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武田 哲明*; 稲垣 嘉之; 相原 純; 青木 健; 藤原 佑輔; 深谷 裕司; 後藤 実; Ho, H. Q.; 飯垣 和彦; 今井 良行; et al.
High Temperature Gas-Cooled Reactors; JSME Series in Thermal and Nuclear Power Generation, Vol.5, 464 Pages, 2021/02
本書は、原子力機構における今までの高温ガス炉の研究開発の総括として、HTTRの設計、燃料、炉内構造物や中間熱交換器などの要素技術の開発、出力上昇試験、950Cの高温運転、安全性実証試験などの運転経験及び成果についてまとめたものである。また、HTTRでの知見をもとに、商用炉の設計、高性能燃料、ヘリウムガスタービン、ISプロセスによる水素製造などの要素技術開発の現状について記述しており、今後の高温ガス炉の開発に非常に有用である。本書は、日本機械学会の動力エネルギーシステム部門による化石燃料及び原子力によるエネルギーシステムの技術書のシリーズの一冊として刊行されるものである。
清水 厚志; 古澤 孝之; 本間 史隆; 猪井 宏幸; 梅田 政幸; 近藤 雅明; 磯崎 実; 藤本 望; 伊与久 達夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 51(11-12), p.1444 - 1451, 2014/11
被引用回数:1 パーセンタイル:8.95(Nuclear Science & Technology)HTTRでは、運転・保守経験において得られた情報を共有しそこから得られた知見や教訓を高温ガス炉の設計、建設、運転管理に反映させることで安全性や信頼性の向上に役立てることを目的として、運転・保守経験情報のデータベースシステムを構築している。本データベースには、これまで1997年から2012年の期間において1000件以上の不具合事象データが登録されている。本報では、データベースの登録情報に基づき、これまでのHTTRの不具合事象の発生状況について述べるとともに、次期高温ガス炉の設計、建設、運転管理への適用が期待できる重要な知見として、(1)ヘリウム圧縮機の性能低下、(2)反応度制御設備における後備停止系不具合、(3)非常用ガスタービン発電機の経験、(4)東日本大震災の経験、以上4件の経験を抽出し、改善策を提言する。
近藤 貴; 林 利光; 河野 康則; 草間 義紀; 杉江 達夫
Plasma and Fusion Research (Internet), 2, p.S1111_1 - S1111_4, 2007/11
国際熱核融合実験炉(ITER)等の燃焼プラズマにおける核融合生成粒子の診断は燃焼プラズマの実現にとって重要であるが、その効果的測定方法は確立されていない。そこで、炭酸ガス(CO)レーザー(波長10.6m)を用いた協同トムソン散乱(CTS)計測を開発している。CTS計測を実現させるために、高繰り返し横方向励起大気圧(TEA)炭酸ガスレーザーを開発した。CTS計測のために必要となる単一モード出力を得るために、不安定共振器を構成し、単一モードの種レーザーを入射した。現在までに15Hz周期で出力エネルギー17Jの単一モードレーザーを得た。これにより、ITERで必要となる出力20J,周期40Hzの炭酸ガスレーザーを実現できる見通しを得た。また、高繰返し周期に対応したデータ収集システムを開発した。これらを用いて、JT-60UトカマクにおいてCTS計測の原理実証実験を進めている。
近藤 貴; 河野 康則; 波多江 仰紀; 杉江 達夫; 林 利光; 草間 義紀
NIFS-PROC-68, p.126 - 129, 2007/09
燃焼プラズマの粒子計測を確立するために、協同トムソン散乱計測用の高パワー高繰返し周期の炭酸ガスレーザーを開発した。単一モードでパルスエネルギー17J,繰返し周期15Hzの出力を得ること成功した。この結果により、国際熱核融合実験炉(ITER)における粒子計測に必要とする20J,40Hzのレーザー出力を実現する見通しを得た。また、電気ノイズと迷光が受信システムの出力信号へ及ぼす影響を調べるために、JT-60U真空容器へレーザーを入射した。その結果、電気ノイズは以前に比べて大きく減少した。しかしながら、約30%のパルス出力には、多モード発振のために迷光が発生しており、さらなるレーザーの改善が必要であることが明らかになった。
Donn, A. J. H.*; Costley, A. E.*; Barnsley, R.*; Bindslev, H.*; Boivin, R.*; Conway, G.*; Fisher, R.*; Giannella, R.*; Hartfuss, H.*; von Hellermann, M. G.*; et al.
Nuclear Fusion, 47(6), p.S337 - S384, 2007/06
被引用回数:321 パーセンタイル:78.95(Physics, Fluids & Plasmas)「ITER物理基盤」は、その名の通りITERプラズマの物理基盤を与えるために編纂されたレビュー論文であり、Nuclear Fusion誌の特集号として1999年に発刊された。本「ITER物理基盤の進展」は、「ITER物理基盤」発刊以降に得られた研究開発成果を纏めたレビュー論文である。そのうち、第7章は、ITERにおけるプラズマ計測について包括的に取り扱うものである。主な項目は以下の通り。(1)ITERでの計測に対する要求性能,(2)ITERに適用する計測の原理と手法,(3)ITERでの計測の実現のために必要な技術開発項目,(4)ITERトカマク装置への計測機器の統合,(5)「ITER物理基盤」で提起された主要課題の進展状況,(6)ITERにおける計測性能の評価,(7)将来の核融合炉に向けてITERで学習すべき課題。
近藤 貴; 林 利光; 河野 康則; 草間 義紀; 杉江 達夫; 平田 真史*; 三浦 幸俊
Fusion Science and Technology, 51(2T), p.62 - 64, 2007/02
被引用回数:5 パーセンタイル:37.26(Nuclear Science & Technology)国際熱核融合実験炉(ITER)等の燃焼プラズマにおける核融合生成粒子の診断は、粒子のプラズマ加熱と不安定性の励起への寄与の理解に必要であり、燃焼プラズマの実現にとって重要である。しかしその有効な測定方法は確立されていない。そこで、二酸化炭素(CO)レーザー(波長10.6m)を用いた協同トムソン散乱(CTS)計測を開発している。COレーザーを用いたCTS計測は、レーザーのプラズマ中での屈折が小さく、プラズマ中のレーザー光の追跡が容易であるという特徴がある。CTS計測を実現させるために、高繰り返し横方向励起大気圧(TEA)炭酸ガスレーザーを開発した。CTS計測のために必要となる単一モード出力を得るために、不安定共振器を構成し、単一モードの種レーザーを入射した。これにより、10Hz周期で出力エネルギー10Jの単一モードレーザーを実現した。また、安定型共振器の構成では36Jの最大出力エネルギーが得られた。今後このレーザーを用いて、JT-60UトカマクにおいてCTS計測の原理実証試験を行う。また、CTS計測のタンデムミラー装置への応用について述べる。
近藤 貴; 林 利光; 河野 康則; 草間 義紀; 杉江 達夫
特定領域プラズマ燃焼のための先進計測News Letter, (5), P. 2, 2006/11
燃焼プラズマ中の閉じ込められたアルファ粒子の速度空間及び実空間での分布計測を目的として、協同トムソン散乱計測法を開発している。ITERのアルファ粒子計測のためには、出力20J、繰り返し周期40Hzの単一モード発振のパルス炭酸ガスレーザーの開発が鍵である。しかし、これまでに開発したレーザーは15J/0.5Hzと、要求される繰り返し周期に大きな開きがあった。そこで、国内メーカーのマーキング用炭酸ガスレーザー(出力3.5J、繰り返し周期20Hz、マルチモード発振)をもとにアルファ粒子計測用レーザーの開発を進めた。放電励起部を6連結し、さらに放電電圧を上げるなどで高出力化を行い、種レーザーを入射することで単一モード化を行った。現在までに、出力17J、繰返し周期15Hzの単一モードの炭酸ガスレーザー出力と、35Jの単一ショットの出力を達成した。これにより、アルファ粒子計測用炭酸ガスレーザーを実現する見通しを得ることができた。今後、レーザーの安定化と高出力化を行うとともに、JT-60Uプラズマを用いた原理実証実験を進めていく。
近藤 貴; 林 利光; 河野 康則; 草間 義紀; 杉江 達夫; 三浦 幸俊; 小関 良治*; 河原 吉博*
Review of Scientific Instruments, 77(10), p.10E505_1 - 10E505_3, 2006/10
被引用回数:6 パーセンタイル:34.05(Instruments & Instrumentation)燃焼プラズマ中に閉じ込められた粒子の診断法を確立するために、パルス炭酸ガスレーザーを用いた協同トムソン散乱(CTS)計測法を開発している。国際熱核融合実験炉(ITER)では、閉じ込められた粒子の速度分布と空間分布の測定として、空間分解能をプラズマ小半径の1/10で、時間分解能を0.1sで計測することが要求されている。ITERの時間分解能の必要条件を満たし、S/N比を改善するために工業用レーザー(澁谷工業Co., Ltd (SEL4000))をもとに、新しいレーザー・システム(エネルギー10J以上,繰り返し10Hz)を開発した。レーザーは4mの長さの不安定共振器と、高繰返し運転のためにガスの熱交換器を有する放電電極部を持つ。この新しいレーザー・システムを用いてJT-60Uプラズマにて、CTS計測の原理実証実験を行う。
近藤 貴; Costley, A. E.*; 杉江 達夫; 河野 康則; Malaquias, A.*; Walker, C. I.*
Review of Scientific Instruments, 75(10), p.3420 - 3422, 2004/10
被引用回数:23 パーセンタイル:72.27(Instruments & Instrumentation)ITERにおいて線平均電子密度測定のために、COレーザー干渉計/偏光計(波長=10.6m)の設計開発を進めている。従来の設計では、振動補正用レーザーとしてCOレーザー(=5.3m)を使用していたが、波長の短いCOレーザーでは、真空容器内に設置する逆反射鏡の反射率低下が予想される。そこで、JT-60Uで開発し、実験で定常的に使用して信頼性を得た2波長COレーザーシステム(=10.6m, 9.3m)をITERの干渉計/偏光計に採用した。この2波長COレーザーシステムをITERへ適用した設計を行い、ITERで要求される必要条件(精度1%,時間分解能1ms)を満たすことを示した。
西谷 健夫; Vayakis, G.*; 山内 通則*; 杉江 達夫; 近藤 貴; 四竈 樹男*; 石塚 悦男; 川島 寿人
Journal of Nuclear Materials, 329-333(Part2), p.1461 - 1465, 2004/08
被引用回数:16 パーセンタイル:70.17(Materials Science, Multidisciplinary)ITERではプラズマ位置制御用磁気センサーとして無機絶縁(MI)ケーブルを用いた磁気コイルを用いるが、これまでの照射試験においてMIケーブルの中心導体と外皮導体間に数Vの起電力(RIEMF)が発生することが観測されており、磁気計測に与える影響が懸念されていた。そこで磁気コイルをJMTRで照射し、照射中に磁気コイルの中心導体両端に発生する起電力を高感度電圧計で測定した。これまで懸念されていたRIEMFによる中心導体両端間の起電力は十分小さいことを確認したが、中性子フルエンスの増加とおもに熱起電力が発生する現象を観測した。この結果をITERの使用条件に外挿すると、1000秒以上の長時間運転では問題となる可能性があることを指摘した。
近藤 貴; Richards, R. K.*; Hutchinson, D. P.*; 杉江 達夫; Costley, A. E.*; 三浦 幸俊; Lee, S.*
Proceedings of 30th EPS Conference on Controlled Fusion and Plasma Physics (CD-ROM), 4 Pages, 2003/07
燃焼プラズマでの支配的な熱源である粒子の挙動を理解するために、粒子の密度とエネルギースペクトルの空間の分布を測ることが必要とされている。そこで、ITERの粒子測定のために、パルス炭酸ガスレーザーを用いた協同トムソン散乱(CTS)システムを開発している。ITERでは加熱ビームイオン(E=1MeV)は、接線方向に入射され、粒子で類似した速さを持つ。しかし、CTS測定は一般的に、同じ速さを持つビームイオンと粒子を識別することができない。この問題を解決するため、ビームイオンと粒子を区別できる垂直散乱配置を提案した。この配置のCTSが、ビームイオンによってマスクされることなく粒子を分析できることを計算により示した。また、垂直散乱配置によるビーム線とレシーバー・システムの予備的な設計を示す。さらに、JT-60Uプラズマを使ったCTSシステムの原理実証実験について示す。
近藤 貴; 河野 康則; Costley, A. E.*; Malaquias, A.*; 杉江 達夫; Walker, C.*
Proceedings of 30th EPS Conference on Controlled Fusion and Plasma Physics (CD-ROM), 4 Pages, 2003/07
ITERの電子密度測定に用いられる、炭酸ガスレーザー干渉計/偏光計システムの設計の現状について報告する。干渉計/偏光計システムは長時間のプラズマ放電の密度の実時間制御の参照信号に用いられるので、高い信頼性が要求される。従来の設計では、レーザーの光源として炭酸レーザー(波長10.6m)と一酸化炭素ガスレーザー(波長5.3m)の組合せを用いていた。しかし、波長の短い一酸化炭素ガスレーザーは、真空容器内に設置する逆反射鏡の反射率の低下が懸念される。反射率低下を抑えて信頼性を向上させるため、JT-60Uで開発した2波長炭酸ガスレーザー(波長9.3m,10.6m) を用いた干渉計/偏光計のITERへの導入を検討した。2波長炭酸ガスレーザーは、反射率の低下の観点からは有利であるが、波長が近接しているために従来設計の干渉計/偏光計より密度分解能が劣る。そこで、ITERでは同位体炭酸ガスを用いた2波長炭酸ガスレーザー(波長9.0m,12.1m)を使用することを提案した。この同位体レーザーの使用により、JT-60Uの干渉計/偏光計より密度分解能が約2倍向上することを示した。また、逆反射鏡の真空容器内部への設置方法、並びにレーザー光路の実時間制御の技術的課題について解決策を示し、本計測システムの信頼性を向上させた。
杉江 達夫; 波多江 仰紀; 小出 芳彦; 藤田 隆明; 草間 義紀; 西谷 健夫; 諫山 明彦; 佐藤 正泰; 篠原 孝司; 朝倉 伸幸; et al.
Fusion Science and Technology (JT-60 Special Issue), 42(2-3), p.482 - 511, 2002/09
被引用回数:6 パーセンタイル:3.03(Nuclear Science & Technology)JT-60Uの計測診断システムは、約50の計測装置から構成されている。近年、プラズマパラメータの半径方向の分布計測が精度よく行なわれるようになった結果、プラズマの内部構造が明らかになった。また、ミリ波反射計/電子サイクロトロン放射計測により、電子密度/電子温度揺動の測定が行なわれ、プラズマ閉じ込めに関する理解が進展した。さらに、電子温度,中性子発生率,放射パワー,電子温度勾配等の実時間制御実験が、関係する計測装置のデータを利用して行なわれた。これらの計測,及び実時間制御を駆使することにより、高性能プラズマを実現することができた。次期核融合実験炉用計測装置としては、炭酸ガスレーザ干渉計/偏光計,及び協同トムソン散乱計測装置を開発している。
鎌田 裕; 藤田 隆明; 石田 真一; 菊池 満; 井手 俊介; 滝塚 知典; 白井 浩; 小出 芳彦; 福田 武司; 細金 延幸; et al.
Fusion Science and Technology (JT-60 Special Issue), 42(2-3), p.185 - 254, 2002/09
被引用回数:33 パーセンタイル:48.48(Nuclear Science & Technology)JT-60及びJT-60Uは、ITER及び定常トカマク炉実現へ向けた物理基盤を構築することを目的として、炉心級プラズマにおける高総合性能の実証とその維持を目指した運転概念の最適化を行って来た。等価核融合エネルギー増倍率(=1.25)や核融合積(=1.5E21 m-3skeV)の達成に加えて、高い総合性能(高閉じ込め&高ベータ&高自発電流割合&完全非誘導電流駆動)を実証した。これらは、内部及び周辺部に輸送障壁を持つ高ポロイダルベータHモード及び負磁気シアモードで得られた。最適化の鍵は分布及び形状制御である。多様な内部輸送障壁の発見に代表されるように、JT-60/JT-60U研究はプラズマ諸量の空間分布の自由度と制限を強調して来た。各閉じ込めモードの閉じ込め研究に加えて、輸送及び安定性等によって支配されるコア部及び周辺ペデスタル部のパラメータ相関を明らかにした。これらの研究により、高閉じ込めモードのITERへの適合性を実証するとともに残された研究課題を明らかにした。
近藤 貴; 林 利光; 河野 康則; 草間 義紀; 杉江 達夫; 三浦 幸俊
no journal, ,
国際熱核融合実験炉(ITER)等における燃焼プラズマの物理特性を把握するためにはプラズマ内部における粒子の速度分布関数の計測が不可欠であるが、その計測法はいまだ確立されていない。このような状況を踏まえ、JT-60Uでは炭酸ガスレーザーを用いた協同トムソン散乱法の開発を進めている。協同トムソン散乱法は、プラズマ中のイオンの動きを反映した電子の集団運動による散乱スペクトルのドップラー広がりを測定することにより、イオンの速度分布関数を測定するものである。従来、炭酸ガスレーザーを用いた協同トムソン散乱は、散乱角が0.5度と小さいために、空間分解能が悪いとの指摘があった。そこで、低域混成共鳴を利用した散乱配位を検討した。サイクロトロン運動を取り入れたレーザーの散乱スペクトル計算を行い、磁力線方向に対するレーザーの入射角度を最適化することにより、散乱角が約0.71度で低域混成共鳴による強い散乱強度が得られることを示した。この測定と従来の散乱角0.5度の測定を同時に行うことで、より詳細な粒子分布が得られることが明らかになった。また、時間分解能の向上とSN比の向上による測定原理の実証のために行っている、周期10Hz,出力エネルギー10Jの単一モード発振の炭酸ガスレーザーの開発状況についても発表する。
近藤 貴; 林 利光; 河野 康則; 草間 義紀; 杉江 達夫; 三浦 幸俊
no journal, ,
燃焼プラズマの物理特性を把握するためにはプラズマに閉じ込められたアルファ粒子の速度分布と空間分布の計測が不可欠であるが、その計測法は未だ確立されていない。協同トムソン散乱法は、プラズマ中のイオンの動きを反映した電子の集団運動によるレーザー光やマイクロ波の散乱スペクトルを測定することにより、イオンの速度分布と空間分布を測定するものである。アルファ粒子計測法の実証のため、炭酸ガスレーザーを用いた協同トムソン散乱法の開発を進めている。その主要開発要素は光源である炭酸ガスレーザーである。マルチモード発振の安定共振型工業用レーザー(澁谷工業SEL4000,出力3.5J,周期20Hz)を元に、共振器の励起部を6連結して不安定共振器を構成することにより、シングルモード発振の高出力レーザー(周期10Hz)の開発を行い、10J以上の出力を目指している。また、炭酸ガスレーザーを用いた協同トムソン散乱計測は、散乱角が0.5度と小さいために、空間分解能が1m程度になる。そこで、ITERへ適用する場合の空間分解能の向上手法について検討を行った。サイクロトロン運動を取り入れたレーザーの散乱スペクトル計算を行い、磁力線方向に対するレーザーの入射角度を最適化することにより、散乱角が約0.75度で低域混成共鳴による強い散乱強度が得られることを示した。この測定と従来の散乱角0.5度の測定を同時に行うことで、より詳細な粒子分布(空間分解能0.5-0.6m)が得られることが明らかになった。新型レーザーによるJT-60プラズマを用いた実証実験は2006年4月に開始する。
近藤 貴; 林 利光; 河野 康則; 草間 義紀; 杉江 達夫
no journal, ,
国際熱核融合実験炉(ITER)等の燃焼プラズマにおける核融合生成粒子の診断は燃焼プラズマの実現にとって重要であるが、その効果的測定方法は確立されていない。そこで、炭酸ガス(CO)レーザー(波長10.6m)を用いた協同トムソン散乱(CTS)計測を開発している。COレーザーを用いたCTS計測はプラズマ中の屈折が小さく、プラズマ中のビームの追跡が容易であるという特徴がある。CTS計測を実現させるために、高繰り返し横方向励起大気圧(TEA)炭酸ガスレーザーを開発した。CTS計測のために必要となる単一モード出力を得るために、不安定共振器を構成し、単一モードの種レーザー入射した。現在までに15Hz周期で出力エネルギー17Jの単一モードレーザーを得た。また、安定型共振器の構成では36Jの最大出力エネルギーが得られた。これによりITERで必要となる出力20J,周期40Hzの炭酸ガスレーザー実現に見通しを得ることができた。この開発したレーザーを用いて、JT-60UトカマクにおいてCTS計測の原理実証実験を進めている。
近藤 貴; 林 利光; 河野 康則; 草間 義紀; 杉江 達夫
no journal, ,
燃焼プラズマにおける閉じ込められた粒子の診断は、燃焼プラズマの加熱及び不安定性等の物理現象の理解並びに燃焼制御のために重要である。しかし、国際熱核融合実験炉(ITER)においては、計測法は決定しておらず開発が急務である。そこで、協同トムソン散乱計測法の光源として使用する、大出力・高繰返しレーザーを、工業用の横方向励起大気圧炭酸ガスレーザーを元に開発した。励起部を6連結し不安定共振器を構成するとともに、絶縁を強化して放電電圧を高めた。この共振器に種レーザーを入射することにより、出力17J,周期15Hzのシングルモード出力を得た。これにより、ITERで使用可能な炭酸ガスレーザーを実現できる見通しが得られた。また、散乱スペクトルデータの収集系も新たに開発した。新レーザーの周期に対応したデータ収集系を短期間で構築するため、デジタルオシロスコープ単独で、データの収集,解析並びに保存を行った。製作した解析プログラムがオシロスコープで直接動作することにより収集システムが簡素化された。これらのレーザー及びデータ収集系を用いて、JT-60Uトカマクにおいて協同トムソン散乱計測の原理実証実験を進めている。
近藤 貴; 林 利光; 河野 康則; 草間 義紀; 杉江 達夫
no journal, ,
国際熱核融合実験炉(ITER)の燃焼プラズマにおいて、核融合反応で発生する粒子のプラズマ中の空間分布と速度分布計測は、燃焼プラズマの物理現象の理解と燃焼制御のために不可欠である。しかし決定的な計測法は未だなく、開発が必要とされていた。そこで、炭酸ガスレーザーを光源とした協同トムソン散乱計測によるアルファ粒子計測法の開発を進めてきた。(1)工業用レーザーをもとに大出力・高繰返しパルス炭酸ガスレーザーを開発し、出力エネルギー17J,繰り返し周期15Hzのシングルモード出力を実現し、ITERの粒子計測用レーザーを実現できる見通しが得られた。(2)遠赤外ヘテロダイン検出器とデータ収集システムを開発し、散乱スペクトル計測に必要となる広帯域の受信システムを構築した。(3)散乱周波数が同程度である、高速粒子と中性粒子ビーム入射による高速イオンを分離して計測する手法の提案とITERにおける計測システムの概念設計を行った。今後JT-60Uにおいて計測に最適化されたプラズマにレーザーを入射して実証実験を進める。また、ITERの粒子計測に必要となるレーザー性能を得るための改造設計を行う。
近藤 貴; 河野 康則; 林 利光; 杉江 達夫; 草間 義紀
no journal, ,
平成16年度から実施してきた科研費計画研究「閉じ込められたアルファ粒子の炭酸ガスレーザー協同トムソン散乱による測定法開発」について、3年間のまとめを行う。本研究での開発の成果は下記の通りである。(1)工業用レーザーを基に大出力・高繰返しパルス炭酸ガスレーザーを開発し、出力エネルギー17J,繰り返し周期15Hzのシングルモード出力を実現し、ITERの粒子計測用レーザーを実現できる見通しを得た。(2)高繰り返し周期に対応したデータ収集システムを開発し、散乱スペクトル計測に必要となる受信システムを構築した。(3)散乱周波数が同程度である、高速粒子と中性粒子入射ビームによる高速イオンを分離して計測する手法の提案と、ITERにおける計測システムの概念設計を示した。以上の成果により、ITERの燃焼プラズマ計測の最重要課題の1つである、閉じ込められた粒子計測実現の見通しを得た。