半球容器内流れはレイリー数が10を越えると乱流特性を明瞭に示すことが明らかとなった。