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諸岡 聡; 大場 洋次郎*; 土山 聡宏*; 赤間 大地*; Gilbert, E. P.*
no journal, ,
本研究は、中性子小角散乱(SANS)法を用いて任意の圧下率を与えた圧延材に対して、第2相粒子の塑性変形挙動を定量的に理解することを目的とする。特に、冷間圧延加工による硬質分散VC粒子(母相より剛性が高い粒子)と軟質分散Cu粒子(母相より剛性が低い粒子)の形態、粒子径、数密度などの変化に着目して定量解析する。硬質粒子の場合、圧下率の増加に伴い、形態、粒子径、数密度の変化が非常に小さいことから、母相が大きく塑性変形しても粒子自体は塑性変形しにくいことが分かる。したがって、硬質粒子は変形能が小さいため、大きな加工硬化は得られるが、粒子割れやボイド形成の核となることから延性の低下を招く。一方で、軟質粒子の場合、圧下率の増加に伴い、形態、粒子径、数密度の変化が非常に大きいことから、母相の大きな塑性変形とともに粒子自体も塑性変形しやすいことが分かる。したがって、軟質粒子は変形能が大きいため、大きな加工硬化を得ることは困難であるが、粒子自体が塑性変形し、内部応力を緩和する作用があるため、延性を維持することができる。このように小角散乱測定は微細な析出物の塑性変形挙動を定量的に観測するツールとしても有効的である。