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中瀬 吉昭; 栗山 将; 西島 啓喜*; 小田島 晟*
Japanese Journal of Applied Physics, 16(8), p.1417 - 1421, 1977/08
被引用回数:2放射線固相重合ポリトリオキサンは熱的に不安定なポリマーである。このポリマーの融解挙動の検討をするための基礎として熱重量変化-示差走査熱量同時測定を行った。試料系の熱伝導が良好であると、ポリマーの熱分解は融解の後で起こるから、融解挙動に対して補正の必要はない。熱重量変化の測定結果と示差走査熱量測定の結果とを比較するためには、試料系のふたからの熱伝達が、重要であり、ふたを通して分解生成ガスが拡散すればよく、銀製の鋼ぶたなどの使用は非常に有効である。
中瀬 吉昭; 栗山 将; 西島 啓喜*; 小田島 晟*
J.Mater.Sci., 12(7), p.1443 - 1450, 1977/07
被引用回数:4放射線固相重合ポリトリオキサンの融解挙動におよぼす線照射効果(1MR以下)を検討した。 1MR以下の線量ではX線散乱挙動(広角、小角)にほとんど変化がない。 重合したまま(as-polymerized)の試料の加熱曲線は、高収率の場合、2重ピークである。高温側ピークは低加熱速度(8C/min以下)に消失する。また、25KR、あるいは練ロールで粉末にした場合には、8C/min以上の加熱速度でも、2重ピークのままである。 高温側ピークはエントロピー抑制による過熱現象によると考えられ、照射、錬ロール処理はこのような分子鎖の切断を起すと考えられる。
西島 啓喜*; 小田島 晟*; 中瀬 吉昭; 栗山 将
Reports on Progress in Polymer Physics in Japan, 20, p.533 - 534, 1977/00
放射線固相重合ポリトリオキサンを一定速度で過熱すると二段階で分解する。第一段は約200Cで始まり、第二段は約300Cから始まるが、照射により(0.1MR以上)第一段で分解する量は、線量の増加とともに減少し、第二段の分解終了点も高温側に移行する。これは、放射線分解により、ポリマー分子末端に熱安定性のよいメトキシ基、あるいは、ホルミル基が生成するためである。これらの末端基については赤外吸収で同定した。
西島 啓喜*; 小田島 晟*; 中瀬 吉昭; 栗山 将
Reports on Progress in Polymer Physics in Japan, 20, p.241 - 242, 1977/00
放射線固相重合ポリトリオキサンが高収率で得られた場合、その試料は温熱性を有する。この温熱性は、低線量の照射、ロールミルによる粉砕、あるいは低加熱速度で測定した場合、などで消失する。そこで、温熱性の現われる機構について、重合条件を考慮して検討した。重合温度が融点(62C)に近く(例えば55C)、かつポリマー収率の高いとき(20%以上)に見出されるものであることがわかった。これは重合後期(収率大)で生成するポリマー結晶の性質の一つと考えられる。一方、温熱性のない結晶も生成し、2種の結晶が共存している。この2種の結晶に対する照射効果は低線量(1MR以下)では異なるが、大線量では大差はなくなる。
西島 啓喜*; 小田島 晟*; 中瀬 吉昭; 栗山 将
Reports on Progress in Polymer Physics in Japan, 19, p.473 - 474, 1976/00
放射線固相重合ポリトリオキサンの照射効果を融解挙動、電顕観察から検討した。小線量でも主鎖切断がすでに起ることを?で示したが、大線量になるとその切断がさらに激しくなり、融解挙動から50MRまでの照射では、融点の低下があるが、ほぼそろったサイズ(同一融点)の結晶になり、それ以上の線量ではかなり欠陥等の多い結晶になることが推定できる。電顕写真も未照射試料ではフィブリルの束を示すが、100MR照射物では、フィブリルの繊維軸にそって約1000の周期で亀裂が入っている。 (?)報と考え合わせると、PTOXのフィブリルは一様に見えるが、その繊維軸にそって主鎖の切断が選択的に起り得る領域が存在すると考えられ、その領域は約1000周期で現れる。
西島 啓喜*; 小田島 晟*; 中瀬 吉昭; 栗山 将
Reports on Progress in Polymer Physics in Japan, 19, p.471 - 472, 1976/00
放射線固相重合ポリトリオキサン(PTOX)は高収率の場合に、二重吸熱ピークを与える。この二重ピークの加熱曲線を示すPTOXに小線量の照射をすると、高温側ピークは消失する。また、熱重量変化曲線でも、未照射試料では2段階の分解で、第1段の分解量が多かったが、照射することにより、第1段の分解量が減少するような変化が認められた。小線量の照射であっても主鎖の切断を起すと考えられる。