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谷川 隆亮*; 坂口 紀史*; 渡辺 精一*; 木下 博嗣*; 粉川 博之*; 川合 將義*; 山下 真一郎
no journal, ,
粒界制御処理(高密度の対応粒界の導入)により耐食性の向上を実現した粒界制御オーステナイト系ステンレス鋼の照射下適応性を検討するために、電子線照射並びにヘリウムイオン照射試験を行い、結晶粒界近傍における照射特性を調査した。照射前における粒界制御オーステナイト系ステンレス鋼の方位像顕微鏡(OIM:Orientation Image Microscopy)観察から、対応粒界密度が8割以上であること、及びランダム粒界ネットワークが対応粒界により効率よく分断化されていること、などを確認した。一方、電子線照射したSUS316L粒界制御材のランダム粒界と{111}3対応粒界,非対称3対応粒界の粒界近傍の濃度分布測定から、{111}3対応粒界では照射に伴う組成変動はわずかしか生じなかったのに対し、ランダム粒界,非対称3対応粒界では程度の違いはあるもののCr濃度の低下とNi偏析の傾向が認められた。ヘリウムイオン照射試験後に行った各種粒界の濃度分布測定からも、他の粒界に比較して{111}3対応粒界で偏析が十分に抑制されていることが明らかになった。
坂口 紀史*; 谷川 隆亮*; 遠藤 正樹*; 渡辺 精一*; 粉川 博之*; 川合 將義*; 山下 真一郎; 矢野 康英
no journal, ,
照射促進応力腐食割れの主原因の一つとして、照射誘起偏析による粒界でのCr濃度低下に起因した耐食性劣化が挙げられる。近年、オーステナイト系ステンレス鋼の鋭敏化対策の一つとして、高密度の対応粒界を有する粒界制御材が開発された。本研究では、粒界制御材の原子力プラントへの応用を見据え、耐IASCC特性の基礎的調査としてHeイオン照射後の粒界偏析挙動と腐食挙動の相関を検討した。供試材としてSUS 316L鋼及び高速炉用PNC316鋼に対して粒界制御処理を施した材料を用いた。これらに対し鋭敏化処理又はHeイオン照射を行い、内部組織と粒界近傍の濃度分布を評価した。さらに、電解エッチングにより粒界部の腐食挙動を調査した。Heイオン照射材に対し電解エッチングを行った結果、ランダム粒界では粒界腐食による膜厚減少が観察された。一方、双晶粒界では膜厚変化は生じなかった。さらに、双晶粒界を含む階段状の3対応粒界や粒界三重点近傍では、粒界腐食のネットワークが双晶粒界により分断化されることが示された。これら粒界偏析挙動の調査により、粒界腐食が生じたすべての粒界で照射誘起偏析によるCr枯渇が認められた。これより、低値対応粒界を高密度に含む粒界制御鋼は、照射下においても優れた耐粒界腐食特性を示すことが期待される。