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鳥居 建男; 奥山 慎一; 石塚 晃弘; 野崎 達夫; 那波 康則*; 杉田 武志*
no journal, ,
日本海沿岸で冬季雷活動時に観測される放射線量率の上昇の特徴について明らかにするとともに、モンテカルロ計算による雷雲電界中での荷電粒子の挙動解析を行った。冬季雷活動時に空間放射線量率の上昇が観測されることがある。この原因を調査するため、冬季雷雷雲を模擬した電界領域での高エネルギー電子の挙動をモンテカルロ計算により解析してきた。その結果、電界強度がある値(P(z)気圧の場で約280P(z)kV/m)を超えると電子・光子のシャワーが発生し、急激に電子・光子束密度が増加することがわかった。また、そのエネルギーも数MeV程度まで上昇し、冬季雷活動時に観測される放射線と符合するものであった。今回、これまで解析してきた高エネルギーの荷電粒子である宇宙線の電磁成分に加えて、地上付近で最も主要な宇宙線成分であるミュオンに着目し、宇宙線ミュオンとミュオンが空気分子と衝突して生成させるノックオン電子について雷雲電界中での挙動解析を行った。その結果、宇宙線ミュオンは電界領域で有意な変動を受けないものの、ノックオン電子により、高電界領域で電子・光子束が急激に増加することがわかった。宇宙線ミュオンは大気中での粒子束及びその高透過性から雷雲中の高電界領域で多量の高エネルギーのノックオン電子を放出することによって、雷雲中で電子・光子シャワーを発生させ地上付近での放射線量率の上昇をもたらしている要因と考えられた。本発表では、宇宙線ミュオンの影響解析について述べるとともに、高電界領域での電子密度の上昇についても触れる。