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論文

Design and actual performance of J-PARC 3 GeV rapid cycling synchrotron for high-intensity operation

山本 風海; 金正 倫計; 林 直樹; Saha, P. K.; 田村 文彦; 山本 昌亘; 谷 教夫; 高柳 智弘; 神谷 潤一郎; 菖蒲田 義博; et al.

Journal of Nuclear Science and Technology, 59(9), p.1174 - 1205, 2022/09

 被引用回数:6 パーセンタイル:84.97(Nuclear Science & Technology)

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、最大1MWの大強度ビームを25Hzという早い繰り返しで中性子実験及び下流の主リングシンクロトロンに供給することを目的に設計された。2007年の加速器調整運転開始以降、RCSではビーム試験を通じて加速器の設計性能が満たされているかの確認を進め、必要に応じてより安定に運転するための改善を行ってきた。その結果として、近年RCSは1MWのビーム出力で連続運転を行うことが可能となり、共用運転に向けた最後の課題の抽出と対策の検討が進められている。本論文ではRCSの設計方針と実際の性能、および改善点について議論する。

報告書

3GeVシンクロトロンビーム入射部における放射線遮蔽体の検討及び設置作業報告

仲野谷 孝充; 神谷 潤一郎; 吉本 政弘; 高柳 智弘; 谷 教夫; 古徳 博文*; 堀野 光喜*; 柳橋 享*; 竹田 修*; 山本 風海

JAEA-Technology 2021-019, 105 Pages, 2021/11

JAEA-Technology-2021-019.pdf:10.25MB

J-PARC 3GeVシンクロトロン加速器ではビーム出力の増強に伴い、ビーム入射部付近では放射化による機器の表面線量と空間線量率が年々増加している。一方でビーム入射部には人の手によるメンテナンスが欠かせない機器が多数存在しており、作業者の被ばく低減が重要な課題であった。そのため、本加速器施設を管理するJ-PARCセンター加速器ディビジョン加速器第二セクションにおいて、作業者の被ばく低減のための遮蔽体設置を目的としたワーキンググループ「入射部タスクフォース」を設立し、遮蔽体の構造や設置方法等について検討を重ねてきた。結果、ビーム入射部の構造を一部更新し、必要な際に容易に取付けが可能な非常設型の遮蔽体を設置することとした。そして、2020年夏期メンテナンス期間に遮蔽体の設置に必要な更新作業を実施し、遮蔽体の設置を行った。更新作業は高線量下で長期間に渡るため、作業員の被ばく量を抑えることが重要な課題であった。このため、事前に入念に作業計画と作業手順を作成し、作業期間中も様々な被ばく低減対策と個々の被ばく管理を行った。これにより、作業者の被ばく線量を管理目標値以下に抑えることができた。本作業の実施により、ビーム入射部に取付け取外し可能な遮蔽体を設置できるようになった。この遮蔽体により入射部近傍での作業時の被ばく線量の低減に寄与できることが確認できた。夏期メンテナンス期間中のほぼすべてで入射部を占有する大規模な作業となったが、今後の保守作業における被ばく抑制のためには非常に有意義な作業であったと考えられる。

論文

3GeVシンクロトロンビーム入射部への遮蔽体設置作業

仲野谷 孝充; 神谷 潤一郎; 吉本 政弘; 高柳 智弘; 谷 教夫; 古徳 博文*; 堀野 光喜*; 柳橋 享*; 竹田 修*; 山本 風海

Proceedings of 18th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.238 - 242, 2021/10

J-PARC 3GeVシンクロトロン加速器ではビーム出力の増強に伴い、ビーム入射部付近では放射化による機器の表面線量と空間線量率が年々増加している。一方でビーム入射部には人の手によるメンテナンスが欠かせない機器が多数存在しており、作業者の被ばく低減が重要な課題であった。特に今後、本加速器の設計値である1MWで定常的な運転をしていくとさらなる機器の放射化が予想されるため、作業者の被ばくを低減するには遮蔽体の設置が必須である。遮蔽体の形状、設置方法等について検討を重ねた結果、ビームライン架台に対して取り外し可能な遮蔽体を設置することとした。そして、2020年夏季メンテナンス期間に遮蔽体の設置作業を実施した。遮蔽体の設置作業は高線量下で行われるため、作業員の被ばく量を抑えることが重要な課題であった。被ばく低減を図るため、入念に作業計画と作業手順を作成し、また、作業期間中も様々な被ばく低減対策と個々の被ばく管理を行った。これにより、作業者の最大の被ばく線量を管理目標値以下に抑えて作業を完遂することができた。遮蔽体設置後に遮蔽効果を検証した結果、この遮蔽体によって入射部近傍での被ばく線量が大幅に低減することが確認できた。本発表では設置した遮蔽体の概要、設置作業に係る作業管理・放射線管理及び遮蔽効果について報告する。

論文

Simulation, measurement, and mitigation of beam instability caused by the kicker impedance in the 3-GeV rapid cycling synchrotron at the Japan Proton Accelerator Research Complex

Saha, P. K.; 菖蒲田 義博; 發知 英明; 原田 寛之; 林 直樹; 金正 倫計; 田村 文彦; 谷 教夫; 山本 昌亘; 渡辺 泰広; et al.

Physical Review Accelerators and Beams (Internet), 21(2), p.024203_1 - 024203_20, 2018/02

AA2017-0659.pdf:3.34MB

 被引用回数:10 パーセンタイル:65.56(Physics, Nuclear)

The transverse impedance of the extraction kicker magnets in the 3-GeV RCS of J-PARC is a strong beam instability source and it is one of the significant issue to realize 1 MW beam power as practical measures are yet to be implemented to reduce the impedance. In the present research realistic simulation by updating the simulation code to cope with all time dependent machine parameters were performed in order to study the detail of beam instability nature and to determine realistic parameters for beam instability mitigation. The simulation results were well reproduced by the measurements, and as a consequence an acceleration to 1 MW beam power has also been successfully demonstrated. To further increase of the RCS beam power up to 1.5 MW, beam instability issues and corresponding measures have also been studied.

論文

J-PARC RCSにおけるビームコミッショニングの進捗報告; 大強度・低エミッタンスビームの実現へ向けた取り組み

發知 英明; 原田 寛之; 加藤 新一; 岡部 晃大; Saha, P. K.; 菖蒲田 義博; 田村 文彦; 谷 教夫; 渡辺 泰広; 吉本 政弘

Proceedings of 14th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.95 - 99, 2017/12

この一年、J-PARC RCSでは、大強度かつ低エミッタンスのビームを実現するためのビーム調整を精力的に展開してきた。RCSの動作点は、2Qx-2Qy=0共鳴の近傍に設定されている。この共鳴はエミッタンス交換を引き起こすため、ビームの電荷密度分布を大きく変調してしまう。RCSでは、ペイント入射と呼ばれる手法でビーム粒子の分布をコントロールして入射中のエミッタンス増大の抑制を図っているが、エミッタンス交換の影響を考慮してその手法を最適化した結果、電荷密度分布の一様化に成功し、入射中のエミッタンス増大を最小化することができた。本発表では、ペイント入射中の特徴的なビーム粒子の挙動やエミッタンス増大の発生機構を議論すると共に、エミッタンス低減のために行った一連の取り組みを紹介する。

論文

Achievement of a low-loss 1-MW beam operation in the 3-GeV rapid cycling synchrotron of the Japan Proton Accelerator Research Complex

發知 英明; 原田 寛之; 林 直樹; 加藤 新一; 金正 倫計; 岡部 晃大; Saha, P. K.; 菖蒲田 義博; 田村 文彦; 谷 教夫; et al.

Physical Review Accelerators and Beams (Internet), 20(6), p.060402_1 - 060402_25, 2017/06

AA2017-0154.pdf:4.88MB

 被引用回数:25 パーセンタイル:88.02(Physics, Nuclear)

RCSは、1MWのビーム出力を目指す世界最高クラスの大強度陽子加速器である。こうした加速器では、ビーム損失により生じる機器の放射化がビーム出力を制限する最大の要因となる。ビーム損失の原因(誤差磁場、空間電荷効果、像電荷効果等)は多様で、複数の効果が絡み合った複雑な機構でビーム損失が生じるため、その解決を果たすには、高度なビームの運動学的研究が必要となる。RCSでは、実際のビーム試験と共に、計算機上での数値シミュレーションを精力的に行ってきた。実験と計算の一致は良好で、観測されたビーム損失の発生機構の解明、また、その解決策を議論するうえで、数値シミュレーションが重大な役割を果たしている。ハードウェア系の改良と共に、こうしたビーム試験と数値シミュレーションを反復的に行うアプローチにより、RCSでは、10$$^{-3}$$という極めて少ないビーム損失で1MW相当のビーム加速を達成したところである。本論文では、RCSのビーム増強過程で顕在化したビーム損失の発生機構やその低減に向けた取り組みなど、大強度加速器におけるビーム物理に関する話題を中心に、RCSビームコミッショニングにおけるここ数年の成果を時系列的に紹介する。

論文

Realizing a high-intensity low-emittance beam in the J-PARC 3-GeV RCS

發知 英明; 原田 寛之; 加藤 新一; 岡部 晃大; Saha, P. K.; 菖蒲田 義博; 田村 文彦; 谷 教夫; 渡辺 泰広; 吉本 政弘

Proceedings of 8th International Particle Accelerator Conference (IPAC '17) (Internet), p.2470 - 2473, 2017/06

この一年、J-PARC RCSでは、下流の施設から要求される大強度かつ低エミッタンスのビームを実現するためのビーム調整を精力的に展開してきた。2016年6月のビーム試験では、Correlated painting入射を導入し、かつ、そのペイント範囲を最適化することで、入射中のエミッタンス増大を最小化することに成功した。また、その後に行ったビーム試験では、加速過程のチューンやクロマティシティを動的に制御することで、加速前半で発生していたエミッタンス増大を低減させると共に、加速後半で発生したビーム不安定性を抑制することに成功した。こうした一連の取り組みにより、830kW相当のビーム強度で、そのビームエミッタンスの大幅な低減(40%低減)を実現した。本発表では、エミッタンス増大の発生メカニズムやその低減に向けた取り組みなど、RCSビームコミッショニングにおける最近の成果を報告する。

論文

Coupled bunch instability and its cure at J-PARC RCS

菖蒲田 義博; Saha, P. K.; 發知 英明; 原田 寛之; 高柳 智弘; 田村 文彦; 谷 教夫; 富樫 智人; 外山 毅*; 渡辺 泰広; et al.

Proceedings of 8th International Particle Accelerator Conference (IPAC '17) (Internet), p.2946 - 2949, 2017/05

J-PARC RCSのような1MWの大強度のビームの生成を目指す加速器では、加速器の構成要素とビームは、電磁気的に相互作用(ビームの結合インピーダンス)をして、ビームが不安定になる。RCSでは、それがキッカーとの相互作用(キッカーインピーダンス)で起こることが明らかにされており、ビームを不安定にすることなく大強度のビームを達成する手法について研究がなされてきた。著者らは、最近、ビームのもつ空間電荷効果にはビームを安定化させる働きがあることを発見し、MLF行き用の横方向に大きい200$$pi$$mm.mradのエミッタンス のビームに対しては、1MWのビームを達成する手法を確立した。ところが、MR行き用の50$$pi$$mm.mradのエミッタンスの細いビームに関しては、この手法では、ビームを大強度化する上で限界がある。このレポートでは、このようなビームに対して、どのようにして大強度ビームを達成するか、その対策を議論する。また、現在のキッカーインピーダンス低減化対策の現状も報告する。

論文

Theoretical elucidation of space charge effects on the coupled-bunch instability at the 3 GeV Rapid Cycling Synchrotron at the Japan Proton Accelerator Research Complex

菖蒲田 義博; Chin, Y. H.*; Saha, P. K.; 發知 英明; 原田 寛之; 入江 吉郎*; 田村 文彦; 谷 教夫; 外山 毅*; 渡辺 泰広; et al.

Progress of Theoretical and Experimental Physics (Internet), 2017(1), p.013G01_1 - 013G01_39, 2017/01

AA2016-0375.pdf:3.07MB

 被引用回数:14 パーセンタイル:68.14(Physics, Multidisciplinary)

大強度のビームを加速すると、一般にビームは不安定になることが知られている。それは、周回中のビームと加速器の機器には電磁相互作用(ビームのインピーダンス)があるからである。ビームを不安定にならないようにするためには、ビームのインピーダンスが閾値を超えなければ良いことが分かっていて、それは、インピーダンスバジェットと呼ばれている。J-PARC 3GeVシンクロトロンは、キッカーというビームを蹴り出す装置がインピーダンスバジェットを破っていることが、建設初期の段階から明らかにされており、1MWビームの達成を阻害することが懸念されてきた。今回、ビームの構成粒子自身の電荷に由来する電磁相互作用(空間電荷効果)には、ビームを安定化させる効果があることを理論的に明らかにした。また、ビームのパラメータや加速器のパラメータを適切に選べば、J-PARC 3GeVシンクロトロンのような低エネルギーのマシーンでは、従来のインピーダンスバジェットを破ることは、1MWビームを達成する上で致命傷にはならないことを実験的にも実証した。

論文

J-PARC 3GeV陽子シンクロトロンにおける1MW運転時のビーム損失とその低減

發知 英明; 原田 寛之; 加藤 新一; 金正 倫計; 岡部 晃大; Saha, P. K.; 菖蒲田 義博; 田村 文彦; 谷 教夫; 渡辺 泰広; et al.

Proceedings of 13th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.61 - 65, 2016/11

J-PARC 3-GeV RCSでは、2015年の夏季作業期間にRF電源の増強を行い、その直後の10月より1MWのビーム調整を再開した。10月のビーム試験では、RFフィードフォワード調整やペイント入射の導入により、縦方向のビーム損失や空間電荷由来の横方向のビーム損失を最小化させると共に、色収差や加速過程のチューンをコントロールすることでビームの不安定化を抑制することに成功した。また、その後のビーム試験では、新規導入した補正四極電磁石と共にAnti-correlatedペイント入射を併用することでペイント入射範囲の拡幅を実現し、その結果、入射中の荷電変換フォイル上での散乱現象に起因したビーム損失を大幅低減させることに成功した。2015年10月以降に行った一連のビーム調整により、1MW運転時のビーム損失は、十分に許容範囲内といえるレベルにまで低減された。本発表では、ビーム増強過程で実際に我々が直面したビーム損失の発生機構やその低減に向けた取り組みなどを中心に、RCSビームコミッショニングの進捗状況を報告する。

論文

J-PARC RCSエネルギー増強のための主電磁石の検討

谷 教夫; 渡辺 泰広; 發知 英明; 原田 寛之; 山本 昌亘; 金正 倫計; 五十嵐 進*; 佐藤 洋一*; 白形 政司*; 小関 忠*

Proceedings of 13th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.708 - 711, 2016/11

J-PARC加速器の大強度化を進めるために、3GeV RCSの加速エネルギーを現在の3GeVから3.4GeVに増強する案が検討されている。そのため、3.4GeVを目指したRCS電磁石の検討が行われた。空間電荷効果の影響でRCSからの3GeV 1MWビームでは、MRの入射部でのビームロスが5%と大きい。入射ビームを3.4GeVにすると、ビームロスが1%程度となり、MRで1MWビームの受け入れが可能となる。四極電磁石の検討では、磁場測定データを基に評価が行われた。四極電磁石は、3.4GeVでも電源の最大定格値を超えないことから、電磁石・電源共に対応可能であることがわかった。しかし、偏向電磁石は、3次元磁場解析データから、3.4GeVでは飽和特性が5%以上悪くなった。電源についても、直流及び交流電源の最大定格が現電源と比べて15%及び6.2%超えており、現システムでは難しいことがわかった。このため、偏向電磁石については、既存の建屋に収まることを前提として、電磁石の再設計を行った。その結果、電源は直流電源の改造と交流電源の交換で実現可能となることがわかった。本論文では、RCS電磁石の出射エネルギー増強における検討内容及びその結果見えてきた課題について報告する。

論文

The Path to 1 MW; Beam loss control in the J-PARC 3-GeV RCS

發知 英明; 原田 寛之; 加藤 新一; 金正 倫計; 岡部 晃大; Saha, P. K.; 菖蒲田 義博; 田村 文彦; 谷 教夫; 渡辺 泰広; et al.

Proceedings of 57th ICFA Advanced Beam Dynamics Workshop on High-Intensity and High-Brightness Hadron Beams (HB 2016) (Internet), p.480 - 485, 2016/08

J-PARC 3-GeV RCSは、2015年1月に1MW相当のビーム加速を達成したところであり、それ以来、ビーム損失の低減を目指した大強度ビーム試験を精力的に展開している。2015年10月のビーム試験では、ペイント入射の最適化により空間電荷由来のビーム損失を最小化させると共に、色収差や加速過程のチューンを制御することでビームの不安定化を抑制することに成功した。また、その後に実施したビーム試験では、新規導入した補正四極電磁石と共に、Anti-correlatedペイント入射を併用することでペイント範囲を2倍に拡幅することに成功し、その結果、入射中の荷電変換フォイル上での散乱現象に起因したビーム損失を大幅低減させることができた。こうした一連のビーム調整により、1MW運転時のビーム損失は、十分に許容範囲内と言えるレベルにまで大幅低減された。本発表では、ビーム増強過程で顕在化したビーム損失の発生機構やその低減に向けた取り組みなど、大強度加速器におけるビーム物理についての話題を中心に、RCSビームコミッショニングの進捗状況を報告する。

論文

Recent progress of 1-MW beam tuning in the J-PARC 3-GeV RCS

發知 英明; 原田 寛之; 加藤 新一; 金正 倫計; 岡部 晃大; Saha, P. K.; 菖蒲田 義博; 田村 文彦; 谷 教夫; 渡辺 泰広; et al.

Proceedings of 7th International Particle Accelerator Conference (IPAC '16) (Internet), p.592 - 594, 2016/06

RCSは、2015年1月に1MW相当のビーム加速を達成したところである。RCSのような大強度陽子加速器では、ビーム損失により生じる機器の放射化が出力強度を制限する最大の要因となるため、ビーム損失の低減が1MWという設計出力での連続運転を実現するための重要な研究課題となる。2015年10月のビーム試験では、ペイント入射の最適化により、空間電荷由来のビーム損失をほぼ最小化することに成功した。また、その後に実施したビーム試験では、新規導入した補正四極電磁石と共に、Anti-correlatedペイント入射を採用することでペイント範囲の拡幅に成功し、その結果、入射中の荷電変換フォイル上での散乱現象に起因したビーム損失を大幅低減させることができた。こうした一連のビーム調整により、1MW運転時のビーム損失を十分に許容範囲内と言えるレベルにまで抑え込むことに成功した。本発表では、ビーム増強過程で顕在化したビーム損失の発生メカニズムやその低減に向けた取り組みなど、RCSビームコミッショニングにおける最近の成果を報告する。

論文

Simulation studies and measurements of beam instabilities caused by the kicker impedance at high intensities in the 3-GeV RCS of J-PARC

Saha, P. K.; 菖蒲田 義博; 發知 英明; 原田 寛之; 林 直樹; 金正 倫計; 野村 昌弘; 田村 文彦; 谷 教夫; 渡辺 泰広; et al.

Proceedings of 7th International Particle Accelerator Conference (IPAC '16) (Internet), p.589 - 591, 2016/06

The kicker impedance in the 3-GeV RCS is a strong beam instability source, especially at high intensity, where no practical measures to reduce the impedance itself has not yet been implemented. In the present research realistic beam simulations and measurement studies are performed in order to study such beam instability and its mitigation to realize the designed 1 MW beam power. Based on systematic intensity dependence beam instability studies, realistic parameters are determined for a complete suppression of the beam instability at 1 MW. The simulation results are well reproduced in the measurements and 1 MW beam acceleration has also been successfully accomplished.

論文

Beam loss caused by edge focusing of injection bump magnets and its mitigation in the 3-GeV rapid cycling synchrotron of the Japan Proton Accelerator Research Complex

發知 英明; 谷 教夫; 渡辺 泰広; 原田 寛之; 加藤 新一; 岡部 晃大; Saha, P. K.; 田村 文彦; 吉本 政弘

Physical Review Accelerators and Beams (Internet), 19(1), p.010401_1 - 010401_11, 2016/01

AA2015-0742.pdf:2.84MB

 被引用回数:11 パーセンタイル:63.13(Physics, Nuclear)

J-PARC 3-GeV RCSでは、入射ビームを位相空間上の広い範囲に一様に分布させてビームの空間電荷密度を緩和させるペイント入射と呼ばれる入射方式を採用している。このペイント入射は、空間電荷由来のビーム損失を低減させるだけでなく、入射中のフォイル散乱由来のビーム損失を低減させる役割を担う。ペイント入射による十分なビーム損失低減を実現するには、ペイント範囲をより大きくとることが必要になるが、ペイント範囲を拡幅した際に別種のビーム損失が付加的に発生してしまうという課題を残していた。本研究では、そのビーム損失が、入射バンプ電磁石のエッジ収束力によるベータ関数の周期性変調によって発生する共鳴現象に起因していることを明らかにすると共に、6台の補正四極電磁石を用いたベータ関数変調の補正手法を考案し、その有効性を実験的に立証することに成功した。本論文では、そのビーム試験結果を紹介すると共に、実験結果と数値シミュレーション結果の詳細比較から明らかになったビーム損失の発生・低減メカニズムを解説する。

論文

新しいJ-PARC RCS入射水平シフトバンプ電磁石用パルス電源の開発

高柳 智弘; 植野 智晶*; 堀野 光喜; 飛田 教光; 林 直樹; 金正 倫計; 入江 吉郎*; 岡部 晃大; 谷 教夫; 内藤 伸吾*; et al.

Proceedings of 12th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.1169 - 1174, 2015/09

J-PARC 3GeV RCSのビーム入射システムにおける水平シフトバンプ電磁石用の新しい電源を開発し製作した。新しい電源は、LINACの入射ビームエネルギーが181MeVから400MeVへとアップグレードをするのに合わせ、現在の2倍以上の電源容量が必要になる。さらに、電磁石のセラミックダクトを覆うRFシールドのループコイルのインダクタンスと励磁場の共振によるビームロスを防ぐために、電流リップルノイズの低減が要求される。そこで、新しい電源の主回路方式に、これまでのIGBTの半導体スイッチを利用したチョッパ方式から、コンデンサの充放電を利用した転流方式を新たに採用することにした。コンデンサ転流方式は、台形波形(バンプ波形)を出力する際に常時スイッチングを行うチョッパ方式と異なり、原理的にはバンプ波形の分岐点での3回のスイッチ操作で形成が可能である。出力試験の結果、スイッチングに起因するリプル電流の発生が大幅に低減されたことを確認した。さらに、バンプ電磁石に起因するビームロスが低減し、RCSの所期性能である1MW相当のビーム加速に成功した。本論文では、転流方式を採用した新シフトバンプ電源の特性について述べる。

論文

Numerical study for beam loss occurring for wide-ranging transverse injection painting and its mitigation scenario in the J-PARC 3-GeV RCS

發知 英明; 谷 教夫; 渡辺 泰広

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 778, p.102 - 114, 2015/04

 被引用回数:7 パーセンタイル:51.25(Instruments & Instrumentation)

J-PARC 3-GeV RCSでは、入射ビームを位相空間上の広い範囲に一様に分布させてビームの空間電荷密度を緩和させるペイント入射と呼ばれる入射方式を採用している。このペイント入射は、空間電荷由来のビーム損失を低減させるだけでなく、入射中のフォイル散乱由来のビーム損失を低減させる役割を担う。ペイント入射による十分なビーム損失低減を実現するには、ペイント範囲をより大きくとることが必要になるが、ペイント範囲を拡幅した際に別種のビーム損失が付加的に発生してしまうという課題を残している。本研究では、詳細な数値シミュレーションを行って、そのビーム損失が、入射バンプ電磁石のエッジ収束力によるベータ関数の周期性変調によって生じる共鳴現象に起因していることを明らかにするとともに、6台の四極電磁石を用いたベータ関数変調の補正手法を考案して、実際の機器設計を行った。本論文では、ペイント範囲を拡幅するために必要となる補正機器の導入を目指して行った一連の数値シミュレーションを紹介・解説する。

論文

Beam commissioning of two horizontal pulse steering magnets for changing injection painting area from MLF to MR in the 3-GeV RCS of J-PARC

Saha, P. K.; 原田 寛之; 林 直樹; 發知 英明; 金正 倫計; 高柳 智弘; 谷 教夫; 入江 吉郎*; 加藤 新一*

Proceedings of 4th International Particle Accelerator Conference (IPAC '13) (Internet), p.518 - 520, 2014/07

The two horizontal pulse steering magnets are successfully commissioned and also used for one cycle trial operation. They are found to be work as designed. A change of the painting are between MLF and MR would really be necessary at 1 MW operation. The design principles as well as performance of the system is thus already been confirmed in well advanced. In order to meet multi user requirements in simultaneous operation, this might be the first example to introduce such a principle in recent high intensity accelerators.

論文

Progress of injection energy upgrade project for J-PARC RCS

林 直樹; 原田 寛之; 堀野 光喜; 發知 英明; 神谷 潤一郎; 金正 倫計; Saha, P. K.; 菖蒲田 義博; 高柳 智弘; 谷 教夫; et al.

Proceedings of 4th International Particle Accelerator Conference (IPAC '13) (Internet), p.3833 - 3835, 2014/07

J-PARC RCSの入射エネルギーの増強(181から400MeV)は、2014年初めに予定されており、これに向けて、進んでいる機器増強の状況を報告する。具体的には、水平ペイントバンプ電磁石電源の更新、増強は、2012年までに完了しており、既に通常運転に用いている。MR/MLF行きのペイントエリアを切替えること、400MeVでも、ペインティングしない調整用のビームを作ること、この2つに必須の可変偏向電磁石システム、電磁石及び電源の据付も2012年に完了した。そして、400MeVを想定したビーム試験も実施し良好な結果を得た。残る大きな増強機器は、新しいシフトバンプ電磁石電源である。現行電源と比較しスイッチングノイズの低減は、期待できるが、新たに発生したリンギングの要因解析、対策を行い製作中である。これは、2013年の長期メインテナンス期間中に据付けられる。

論文

Field measurement of pulse steering magnet for J-PARC 3 GeV rapid cycling synchrotron

谷 教夫; 高柳 智弘; 植野 智晶; 原田 寛之; Saha, P. K.; 富樫 智人; 堀野 光喜; 林 直樹

IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 24(3), p.0504004_1 - 0504004_4, 2014/06

 被引用回数:5 パーセンタイル:31.61(Engineering, Electrical & Electronic)

パルス補正電磁石は、MLFとMRへの各加速サイクルでペイントエリアの入射点を変えることで必要なサイズのビームを供給し、さらに将来、400MeVでの入射ビームを同じ位相空間に入射して軌道確認できる機能を持つように開発された電磁石である。前者はペイント入射として台形波の電流パターンでパルス励磁され、後者がセンター入射として直流で励磁される。パルス補正電磁石の直流磁場の測定では、おもに電磁石の励磁特性と磁場の均一性について確認し、設計値を十分に満たしていることがわかった。また、リング軌道への影響を評価する漏れ磁場測定では、漏れ磁場によりCODが2.7mmと大きい。しかし、実際には隣接するリング軌道上の電磁石によるシールド効果により、その影響は低減されることがわかった。パルス磁場の測定では、測定波形に渦電流の影響が見られた。磁場の主成分と渦電流成分を分離する解析手法やビームへの影響を評価した。パルス補正電磁石は、すでにビームラインに据え付けられ、ビームの振り分け電磁石として入射部でのロスを低減し、機能的な運転を実現させている。本発表では、パルス補正電磁石で行われたこれらの磁場測定結果について報告する。

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